高任斎の一発ネタ集。    作:高任斎

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対魔忍?
聞いたことがある程度です。
なので、まあ、設定がおかしいとか、そういうのは抜きで。


63:対魔忍?聞いたことがある。(原作:対魔忍?)

 友人の目を見つめたまま、言葉を続けた。

 

「まあ、聞いたことがあるだけなんだけどな」

「……だろうな」

 

 と、友人が返す。

 

 時は、いや、時代は世紀末。

 魔界やらとゲートがつながるわ、魔物と戦うためにサイバーでパンクな技術が蔓延するわ、暴力と腐敗のよどんだ時代に俺たちは生きている。

 というか……本当は、ずっと昔から人ならぬものと人間との戦いは続いていて、それが表面化したのが今の時代ってことになってる。

 ただ、隠されてきた事実が表面化ってことは……今俺たちが感じている『事実』とやらも、実はいろんなものが隠された状態で知らされている事実なんじゃないかと不安になるのは当然だろう。

 

 魔と戦う忍達。

 つまり、対魔忍。

 都市伝説のようだが、これは間違いなく実在する。

 

 魔を退ける……退魔忍なんて勘違いもあるようだが、実際、本当はこれが正しい。

 対魔忍の多くは、魔の血を引いていて、その魔の力を用いて、魔物と戦う。

 ただ、この魔の血に由来する力を制御できなければ、人であることを続けられず、魔に堕ちてしまうともいう。

 つまり、魔の力がある程度退化した人間が、退魔忍であることが少なくない。

 

 良くも悪くも、魔の血を引いている人間は、少なくない。

 血の濃さ、薄さはあるが、何かのきっかけで、その血に宿る魔の力に目覚めるものもいて……都市伝説も何も、それは決して他人事ではないのだ。

 

 

 俺は、あらためて友人に目を向けた。

 

「それで、いきなり何よ?」

「ああ、いや……昨日の夜、見ちまったんだ、その、たぶん、対魔忍が戦っているのを」

「へえ」

 

 敢えて、軽く返す。

 

「いや、信じてないだろ、お前」

「信じるも何も、なぁ?」

 

 できるだけ茶化すように。

 そして、馬鹿にはしないように。

 

「いや、まあ、その反応はわかるんだけどな。俺も、あれを見るまでは、都市伝説としか思ってなかったし……それでもまあ、俺たちの知らないところで、そういう連中と戦っている存在はいるんだろうなとは思ってたけど」

 

 半目で、友人を見る。

 

 そうか、見たのか、こいつ。

 いや、見ることができたのか、こいつは。

 

「……なんつーか、その、すげぇ、エロかった」

「お、おう……」

 

 俺の返事をどう受け取ったのか、友人が慌てたように言い訳を始める。

 まあ、うん、いいんだけどな。

 気持ちはわかるし。

 

 都市伝説で語られる対魔忍の特徴は、大体そっち方向に偏ってる。

 

1、基本、女性は美人揃い。

2、基本、女性はスタイル抜群。

3、基本、女性の衣装がやたら露出が高いか、エロい。

 

 などなど。

 

 まあ、なんで女性ばっかりなんだよとか、都市伝説スレでは突っ込まれてるんだけどな。

 魔の血を引いてるってことは、基本魔にそういうことされた女性の子孫ってことで、そういうことされるってことは、魔物の審美眼にかなう美しい女性だからとか何とか。

 スレでは好き勝手に語られてる。

 

 ああ、本当にな。

 

 ……友人に対して当たり障りの無い対応をしているが、実は、俺の身内に対魔忍がいる。

 だから、俺は対魔忍が実在していることを知っているし、たぶん、一般人よりも事情に詳しい。

 

 対魔忍、か。

 俺の身内の、対魔忍。

 それはつまり、俺も、何がきっかけで……そうなる可能性がたぶんにある。

 俺の身体に流れる、魔の血脈。

 

 はっきり言うと、怖い。

 ああなってしまうのが怖い。

 

 俺の、父方の祖父の弟だから、大叔父さんってことになるのか?

 ある日突然、血に目覚めたらしい。

 50を越えてなお、見た目は若々しく、20代で通じてしまう。

 

 女ばかりと言うか、女だらけの対魔忍。

 もちろん、男もいる。

 男もいるが、ほぼ女。

 その秘密は……なぁ。

 

 大叔父さんの姿を思い浮かべる。

 

 エッロい対魔忍スーツに身を包んだ、外見上は妙齢の美女。

 

 ……血に目覚めると、その多くはTSしちゃうんだよなあ。(震え声)

 そして、スタイル抜群に。

 なおかつ、若々しい外見を保ち続け……そりゃあ、政府の上層部の女性連中が、嫉妬に狂って情報を売り渡すよなあ。

 救いが無いのが、男は男で、対魔忍とエロいことしたいからって、魔界の人間とつるんで情報を売り渡す。

 

 国営デリバリーとか、脳筋とか、好き勝手言われてるけど、そもそも信用できる後ろ盾が皆無なんだから、そりゃあ、脳筋プレイするしかしょうがないって。

 

 

 対魔忍として数十年、無事(?)で現役であり続けられた大叔父さんみたいな存在は、例外中の例外らしい。

 父も、兄も、いつか自分がエッロい対魔忍スーツに身を包むはめになるんじゃないかと、怯えながら日々を過ごしている。

 そして俺も、朝目覚めるとすぐ、股間に手をやってしまう癖がついた。

 

 ……大丈夫、俺はまだ大丈夫。

 

 血の目覚め。

 それは、魔の気配によってなされることが少なくない、らしい。

 君子危うきに近寄らずってことだろう。

 対魔忍である大叔父も、俺たちと直接会うことは極力避けている。

 ありがたく思うと同時に、申し訳なく思う。

 そして、それを割り切る大叔父のあり方が、どこか悲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 その夜、『女』の声で、友人から電話をもらい、大叔父さんに連絡した。

 

 ああ、うん。

 涙でぐしゃぐしゃの、エッロい身体つきの友人(顔は面影を残しつつ、ほぼ別人)に抱きつかれて、多少股間に来るものがあったが、それと同じぐらいの恐怖を覚えた。

 

 友人がそうなったことに、大きな驚きは無い。

 だって、あいつは……対魔忍が戦っているのを『見る』ことが出来たんだ。

 そう、本来『常人が目で追えるようなものではない』対魔忍の戦いを。

 それはつまり、血の目覚めの予兆だ。

 

 そしてたぶん、俺はもう友人と会うことは無い。

 

 そう、思っていたんだがなあ……。

 

 

 

 

 

 

「お前も対魔忍になるんだよぉ!」

「いやぁぁぁぁっ!」

 

 立派な対魔忍見習いになった友人に襲われて何かを失い、そのまま朝までロングランをかまされ……目が覚めたら、股間のモノとサヨナラしていた。

 

 顔を上げると、いい笑顔の美少女が。

 

「ようこそ対魔忍の世界に」

 

 はは、抜かしおるわ、こいつ。(震え声)

 

 ……いざと言うとき、絶対に見殺しにしてやるからな。

 

 裏切りと足の引っ張りあい。

 それが、対魔忍の世界だ。 




高 任:「……と言う話を思いついた」
知 人:「対魔忍TSwwwwwww」

うむ、一発ネタとは、かくあるべし。
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