高任斎の一発ネタ集。    作:高任斎

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えっ、悪役令嬢ものの話を?
書けらぁっ!


54:世界が私を悪と言うのなら。(原作:悪役令嬢もの)

 祖父は、政治家だった。

 人を、白か黒かで判断することは愚かしいが、政治家ともなればその判断は余計に難しくなる。

 金権政治家だと叩かれる一方、本当の政治家と評価されたり。

 往々にして、世間の評価と身内の評価は食い違うものであるが、父は祖父のことをひどく嫌っていた。

 祖父のあとを継ぐ気分はないと宣言したものの、『最初から、お前に政治家は無理だとわかっている』と返されたそうだ。

 父と母、そして兄2人……感情の濃淡はともかく、祖父に対してよい感情は抱いていなかった。

 そして私は、好きでも嫌いでもなかった。

 祖父は祖父として、何をしようが、何を言われようが、私の祖父なのだから否定しても意味はない。

 

 ……祖父は、私を気に入っていたように思う。

 

 忙しい人だったが、たまに会うと……私の質問に、答えられる分には答えてくれた。

 

『政治は、人を動かすことだと私は思っている』

『人はみな、理想で動くとは限らない』

『政治家が理念で動くのはいいが、政治家が動かそうとする人は、理念では動かない』

『カリスマで人を動かせるのは100年に1人世に出てくるかどうかで、国の政治はそれを待ってはいられない。ならば、金で人を動かす』

『金権政治と蔑まれようが、何も決められず、何もできず、右往左往するだけよりよっぽどマシだ。どういう形であれ、人は前に向かって歩き続けなければならないからな』

 

 子供心にも、祖父の言葉はそれなりに説得力があった。

 小学校のクラスの話し合いでさえ、意見はバラバラになってまとまらない。

 最後は、教師が強権をふるってやっと何かが決められる。

 教師がいなければ、教師の権力がなければ、どうにもならないことぐらいは、子供にだってわかる。

 

『金が使えなくなれば、この国の政治家は人を動かせなくなる。最後の手段で世論に利用するようになり、すべてが壊れて……そこでようやく、この国は、この国の人間は、政治とは何かを考えるようになるだろう』

 

 予言めいた祖父の言葉は、良くも悪くも的中した。

 

 祖父の地盤を引き継いだのは、祖父の秘書をしていた人で……良くも悪くも、時代の変化についていけず、足をすくわれた。

 

 政治でおなじみの贈賄罪と収賄罪。

 賄賂を送った側と、賄賂を受け取った側。

 前者の時効は3年で、後者の時効は4年。

 

 前者の自白で、後者の罪が暴かれるケースがこの国では多い。

 不思議なことに、前者は時効を迎えて罪に問われず、後者は罪に問われるケースがほとんどだ。

 つまり、3年経ってから賄賂を贈った側に自白させて、賄賂をもらったとする相手を罪に問い、失脚させる。

 これが、この国における政治闘争と成り果てている。

 

 ひどく穿った見方だが、『賄賂のやりとりが存在しなかったとしても』、罪に問われない自白をさせれば、収賄罪で政治家は失脚させられる。

 

 

 祖父の地盤。

 それが、回ってきたのは、私が30歳になった春だった。

 

 父よりも年上の人が、畳に頭をこすり付けるようにして私に頼むのだ。

 何人も、何人も。

 このままでは、祖父の築きあげたものが全てダメになる、と。

 キレイごとだけじゃなく、今までの反動で、祖父の地盤とされる地区が冷遇されるのは明らか。

 我々にとっては、生きるか死ぬかの問題だ、と。

 

 ため息をつき、窓に視線を向けた。

 空が見える。

 山が見える。

 祖父の愛した故郷。

 祖父の愛した国。

 

『全てを救うことはできない』

『全てを救うということは、この国ではない別の場所の誰かから奪い、切り捨てることだ。最初はそれでもいいが、やりすぎれば世界から睨まれ、奪われる』

『学校も、地域も、地方も、国も、世界も……人の集まりで、欲の集まりだ。弱者になるのは論外だが、絶対的な強者になるのもいけない。勝ち続けることはできない、それははっきりしている』

 

 人は、変わらない。

 ただ、時代だけが変わる。

 

 私は、祖父の後継者として立つことに決めた。

 メリットとデメリット。

 祖父の人脈。

 そして、世間での、強烈な悪いイメージ。

 

 私の政治家としての活動は、そこから始まった。




か、書けねえっ。

これ、前話とは逆に話が膨らみすぎる、それもまずい方向へ。(震え声)
なお、この世界は現実に良く似た異世界で、フィクションです。
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