女性を『モノ』として考える描写があります、ご注意を。
何かに導かれた、そんな気がする。
知らない裏道を歩き、存在すら知らなかった古書店で、1冊の古書を購入していた。
表紙に書かれたその文字は、理解も、読めもしない。
深夜、自分の部屋で、震える手を伸ばす。
『ヤバイ』という気持ちと『イケ』という気持ちがぶつかり合っている。
ああ、それでも俺の手は……その古書に触れ、開いていた。
禍々しい気配に満たされた空間。
厨二乙、と笑うか?
それどころじゃない。
俺の目に前に現れた『それ』は、平和な日本人の学生である俺に、濃密な死と絶望を幻視させている。
俺を見て、ニヤリと笑う『それ』。
悪魔か、便利な言葉だ。
その便利な言葉を、今使おう。
『悪魔』が、俺の知らない言葉で俺に話しかけてくる。
その言葉が理解できることが何よりも恐ろしい。
悪魔が指さす先に、開かれた古書があった。
俺は、どうなってしまった?
知らない文字を、読めてしまう俺は……何なんだ?
楽しそうに悪魔が笑う。
嬉しそうに悪魔が語る。
古書について語る。
魔道書の力について語る。
手に取れ。
力を行使しろ。
貴様の欲望を解き放て。
俺は神など信じない。
しかし、俺は地獄に落ちるのだろう。
いや、地獄ではない、もっとおぞましい場所へ逝くのか。
俺の指が、よどみなく魔道書をめくる。
心の奥に秘めた欲望が、女性を象っていく。
名前・身長・体重・スリーサイズ・髪型・性格・家庭環境……様々なデータが、少女を象る。
ちょ、待て。
なぜ、俺と同じ学校に通う女生徒になるんだ?
微かな疑問とともに、俺の中から何かが抜けた。
喪失感。
俺の意識は、薄れていった。
なぜか、悪魔が俺を見守っていることだけはよくわかった。
目を覚ます。
夢か?
いや、現実だ。
古書が、魔道書がある。
そして、得体の知れない力を感じる。
朝食もそこそこに、俺は学校へと向かい……そして、出会った。
俺が象った、少女に。
少女はすごい浮いている。
何故かというと、制服が違うからだ。
転校……?
いや、周囲の反応が普通だ。
わからない、わからない、が……分かることもある。
分かってしまうこともある。
放課後。
俺は彼女を呼び出した。
話しかけたわけじゃない。
ただ、呼び出そうと念じる、それだけのこと。
場所など指定しない。
そして俺は、学校の、目立たない場所で彼女を待つ。
やはり、彼女は現れた。
気が付けば、悪魔が耳元で囁く。
欲望を解き放て。
現実感がない。
少女は、彼女は、俺の作品だ。
俺の好きにして、何の問題がある?
彼女が帰っていく。
俺には、彼女の状態が把握できている。
精神状態、健康状態に至るまで。
欲望か。
力か。
パチパチパチパチ……。
響き渡る拍手にギョッとした。
振り向けば、男。
悪魔とは違う……が、『ヤバさ』だけは感じた。
おそらく、抵抗しても無駄だ。
俺の力は、荒事には向いてない。
男に連れて行かれた先。
俺の力を把握していた。
俺の欲望を知っていた。
俺が、あの古書店で魔道書を手にしてから、ずっと観察されていた。
要求はシンプルだ。
これからも魔道書の力を使え。
生み出された女を調教しろ。
調教し終わった女は、組織に提供しろ。
つまり、俺に調教師として生きろと。
やはり、な。
そんなうまい話はないと思ってた。
ヤバイところに足を突っ込んでしまっている。
殺されるぐらいなら、好みの女相手に好き放題する方がマシか。
俺は、組織の調教師として生きることになった。
組織にすれば、素材の調達リスクはナシだ。
この魔道書を扱える人材を探していたらしい。
そして、似たような魔道書を持つ調教師がほかにもいるらしい。
初めは、楽しくないこともなかったさ。
俺の理想が、欲望が、形となって現れる。
名前以外はソックリな少女を、全く別の調教をほどこしたりもした。
しかし、いつからか、それはルーチンワークだ。
効率重視。
特に考えることなく、少女を仕上げていく。
ある日、やけに疲れた感じの担任教師を見かけた。
手にしたプリントに資料、そして生徒の提出物。
女教師は苦笑しつつ言った。
「なんかね、仕事が増え続けてる気がするのよ。おかしいわよね」
あ。
気が付けば、俺の通う学校には、いろんな制服を身につけた少女でいっぱいだ。
組織に提供した少女もたくさんいるが、あくまでも表の顔は女生徒だ。
つまり、学校の生徒は増え続けている。
それなのに、魔道書のチカラで周囲はそれを不思議に思わない。
やべ。
今夜から、大人タイプの女教師を作ろう。
俺は担任の教師に心の中で謝りながら、そう誓っていた。
登場人物は、全て18歳以上です。(笑)