某侯爵の一人息子(三十代独身)をやってます。   作:高任斎

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さて、ゆるゆると参ります。


5:運命。

 さて、フェザーンの生活からいきなり亡命希望の貴族の話をされても困るか。

 帝国歴471年頃ってのは、原作にはなんの描写もない時期じゃないかな?

 だから、当時の帝国の状況を少し説明するよ。

 

 フリードリヒ4世が即位して15年、つまり、私の母が死んだあの日から、原作本編までのちょうど中間地点にあたるってことになるね。

 エル・ファシルの奇跡も、まだ起こってない。

 まだ、歴史は英雄たちの名を明らかにはしていない。

 モブの私としては、名も無き英雄たちが歴史の中にうもれているだけと言いたいけれど、この時期の帝国と同盟との戦争は、お互いに決定力に欠けるって感じだね。

 原作で英雄たちがやったような圧倒的勝利を繰り返したような存在はいないみたいだ。

 というか、勝ったり負けたりの、『勝負』を繰り返してるってとこ。

 ほどほどに殴り合って、お互いが退く……7対3で勝利、4対6で敗北、そんな具合かな。

 ただそういう戦いって、大抵『お互いがお互いの勝利を主張する』ことが多いからなあ。

 戦闘詳報なんかを手に入れない限り、私には詳しいことはわからなかったと言っておく。

 それでも多少はわかることもあって、意外と言えば意外だったけど、戦闘の多くは、同盟の側が有利な形で終わることが多かったように思う。

 考えてみれば、帝国が攻め込んで、同盟が防衛する立場だから、順当と言えなくもないか。

 私の知る範囲の話だけど、同盟軍がイゼルローン回廊を通過して帝国領へと侵攻したのは、この時期まで一度もない。

 つまり、同盟軍は攻め込んできた帝国軍を撃退するために存在した。

 もちろん、1隻、2隻でこっそりと……ということがあったかどうかはわからない。

 しかし、イゼルローン要塞が完成して、状況が変化する。

 そう、大規模な前線基地が完成したおかげで、帝国軍の同盟領への侵攻回数が増えたんだ。

 本来、同盟領への侵攻は、大規模遠征だったわけだからね。

 イゼルローン回廊付近の辺境星系、ここで最終的な補給を終えて……いざゆかん、という感じだったらしい。

 軍事費削減を目指して要塞を作らせたという話が本当なら、先帝オトフリート5世にとっては皮肉な話だね。

 そしてもう一つ皮肉な話だけど、イゼルローン要塞ができたせいで、回廊付近の辺境星系は、戦争景気というか、遠征景気からはじかれることになった。

 辺境星系で物資が全て作られるわけじゃないけど、多くの軍艦、輸送艦が一時的とはいえ発着し、仮基地として物資が運び込まれてたわけだから、それなりの経済効果は見込めるはずだ。

 まずは、それが消えた。

 おそらく要塞建設時は物資の中継としてそれなりに賑わっただろうから、その反動は大きかったと思う。

 もしかすると、このあたりの経済事情を見越して、皇帝の後継者レースに関わった貴族もいるんじゃないかと思う。

 ついでに言うなら、同盟に対する警戒も、辺境星系付近から、要塞を中心としたモノに変化したわけだ。

 回廊付近の星系を領地とする貴族には、踏んだり蹴ったりだっただろう。

 同盟側から攻め込まれることがなかった以上、戦争は自分たちを潤す機会でもあったはずだから。

 ……いや、兵士として住民が徴用される可能性もあるだろうから、良いことばかりとも言えないか。

 

 その一方、帝国による侵攻の回数が増えたことで、同盟側も『こりゃおかしいぞ?』と思い始めたわけだ。

 専守防衛の同盟にとって、そもそもイゼルローン回廊には必要以上に近づくこともなかったみたいだから、気付かなかったんだろう。

 調査に乗り出して、初めてイゼルローン要塞の存在を知った……ようだね。

 

 うん、おかしな話だと思うけど、推測というか、理由付けはできなくもない。

 まず、戦闘において捕虜が存在するはずだ。

 捕虜から、要塞についての情報は取れなかったのだろうか?

 イゼルローン要塞の存在は、一応は機密事項だったんだろうけど。

 同盟も、これまでのように回廊の外の星系で補給して、などと考えていたのかもしれない。

 それが理由で、捕虜への尋問がおざなりになったのかもしれない。

 もしかすると、捕虜から情報を得て……初めて回廊の調査に乗り出したのかもしれない。

 かもしれない、ばっかりだ。

 疑問はある、矛盾もある。

 でも、ここでフェザーンの存在をとりあげたい。

 

 イゼルローン要塞が完成したことで、『帝国と同盟との戦闘回数は急激に増えた』。

 

 先帝のオトフリート5世がドケチだったってことは、その在位期間中、大規模な遠征なんかは平均より少なかったんじゃないかと思う。

 オトフリート5世の皇帝在位期間は約15年だから、帝国歴440~456年ぐらい、宇宙歴で言うと750~766年ぐらいの期間になる。

 ちょうど、同盟のアッシュビー提督……730年マフィアだったっけ?

 あの連中が大暴れしたせいで被害が格段に増えて、その費用が増大していたのは想像に難くないけど、アッシュビー提督が死んだ第二次ティアマト会戦が帝国歴436年の末。

 この時に、いわゆる帝国にとって『涙すべき40分』が生じた。

 戦艦もそうだけど、多くの人材が失われて、再建のためには莫大な費用と時間がかかったわけだ。

 そんなタイミングで皇帝になったオトフリート5世が、経費を削減しまくって、ひたすら尻拭いに努めてたと思うと、少し同情したくなる。

 

 まあ、そのあたりはおいといて。

 イゼルローン要塞が完成したことで、帝国と同盟との間の戦闘回数が増えた。

 さらに、要塞の存在を知ってからは、積極的防衛のために、『同盟側が要塞に攻撃を仕掛け始める』ことになる。

 どうもこの時期から、同盟の財政負担というか、軍事費が拡大してるっぽい。

 これはあくまでも私の推測なんだけど、『フェザーンが言うところの、帝国と同盟の国力の調整が始まった時期』なんじゃないかと思う。

 もちろん、原作においてこの種の発言をしたルビンスキーはまだまだその名を世に出していないけど。

 そのバックを考えると、そうした誰かの意向があったというのは、それほどおかしくはないと思う。

 

 戦闘回数が増える。

 帝国と同盟、お互いの情報の必要性にかられる。

 帝国と同盟が、フェザーンを通じて情報の収集を始める。

 フェザーンの重要性、影響力が増す。

 

 なあ、イゼルローン要塞建設を主導したのは、先帝オトフリート5世らしいけどさ。

 先帝に、『イゼルローン要塞の建設を囁いた誰か』はいないのかな?

 防衛や軍事費削減など、都合の良い理屈はいくらでも付けられるけど、それがもたらしたのは戦争の激化であり、泥沼化だ。

 これを思いついたとき、少し怖くなった。

 もちろん、納得できない部分はあるし、矛盾もある。

 でも、大まかな流れとしては……私の推測というか、妄想には、それなりの説得力がある気がする。

 

『あなた』はどう思う?

 

 ははは、まあこの頃の帝国と同盟との間の状況はそんな感じ。

 両者の政治的交流は基本的に殴り合いだから、戦争オンリーの話をさせてもらった。

 だから、次は帝国内部の話だ。

 

 チョイ役のはずなのに印象深い存在。

 私個人がそう思ってるってだけの話だけど、カストロプ公爵。

 原作では、長期にわたって帝国の財務尚書の地位にあって、不正のオンパレードで金を貯めまくって、結局はそれを理由に滅ぼされた人。

 なんというか、私の父と立ち位置が似てるかも知れない。

 

 今思うと、原作のフレーゲル男爵なんかも不思議な存在だよね。

 全10巻の原作小説において、2巻ぐらいで部下に殺されて退場していったキャラだ。

 2時間の映画で、30分経たずに消えていったようなもんだよ。

 なのに、原作を知ってる人はみんな彼のことを覚えているんじゃないかな?

 傾向としては、バカ貴族の世界ランカーってとこだけど。

 もしかすると、バカ貴族というより、敵役兼やられ役としてのアンチ英雄(ラインハルト)としての印象が強いのかもしれないけどね。

 原作で描かれるそういう貴族たちの印象が強いせいで、帝国貴族に対して総バカ疑惑を持つかもしれないけど、ちょっと待って欲しい。

 前世日本人の私だけど、帝国貴族の名誉を少しぐらいは守らせて欲しい。

 帝国貴族4000家。

 人数で言うならもっと増えるだろうけど……人が大勢集まれば、一定のバカがいるのは当たり前じゃないか。

 前世日本人の学校生活を考えればわかる。

 40人程度のクラスに、1~2人のバカがいたんじゃないかな?

 そして、そのバカがやらかしたせいで、学校の生徒全体がバカ扱いされて、嫌な思いをした経験がある人間は多いと思う。

 乱暴な話だけど、その割合を適用すると……帝国貴族4000家で100~200家のお馬鹿さんがいるってことになるよね。

 いや、乱暴すぎる意見なのは私もわかってるんだ、でも、社会学においても、犯罪のない社会は異常だって言うじゃないか。

 大学でも馬鹿がいたし、社会に出ても馬鹿はいた……率は変化するけど、どこにでもバカはいるんだよ。

 そして、バカは目立つ。

 そ、そういうことにしておいた方が、お互いの精神衛生上、良い……よね?

 

 まあ、原作における帝国末期のあり方や、貴族の行動そのものについては何とも言えないけど……貴族に限らず、自由に生きることは難しいんじゃないかな。

 誰にも事情があり、想いを抱えている。

 クロプシュトック家を生け贄にしたやり方は……そうだね、帝国を主体に考えるなら、悪くない方法だと私も思う。

 それを理解していながら、私は復讐を選んだ。

 感情に振り回される愚かなモブ……それが私だと言われたら、否定はできない。

 私には、原作のフレーゲル男爵はもちろん、帝国貴族たちを笑うことはできないよ。

 その本質は、何も変わらないと思うから。

 

 

 うん、また少し話がそれたね。

 自分がこれまで歩んできた道を思い出しながら喋ってると、前世の記憶や当時のことを思い出して感情が高ぶったり、前後が曖昧になったりするんだ。

 そこは許して欲しい。

 

 えっと……ああ、カストロプ公爵だ。

 この人も宮廷貴族として名門の一族なんだけどさ、原作初期……帝国歴487年に滅ぼされる。

 このカストロプ公爵が、長期にわたって財務尚書の地位を利用して色々やらかした。

 この長期ってのが、記憶間違いでなければ15年だったと思う。

 つまり、原作においてカストロプ公爵が財務尚書の地位についたのは、帝国歴471~472年頃、ちょうどこの時期だったってことになる。

 ちなみにこの頃(帝国歴471年)は、リヒテンラーデ侯は内務尚書を務めていたかな。

 その前は宮内尚書、そしてその前は財務尚書と、それぞれ数年の間その地位を務めて、将来のトップのために英才教育というか経験を積んでいる感じだったね。

 ははは、まあ彼のことは後でゆっくり語らせてもらうよ……いや、敢えて語る必要もないかな。

 

 さて、カストロプ公が、財務尚書の地位についた。

 じゃあ、その前に財務尚書の地位にいた人はどうなったのかな?

 普通に、引退?

 あるいは、権力争いに負けた?

 

 もう、察しがついたと思う。

 カストロプ公が財務尚書になる前、財務尚書の地位にあった貴族。

 原作ではそういう記述はなかったのだと思う。

 でも、私は、この世界に生きていて、その情報を掴んだ。

 ここは、リスクを背負うべきだと思ったね。

 元、財務尚書で、帝国の権力者だ。

 いや、同盟へと逃げ出そうとしている、元、権力者だ。

 尚書といえば、その部門のトップの地位。

 15年前も、それなりのポジションにいたわけだ。

 

 わかるだろう?

 話が聞きたい。

 できれば昔話を聞きたい。

 こんなチャンス、そうそうあるもんじゃない。

 

 復讐者にとって、時間の経過は味方でもあるけど、同時に敵というか障害でもあるんだ。

 あれから、あの、母の最期を見た日から、もう15年も経ったんだ。

 この15年で、一体私が何をした?

 何を成し遂げた?

 焦っている、もちろん焦っているとも。

 そんな私の前に、美味しそうな餌がぶら下げられたんだ。

 最低限の、そう、最低限の警戒心を残しつつも、飛びつかざるを得なかったよ。

 こちらには貧弱とは言え、商売を通じた支援というか、同盟の拠点も用意できる。

 もちろん、フェザーン商人としてだけど。

 

 フェザーンにやってきたからには、同盟の弁務官あたりを通じて亡命の打診を行うつもりなんだろう。

 権力を奪われ、叛徒と蔑んだ異国の地への亡命。

 落ち目の人間の心は弱っている。

 いくら虚勢をはろうとも、心にはいくつもひび割れができている。

 その隙間に、そっと優しく忍び寄ってやろうじゃないか。

 耳元で囁いてやろうじゃないか。

 

 あなたの気持ちは、ようく、わかりますよ。

 私も同じような立場で、ここにいます。

 今のあなたのお気持ちは、よくわかるつもりです。

 

 この時の私の行動が正しかったかどうか。

 それは、私自身にもわからない。

 もちろん、後世の歴史家が評価する以前に、目に止まることもないだろうと思う。

 後世に名を残すつもりはない。

 自分が何をやったか、覚書を残すつもりもない。

 

 それでも、今なら言えるね。

 もう少し、冷静にものを考えろって。

 自己弁護になるけど、焦りもあったんだろうと思う。

 気を抜けば死ぬ。

 気を抜かなくても死ぬ。

 そんな世界を生きていながら、フェザーンで過ごした期間が、私の中の何かを、鈍くさせていたのかもしれない。

 私はモブだ。

 ただし、原作におけるモブだ。

 クロプシュトック侯爵は、原作でのチョイ役に過ぎない。

 しかし、私の父は『帝国貴族社会において、チョイ役でもモブでもない』ってことを失念してた。

 もちろん、『クロプシュトック』の名を出すことはしなかった。

 それでも、一発で私の正体がバレた。

 なぜだかわかるかい?

 

 答えは、『顔』だ。

 

 おそらくの話になっちゃうけど、私の顔を見て、父の『クロプシュトック侯爵』を思い浮かべたんだろうね。

 ああ、人生には落とし穴が多すぎるよ、本当に。

 原作知識があるがゆえに、私はずっと自分がモブだと思っていた。

 でも、この世界の、貴族社会ではそうでもなかったようだ。

 

 さて、ひと目で私の正体を見抜いた貴族は、ヒルトブルクハウゼン侯爵だ。

 原作には登場しなかったと思うけど、この人も帝国においては宮廷貴族として有名な一族なんだ。

 元財務尚書ってのは伊達じゃない。

 うん、いろんな意味で伊達じゃなかったみたいだ。

 単なる失脚じゃなくて、逃亡ってところが業が深いよね。

 まあ、よりによって『カストロプ公爵に不正を糾弾されて』、処刑されそうになったから亡命を選んだって……こう、ツッコミ力の高まりを感じるよ。

 

 お前(カストロプ)が言うなって。

 

 うん?

 この世界のカストロプ公も順調にやらかしているみたいだから、風評被害じゃないよ。

 そうなると、ヒルトブルクハウゼン侯爵を糾弾した不正とやらも、怪しいもんだ。

 

 まあ、このヒルトブルクハウゼン侯爵が、財産抱えてやってきた。

 宇宙規模だからあれだけど、結局は夜逃げ(笑)とそう変わらない。

 しかし、私の父程じゃないけど、このヒルトブルクハウゼン侯爵も、それなりの数の貴族に頼られてたはずなんだけど……寂しいものだね。

 トップが逃げ出して、残された貴族たちは慌てて次に頼りにする誰かを探したんだろうけど。

 

 亡命の手続きに関しては特に面白くはない。

 フェザーンに上陸せずに、まずは自由惑星同盟の弁務官に人をやって、政治的(笑)亡命の意思を伝える。

 そこからは、弁務官がハイネセンに連絡を入れたり、本人との通信面談で意思を確認したり……それなりに時間がかかる。

 おそらくは、帝国もそれを察知してるんだろうけど、基本は静観することが多いみたいだ。

 例の、クレメンツが亡命しようとした時とは違って、帝国にとってヒルトブルクハウゼン侯爵の亡命は、痛くも痒くもないと判断されたんだろう。

 ただまあ、領地は……接収される。

 その、接収するのが誰によるかで、色々と明暗は分かれるんだろうけどね。

 

 なんにせよ、私が接触しようと思ったら侯爵がフェザーンへとやってこないとどうにもならない。

 なので、ジリジリしながら待ったよ。

 

 色々と伝手も金も使って会えたと思ったら、いきなり撃たれた。(笑)

 

 前世記憶の異常なほど殺意の高いガンシューティングゲームを何故か思い出したよ。

 ……ああ、この左手の、手首から先は義手なんだ。

 まあ、運が良かったと言えるだろうね。

 そんな状況で死なずにすんだから。

 そして運が悪かったね。

 何も聞けないまま、ヒルトブルクハウゼン侯爵が死んじゃったから。

 

 いやいや、心臓発作だよ、心臓発作。

 ボク、何も悪い事してないよ。

 むしろ、医者の手配とかしたのは私だったから。

 場合によってはそのつもりはあったけど、会っていきなり『貴様、クロプシュトックの…』などと問答無用で撃たれた被害者だからね。

 財務尚書の地位を追われて、同盟への亡命……心労が溜まってたんだろうね。

 ああ、うん……倒れてから意識不明で、死ぬまでの間にタイムラグがあったのも、ちょっと不可解な死に方をしたのも認めるけどさ。

 

 ちなみに、侯爵の奥方と娘とお孫さんは、同盟に亡命して密やかに暮らしてる。

 侯爵が意識不明状態の時に色々と話をしてね、便宜も図った。

 奥方の人柄に関しては一言で説明しづらいけど、なんというか……権力争いに負けた貴族の末路をよく理解してる人だった。

 断片的な話になるけど、まず侯爵の息子夫婦が事故で死んだらしい。

 この事故ってのがどうも怪しい。

 調べてたら、今度はその弟が死んだ。

 これで侯爵は、直系の後継者を失ったことになる。

 すると、今度は侯爵自身の兄弟連中が蠢動を始めて……足の引っ張り合いを始めた。

 そして殺された弟の残った家族が殺された。

 泥沼だね。

 

 そこをまとめて、カストロプ公爵が吹っ飛ばしたって感じかな。

 

 つまり、不正(?)と身内のごたごたが続いたことによる、合わせ技一本ってとこか。

 奥方から聞いた話と、耳に入ってきた情報をすりあわせて、足りない部分を推測で補った……まあ、信憑性はともかく、それほど真実から遠くはないと思う。

 不思議なことに、侯爵の領地を接収したのは、カストロプ公爵らしい。

 最初から飛ばしてるなあ。

 原作ではなんで15年も処罰されなかったんだろう?

 

 

 そういえば、私には姉と、妹と弟がいた話はしたよね。

 姉は私の3つ上で、妹と弟は母に殺されたとき、1歳と0歳だった。

 今思うと、リヒャルト皇太子を葬らんして、父としては明るい未来を見てたんだろう。

 皇太子がいなくなったのが帝国歴452年だからね。

 クレメンツは次の皇帝となり、父は将来の重鎮としてやる気十分、気力十分だったんだろうね。

 その直後に、妹が生まれて、弟が生まれたわけだから。

 

 いきなりなんの話をしだしたって?

 いや、この時期に、ヒルトブルクハウゼン侯爵は、随分酒量が増えたらしいんだ。

 クレメンツが『謎の死』を遂げた頃。

 そして、支援者の貴族の処刑をした頃。

 深酔いして、ほぼ正体をなくしたような状態の侯爵から、奥方は『よくわからないこと』を耳にしたらしい。

 うん、貴族女性らしい慎ましい物言いだ。

 くわえて、いい性格をしてる。

 

 私が、奥方に親切にする理由には十分だろう?

 もちろん、騙されてる可能性はあるだろうけど。

 いつの時代も、どの世界でも、女は怖い。

 でもまあ、暗闇の中を手探りで進むよりかは、マシだったからね。

 

 

 左手の治療というか、手に入れた情報やその他もろもろの事情の説明を含めて、私は一旦クロプシュトック領へと戻ることにした。

 うん、戻ることにしたんだけど。

 その際に、ひとりの女性が私についてきた。

 メルケンドルフ伯爵の娘で、名を、マリアンネ・フォン・メルケンドルフという。

 あれかなあ。

 転生者らしく、あのセリフを言わなきゃいけないのかなあ。

 

 

 どうしてこうなった。

 

 




つまり、イゼルローン要塞は、地球教の陰謀だったんだよ!

ナ、ナンダッテー!

独自解釈です。
そういうこともあるかなと。
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