クリーブ兄貴として、暁の水平線に勝利を刻むぞ!   作:V-ACT

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兄貴姉貴のクリスマス衣装はどこ……ここ?

ヘレナもそうだけど、公式は画像に出る衣装実装して♥


兄貴、その実力

高速で海上を駆けながら、電探を見つめる。

敵味方の判別がまだつかないために反応がかなり多いが、間違いなく殆どが敵であろうと推測できる。

理由としては、救助や遠征に幾つも艦隊を派遣をする指揮官はいないといって良いからだ。

行方不明者の捜索ならともかく、場所が判明してる救助者の元に駆けつけるのに多く艦を派遣したら燃料の消費が馬鹿にならないしな。

だから救助のための艦隊にしろ、他鎮守府の遠征にしろ、深海棲艦達に襲われてピンチってこったろうな。

なんて黙々と考えていると、川内から声がかかった。

 

「ね、ねぇクリーブランド!」

 

「おっ、何かあったのか!?」

 

「気のせいか分からないけど、いつもより速力が出てる気がしてさ!心当たりない!?」

 

「……あー、それ原因は私のもう一つの設備装備だぞ!」

 

『ビーバーズエンブレム』。

ユニオン艦の中に『リトルビーバーズ』と呼ばれる五人のフレッチャー級駆逐艦達がおり、彼女達の結成記念として『明石』が開発した装備なのだが……。

フル改造で装備すると耐久の最大値を75、回避を35上昇させる。

しかし真価は別にあり、『艦隊速力が20%アップ』と言う破格の性能を有しているのだ。

川内の速力が上がった理由、それは俺が彼女を『クリーブランド』の仲間と認識しつつ、この装備をして共に出撃したからだろうな。

 

「あははは!クリーブランド、本当にもう……貴女に関わるもの全部規格外ね!」

 

「はっ、誉め言葉として受け取っておくぞ!」

 

「もちろん、誉めてるもの!最っ高よ!」

 

満面の笑顔で川内はそう言った、そりゃ満足いただけて何より。

さぁ反応が近づいてきたし、砲撃や雷撃の爆音が近い。そろそろ気ぃ入れるか。

 

「川内、開幕雷撃は任せたぞ!」

 

「もちろん!……ってクリーブランドは!?」

 

「雷装はない、代わりに副砲と対空砲があるからな!」

 

副砲は『127mm連装両用砲MK12T3』、榴弾装備で対空が上昇する高い火力の駆逐砲だ。

対空砲は『QF 2ポンド八連装ポンポン砲T3』、名は体を表すが如くポンポン艦載機を墜とす。

そして川内を助ける時に使った主砲『150mmTbtsKC/36連装砲T3』、徹甲弾で重装甲だろうが貫く名器。

これがクリーブランド()の武装なのだ、雷撃が無い分砲撃で押しまくる戦法である。

実際これで幾多の戦場を駆け抜け、彼女は一度も沈んだ事がない……俺と運命を共にした時は除くが。

 

「むむむ……一軽巡洋艦として思うところがあるけど、それが貴女のやり方なら!」

 

「受け入れてもらえて何よりだ!指示は私が出すから、それに合わせて発射な!」

 

「りょーかい!」

 

並走しつつ拳を合わせて、どちらからともなく笑う。

これから戦場に向かうと言うのに川内は非常に楽しそうであり、彼女に感化されたのか『クリーブランド』の身体もまた気分が高揚している。

反して『俺』と言う精神は至って冷静だった。

彼女にとっての指揮官かつ夫であり、今は一身同体……沈むわけにはいかないし、沈ませない。

クリーブランド()は改めて正面を見据える。

見ゆる深海棲艦は12、内半分は艦娘達と艦隊戦。

残り半分は囲もうと左右に展開、それを避けようと艦娘達は引き撃ちしているが……戦闘をしながらでは速力も頼りなく、厳しそうだ。

 

「やはり敵の数が多い、二艦隊による連合艦隊だ!」

 

「どうするの!?」

 

「予定通り開幕雷撃を起点とし、奴らがやろうとしている包囲を阻止する!」

 

「いいねぇ、実に私好みな答え!」

 

川内は舌舐めずりしながら、魚雷を数本指に挟んで構える。

何時でも準備万端らしい、頼もしい限りだ。

 

「川内は雷撃後に左舷の友軍らしき艦隊と合流、それからは好きに暴れて良いぞ!」

 

「クリーブランドは!?」

 

「川内に釣られて隙を晒した右舷の金ぴかオーラを沈める!見たところアイツが一番厄介そうだからな!その後はそっちに混ざるぞ!」

 

「むふふ~、オッケー!」

 

()り方は決めた、あとはタイミング。

俺は黙ったまま川内の前に左の掌を出し、指を折り出す。

それを見て察した彼女は、それを横目にしつつ中央に向かうようにクリーブランド()から離れ出す。

同時に俺も右舷に舵を切る。

3、2、1……と指を全て畳んだと同時に腕を振って、速力を上げる。

左側から水飛沫が上がる音が聞こえ、金ぴかがそれに反応する。

 

「この一撃で決める!」

 

ミスは許されない、絶対にアイツは倒す。

内から膨れ上がる熱を主砲と副砲同時に込めて、放った。

徹甲弾と榴弾それぞれ四発ずつスッ飛んで行き、金ぴかは反応できずに直撃した。

 

『ーーーー!?』

 

燃えながら奇妙な悲鳴を上げて沈むそいつの横を高速で通りすぎ、混乱している真っ赤な僚艦二隻に艤装のみ反転させて砲撃、同時に沈める。

 

「なんだなんだ、手応えがないっ!」

 

そう口にはしたものの、多分これは理不尽と言うものだろう。

あくまでKAN-SENたるクリーブランドとしての見方だからそう感じるだけで、元人間の指揮官ユウキの視点では奴らは決して弱くない。

ただ鍛えすぎたウチの嫁がやたら強いに過ぎないのだ。

するとこっちの発言が挑発に聞こえたのか、やたら砲弾が飛んで来た。

しかし、ビーバーズエンブレムで強化された速力でホイホイ避ける。

だがその過程で茶髪で左右におさげを垂らした少女が、背後から迫る深海棲艦に攻撃されようとしているのが見えた。

 

「させない!」

 

「あっ、クリーブランド!」

 

夢中だった俺に川内の必死の呼び声は聞こえなかった。

クリーブランド()は少女を庇って砲撃をくらう、沈む訳にはいかんのについやってしまった……だがなんだろう。

 

ーーーー全く痛くない。

 

「怪我、ないか?」

 

「あ……はい……」

 

呆然とする少女に一声かけ、そのまま流れで彼女に砲撃をした深海棲艦にお返しする。

 

『ギエエエエ……』

 

沈んだであろう奴に一瞥もくれず、クリーブランド()は少女に笑顔で手を振りながら川内の元に向かう。

 

「どんなもんだい、川内!」

 

「やれやれ、心配して損した気分……っと、それよりこの艦隊は舞鶴ので合ってたよ!さっき貴女が助けた子って私の艦隊の子だから!」

 

「そっか!無事に一度帰還できてたみたいだな!」

命懸けで逃がしといて道中でやられてたら、彼女が無念過ぎる。

川内も嬉しそうな様子であり、なおの事さっき助けれて良かった。

 

「うん!囲もうとしてた方の艦隊は自分らに任せてってさ!」

 

「おう、それじゃ!」

 

「旗艦が失った正面艦隊に……トドメよ!」

 

川内と共に殺意満タンで敵艦隊残存勢力に襲いかかる。

彼女が先んじて艤装から砲撃、旗艦らしき金ぴかオーラをやられて混乱気味だったのも合わせて問題なく直撃した。

深海棲艦の一隻が火を噴く。

 

「むーっ、クリーブランドみたいにはいかないか……!」

 

「雷撃ありな水雷軽巡と雷撃なしの砲撃軽巡なのに、同じようにやられたら立つ瀬ないっての!」

 

十分な被害を与えながら不満げな川内にツッコミを入れつつ、今度はクリーブランド()が前に出る。

 

「砲撃とは、こうするものだ!」

 

数が減って破れかぶれに砲撃しながら突っ込んできた奴らに向かい斉射、あっけなく沈んでいく深海棲艦二隻。

まさかここまで楽に一艦隊潰せるとは……正直予想外だった。

 

「……地味に一艦隊分、クリーブランドだけで撃滅してない?」

 

「ふふふ……これが努力の成果って奴だな!」

 

「『愛』は?」

 

「……それは、もう忘れてほしいぞ……」

 

少しテンション上がって勢いで口走ったことだから、申し訳ないが追求は勘弁。

などと軽口を叩きあっていると、背後から声が聞こえた。

 

「此方も負けていられません、全艦一斉射!」

 

「妙高姉さんがいつになく燃えてて怖い……じゃなくて、初風も!」

 

「こんな私でも……せいいっぱい、頑張ります!」

 

「長波サマも、いっくぜー!ほら、白雪しっかりしろ!」

 

「わ、わかっています!さっきの借りは返しますから!」

 

その声の正体は川内の所属している舞鶴の『艦娘』達、どうやら囲もうとしていた別動隊を殲滅する気らしい。

息を合わせてそれぞれ砲撃、川内の雷撃や俺の救助時の反撃でダメージが出ているのでボコボコにされている。

それを見やってから、川内と顔を見合わせて笑いあった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「まさか救助に向かって逆に救われるとは思いませんでしたが、ご無事で何よりですね」

 

「あはは、今回はイレギュラーが多すぎるからねぇ……」

 

そう言って二人揃って此方を見てくる、まぁ確かに自分でもクリーブランド()はイレギュラーかなぁとは思うが。

戦闘が終わってから川内と共に舞鶴の艦隊と合流し、現在は共に鎮守府に向かっている最中だ。

川内は事の顛末を旗艦の妙高に語りながら、俺から少し離れた場所で進行している。

しかし……『妙高』か……。

俺は妙高の名を知っている。

それはクリーブランドの記憶にもあるが、どちらかと言うと『俺』の記憶。

 

重桜の重巡洋艦『妙高』。

黒髪ロングに冠羽とも獣耳ともとれるものが生えていて、学ランスカートに風紀の腕章を着けた格好の……一見堅物だが、パンケーキを出来たてで持ってきてくれたりする良い子だ。

 

ーーーーだが今一緒に行動する『妙高』は違う。

 

太めの眉に黒髪ボブカットで長い後ろ髪をシニヨンにし、紫の服に白い外套と長手袋をしている。

和のお嬢様といった風貌だが、先ほどの戦闘での様子を見るかぎり……強者(つわもの)だな、怒らせてはいけないと本能で察した。

 

ふむ、全然違うよな。

KAN-SENが同名で全く異質になる事は確認されていない、ますます異世界説が濃厚に……。

 

「あ、あの!」

 

「ん?確か川内と同じ艦隊の……」

 

「はい!吹雪型二番艦の白雪と言います、先ほどは助けていただいて本当にありがとうございました!」

 

おお、あの『吹雪』の妹!

だがこの子の容姿を見るかぎり、吹雪も違う外観と性格なのだろうなぁ。

 

「どういたしまして!改めて私はクリーブランド級一番艦のクリーブランド、仲良くしてくれると嬉しいな!」

 

「はい、是非!」

 

白雪は嬉しそうに俺と握手を交わす、助けた恩があるとは言え友好的に接してくれて嬉しい。

川内に強引に押しきられたとは言え、舞鶴に行くと決めたのだから仲が良い子が多い方が嬉しい。

 

ーーーーまぁ、一方で警戒してる子もいる。

 

「はうぅ……」

 

「あの子が、『あの』クリーブランドかぁ……」

 

一人は妙高の妹であるらしい羽黒、もう一人は初風と言う陽炎型の駆逐艦。

羽黒は元より弱気な性格だかららしいが、初風はどうも違うらしい。

クリーブランドの記憶通りなら川内と同じ戦場で、同様に航行不能からの集中砲火で沈んだ艦なのだ。

川内は記憶がないから良かったが、初風は記憶があるみたいなんだよなぁ。

 

「気持ちは分からんくもないけどよ、いつまでも引き摺っても仕方ないぜ?」

 

「分かっちゃいるんだけどね……」

 

最後の一人の長波は妙高同様中立目線らしく、川内と白雪の件があるからフォローに回ってくれるっぽい。

とは言え積極的に話しかけてはこないが。

 

「クリーブランド、心配はしてないけど気にしなくて大丈夫だからね?」

 

「そうですよ、これから仲良くなっていけば……」

 

不意に川内が俺の側までやって来て、白雪と共にフォローに来た。

正直川内が言うようにクリーブランド()は全然気にはしていない、だが心遣いはありがたい。

 

「ありがとう、川内も白雪も」

 

「うん」

 

「はい」

 

心から礼を伝えると、二人は微笑んで頷いた。

そんな俺達のやり取りを見ていて、妙高もさりげなく安堵した様子で前を見据える。

 

「もう少しで鎮守府近海に入りますが、気は抜かないようにしましょう」

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

俺も含めて彼女の言葉に返事をする。

舞鶴鎮守府……一体どんな場所で、そこを治める指揮官はどんな人物か。

少し、楽しみになってきた。




と言う事で初めてまとも(?)な戦闘回です。
チートタグに相応しい活躍出来ていますでしょうか?

次回は漸く件の舞鶴鎮守府へ!

亀更新なので、気長にお待ち下さいませ!
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