RESIDENT EVIL 好奇心はダリオ・ロッソの息子を殺すか? 作:nassyusan
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その日は、
この日ラクーンシティの有名フットボールチーム「ラクーンシャークス」がラクーンスタジアムにおいて、試合を行なうからだ。市外からも多数のファンが、到来しスタジアム全体が活気と熱気に包まれ、人々は一時の不安を忘れていた。
市内の各所で発生し始めた、狂乱がスタジアムに伝播するまでは。
発端はほんの些細な出来事だ。観客の一人が突如「暴徒化」し、多数の観客を負傷させた。これだけならば、よくある「熱心な」ファンの行き過ぎたチーム愛が招いた不幸な事故だったかもしれない。だが、現実には……
9月23日 12:00 ラクーンスタジアム
その日、アリッサ・メイヤーはラクーンスタジアム・市庁舎付近のパトロールに駆りだされていた。
本来は殺人課の彼女が、市内パトロールに駆りだされたのは20日以降からの急激な治安悪化による
まず第一に署長の後手後手に回り続ける対応、ラクーンシティ全体で考えて非番警官も総動員して事態の収拾に当たって然るべき事態である。ましてや、市内の各所で
それに、今日だけでも行方不明者の集団発見、例のごとく「腐乱死体」となった状態で。
メイヤーは個人的に、一つの結論を出していた。……つまりは「ゾンビ」の発生である。
馬鹿馬鹿しい考えだが、メイヤーにとっては大真面目で導き出した結論である。STARSの生き残り連中が、必死となって捜査の「真相」を署長に主張していた時から。
メイヤーにとっては、とてもではないが
家族をカナダに移住させる。バリーの真剣な面持ちから、それを告げられた時にメイヤーの疑惑は確信に変わっていた。
元々ゾンビ映画の熱狂的なファンであり、愛好家である彼女にしてみれば「
それが、個人的趣味から起因するものであって周囲から
また、重度の銃器ユーザーである彼女の収拾志向はゾンビ映画好きとの相乗効果も相まって小さいものは大型拳銃から、重火器では
お陰様で「フルオート・30発ドラムマガジン・ポンプアクションにも切り替え可能な重量
署内の射撃大会に持ち込んだ所、苦笑の末に「
現状、単独のパトロールを求められた事は意外にも彼女にはメリットであった。臨時パトカーとして利用している彼女のキャディの後部座席、及びトランクにはこれでもかと言わんばかりに、銃火器が積み込めたからだ。
見れる限りでも、M16小銃にベネリM3、イングラムM10に、M79にと暇がない。彼女としては、町中で盛大に重火器を使うことはあまり望んでいなかったが場合によっては、やむおえないと考える程度には事態を重く考えて銃器をチョイスしていた。
それに……それに現状、非番の警官に招集をかけていない現状でもパトカーの数が不足する程度には事態が混乱している。アイランズ署長が、わざわざ署員の市内への配置を少人数、小規模で分散させているのが一番の要因なのだが……。
そんな思案をしていると、車内に強引に
「了解、現状地点から近い本車も急行する。」
入った無線によると、近辺のラクーンスタジアムで暴徒が暴れており鎮圧の為に近辺の警察官の応援を要請するとの事だ。「暴徒」という響きに妙に嫌な予感を感じた彼女は、悪夢の様な事態の予感を感じながらも車をスタジアムへと向けた。
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9月23日 11:00
ラクーンスタジアムの悲劇から1時間前に遡る。
アナスタージアの現在の心境は複雑なものだった。
そうだ。
前日に準備を行っていたアナは、鈍器で頭を殴られた様な衝撃を受けていた。そう、彼は失念していた。「本来のラクーンシティ」とは、細部がかなり異なる「バイオハザードのラクーンシティ」である事に。大まかな事柄は、同じである。しかし、その内実はまるで異なることに。
そもそも本来ならラクーンスタジアムにおける「大暴動」は24日に起きるもので、姉であるルチア・ロッソはそもそもラクーンスタジアムには赴かない筈であった。
最も、それは「本来の」バイオハザード世界においての事であり、このバイオハザード世界においてはまるっきり異なっていた。
「神様は残酷だ」といったありきたりな言葉が脳裏に浮かぶが、素直に運命を受け入れることは出来なかった。
「くそったれの神様、祈ってやるから姉貴を助けやがれ!!」
アナは当て付け同然に叫ぶと、ラクーンスタジアムに向かうために倉庫を飛び出した。
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9月23日 11:50 ラクーンスタジアム
レン・アルダーソンは、多少不思議な状況に対面していた。女性の退役軍人、それもとびきり腕の立つ。
ただ、少しだけ精神的に参ってそうな感じだ。
非番でもなきゃ、わざわざ試合観戦になんか誘ったりしないな。
レンは隣の金髪の女性、ケビン・クラリッサ・ミヤバシ・クロスに目線を向け思案した。
気の強そうな鋭い目つき、女性ながら力もあるし背はそれ程でもないが筋肉質で黒混じりの金髪の長髪を結んだ姿も中々に良いもんだ。
これが、
街の治安が日々悪化するにも関わらず選抜警官隊員であるレンは、中々出動命令が出ないのを疑問に思ったが、同時にこの期間の非番を利用してこのミステリアスというか訳有りそうな退役軍人と交友を持ってみるのも面白いと思ったのだ。
とはいえいきなり異性を食事に誘った挙句、自宅に連れ込むとは随分と大胆というか不用心というか……。彼は、今日までの一連の流れを思い出しながら苦笑した。
酒に酔って眠っていた時なんか襲ってくれと言わんばかりな格好、つまりはシャツとパンツである。健康的な日に焼けた褐色肌、誘うような艷やかしい吐息に、アルコールの酔いの心地よさから生じるやや紅潮した頬。
様々な要素が重なった結果、更に酔いの回ったクロスの
試合の雰囲気を楽しむクロスの様子に安心しながら、レンは自身の不幸を考えていた。
強さを感じさせてくれる
「レン?」
悩みの元凶である彼女、クロスが此方の心中を察したのか心配そうに様子を伺ってくる。若干鋭さを失った目付きだが、やはりゾクリとする眼だ。
とりあえず彼女を心配させない様に無難に答えておく。同性愛者であっても、女性をぞんざいに扱えないレンはそれ故に女性からの評価は概ね良いものであった、がそれ故に彼は少々困っていた。
つまりは、身近に同性より異性が居る時間の方が長くなってしまう事。
異性同士の友情なんて成立しない、但し片方が同性愛者だった場合は除く。といった状況をレンは体現していた。実際、何度か危うい場面はあったもののその都度、彼は相手を傷つけない程度にはやんわりと避けてきた。近年ではその努力が実ったのか周囲にもそれとなく同性愛者である事が知れつつあるような気がする。
同時に、同性愛者であることで信用されているのか余計に異性との関わりが増えるといった矛盾的事態も起こっていたが。
ただ、先に断っておくと恋愛対象として女性を見ないだけであって友人としての関係なら、歓迎していた。人と関わるのは、愉快であるし、新しい発見もある。
脳筋らしいレン・アルダーソンは、そのガッシリとした肉体に似つかわしくない程、多趣味で柔軟性を持った男である。友人の誘いで料理に精を出してみたり、編み物に挑戦してみたりと友人となった異性達の誘いで多種多様な趣味を持つに至った。
他人が喜ぶ顔を見るのは好きだし、知らないことに挑戦して理解することも好きであった。
多少勤務態度に不まじめな面を除けば、レン・アルダーソンは面倒見がよく、相手をよく気遣え、尚且つ精神的にも肉体的にも強い男性だ。
だからこそ、同性より異性に近づかれ易いのだが、彼には知る余地もない。そもそも、世間には
「天気が良すぎて寝かけてただけさ。」
両手を軽く広げておどけたポーズをとりながら、とぼけるレンの様子にクロスは少し笑う。
「タフガイの警官さんでも、太陽の光には勝てないって?」
にぃと笑いながら意地悪そうに話す彼女の表情は、笑いながらも肉食獣の様であり、やや幼さを残す顔つきから小悪魔的でもある。
ほんとは見惚れてただけさ。と小声で呟くレンに彼女が更なる興味を抱いたのと、反対側の観客席で「乱闘」が始まったのはほぼ同時だ。
一人に襲われた他の観客が、同じく他の観客に襲いかかりその観客席周辺が「暴徒」だらけになったのは、あっという間であった。首を噛まれた、観客が失血死せずに立ち上がり周囲の観客に襲いかかっているのだ。見るからに異様な光景は彼らが人間では無いことを理解させるのに十分だった。
「アリッサ先輩の冗談がホントになるとはね。」
ホルスターから愛用のベレッタを取り出しながら嘆く。よりによって非番の時に出くわすなんてついてない。
「仕事かい?お巡りさん」
隣の彼女が肉食獣特有の鋭い瞳に戻り、
「即席コンビってとこだな。宜しく頼むぜ、クロス。」
同意の代わりに此方を見る彼女を側に伴うと、レンは混乱の渦中へと向かい始めた。
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9月23日 12:10 ラクーンスタジアム
試合への熱狂に包まれていたスタジアムは一転して悲劇の舞台と変貌していた。
観客の中の一人が暴徒化し、周囲の観客へと襲いかかり襲われた観客も次々と暴徒化したからである。
「撃てっ!!構わず、撃ちまくれ!!」
警備員達が何発と9ミリ弾を暴徒に対して発砲するが、効果は薄い。通常なら9ミリ弾でも数発も撃ち込めば無力化あるいは、殺害できるレベルである。
それがまるで効かないと言わんばかりに押し寄せてくる暴徒達に、警備員達は後ずさりし始める。
既に、スタジアムの各所で同じような光景が繰り広げられている。散り散りになった警備員達が、貪られ「暴徒化」するのにそう長い時間は要さなかった。
「何なの、何なのコレ!!」
ルチア・ロッソは地獄絵図が繰り広げられるスタジアムの中を逃げ戸惑っていた。周囲の観客達が貪られ、次々と暴徒の仲間入りを果たす中で恐怖を抑え必死となって逃げ出したのだ。
こんな事なら、試合観戦に来るんじゃ無かった。
ルチアは、自身の判断を呪いつつひとまず立ち止まると息を整える。スタジアムの2階部分、食堂部分にルチアは居た。
周囲にはトレーや食器が散乱しており、椅子や机も無残に倒されている。そして各所に多量の出来て間もない血痕と引きずられた跡が付いていた。
「ここもそこまで安全じゃなさそうね……」
ルチアは息を潜めると、
死にたくない。ルチアが第一に考えたのはそれである。考えたというよりは本能的に感じた恐怖からであるが。
それが、生きたまま人喰らいに食われるとなれば尚更だった。同じ死ぬなら、自分で頭を撃ち抜いた方がはるかにマシに思えただろう。
ガタン
そんなルチアに追い打ちをかけるように、食堂の奥から物音が聞こえる。その後に、ガラスが砕ける音が聞こえた。
ガチガチと体が震えだす。嫌だ。イヤだ。食われたくない、死にたくない!!
反対側から新たにガラスを踏みしめる音が聞こえてくる。その音はルチアの精神を更に追い詰めるのに十分すぎた。
ふと足元に血塗れた拳銃が落ちているのに気付く。恐怖に追い込まれたルチアは、一転して逆に冷静になっていた、アナに教えてもらった通りにまずマガジンを引き抜き残弾を確認する。そして、安全装置を外すと近づいてくる足音の方向に向けてベレッタを構える。
足音の主が現れた瞬間、引き金を引き絞る。1発、2発、3発。
4発目を撃とうとし、カチリとホールドオープンしたベレッタが弾切れを知らせる。
「――っ!!」
撃っている時には気付かなかったが、相手が何か叫んでいた。よく見ればゾンビではない。
黒の長髪に健康的な褐色肌、小さな身長。切り詰めた散弾銃を握ったアナスタージアがそこには居た。
「姉ちゃん!!俺だ!俺、アナスタージアだよっ!!」
ルチアが間髪入れず撃ち込んだ三発の銃弾を間一髪で避けたアナは、慌ててそう叫んでいた。
緊張の糸が一気に切れたルチアは思わずアナに抱きついた。小さな少年に縋り付くようにして泣き喚く少女の図は、
泣きじゃくるルチアをなだめながら、アナはそう思いふけった。
「間に合った……」
アナは姉の熱を肌に感じながらそう呟いた。姉貴に3発も銃撃されて殺されかけたのは予想外だったが、とりあえずは結果オーライってとこか。
あとは、このゾンビの囲いからどうぬけ出すかだけか。
アナは銃声に釣られて食堂周囲に集まりだしているゾンビ達をガラス越しに見ながらそう感じた。
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9月23日 12:30 ラクーンスタジアム
「状況は?」
現場に到着したアリッサは、スタジアム周囲を囲む選抜警官隊の一人に状況を尋ねた。
「現状スタジアム内部は多数の凶暴化した暴徒が発生しており、内部突入は危険な状態です。巡査部長殿。」
アイランズ署長が積極的に選抜警官隊の出動を命じるとは思い難い、この迅速な警官隊の対応は恐らく兄が手を回したのだろう。
アリッサは自身の兄であり、警部である「ジョン・メイヤー」が恐らくは警官隊の迅速な対応を計画したのだろうと考えていた、アイアン副署長辺りに無理強いでもしたのだろう、と。
「メイヤー警部の指示です。」
アリッサの様子から察した警官がそう告げる。
やっぱりか。兄は不正は許せないし、正義感の強い性格だ。元々STARSの連中の証言を信じて、「ラクーンSWAT」の結成を強く主張したのも兄だった。
年齢こそベテラン連中に比べれば若かったけど、別段若いからとキャリアに胡座をかいているわけでもない質実剛健な人間だ。
STARSの副隊長だったエンリコ・マリーニとも友人関係で、度々一緒にゴルフに行くぐらいには仲が良かった。だからこそ「洋館事件」を生き残ったSTARSメンバーの証言を強く信じていた。
周囲が心なしか接触を避けていた中でも、積極的にメンバーと交流を持ちアイランズ署長に疎まれる程度には自身の信念を強く持つタイプの人間。最近の治安の悪化に、特に対策を講じようとしないアイランズ署長の指示をほぼ無視して、アイアン副署長に「行動の裁量権」を半分強制的に認めさせ「ラクーンSWAT」を機動的に運用している。
「ラクーンSWAT」はSTARSの後釜を目指した、いわば「重武装のテロリスト」などの深刻な脅威に対する為に結成された選抜警官隊である。
当初は「ラクーンSWAT」ではなく第二のSTARSということで現存のSTARSを併合して「新生STARS」とする案もあったが、兄の猛烈な反対にアイランズ署長の反対もあり廃案に。
そして「ラクーンSWAT」が結成される運びになった。
兄が反対したのは「STARS」が形でも存在すれば、署長の企みで組織機能が弱体化されたとはいえ「署の指揮系統」から半ば独立したSTARSは独自に活動が可能な点に眼を付けたからだ。
……勿論、STARSの生き残ったメンバーへの感情もあっただろう。ただ、署長の企みに対峙するために兄はあらゆる手段を尽くしていた。
第一に、バリー・バートンの「ツテ」を利用した
第二に、非常事態においての指揮系統の確立である。妙な話だが、STARSメンバーの証言を握りつぶした時点で彼らとの交流を続けていた兄は署長への疑心を増々強め、非常時に置ける臨時の指揮系統を構築するに至っていた。要は、小規模だが信用できる署員メンバーで対策本部を固めれるようにそのメンバーは常に署内に留まらせていた。勿論署長による、出動命令には書類上出動したことにしておいて、実際は署内に留まらせていたのだ。
こんな横暴とも言える行動が取れたのは兄がキャリア組であり、アイアン副署長に次ぐ権限を持つ「警部」であったからである。正確にはキャプテンと呼ばれる階級に位置しており「警部長」なのだが、「チーフ」だったり「警部」だったりと呼びやすい名称で呼ばれている。
「中に健在な市民も居る以上、いつまでも突入を長引かせる訳にもいかないわね……」
少なくとも現状のままスタジアムを包囲しておけば確実に「ゾンビ」共を封じ込めれるだろう。しかし、同時に中にいる市民達を見捨てる事にもなる。
幸い、配置に付いている警官隊は「
現場での裁量権を階級上担うアリッサは思案して、そして決心する。
「αグループの内、6名は私と共にスタジアム内に突入。残りのαグループは後続の
スタジアム内の混乱を想定し、最小限の人員のみで突入する。
「よし、やるぞ!αは私に続け。ラクーンSWATの実力を見せるいい機会だ」
ストックとピストルグリップを取り外して「マスターキー」にした
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9月23日 12:40 ラクーンスタジアム
「くそっ!!混乱する市民を庇いながら戦うには、多すぎる量だぜ!!」
レンは観客席から
出入り口付近に陣取りクロスと共に、四方から殺到してくるゾンビ達を撃ち倒すが、多勢に無勢。数が多すぎる。
生存者達の退避を確認しつつ、レン達も通路内部まで後退し再度そこで防衛線を張る。
四方からではなく入り口だけから殺到するゾンビの処理はあっさりするほど容易だ。……弾薬さえ持てば。
レンは
平静さえ保っていれば、射撃大会より楽勝だな。ワンショットワンキルを達成しながらも、まだ数を減らさないゾンビ達に対しレンは楽観的に考える。
レンに負けじとクロスも的確な射撃で頭を撃ち抜いている。ただ、45オート特有の7発といった装弾数の少なさを14発入りのロングマガジンで解決しているとはいえ、それでもロングマガジンの携行性の悪さから、レンより一足先に弾切れを起こしかねない。
「このマガジンでカンバンだ!!」
彼女は、3本目のマガジンを装填するとそう叫ぶ。
「あと十匹大人しくさせたら、撤退しよう!!」
レンはそれに答えるように、撤退の目安を提示する。
了解。とクロスが言い、哀れなゾンビ達の頭部に弾丸をお見舞いする。
拳銃のキルレートよりも多くのソンビが、殺到しクロスに掴みかかろうとするが「第三者」の援護でゾンビ達が吹き飛ばされる。
「レン兄ちゃんか!!」
別の通路から現れたのはレンにとっては馴染みのあるアナスタージア・ロッソだった。それと背後に伴われたルチア・ロッソ。
「アナか、こんなところでなにやってんだ!!」
レンは驚きながら、まだ殺到してくるゾンビを間引く。
事情としては、ルチアは試合観戦でスタジアムを訪れていてアナは姉の身に危険を感じて助けに来たらしい。まったく、この坊やのカンの良さはどうなってんのやら。
「ボーッとしてる暇はないぜ、レン兄ちゃん!!」
言われるまでもない、こんな所に長居する気はない。
「撤退するぞ!!」
アナがソードオフをぶっ放し、三人を援護しながら殿を務める。手慣れたものだ、姿さえ大人なら何も違和感を感じさせない。
ふとレンは、ぶちまけられたゴミ箱に目線が止まった。何の変哲もないゴミ箱、のはずだ。ゴミの中に赤い点滅を繰り返す機械が入っている他は。
受信機らしき機械が、固形の物体に固定され色とりどりのコードが繋がれている。固形の物体の正体はプラスティック爆弾だろう。
「オイオイオイ!!ゾンビの次は爆弾テロなんて洒落になんねぇぞ!」
レンが爆弾の存在を知らせるのと、突入してきたアリッサ達と遭遇したのはほぼ同時だった。
重武装のαグループの隊員を引き連れて手早くゾンビを片付ける様は、頼りになるどころではない。この時ばかりは、ゾンビ映画オタクの先輩の存在に心から感謝していた。
「爆弾!?なんでそんなものが?」
爆弾の存在に混乱するアリッサを落ち着かせながら、スタジアム内から退避する様に勧める。どちらにせよ、いつ爆発するか知れない爆弾が仕掛けられた場所に居るなんて幾ら楽観主義者のレンでも耐えられそうにはなかった。
アリッサが退避を決意し、アリッサ達を先頭にしゾンビ達を蹴散らし、スタジアムの正面入口から全員が退避すると
「間一髪か」
アリッサは、汗でまとわりつく前髪を手櫛で整えながらそう言った。
タイミングとしてはいささか出来過ぎてはいたが、兎に角今は無事であることを幸いだと思うべきだろう。
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9月23日 13:00 ラクーンシティ某所
「やぁ、御機嫌如何かしら?大佐。」
倒壊するスタジアムを屋上から見ながら、黒髪の少女はインカム越しに話す。
「この感染の広まり、恐らくは上層部連中が考えている速度の二倍、ううん、三倍以上は早いわ。U.B.C.S.なり何でも良いけど……。手は早く打ったほうが良いんでなくて?」
インカム越しの男性の話に少女はしばし耳を傾けると、愉快そうに嗤った。
「当然ね。それにしても可哀想に、U.B.C.S.も元はといえば貴方も創設に関わった組織でしょう?……あぁ、そうね。死は
話している内容を除けば少女の様子は電話で笑いながら楽しそうに会話している少女のそれだ。最も、話の内容は最悪極まり無いものだったが。
「えぇ、全ては順調。
ラクーンに介入するU.B.C.S.を派遣するアンブレラ北米支部の意図はアンブレラ系列の幹部、従業員の救出。
一方で本社直属の
インカム越しの男は、特に驚くでもなく少女の話に耳を傾けていた。全ては計画通りなのである、ラクーンスタジアムにおける「暴徒の大量発生」も急速なラクーン各所における「歩く屍」の出現も。寧ろ彼らにとってはそうなってもらわなければならなかった。新たな段階へと歩むために。
「では、良い狩りを。
男の言葉は純粋に猟友の
「えぇ、成果を期待してなさい。
艶やかな髪を纏めた姿が印象的な少女は、屋上から周囲を見つめ此れから起きる惨劇を想像し軽い絶頂感を感じた。
頬に両手を当て、頬を紅潮させる様子はさながら恋する乙女の様と似通っていた。
……最も、その内容は常人には到底理解し難いものだが。
永遠だと思っていた日常がある日突然崩壊し、隣人が怪物となって襲い掛かってくる。地獄と化した
生きたまま食われて、絶望の内に死ぬ。永遠に訪れる事のない夜明けを待ち望みながら、誰もが力尽きるのだ。
これに恍惚としないで、何にするというのかしら。少女は改めて微笑み、佇んでいた。
独自設定の方が圧倒的に多くなっている様な気がするけど気にしない。()
実際問題、副署長とかの存在が不明なのでその辺を設定したり。
ジョン・メイヤーの設定なんて、ご都合設定も良いとこですし(あ)
ラクーンSWATにおける最精鋭チームの「αグループ」は実力的には、STARSの両チームと同等かソレ以上の実力があると想像してもらえれば良いかと。
この世界軸のRPDはさぞ重火器に恵まれている事かと思います。
しいて言うなら、アンブレラサイドへの協力者も増えているからそこまで楽勝でもない……気がする。