大量発生した宇宙怪獣はガンバスターにより数秒で消失していた。
「残りは!?」
「あれだけね……」
エフィドルグ製のグロングル。
ブルーバードと呼ばれる空中戦特化型の機体。
「一人だけ逃げようとはな!」
「死にたくなかったら投降してよ!」
クロムクロの中で剣之介と由希奈が叫ぶ。
「ここで生き恥を晒すくらいなら!」
ブルーバードが突然、クロムクロに接近してくる。
「来るか!」
「いや……あれは!」
由希奈が機体の警戒表示を指摘。
「自爆するかも!」
「くぅっ!間に合わぬ!」
接近するブルーバードのスピードに対応が間に合わない。
出遅れたブラックサレナも距離があった。
すると通信が響く。
「我々に任せろ!」
太陽騎士ゴッドが騎士ユニコーンを掴む。
「な、何を!?……ウワァァァッ!!」
返答を待たなかった。
太陽騎士ゴッドの手で力任せに投げ飛ばされる騎士ユニコーンは、弾丸のようにブルーバードへ叩きつけられた。
「全く遠慮なしか……だが!」
ブルーバードのコクピットを切り裂いて、纏い手であるヨルバが抵抗しようとするのを無理矢理引きずり出した。
「これで……終わりだぁ!」
騎士ユニコーンの叫び。
それはブルーバードを相手にしている現状だけではない。
黒部での揚陸城の迎撃、エフィドルグとの戦いを示していた。
そして爆発するブルーバードが、まるで祝砲のように散っていった。
部隊の撤収が次々と行われた。
アークエンジェルとナデシコが富山きときと国際宇宙港に停泊して、乗り組み員達は勝利の余韻を味わっていた。
「火星騎士共々、まさか尋問も無しに捕虜としての扱いも無いとはな」
ザーツバルムが与えられたドリンクを飲みながら椅子に腰かけた。
「勘違いしないで下さい。あなた方は騎士としての気概をお持ちだ。それを信じていないわけではない」
伊奈帆がザーツバルムと対峙する。
「複製体と言えどもそれは守る。我の中にはエフィドルグの武人としての在り方が騎士の心に混じっている。今更悪手は無いだろうて」
「まぁ、抵抗も無意味だと理解している以上は大丈夫でしょうがね」
伊奈帆は遠くにいるアセイラムとスレインに視線を送り。
「それに、あなたの言ったことは理解できた」
「……姫殿下とスレイン。二人の今後も、実に見物だ」
そしてベットに横になっているラクスの髪を撫でるキラ。
「君が訪れるとは思ってなかったよ」
キラは救護室の入り口から視線を感じると、そこには三日月だった。
「その人があんたの戦う理由なの?」
「うん。彼女を守るのも理由の一つ。君は?」
「オルガと約束の場所に行くため……まぁ、それが何処なのかわからないけど」
僅かに微笑むキラ。
「きっと相容れないモノだと思っていたけど……君やオルガ団長が目指す場所は、僕が目指す場所と近いかも知れない……」
「……?」
「少し先の未来の話だよ。僕が通過点で、君はゴール」
「……何となくわかる。それが分かれば、多分もうあんたとは戦わないと思う」
三日月は木の実をキラへ手渡した。
「ねぇ」
「なんだい?三日月」
「まだ何かありそうな気がしない?バルバトスからフェストゥムが離れてないし」
キラは三日月の‘黄金に輝いた’瞳を見た途端、立ち上がる。
「……三日月!?」
「まだ祝福には早い。フェストゥムが何処かの誰かを気にしているんだよ」
ラクスを守るように立つ彼を余所に、構わず続けた三日月。
「ーーーーあなたは、そこにいますか?ーーーーってさ」