RESIDENT EVIL 好奇心はダリオ・ロッソの息子を殺すか? 作:nassyusan
製材所に遺された遺書
9月20日
あぁ、なんでこんな事になってしまったのか……。
思えば、アニタがアークレイで消息不明になってから気付くべきだったのか……、それともホワイトさんの家で巨大蜘蛛を見つけた時だろうか?
私は見てしまった……、死んだはずのホワイトさんの死体は消えてしまって警察にもまるで信じてもらえなかったが、今なら確信を持って言えるホワイトさんは生ける屍に……ゾンビになってしまったのだ。
ダムの管理所でマーカーさんが言っていたように、ゾンビに傷付けられた人はいずれは同じゾンビになってしまうのだ。そしてダムの管理所に居た変わり果てた人々達、濁りきった眼で此方を見ていたその光景は今でも目に焼き付いて離れない。
街の人々に言って回ったが……アルさんも、ロバートさんも、誰一人として街にゾンビの群れが迫って居ることを伝えても信じて貰えない。
だからせめて街の郊外にある、この製材所で奴らを、ゾンビ達を食い止めようと思う。
ジェーン、許してくれ……。多分私はお前の元に戻れそうにない。
せめてアニタお前だけでも、私の手で……
<<此処から先は血で汚れて読めない>>
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9月20日 20:00 ラクーン郊外の製材所
9月も終わりに近いというのにまだまだ空気が暑い……。それに、心なしか蒸し暑くもある。
アニタ、お前が変わり果てた姿で彷徨っているのを想像するだけで私は心底恐ろしい、だからお前の最後はせめて俺の手で決着を付けてやる。
レミントンのグリップを握る手が白くなるまで力を入れていることに気付くと、苦笑いする。
思えば、デトロイトで事故が起きてから周囲の目に耐えられなくなってアニタの故郷の此処、ラクーンシティに戻って来たが今思えばデトロイトの事故の時からこの悪夢は定め付けられていたのかもしれないな。あの時部下からの報告をちゃんと上に伝えてさえいれば……
今更悔やんでも仕方ない。全ては私が巻いた種だ。アニタがゾンビになったのもジェーンが両親を失うことになるのも、私のせいだ、私の……
そんな私の失意を打ち消すように、不快な呻きが木霊する。そしてそれは徐々に此方に近づいてくる、製材の影から目の前から右から左からと濁った瞳と腐った腕を此方に伸ばしながら、更に呻きが大きくなったように思える。
木々がざわりと一段大きくざわめく、まるで決心しきらず飛び出してきた私を脅かすように、嘲笑っているかのように思えた。
数は10か、20か?それとももっとなのか。
「此奴ッ!此奴!此奴らぁッ!!」
二発、三発と撃ち続け何体もの血の海を作ってやるが、まるで数が減っているようには見えない。むしろ銃声に釣られ増えているようにさえ見える、ならばと用意してあったジェリ缶を蹴り倒しガソリンを撒いてやる。ジッポを取り出し、ゾンビの群れの中にアニタの姿を見つけると呟く。
「サヨナラだ……。アニタ!」
火の付いたジッポが、地面にキスすると同時にガソリンが勢い良く燃え上がりゾンビ共を景気よく焼き払っていく。アニタも……
泣いているのか俺は、目頭が熱くなり視界が霞む。アニタとの日々、家族三人で過ごした日々が炎の中に消えていく。何もかも燃え尽きていく製材も、何もかも。
ジェーンの元に戻らなければ、これからはジェーンの為に生きてやらなければならないのだから。
「英雄ゴッコはそれまでにしてもらいたいものね。お馬鹿さん」
誰だ?と視線を背後に向ける前に背中に熱さを感じた。と同時に体が重くなり激痛が走り回る。
痛みに耐え切れず悲鳴をあげる。地面に倒れないように片膝と片手を地面に付き辛うじて体を支える、何故だ?何故、こんな事をと問いながら視線をあげる。
その姿を見て、私はギョッとした……なぜなら、なぜならそれはジェーンの同級生、腰まで届くであろう艶やかな黒髪を後ろに束ねた少女だったからだ。
おまけにその容姿におおよそ不釣り合いであろう、ボウ・ガンを構えてまるで此方を狩りの獲物を見るような冷ややかな感じと、熱を帯びた眼差しを此方に向けていた。
「何故?何故かって?私がそうしたいからよ、それで十分すぎる理由でしょ?」
言ってから彼女はアハハと笑う、その表情だけ見ればジェーンみたいに無邪気な少女が見せるソレであっただろう。だが、相手の生命の主導権を握りクスクスと笑う彼女の姿はまるで悪魔のそれとしか思えなかった。
「心配しないで……?ジェーンも先に行って待っているわ、あの世でね」
ふざけるな!と虚勢を張ってみせるが少女はクスッと一笑する、そしてボウ・ガンを再び装填すると
「おやすみなさい。哀れなラクーンの愚者達」
それが私の聞いた最後の音だった。
少女がボウ・ガンを男性の額に撃ち込み、トドメとした。男性が力なく地面に倒れ伏すと、少女は男性の亡骸を踏み躙りながら悦に浸る。
それは狩人が哀れな獲物の最後を改めて確認する様、そのままである。
「ホントに馬鹿ね……。所詮ラクーンなんてスペンサーの玩具に過ぎないというのに、貴方達は所詮アンブレラにモルモットとして生かされていたに過ぎないの。今回はそれが
アハハハハと狂気に満ちた声が響き渡る、それはまるでこれからの地獄の到来を教えるかのように。
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リンダ・パールの手記
9月21日
ここ数日で運び込まれてくる患者の数は増える一方、皆の疲労の色も日に日に強くなっているのがわかる。
重度、軽度に関わらず皮膚の腐敗には活性剤もまるで効果が無い……
隔離病棟も満員になりつつある、このラクーン記念病院の対応機能はパンク寸前だ。
そうでなくても医院長が謎の拳銃自殺を遂げて、病院は混乱しているのに。医院長は恐らく、この事態の真相を一部であるが知っていたに違いないと勘ぐりたくなるが、今ではもう確かめる術も無い。
兎に角、ローズとボビィが心配ね。後で病室に様子を見に行かないと。
<<書き足した跡がある>>
今日もまた赤頭を一匹仕留めた、今度は危うくあの長く鋭い爪で切り裂かれる所だった。
でも、代わりに……代わりにローズとボビィが犠牲になった。私の為に、盾になって……
あとでエドの所に行ってレミントンを調達しておかないと。
<<震えた文字で書かれている>>
許して……ローズ、許して……ボビィ。貴方達の無念はかならず晴らすから。
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9月21日 12:00 ケンド銃砲店 地下試射場
凄まじい発砲炎と発砲音が射撃場に響き渡る。遅れて手に衝撃が伝わってくる。
もっとも初回は50発程度でジャム、原因をケンドのおやっさんと探して見つけて、唖然とする、やはり無理な改良のせいか僅かなスライド肉厚の狂いがジャムにつながっていたというのだから驚きだ。それを改良しての二回目。
だが、此奴は良い銃だ。イーグルと同じ口径ながら、銃身は14インチの長銃身で頑丈でメンテナンスの容易なステンレスのボディに尚且つ若干肉厚さによる無骨さが出ているがそれでも艷やかで美しいベレッタのフォルム。コストを度外視した、熟練のガンスミスによるまさに「作品」と感嘆の息を漏らす。
「おやっさん、確かに此奴は最高だよ!この威力とこの美しいフォルム!そして何と言っても確実な動作性、100発撃ってもビクともしやしない」
俺は心からの賞賛と驚きを隠しもせずにおやっさんに話す。
まぁもっとも試作銃器のテストの為に、店の地下に小規模とはいえこんなしっかりとした地下射撃場を作っちまうんだから。酔狂だよなぁ。
少しジメッとしてはいるが、コンクリートの空間は適度に広く銃声を適切に拡散する。流石に銃器の専門家だけあって、こういう設備もしっかりと作ってある。
「そりゃそうだ。サムライエッジの時の経験も参考にしたからな、バリーの化物エッジを作った時は特に苦労したもんだがな」
ハハハと照れたように笑う。
バリーか、バリー・バートン。「洋館事件」を生き残ったSTARSの5人の生き残りの内の一人で、愛妻家で大口径信仰者のガンマニアで釣り好き。ケンドのおやっさんとも良く釣りに行った仲だったか。俺自身もケンド銃砲店に入り浸る機会が多かったから、良く話もした。温厚な人物で気の良いおっさん、洋館事件が起きてからも度々来ていたが。ある日を境にパッタリと来なくなってしまった。
「洋館事件」では、家族愛をアルバート・ウェスカーに利用されたが、最終的には背いてクリス、ジルを助けた。個人的にはかなり好みの人ではあるな。今頃多分、家族をカナダに送り届けている頃だろうな……そして、3のEDではジルを助けに単身ヘリで駆けつける。
もっともゲーム通りに流れが進むならの話、下手をすれば州軍の包囲網のお陰で駆け付けられない可能性もある。恐らくは23日遅くても24日には州軍による包囲網が敷かれ戒厳令が出ることだろう。
展開通りなら26日にはもう街の機能はほぼ完全に麻痺し、警察もゾンビ共を抑えきれなくなる。そして27日にはラクーン選抜警官隊が全滅する……
全くもって
「アナ、聞いてるのか?」
おやっさんが心配そうに此方を覗き込む。
お前さん
「ちょっと考え事してただけさ」と返す。
それよりとおやっさんが話を変える。
「お前さん、学校の休憩時間大丈夫なのか?」と
「あ、ああああああああああああああああ!」
少年の絶叫が地下に響き渡った。
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作戦指令所
αチーム隊長ハンクに以下の指令を伝達する
ラクーン市に存在する我が社の研究施設、ウィリアム・バーキン博士の研究エリアに侵入、博士の所持していると思われるGウィルスのサンプルを奪取せよ。
サンプル入手の為に、あらゆる手段を用いてでも確保せよ。
尚、現地のUBCS部隊はバーキンの息のかかった部隊であり容赦は一切不要である。
また米軍特殊部隊がバーキン博士の保護に動いているとの情報もある、研究所侵入には細心の注意を図ること。
アンブレラ・ヨーロッパ支部長
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9月21日 同時刻 ラクーンシティ下水道・アンブレラ偽装研究所
一方でラクーンの地下ではUSSと呼ばれるアンブレラの私兵が、異形の右肩に巨大な眼を持った怪物を相手取り命がけのサンプル回収を行っていた……
「βチームは二人1グループに別れろ!3方向からヤツを包囲して攻撃する、失敗は許されない!」
ガスマスクと黒の防弾チョッキに身を固めた男達が三方向に別れ、そして正面から側面から背後から銃弾を浴びせにかかるが、まるで効果はなくむしろソレの怒りを活性化させる。
地を割くような咆哮をあげソレは右の巨大な爪を振りかざし側面を、背後に綺麗な血飛沫とグロテスクな肉塊を創り上げる。
そして正面に残った二人に突進する。
「撃て!撃つんだ!!」
男は恐慌に襲われ、
そして当然行き着く末路。つまり「弾切れ」に至る。
カチン。と音が鳴り弾切れを知らせる。
男は追いつめられるように通路端に追い詰められ……そして怪物の爪が振りかざされた。
そして、その影響でネズミ達が破壊されたサンプルケースの中身を摂取し、感染。
ラクーンの惨劇が表面化するまであと2日……。
ゆっくりながら時間軸的にはバーキン博士襲撃→Gサンプルの回収に失敗したUSSチームがGバーキンと死闘を繰り広げ、その戦闘の中でウィルスサンプルが破損、それを摂取したネズミによるウィルス拡散が爆発的に始まる。