Knight's&Demi-Human 多種族のいるフレメヴィーラ王国 作:ペットボトム
たまに更新をするかもしれませんが、あんまり期待しないでくださいねw
「
「あん?そりゃ多腕型種族の真似するって言うことなのか、銀色坊主?」
目の前の小柄な美少女のような少年、エルネスティ・エチェバルリアから放たれた本日“二度目の提案”。
この提案に困惑した表情を見せているのは、ライヒアラ騎操士学園の学生鍛冶師、ダーヴィッド・ヘプケン。
彼は小柄な成人男性のような容姿をしているが、それは彼らドワーフという種族が人間に比べて背が低いが、体毛が濃くなりやすく、筋肉が発達しやすい性質を持つ故であり、彼自身は来年で卒業してしまうが、学生だ。
あまりにも貫禄があるため、その鍛冶師としての技術力に対する信頼と相俟って、皆に「親方」と呼ばれて、慕われている男。
そのダーヴィッドは、エルネスティが決して荒唐無稽な事を、何の根拠や当てもなく口にしている訳ではないことを理解している。
幻晶騎士の歴史を大きく塗り替えかねない大発明品、新型アクチュエーター「
だが、エルの2つ目の提案は、1つ目の提案以上にダーヴィッド達、
「ちょっと、エル君。腕を増やすなら背中なんかに増やすんじゃなくて、私達みたいに腰にやってくれるとありがたいんだけど?」
エルの提案を聞いて、現在改修中の幻晶騎士「トランドオーケス」の女性
フレメヴィーラ王国に多く住まう多種族の中には、人間と同様に幻晶騎士の操縦資格を獲得することの出来る種族もいる。ヘルヴィもそぅ言った種族の一つ。「アシュラ」という多腕型種族なのだ。
エルはアシュラという名前を聞いたとき、その前身となった地球人「倉田翼」の魂が有する、地球の神話や創作物の記憶から、彼らの腕は背中から生えている物だと思ったものだ。
だが、フレメヴィーラに住まうアシュラ達は、どうやらケンタウロスと同じ“下半身に4本の脚をもった霊長類”から分岐進化したものらしく、人間で言えば骨盤から生えた脚とは違う2本の肢が、2対目の腕として機能している生き物だったのだ。
彼らは2対目の腕も人間の腕と同じく器用に動かせるが、それ自体は日常生活では便利でも、幻晶騎士の操縦には役に立たない物だった。
幻晶騎士はある程度規格を定めて量産される機械兵器だ。国王や騎士団長などの身分の高い人の為に作り出す専用機ならともかく、一部の種族の為だけに大多数を占める“人間の騎操士”では使えない機能を追加することは認められない。
もっとも、その機能の戦略的な価値が、“一般機を凌駕しているような特殊なもの”ならその限りではないが・・・・・・。
だが、その時のエルの考えている物は彼ら多種族を“特別扱いする為の物”ではなかった。
「ああ、ヘルヴィ先輩。腰に腕を増やすのも素晴らしいアイディアなんですけど、それだけだと、僕達人間が操縦する時に機能しないパーツになって、
「いや、その理屈だと背中に腕を増やした所で、どの道死重量になるだろうが!おめぇは何を言ってるんだ!?」
どう考えても破綻しているとしか思えない理屈を展開するエルに、思わず怒鳴るような声でつっ込みを入れるダーヴィッド。
だが、エルの言葉には続きがあった。
「混乱させてごめんなさい。でも、最後まで聞いてくださいね?この追加搭載する2対目の腕の事を
これこそが本日二度目の“革命”であった。彼の語る言葉は、その一つ一つが幻晶騎士という概念をバラバラに分解した後、再構成させる魔法の言葉だったのだ。今までの常識を盛大に改造していく少年に、騎士鍛冶師の面々はある種の畏敬にも似た念を抱く。
しかし、その中にあってヘルヴィだけはなんだかちょっと寂しげな表情を見せていた。
「う~ん、すごく高性能で便利な機能が追加されるって言うのは解るし、私達にも使えそうだから嬉しいけど、結局私達“アシュラの腕”は幻晶騎士の操縦には役にたたないのよねぇ。そこはちょっと残念かな」
その言葉を聞いたエルは、キョトンとした顔でこう返した。
「いえ、僕はさっき“腰に腕を増やすのも素敵なアイディアです”と言ったでしょう?腰にも腕は生やしますよ。もっとも全ての機体にという訳にはいきませんけど・・・・・・」
それから彼はまたも語った。多種族のもっている個性を、幻晶騎士という工業製品の量産性と汎用性を殺すことなく、簡易な変更で最大限活かせるような設計を行うという思想を。
それは彼の前世、地球ではこのように呼ばれている理念であった。“ユニバーサル・デザイン”と。
演習場に駐機している幻晶騎士「テレスターレ」。幾度かの模擬戦や試験でブラッシュ・アップが図られた試作型幻晶騎士は、その機体に施されたエルと騎士鍛冶師の考えた新機能を試すべく、今日も多腕の騎操士ヘルヴィを乗せて、試験を開始する。
「まずは背面武装ね!」
ヘルヴィの操作に応えて、幻像投影機に照星が浮かび上がると、背中に追加された2本の腕が、その手で掴んだ魔導兵装を、照星に連動して調整していく。
「発射!」
操縦桿に追加された
目標となっている木の板に、火球は見事命中し、テレスターレの背面武装が正常に機能していることを示した。
「命中!ここまではいつも通り・・・・・・
以前行った模擬戦でヘルヴィはテレスターレと共に、学科最強と言われている幻晶騎士アールカンバーと、その操縦者であるエドガー・ブランシュの前に敗れた。
理由は荒削りな操縦系統ゆえに、綱型結晶筋肉の持つ凄まじい収縮効率と耐久性から来るパワーをそのまま生かした力押しの格闘戦と、背面武装を頻繁に使った法撃戦を、短時間で連続行使したがために、機体の動力源である
この経験を基に、エルと親方達はテレスターレに魔力をより大きく貯めておける結晶筋肉、つまりはアクチュエーターとしての能力を犠牲にして、キャパシターとしての能力を追求した触媒結晶である「
搭載する量や構造、取り付ける位置について大いに悩んだが、稼働時間の減少そのものは現段階では避けられないものとして、あくまで緩和措置と考えて妥協した結果、とりあえずの完成を見た。これは「
だが、これから試す物は“ヘルヴィのテレスターレ”にしか搭載されていない機能なのだ。すなわち、自分達“アシュラの能力”を活かす為の新機能。
「これより、
ヘルヴィが自分の有する“アシュラの腕”でもって、操縦席側面に用意されたもう1対の操縦桿を掴むと、腰に付いていた“もう一つの腕”が起動し、その手に握られていた2本の剣を振りかざす。
そう、このテレスターレには計6本の腕が搭載されているのだ。
しかも、この3対目の腕は背中側の補助腕とは違い、格闘戦すらこなせるほどの十分な量の綱型結晶筋肉を積んだ
3対目の腕が使う兵装システム。その名前こそが、“側面武装”だったのだ。
これを取り付ける時、多くの鍛冶師が「こんな物を取り付けるのは、やはり人間が操縦するときの死重量を増やすことにならないか?」という疑問符を浮かべたが、エルはこのように返答した。
「そう思って、これはアタッチメントとして簡単に取り外すことが出来る様にしておきました。人間が操縦する場合は、扱いきれないならはずしてしまえばいいんです」
操縦系統の複雑化を招くのではないかとの声もあったが、
「そういう声も当然あると思って、親方と相談して
今まで鐙や操縦桿の位置は、特定の位置に固定されていて、騎操士の体格を操縦席に合わせるという形式であった。
しかし、統合制御装置はそんな乗り手を選ぶようなやり方ではなく、操縦席の方を騎操士の体格や種族特性に合わせて追加・調整できるような構造に改めたのだ。魔導演算機にも大幅な変更を加えるはめになったため、鍛冶師もエルも、別学科の
この変更により極端な話では、魔法能力や反射神経は十分だが体格が小さいため騎操士になれないとされていた子供や小柄な多種族であっても、幻晶騎士を操縦できるようになったわけである。
「いやぁ、実を言うとこれが一番造りたかったんですよね。これで僕も
開発者の切実な悩みはさておいて、話を試験に戻そう。
「せりゃぁぁぁ!」
掛け声と共に、テレスターレは標的に肉薄して、上半身にある腕で握った剣と、下半身の腕で握った剣による多段斬りを叩き込んだ。
「よし、追加腕の格闘性能は上々のようね。正直補助腕よりこっちの方が、私達には馴染みがあって使いやすいわ」
そして、ヘルヴィが追加腕で握っていた剣を離して床に置くと、もう一機幻晶騎士がやってきて、運んできた魔導兵装を追加腕の方に持たせた。
まだ追加腕の調整は間に合っておらず、巧緻性が上半身の腕と比べて低いため、このような措置が必要なのだ。最終的にはこの辺の作業も、騎操士自身で出来るようにしたいとエルは意気込んでいるが。
「ヘルヴィ。試験は順調のようだな。そ、その・・・・・・この前のようにならなくて・・・・・・安心したぞ」
「う、うるさいわねぇ!その話はもうしないでって言ったじゃない。エドガーのバカ!」
模擬戦の事を未だに気にしているヘルヴィが、サポート役として傍らに立つエドガーが繰るアールカンバーに向かって、叫ぶ。
「え~、お二人とも痴話喧嘩してないで、試験の続きをしてくださいね~」
観覧席から拡大されたエルの声が響き渡り、演習場が笑いに包まれる。思わず顔を赤らめる両人。
「わ、わかってるわよ!魔導兵装の試射も始めるわよ!」
皆が見守る中、ヘルヴィのテレスターレは追加腕で握った魔導兵装で狙いを付けていく。
「まずは火器管制装置との連動機能で撃って見るわね」
先程の補助腕と同様、照星との連動で追加腕が動いて狙いを定める。そしてまたも火球は発射され、標的を焼き焦がした。
これにより、もし人間の中にも「追加腕で側面武装を扱ってみたい」と考えた騎操士が出てきた場合、補助腕と連動して動かすことでならその希望をかなえることが出来る様になったといえる。
「次はマニュアル制御よ」
照星が消えて、ヘルヴィの“アシュラの腕”と連動してのマニュアル操縦での照準が可能となった。
「(私たちアシュラは生身では、いつもこの状態で魔法を撃ってるんだ。機能自体に異常が無いなら、これでも命中してくれるはずよ)発射!」
火球は3度目の命中弾となって、度重なる攻撃ですっかり炭化した標的を爆砕した。観覧席に歓声が起こる。
予定していた試験は全て消化したので、ヘルヴィはテレスターレの魔力貯蓄量を確認する。
(やっぱり、想定されてたとおり魔力消費量は増えてしまってるわね。また鍛冶師学科のみんなが調整作業に追われるのかぁ・・・・・・なんか、かわいそうになってきた)
度重なる調整作業で疲弊している構文師と鍛冶師の面々を思い出して同情を隠せないヘルヴィ。
そうこうしている内に、エドガーがヘルヴィに労いの言葉をかけてきた。
「お疲れ様、ヘルヴィ。すごいなテレスターレは、従来の機体よりもはるかに攻撃力、汎用性が上昇している。完全な状態とはまだ言えないが、それでも素晴らしい。それはこの間の模擬戦でよく味わったよ」
「その話はやめてって言ったでしょ!・・・・・・でもまぁ、概ね同意するわ。新型機は素晴らしい機体よ。そしてそれを設計したエル君も。・・・・・・本当にすごい人」
「エルネスティか・・・・・・あいつの人間を辞めている域の戦闘能力や魔法能力はたしかに凄まじいものだな。その上、幻晶騎士の設計や、魔導演算機の編纂まで可能にする技術力・・・・・・正直、凄まじすぎて理解不能なレベルだよ」
師団級魔獣「
その姿は、あの時あれを見た全ての騎操士の脳裏に今なお焼きついているに違いない。
そんな彼が創り出すものと、それが齎す未来が見たい。そう思ったからこそエドガーも、騎操士学園の教師と生徒一同も、開発に積極的に協力しているのだろう。
「それもすごいけどね、エドガー。あの子の凄さは、もっと別の所にもあるのよ」
「何?どういうことだ?」
しかし、ヘルヴィの抱いたエルへの畏敬の念は、そんな表面的なものだけに向けられているものではなかった。
「あの子は今の幻晶騎士を壊して、その概念をもっと拡げようとしてるのよ。以前、彼に親方が“どうしてそんなに次から次へと、今までに無い新しい物を創ろうとするんだ?”って聞いたことがあったのよ。そしたら、彼はこう答えたわ」
『だって、今のままでは不足なのですもの。幻晶騎士とは“もっと拓かれたもの”でなくてはなりません。全ての種族の持つ可能性を最大限引き出せる懐の深いものでなくてはならないんです。それでこそ、僕の愛する“ロボット”足りえるですから』
ヘルヴィや親方達は、彼の言ってる“ロボット”という物の意味が解らなかったが、それは彼にとって、とても大きくて大切なものであることだけは、理解した。
そして、彼のその“考え方”も同様に尊ばれるべきものだと、強く思ったのだった。
「あの子は変えるわ。幻晶騎士だけじゃない。この国に暮らす人間や多種族の暮らし、ひいてはこの世界の有り様もね」
ヘルヴィが口にした言葉は、そう遠からぬうちに現実となった。
エルの提唱した新型機に使われている技術は世界を怒涛し、多くの闘いも起こした。その最中に失われた命や流された血と涙は決して少なくはない。
だが、彼が願った“全ての人に拓かれたロボット”となった幻晶騎士は、この国に住まう多くの人間や多種族の可能性を、大きく広げる希望の光となっていったのだ。
どうしようw この世界でのカザドシュ事件や大西域戦争の顛末がどういうものなるのか、私にもわかんなくなっちゃったよw
その内、ハイマットフルバーストみたいな6連想形態になってマナプール一瞬で溶かしちゃうようなカルディトーレとか出てくるんじゃなかろうか?w
ジャロウデクが、強奪したテレスターレからティラントー造られる時にオミットされる機能とかいっぱいあるんだろうなぁとか色々想像はできるけど、そこまで書く程の気力が足らないです(><)