同窓会は弱冠進行のペースを早めてお開きになった。
結局ムエッタは合流せず、同窓会も由希奈達の激励が主となったイベントに過ぎなかった。
由希奈の知らぬ間に、剣之介が美夏から‘一肌脱いでほしい’と話があったのだが結局は裸踊りで周囲を賑わせる余興担当と言う事だった。
彼が何やら美夏に真剣な話をしているのを、ソフィーは見逃さなかったがそれはまた後の話に。
過去の学園祭の映像やカルロスが作った映画擬き。さらに由希奈が剣之介を見送った茅原の配信映像など。
さらには小さな華飾りと、寄せ書き。
「美夏。ちゃんと逃げるんだよ。ここから先は本当に危ないんだから」
「分かってる。由希奈や剣ちゃんの邪魔したくない」
由希奈は美夏と包容を交わす。
一方で剣之介は赤城と対峙していた。
「いつだったか、由希奈の事を頼んだ事があったな」
「あの時のお前の顔、実にカッコ悪かったよ」
「言うな……」
剣之介が気不味い顔でいるのを、鼻で笑う赤城。
「青馬、今度は由希奈だけじゃねぇ。生まれ育った場所を守らなきゃいけない戦いだ。俺も後方支援で軍用機整備士として働いてる。まぁ黒部の外なんだが」
「お主も戦っていたのだな……」
「そういう事だ。お互い気張って行こうぜ」
赤城はバンダナを外し、剣之介に渡す。
「こいつで気合い入れていけ」
「……汚いな。まぁ洗って使おう」
「ぶち壊しな感想ありがとうよ……」
仲間達の見送りを背に、クロムクロは発進した。
「こちら由希奈。ムエッタ?どこにいる?」
通信機でムエッタに連絡をとろうとした。
すると何故か薄暗い背景にムエッタが映る。
「由希奈か。すぐに合流する……場所は」
由希奈の家から少し距離がある駅付近の飲食店。
どうやら酒類を扱っている場所のようだ。
「オルガが酔いつぶれてしまってな。すまないが迎えに来てほしい」
「わかった」
通信を切って苦笑い。
「舞い上がったのか、緊張したのか」
剣之介はオルガに同情する。
「ムエッタ殿は酔わない。そしてオルガは弱い。結果は見えていただろうに」
「オルガさん、落ち込まなきゃいいけど」
クロムクロの背中、クロウにムエッタとオルガを乗せて一度ナデシコに戻る。
「中々に面白かった。オルガがバスを乗り違えたり、酔いつぶれたり」
「あ~。ムエッタ、その話はしないであげてね」
ナデシコが発艦。
その日の内に残っていた住民の避難が終わり、富山きときと国際空港にてアークエンジェルと合流する。
「随分呆気ない同窓会でしたこと」
「でもまぁ皆の顔見たら、また頑張ろうって気になったよ」
「そうですね……」
ソフィーと由希奈がブリーフィングルームに入る。
「遅かったな」
エルエルフが出迎えた。
「エフィドルグに動きがあったのですか?」
「あぁ。この映像を見てほしい。」
「うわ」
エフィドルグの使用する揚陸城からビームが射出され、少数の人間を捉えたかのように、浮かせて拉致する。
カクタスの他にも、鳥のようなグロングルがいるではないか。
「ブルーバード……」
かつて黒部を襲ったグロングル。
その纏い手は血戦の後に捕縛、黒部研究所の牢に居た筈だ。
「研究所の警備はガバガバだった。抜けられても理解出来る」
エルエルフの溜め息交じりの声、由希奈は目をそらす。
「あれ?ここに何か映ってる」
由希奈が指差したのはビーム射出場所付近の砲口より少し上。エルエルフも見落としていた位置。
「イエロークラブ?いや、でもこれは……」
黄色く肩の辺りがガッシリした機体が見えた。
頭部の形はグロングルタイプとはあきらかに違う。
「この黄色いの……もしかしてヴァルヴレイヴ?」
映像の解像度を上げると、エフィドルグの揚陸城に黄色いヴァルヴレイヴの姿を確認する形になった。