問題児たちと《偽物転生者》が異世界から来るそうですよ?   作:嘉多華

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今回は諸事情につき短いですよ。


第17話 ペルセウス戦開始

『ギフトゲーム名:“FAIRYTAIL in PERSEUS”

 ・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

          依桜 天燈

 ・“ノーネーム”ゲームマスター ジン=ラッセル

 ・“ペルセウス”ゲームマスター ルイオス=ペルセウス

 

 ・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒

 ・敗北条件  プレイヤー側ゲームマスターによる降伏

        プレイヤー側のゲームマスターの失格

        プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 ・舞台詳細 ルール

  *ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない

  *ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない

  *プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない

  *姿を見られたプレイヤーは失格となり、ゲームマスターへの挑戦権を失う

  *失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行できる

 

  宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

                               “ペルセウス”印』

 

 “契約書類”に承諾した直後、六人の視界が光に包まれた。

 

 次元の歪みは六人を門前へと追いやり、ギフトゲームの入り口へと誘う。

 

 振り返ると、白亜の宮殿の周辺は箱庭から切り離され、未知の空域を浮かぶ宮殿に変貌していた。つまりここはもう、ゲーム板の中なのだ。

 

「姿を見られれば失格か。つまりペルセウスを暗殺しろってことか?」

 

 宮殿を見上げ、胸を躍らせるような声音で十六夜が呟く。それにジンが答える。

 

「伝説に倣えばルイオスは睡眠中ということなってしまいます。そこまで甘くないはずですよ」

 

「YES。そのルイオスは最奥で待ち構えているはずデス。それにまずは宮殿の攻略が先でございます。伝説のペルセウスと違い、黒ウサギたちはハデスのギフトを持っていませんので、黒ウサギ達には綿密な作戦が必要です」

 

 今回のギフトゲームは、ペルセウスの伝説を一分倣らったもの。誰にも気づかれずに最奥まで到達しなければ、戦うまでもなく失格である。

 

 “契約書類”を、今度はしっかりと確認していたイオが提案する。

 

「なら、とりあえずは役割は三つだね。ジン君と一緒にゲームマスターを倒す組と見えない敵を感知して撃退する組。あとは、失格前提の囮と露払いの組かな? とりあえず僕は、索敵班が適任かな?」

 

「あと、春日部は鼻が利く。耳も眼もいい。不可視の敵は任せるぜ」

 

 十六夜の提案に黒ウサギが続く。

 

「黒ウサギは審判としてしかゲームに参加することができません。ですからゲームマスターを倒す役割は、十六夜さんにお願いします」

 

「あら、じゃあ私は囮と露払いなのかしら?」

 

 飛鳥が不満そうに声を漏らす。

 

 だが飛鳥のギフトは不特定多数を相手にする方がより力を発揮できる。それに、実際に飛鳥の力はルイオスに至らなかった。分かっていても、それでも不満なものは不満なのだろう。

 

「悪いなお嬢様。譲ってやりたいのは山々だけど、勝負は勝たなきゃ意味が無い。あの野郎の相手はどう考えても俺が適している」

 

「それに、前回のギフトゲームで十六夜君は何にもしてないからね~。ここらで一つ働いてもらわないと♪」

 

「・・・おい、イオ。勝手なこと言うな。俺は散々働いてるだろうが」

 

「あれ~? そうだっけ~」

 

 にやにやと十六夜をからかって遊ぶイオの姿を見て、飛鳥は一度呆れたような溜息をつき、薄らと口元に笑みを浮かべて十六夜に言う。

 

「・・・・・・いいわ。今回は譲ってあげる。けど負けたら承知しないから」

 

 飄々と肩を竦める十六夜。だが黒ウサギはやや神妙な顔で不安を口にする。

 

「残念ですが、必ず勝てるとは限りません。油断しているうちに倒せねば、非常に厳しい戦いになると思います」

 

 それを聞いた飛鳥が、やや緊張した面持ちで問う。

 

「・・・・・・あの外道、それほどまでに強いの?」

 

「いえ、ルイオスさんご自身の力はそれほど。問題は彼のギフトです。もし黒ウサギの推測が外れてなければ、彼のギフトは―――」

 

「隷属させた元・魔王様」

 

「そう、元・魔王の・・・え?」

 

「ついでに言えば、アルゴルの悪魔って言ったところかな?」

 

 十六夜とイオの補足に黒ウサギは一瞬、言葉を失う。

 

「い、十六夜さん、イオさん、どうして?」

 

「どうしてって、そりゃぁ」

 

 黒ウサギの問いに、十六夜は空を指さす。正確には、箱庭の空に輝く星を。

 

 イオを除いた全員がそれにつられて空を見る。最初に口を開いたのは飛鳥。

 

「・・・星? あれって」

 

「・・・ペルセウス座」

 

 耀がそれに続け、黒ウサギは驚いたように十六夜に言う。

 

「もしかして十六夜さんってば意外に知能派でございます?」

 

「何を今更。って、そんな話は後回しだ。さっさとゲームを始めるぞ」

 

 そう言って十六夜は、門を蹴破った。

 

 そして、開いた門に真っ先に飛び込んだイオが、宣言する。

 

「さあ、ゲーム開始だよ!」

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 

 白亜の宮殿は五階建ての作りとなっている。最奥が宮殿の最上階にあたり、進むには絶対に階段を通らねばならない。“主催者”側の人間がどれだけ配置されているか分からないが、最低でも一つの階段を確保せねば先には進めない。

 

 門を蹴り破られた音でゲーム開始を悟った“ペルセウス”の騎士たちは、一斉に行動に移る。

 

「東西の階段を封鎖しろ!」

 

「正面の階段を監視できる位置につけ!」

 

「相手は五人、捨て駒の数は限られている! 冷静に対処すれば抜かれる事は無い!」

 

「我等の旗印がかかった戦いだ! 絶対に負けられんぞ!」

 

 号令と共に一糸乱れぬ動きを見せる“ペルセウス”の騎士たち。

 

 本拠を舞台にしたゲームは伊達ではない。地の利は圧倒的に彼らにあるのだ。

 

 まして勝利条件は至って簡単。ただ相手を見つけるだけでいい。

 

 最奥の大広間で玉座に腰かけていたルイオスはすでに勝ったつもりでいる。その胸中は目の前のゲームではなく、挑戦を許した部下たちに対する憤りで一杯だった。

 

(ふん・・・・・・役に立たない奴ら。“ノーネーム”なんかに挑戦を許すだなんて)

 

 どんなに従順でも、そんな無能は自分のコミュニティには必要ない。

 

 ゲームが終わり次第全員粛清してやる、と物騒に呟く。

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 

 飛鳥と二手に分かれたイオ達は、飛鳥と対照的に息を殺して―――いなかった。

 

「次、三時の方向に一人、不可視のギフトを持った奴が向かってきてる」

 

 イオの指示を受けて、耀がすぐさまその五感で正確な位置を掴み、獣のように腰を落として、相手がまだこちらの姿を確認する前にすかさず後頭部を激しく強打して気絶させる。

 

 騎士は何をされたのか気づく間もなく前のめりに倒れこむ。その衝撃で落ちた兜をイオが拾う。

 

「これで、とりあえず三つ目だね」

 

 余裕綽々で兜でお手玉するイオの姿を、他の三人が何とも言えない表情で見つめる。

 

 ここに来るまで、敵と出くわすことは全くなかった。不可視のギフトを持たない騎士は近づく前にイオが察知して、絶対に出くわすことのない道を選んできたからだ。

 

 不可視のギフトを持った敵は、耀が気付くよりもはるかに早く見つけ、大体の位置を伝え、ある程度近づいたところで耀が五感を使って位置を把握、と言う事を繰り返した。

 

 つまり、まったく何の苦労もすることなく、あっさり三つも手に入れてしまい、拍子抜けしていたのだ。

 

「まさか、此処まで簡単にことが進んじまうとは思わなかったぜ」

 

 ヤハハ、と十六夜が呆れたように肩をすくめて笑った。

 

 それに同じく笑って返したイオが、手に持った兜のうち二つをジンと十六夜に投げ渡す。

 

「とりあえず、ジン君と十六夜君は失格になる訳にはいかないから、これかぶっておいて。もう一つは――」

 

「・・・それは、イオがかぶって」

 

 今しがた手に入れた兜を耀に手渡そうとしたら、首を振って押し返される。

 

「私より、イオの方が強いから、そのほうが――」

 

「てい」

 

 真面目な顔で説明する耀を無視してその頭に兜をかぶせるイオ。予想外の行動に耀は驚いた顔をするも、すでにイオにはその姿は見えなくなっている。だからイオもそのまま続ける。

 

「変な遠慮なんて必要ない! 僕よりも耀ちゃんの方が直接的と戦ってる分、見つかる可能性が高いんだから。それは耀ちゃんがかぶっているべきだよ。それに―――」

 

 にやりと笑ったイオは、ゴシックドレスのスカートを翻して、一瞬で通路の目の前に移動し、数度傘を振り回す。それだけで、見えない敵が壁を突き破って外に吹き飛ばされていった。

 

「―――そんなのなくても、僕は見られたりしないからね♪」

 

 余裕綽々とウインクをして振り返ったイオに、再度三人は呆れるのだった。

 




話の展開上、最後は一気に行きたいので今回はここまでです。
できれば次もお楽しみに。
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