スーパーロボット大戦Re・disk4   作:jupi

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21話-銀河最大のライブへ

 

 話は数日前に戻る。

 

「やっと会えた……もう!いったい何処ほっつき歩いたのよ!」

 

 熱気バサラ、氷室美久、秋津マサキの三名が衛生軌道上に待機していた戦艦バトル7に合流を果たした。

 

「いいじゃねぇか。遅刻じゃないんだ」

 

「それよりだ、バサラ」

 

 集合したのはロックバンドのメンバー。

 ファイヤーボンバー。

 かつて全銀河のミュージックチャートに名前を刻んだ。

 ここ数年バサラが放浪の旅に出ていた影響で、その人気が低迷し始めていた。

 それを良く思わなかったのが彼女ミレーヌ。

 その横で苦笑いしているのがレイ。

 無言で眺めているのがビヒーダ。

 

「今回の作戦にお前さんが納得しているとは思えないのだが」

 

「確かに納得してないぜ。昔のミンメイアタックみたいな事をするって聞いてる。結局は戦争の道具だ」

 

「だが、心揺れる物があったのだろう?」

 

 レイの背後から現れバサラに問いただしたのは、バトル7の艦長。

 マクシミリアン・ジーナス。

 ミレーヌの父親にして天才パイロット。

 

「まあな。俺の歌が全ての銀河に一度で聞かせられる……こんなサービス滅多にないだろうからな」

 

 彼らが見上げるのはグレートゼオライマー。

 

「次元連結システム、そしてフォールドクオーツによる懸け橋。各地、各銀河へサウンドアンプブースターをチューリップクリスタルを使用して転移してある。さらには黒部から送られ解析したエフィドルグの情報。盤面に多くの材料が整った。後は君達ファイヤーボンバーや彼女達の歌にどれだけのエネルギーがあるかだ」

 

「心配いらねぇと思うぜ」

 

 バサラが見るモニターには多くの歌い手が。

 シャロン・アップル、シェリル・ノーム、ランカ・リー、ワルキューレ……。

 

「あいつらの歌は……いいと思う。だがな」

 

「どうしたのよバサラ」

 

「お前ら、やっぱり惑星ウロボロスの件は覚えてないのか?」

 

「なにそれ?どこ?」

 

「……リオンやアイシャ、ミーアとか……一条輝や工藤シン、イサムやガルドの事も」

 

「流石に一条輝は映画で知ってるに決まってるじゃない」

 

「……会った事を覚えてるのは俺だけなんだな……」

 

「……聞き覚えのある名前があるな」

 

「えぇ……」

 

 レイとマックスが驚きの表情を見せた所でバサラは背を向ける。

 

「いい、気にすんな。それはそうと」

 

「なんなのよ……」

 

「一曲目は頼むぞ。あの曲は俺では駄目なんだからな」

 

 ミレーヌは複雑そうな顔をしてから。

 

「確かに‘愛、おぼえていますか’は男が歌うのは無しだもんねぇ」

 

「それだけじゃねぇ。10曲目のワンダーリング、20曲目のプラネットクレイドルもお前が主役なんだ。この戦い、半端は出来ねぇ」

 

「やけに気合い入ってるわね……あんただって30曲目にエミリアお姉ちゃんと唄うHeart&soulの練習してきたんでしょうね!」

 

「誰に言ってやがる」

 

 ファイヤーボンバーは賑やかにスタンバイする。

 

 

 

 

 

 それから時が流れ全ての準備が整った。

 

「かなりの負担になると思うけど、大丈夫なのか?」

 

 バトル7が人型に変形してマクロスキャノン、いやサウンドバスターキャノンを構えている。

 艦板の上ではファイヤーボンバーが控えていて。

 数多くの歌姫が各銀河でスタンバイ。

 

 サウンドバスターキャノンの砲口の先にはグレートゼオライマーが待機している。

 

「エルトリウム管制システムとリンク完了。次元連結システム正常稼働。バジュラネットワークとのアクセス良好」

 

「……暫く話は無理か」

 

 観測班から通信が入る。

 

「エフィドルグ艦隊への攻撃開始。艦隊、尚も降下中」

 

「了解」

 

 マサキが溜め息をつく。

 

「作戦があまりにも大規模過ぎて実感がない……でもさ美久」

 

 応答が無い次元連結システムに対して。

 

「このグレートゼオライマーが戦闘以外でも役に立つ。こんなに嬉しいことはない……」

 

 

 

 

 

 

 突如、エルトリウムからノイズ混じりの通信が入る。

 

「どうした?何が起こった?」

 

「エルトリウムが次元湾曲を観測!でも、これは!」

 

「モニターから目を離すな!」

 

 バトル7艦内でも緊張が走る。

 

「おかしいですな、余りにもタイミングが良すぎる次元湾曲」

 

「エキセドル参謀。何か心当たりでも?」

 

「わからない。だが、悪い予感しかしないという事だけは」

 

 マックス艦長はエキセドル参謀からファイヤーボンバーへ視線を切り替える。

 

「ミレーヌ」

 

「何?どうしたの、パパ」

 

「何らかの妨害を受けているかも知れない。だが、君達の歌が切札だと言うのには代わり無い」

 

「妨害……」

 

 親子の通信に割り込むバサラ。

 

「関係ない!これだけのお膳立て……過去最大のライブだ!止められる訳がねぇっ!」

 

 バサラのVF-31改ネオファイヤーバルキリーがバトル7に背を向ける。

 

「次元湾曲なんて下らないぜ!山よ、銀河よ……俺の歌を、俺達の歌を聴けぇっ!!」

 

 機体のフォールドクオーツが輝く。

 

「響かせてやろうぜ!全銀河に、最高のハーモニーを!!」

 

 まだ歌い出していない。

 だが、バサラの存在そのものが次元への干渉を始める。

 

「ミレーヌ!前座は任せた!」

 

「誰が前座よ!上等じゃない!あんたの歌が聞こえなくなるくらいの歌を歌ってやる!」

 

 そんな怒鳴り合いが、ミレーヌにとって嬉しくも懐かしかったのだ。

 

「お願い、どこかに居るかも知れないリン・ミンメイ……。あなたの歌を使うけど、力を貸さないで。これは私自身の魂、心を乗せた歌だから……」

 

 

 

 


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