由希奈は複雑な面持でイエロークラブを見る。
「本当によかったのかな」
「わからぬ。もしゼル殿が生きていたら怒っていたかも知れないな」
イエロークラブの中でソフィーが纏い手としての契りを交わす。
コクピットの外でムエッタが、由希奈と同様な顔をしながら機体の調整を行っている。
重傷の茂住を担いで運んできた騎士ユニコーンは既に伊奈帆の所に向かった。
「それにしてもイエロークラブかぁ」
初めて黒部でクロムクロを起動し、初めて戦った相手。
そして初めて有人機だと知り、敵のエフィドルグ兵の姿を見た。
初めて人間の姿をした敵が爆散したのを肌で感じた。
「そういや、あの時剣之介ったら私の事を拉致したあげく人質にしようとしてたっけ」
「ぬ……覚えていたのか」
「中々のインパクトだったから。それも思い出。あんたに初めてカレー食べさせた事、買い物に行った事」
「……俺としては、学校での創作映画が気になっていた。赤城やカルロス、茅原」
「美夏や小春、母さんや叔父さんや先生達も」
話していると、ムエッタが降りてきた。
「随分と懐かしい名前だな」
「だろうね。」
「由希奈、剣之介。ソフィーと茂住の準備は整った。時間が経てば降りてくるだろう」
改修されたイエロークラブ。
GAUSのコクピットと武装をつぎ込んでいるものの、原型には差ほどの変化は無い。
「君たち」
「あ、マクギリスさん」
由希奈達に声をかけてきたのは、マクギリスだった。
「騎士ユニコーンを見なかったかね?」
「伊奈帆さんの所ですよ。あ、界塚小隊に仲間が増えたんですよ」
「ほう。それは期待できそうだ。」
マクギリスが去ったと同時に、イエロークラブから声が聞こえる。
「セバスチャン!」
「申し訳ありません……お嬢様」
「構いません。これからも永く、私に使えてください」
「このセバスチャン。残りの時間を全て捧げましょう!」
機体から聞こえる茂住の声に、由希奈達は僅かに微笑むのだった。
その頃のマクギリス。
伊奈帆の元に向かった頃には騎士ユニコーンの姿がなかった。
そして通路で偶然エデルリッゾの姿を確認したので、声をかける。
「君がエデルリッゾさんかい?」
「は、はい」
合流早々に、生活班に回されて活躍するエデルリッゾ。
「聞きたいことがある。キングガンダム二世の件だ」
「……貴方がマクギリスさんですね」
今さらだが伊奈帆や他のクルーがいないタイミングで、一人の時に声をかけた。
「王より言付けがあります。ボードウィンの邸はエフィドルグの手中に堕ち、アルミリアは最も安全な場所に匿っているとの事です」
マクギリスは理解した。
安全な場所として自ら視察したのは、エルトリウム。
地球から離れすぎずに、エフィドルグの侵攻等が確実に影響がない。
隔離された最高の城といっても過言は無かったのだ。
「王は機を見てこちらに合流する予定です」
ふと、騎士ユニコーンと太陽騎士ゴッドが通り掛かる。
「……先程彼等にも声をかけられました」
「だろうね。」
「あの二人には伝えていませんが……真なる敵、という王の言葉が妙に気になるんです」
「……あまり気にするまでもないさ。言付け、感謝する」
エデルリッゾに背を向けて、人の気配の無い場所で一人になるマクギリス。
前髪を弄りながら、考え込む。
「彼は尻尾を掴めたのか……?」
その頃の騎士ユニコーンと太陽騎士ゴッド。
「やはりキングガンダム二世だった」
「ネオ、ゼロ、GP01、キング、そしてゴッド……」
「シャッフル騎士、紋章を継承した者達で揃えられたのだな」
一呼吸おいてから、太陽騎士ゴッドが。
「なぁ騎士ユニコーン。俺達がこの世界に来た理由はなんだと思う?」
「この世界に蔓延る悪の討伐……俺はそう考えている」
考え込む太陽騎士ゴッド。
「本当にそれだけだろうか……」