問題児たちと《偽物転生者》が異世界から来るそうですよ? 作:嘉多華
できる限り頑張っていこうと思うのでよろしくお願いしますね!
その世界で二人は旅をしていた。
しかし、共に旅をしてはいたが、それは仲間とは言えないような関係だった。
年頃の青年と少女の二人旅。何かあってもおかしくないはずなのに、結局二人の間にあったのは、言葉にするなら敵対関係だったといえる。
神様の不手際で死んでしまい転生者となった青年、依桜天燈《いざくら てんとう》と、その転生の力を手に入れようと彼に挑んだ少女、桜咲 依桜《おうさき いお》。
なんだかんだとあった末に結局負け続けてしまう依桜は、諦めることなく何度も挑み続け、そのたびに何もできずに負けてしまう。
いつしか、依桜の目的は転生を奪うことではなく、自身も彼と共に転生者となることになった。
そのための方法を探すために転生者である天燈の旅に一緒についていき、天燈もまたそんな彼女のためにと目的のない旅から、転生の手段を探す旅に変えた。
しかし、その旅の終わりは突然訪れる。
旅を初めてから長い年月がたったある日、天燈のもとに一枚の手紙が届き、それを見た天燈が告げる。
「じゃあな、依桜《いお》。これでお別れだ」
天燈が突然、依桜に向かってそういった。
突然の宣告に戸惑う依桜。しかし、天燈が本気で言っているということは眼を見ればわかる。
「どうして? なんでいまさら別れなくちゃいけないの?」
納得できないと依桜は首を振る。
「仕方ないんだ。こうなることは最初から分かっていた。分かっていて俺は黙っていたんだ」
天燈は顔を辛そうに歪めて依桜を説得するように告げる。
「恨んでくれて構わない。でもこうなることがわかっていても、俺はお前と一緒に旅ができてうれしかった」
「そんなことはどうでもいいの。僕はまだ何も手に入れられてないのに、いなくならないでよ!」
依桜は涙は流していなくても、泣いているかのような表情で叫ぶ。天燈はさらに表情が歪む。
いくら依桜が拒んだところで結果は変わらない。天燈が言うように、これは最初から決まっていたことだから。
――――そのためにこの男、依桜天燈はこの世界に転生したのだから。
「謝ってもどうしようもないけれど、本当にごめん。だけど、俺がいなくなってもお前は幸せになれる。本来お前に俺は必要なかったはずなんだから。だから、お前は幸せになってくれ」
天燈はそういって、手に持っていた手紙を読み上げた。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能(ギフト)を試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を世界の全てを捨て、
我らの“箱庭”に来られたし』
その瞬間依桜はそれが最後なんだと直感した。
天燈が手紙を読み終えたとき、天燈はいなくなる。もう二度と会えなくなる。
そんなことは絶対に嫌だ。まだ僕は何もできてない。何も手に入れられてない。だって―――
「――――まだ僕は、転生者になれてない!」
天燈が手紙を読み終える前に依桜は叫び手を伸ばす。彼を消して手放さないために。
これでお別れなんて、絶対にさせるもんか――――!
ハイ。というわけで主人公達が異世界に向かいました。
二人が一体どうなったのか、どんな性格なのかなどは次から少しずつ分かっていきますので、長い目で見てくださるとうれしいです。
ではでは。