Knight's&Demi-Human 多種族のいるフレメヴィーラ王国 作:ペットボトム
*興がのったので続きを書いてみましたw “多種族”って言っておいてオルター兄妹しか出してないのは詐欺だと思うし・・・・・・
地球の日本で生まれ育った魂を持つ転生者、エルネスティ・エチェバルリアは激怒していた。
それは。この世の不条理という物に打ちひしがれている双子の幼馴染、アーキッド・オルターの悔しげな表情と、その妹アデルトルート・オルターの涙を見たが故であった。
「ど、どうして・・・・・・・どうしてキッドとアディが騎操士学科に入れないんですか、父上、お祖父様!?酷すぎます!」
「え、エル・・・・・・」「エルや。許しておくれ。これはワシにもどうすることも出来ない問題なんじゃよ・・・・・・」
今まで見たことのないような憤怒の表情を見せる少年の姿にたじろぐ家族の顔は、罪悪感でいっぱいといった様子だ。
それを見かねたアーキッドが声をかける。
「エル、俺達のために怒ってくれてるのは解るし、気持ちは嬉しいけどさ。残念だけどこればっかりはしょうがねぇよ。だって俺達は・・・・・・」
アーキッドは自分と妹の“下半身”を指して、こう続けた。
「だって俺達はケンタウロスだもの。そもそも幻晶騎士の操縦席には座れねぇよ」
オルター兄妹の下半身は、彼ら自身の髪の色と同じ、鴉の羽を思わせる光沢を湛えた美しい黒毛に覆われている。
そして、蹄の生えた四脚も備えていた。臀部には尻尾まで生えている。それはもうどうしようもなく馬であった。人間の上半身が馬の首に当たる部分から生えているのだ。
そう、彼らオルター家はケンタウロス族の血を引く民なのだ。
このフレメヴィーラ王国は、セッテルンド大陸にかつて存在した超巨大国家「ファダーアバーデン」の人々が、大陸の東側に存在する魔獣達の巣窟「ボキューズ大森海」の一部を切り開いた土地に入植し、ファダーアバーデンの崩壊と共に独立し、建国されたという歴史を持つ国。
だが、大陸の西側に存在する解体されたファダーアバーデンの末裔である国家群と、フレメヴィーラ王国には決定的な差がある。それは未だに魔獣の脅威に晒されているという過酷な国情と、構成種族の違いだ。
西側諸国は人間とドワーフ(実はアールヴという種族もいるが一般には知られていない)によってのみ構成された国。
フレメヴィーラ王国は、その2種類に加えてボキューズ大森海に元々暮らしていた様々な特徴を備えた「多種族」を国民として抱えている。
この王国は、魔獣達から奪い取った土地を切り開くと共に、そこに住んでいた人間同様の知性を持った多種族との交流を行い、やがて彼らを同胞として迎え入れる事を選択した国家なのだ。
故に西側諸国からこのように呼ばれている「魔獣番」と。
魔獣というのは、魔法を使う巨大な獣であり、人類の天敵となる巨大な生命体の総称であるが、この場合の魔獣というのは、彼ら多種族を差別する意味も含まれている。西側では彼らは受け入れられていないのだ。
「ですが、フレメヴィーラにおいて多種族を差別することは、禁忌とされていることですよ!?この国の学舎において、あなた達の職業選択に制限を設けるようなことを許していいわけが無いでしょう!?」
「いや、だから・・・・・・人間の姿を真似して造ってある幻晶騎士に、俺達多種族が乗っても操縦できないだろ?爺ちゃんたち困ってんじゃん。もう、その辺にしとこうぜ」
幻晶騎士。人の形を模した巨大な魔法で動く機械兵器だ。太古の昔から、巨大な魔獣が跋扈していたセッテルンド大陸において、貧弱な人類が開発した、魔獣と対抗できる唯一の力。
国防の要であり、国家運営の基礎となっている巨大兵器だ。その操縦者である騎操士と呼ばれている人間は、東西を問わず尊崇を持って語られる。
この兵器の操縦資格は各地にある学園において設けられた“騎操士学科”を卒業することと、人間と肉体的な構造が変わらない事。つまり、2本の脚と2本以上の腕を持った人型種族であることだ。この用件を満たせない多種族は多い。
だが、ただそれだけを持ってして、この国において多種族が差別されていると考えるのは早計であろう。現に多種族の特性に合わせた様々な職業斡旋が行われており、各々がその才能を活かせる様に関係各所は配慮している。
オルター兄妹も、ケンタウロスとしての能力を最大限活かせるように、騎操士学科とは別の「騎兵学科」に入学させるという配慮が為されている。二人はその脚力を活かした有能な騎兵として見込まれているのだ。
だから、アーキッドは自分達が差別されているなどとは言えなかった。ただ、親友と同じ学科で学べないことが寂しいと感じただけなのだ。アデルトルートが泣いてしまったのだって、学科が違うと離れ離れになってしまうと、早とちりしてしまったからだろう。
学科が違っていても、友達で無くなるわけではない。進む道が違っても、関係は変わらない。プライベートではまた一緒に遊べばいいのだ。キッドはそう自分に言い聞かせていた。心の奥に宿っている悲しみを隠して。
しかし、エルネスティはそんな親友が心の奥底に抱いている悲しみをほぼ正確に見抜いていた。それを察しているからなおの事、許せなかったのだ。
この不条理な“ルール”が。
「いいえ、騎操士という地位は、幻晶騎士という存在は、“皆に拓かれたもの”でなくてはなりません!多種族にその門徒を閉じるなど言語道断です!・・・・・・決めました」
一拍の後、エルネスティは一つの決断を告げた。その言葉は、“日本人としての良心”が “ロボットオタクとして愛”が “親友への友情”が “多種族への憧れ”が 言わせた台詞だった。
「多種族でも操縦できる幻晶騎士を僕が必ず創ります。幻晶騎士をこの世の全ての“人”が手に出来る権利を持ち得る存在にして見せます!唯一つの例外も認めない!それこそが僕がこの世界に生れ落ちた理由に違いないのですから!」
この時はその言葉を聞いた全ての人物が、“戯言”と受け取った。しかし、彼の言葉は幾年かの時を経て現実になってしまったのだ。それはエルネスティ・エチェバルリアが、その前身となった「倉田翼」が、持っていた狂おしいほどの“愛”故の結果であったと思われる。
「さあ、キッド。アディ。乗ってみてください。僕の設計した幻晶騎士ツェンドルグです!かっこいいでしょ?頑張って造ったんですよ。ぜひ感想を聞かせてください」
幼馴染の弾んだ声がライヒアラ騎操士学園の整備場に響き渡るのを、呆けた表情で聞いているオルター兄妹。
「ま、まさか本当に創っちゃうなんて・・・・・・え、エル君・・・・・・あのときの言葉、本気だったんだ・・・・・・本気で私達のために・・・・・・・?」
自分達ケンタウロスを模して造られた雄雄しい巨大な“人馬騎士”の姿を見て、アデルトルートはただただ涙を流していた。それは金属と魔導で形成された自分達に向けられたメッセージ。“存在の肯定”だった。
いくら平等だと声高に叫んだ所で、自分達多種族と人間の間には厳然とした壁が存在している。
多種族間での結婚は禁じられてはいないが、種族の習慣や精神性の違いから推奨されてはいない。
それを自分達は嫌というほど味わった。他ならぬ自分の生家という場所で。
アディとキッドは、セラーティ侯爵の諸子だ。公職家の頭首であり、父である人間、ヨアキム・セラーティはケンタウロスである母、イルマタル・オルターを愛妾として迎え入れたが、彼の本妻は多種族である母と自分達を「汚らわしい馬っ面」などと罵倒するひどい人物であった。
本来、そのような言動はフレメヴィーラ王国においては禁忌とされているが、ヨアキムは本妻の実家に配慮してなのか、注意はするがそれを持ってして彼女を弾劾するようなことはしなかった。
そして、嫡出子である三人の兄妹の内、これに便乗する奴がいた。次男のバルトサールだ。彼が歪んだ選民意識から来る罵倒と暴力をぶつけてくるのにイルマタルとその子供達は耐えるほか無かったのだ。
唯一、長女のステファニアだけが涙を流して、自分の親兄弟の理不尽な仕打ちを詫びたが、この事がオルター兄妹の心に深い傷となっていくのを止められるものではなかった。
それ故にアディとキッドは“多種族”と“非嫡出子”という二重の劣等感に苛まれ続けていたのだ。
だが、彼らの幼馴染は二人の心に巣食う“劣等感”という魔獣に、幻晶騎士で敢然と立ち向かい、これを打ち滅ぼしたのだ。
「わ、私達・・・・・・エル君の側にいていいんだよね?種族が違うからって、遠慮なんかしなくてもいい。エル君はそう言ってくれてるんだよね、キッド?」
「あ、ああ。俺達の心の中にいた魔獣をエルは倒しちまったんだ。あいつはずっと闘ってくれてたんだ。こいつを創るって形で・・・・・・」
震える声でそう問いかける妹に応える兄の声もまた涙で震えていた。
アディは自分の心の中に抱いていた仄かな思いが、熱くて強い愛情に変わっていくのを自覚していた。キッドも同じ気持ちだろう。
「私は・・・・・・あなたに一生ついて行く。エル君・・・・・・大好き・・・・・・」
これ以後、エルネスティ・エチェバルリア率いる幻晶騎士開発者集団「銀鳳騎士団」の手によって、数多くの多種族対応型の非人型機体がフレメヴィーラ王国に齎され、多くの多種族騎操士が輩出された。
それらは人型に負けない・・・・・・いや、場合によっては凌駕する働きで持って多種族の能力が人間に劣らぬことを証明していった。
団長のエルの愛機、鬼面六臂の異形の幻晶騎士イカルガの傍らには、いつも2体の下半身が人型をしていない騎士の姿があったという。彼の言ったとおり、幻晶騎士を遍く全ての種族の物と為すために。その日が来るまで彼らの“闘い”は終わることは無いのだ。
・・・・・・おかしいなぁ。当初の予定ではメカを交えたモン娘ラブコメものにする予定だったはずだったのに、書いてみたら全く違う物になってしまったぞい。
まぁ、せっかくなので投稿してみることにします。短い上に駄文で申し訳ない(><)