「嘘でしょ……」
ヴァルヴレイヴ隊はエフィドルグの揚陸城から吐き出される量産機の迎撃にあたっていた。
しかし落下してきたのはガンダムグシオンリベイクとグレイズリッター。
彼等が突入していたのは情報があるから驚きはしなかったのだが、それと一緒に落ちてきた機体を見て言葉を失う。
「ショーコちゃん!」
6号機のアキラが悲痛な叫びをあげる。それに構う余裕も無く、通信を開くショーコ。
「犬塚先輩……山田くんなの?」
「指南」
通信に応じたのは犬塚キューマだ。
ヴァルヴレイヴ5号機はシールドを構えながら。
「俺らは確かにエフィドルグの人形だけど、記憶データが移植されてる以上はこうやって話が出来るんだ」
「……だったら私たちの前に現れた事の意味もわかってますよね……」
「そりゃあな」
「ですよね」
ヴァルヴレイヴ1号機の指南はジーエッジを抜く。
「先輩……私ね、ハルトと両思いだってやっと解ったんだよ」
「そうか……」
「何しんみりしてやがる指南!」
横に割ってはいるのはヴァルヴレイヴ3号機。
山田ライゾウは機体のビーム兵器を乱射。
1号機は回避に専念する。
「よう!裏切者の総理大臣!神憑きの俺達を追い出しやがった癖に、何でヴァルヴレイヴに乗ってやがる!」
「山田君……私は……皆の為に……」
「聞こえねぇなぁ!言葉が出ない半端者ならやられちまえってんだよ!」
3号機による連打。
殴り付けられた1号機は揚陸城の外壁に叩きつけられた。
「ぐっ……」
指南の視界の隅には仲間である4号機、流木野の姿。高みの見物をしている。
「どうするのよ?今はエルエルフの指示で動くべきタイミングじゃないでしょ?」
「……」
ショーコの返答を待たずに、サキは山田に対して。
「エフィドルグ化した割にまるで変化無しじゃない。所詮山田は山田か」
「……あん?」
そのリアクションを見て、サキが溜め息をつく。
それを見て目を見開くショーコ。
「違う……あんたは‘サンダー’でしょ。」
「何言ってやがる」
それを無視してサキはショーコに。
「いい加減、割りきりなさいよ。決着つけなきゃ」
「そう……だね!」
1号機がジーエッジを構え直す。
「アキラちゃんは引き続きナデシコのフォロー。流木野さんは私と戦闘の続行。犬塚先輩をお願い」
ヴァルヴレイヴ3号機を睨みながら。
「私は山田くんを」
「上等じゃねえか!クソ女ァァァッ!」
再び戦闘が始まろうとした瞬間、何者かが揚陸城上部から落下してきた。
「なに……?女の人……巨人?」
ショーコは揚陸城が爆発し始めたのを見て、鉄華団の作戦成功を感じ取った。
「まだ生きてるね」
さらに上から、コロスの肩に目掛けてテイルニードルを刺すバルバトス・スレイブが降下。
合流する三日月は、ヴァルヴレイヴ1号機を一瞥し。
「……大丈夫そうだ。俺は他で暴れるから、オルガを」
「わかった。ナデシコまで送り届ける。ハサウェイくん!!」
ショーコはクスィーガンダムに通信を。
「団長は僕が!そちらは頼みます!」
「よろしく!」
モビルワーカーがクスィーに担がれ、離脱する。
「さてと……」
ショーコとサキはヴァルヴレイヴ3号機とヴァルヴレイヴ5号機、コロスを睨み付ける。
「そこの大きい人も相手にする必要があるんだよね……」
「やれそうな人に頼めばいいじゃない」
ヴァルヴレイヴ隊の前に立つコロスに対して、突如として爆撃が。
頭部への直撃に耐えきれずに膝をついたコロスの前に現れたのは、ダイターン3。
「グアアァァァッ!やはり来たか!万丈!!」
「性懲りもなく貴様はァ!!」
コロスを殴る蹴るしながらダイターン3が突撃。
「先程の悪魔は貴様の仲間かァッ!」
万丈はその台詞に、三日月のバルバトス・スレイブを思い出す。
「ドンザウサーの仇!」
「……エフィドルグの影響下では弱体化したか……不様だな」
バルバトスと言えどMSだ。それに翻弄されたのは彼等が弱くなった事と、フェストゥムの力を使った三日月の技量もあるのだろう。
「万丈オオッ!!」
「引導を渡すそ!ダイターンザンバー、二段斬りダァァッ!」
万丈は反撃を許さない。
コロスが態勢を整える前に、連続攻撃をしかけた。
「ダイターンミサイル!!ダイターンファン!」
砲撃からの殴打。
「万丈……は、話を……」
「俺はお前たちを憎む!」
至近距離でサンアタックを直撃させてから、ダイターンジャベリンを胸元に突き刺す。
「我ら……メガノイドの……」
「死ねエエェェッ!!」
ダイターンクラッシュでコロスを蹴り砕く。
爆散する敵に目もくれずに、ヴァルヴレイヴ隊に視線をおくる万丈だった。
そのヴァルヴレイヴ隊。
「流木野!」
「気安く呼ばないでよ……エフィドルグの癖にさ」
ヴァルヴレイヴ5号機は24連装ボウガンをサキに向けて放つ。
圧倒的機動力でそれを避ける。
「動きを止めてしまえば!!」
キューマはIMPシールドを構えたままサキの機体に掴みかかった。
「あんた、いつまで先輩のふりしてるのよ。あの人はそんなに弱くなかった……」
サキのヴァルヴレイヴ4号機はスビンドルナックルを敵の背後に投げて、それを引く。
戻ってきたスビンドルナックルがヴァルヴレイヴ5号機の背中を抉りながら回転を続ける。
僅かな断末魔だけがサキの耳に響いたものの、心を揺らがせる事は無かった。
そしてヴァルヴレイヴ1号機のショーコ。
「……」
「どうした指南!!逃げ回るだけか!?」
「わたしはハルトのような気持ちで戦えない……自己犠牲を選んでいい立場にないから」
「何をゴチャゴチャと!」
「でも、わたしはハルトより勝つ事に拘る。だって私は消えるわけにはいかない。総理大臣として皆を引っ張る為に……」
「そしてまた、誰かを裏切るんだろう!!」
ヴァルヴレイヴ3号機は畳み掛けるようにビームの嵐でショーコを追い詰める。
「そうだね。多分、そんな非情な判断を強いられるかも知れない。でも、でもね」
ジーエッジを右手に、左手からはルーン。
光輝くルーンをジーエッジに塗るが如く、それを固着させる。
「皆の為に、目の前の敵を倒すことを……わたしは躊躇しない!」
覚悟の一閃。
降り下ろされた刃は一切の迷い無く、敵機体を両断することになった。