問題児たちと《偽物転生者》が異世界から来るそうですよ? 作:嘉多華
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つまらない、つまらない。ああ! つまらない!
依桜天燈は落胆する。伝説の悪魔もこの程度かと。
苛立ちを隠すことなく、兜を乱暴に投げ捨てる。すべての人間が石化した今、彼女の姿を見るものは誰もいない。
吸血鬼の件といい今回の件といい、正直期待外れもいいところ。
ゲームが始まる前の黒ウサギの態度から、恐らくこの世界でもかなり強力な存在なのだろう。だから、今回こそはと期待もしていた。
だが結果はこれだ。イオの作った傘すら石化させることはできなかった。
世界に絶対は存在しない。傘に込められた不変のギフトとてそれはおなじ。込められた力を越える力を加えれば容易く壊れる。
いくら全力ではないといえども、その程度のことも出来ないようでは話にもならない。
「この世界に力を求めた僕がバカだった」
なんとなく悟ってしまった。恐らくこの先自分を満足させるだけの敵はここにはいない。強い敵を望んだところで意味はないと。
それならば、目的を変えるだけだ。
この世界に自分を満足させる敵はいない。だがこの世界には面白い力はたくさんある。
敵に期待できないのなら、敵の力に期待するとしよう。
「さて、今後の方針か決まったのはいいけど。どうしようかな?」
石になってしまった燿の身体を軽く観察しながら考える。
折角大暴れしてやろうと思っていたのにその相手は石になってしまった。おかげで一気に暇になってしまった。
「なるほどなるほど。石化はこうなるのか」
ペタペタと、全身をくまなく触る。もし意識があったなら絶対に怒られる様なところまで。
「全身を一瞬で石化、か。敵を殺すにはあまりにお粗末な力だね。どうせなら内臓だけ石にしてしまえば簡単に殺せるのに」
物騒なことをつぶやきながら、観察を終わらせる。とりあえず異常はどこにもなさそうだ。
とはいえ、このまま放置して万が一倒れて壊れたりしたら大事。
「まぁ、不変のギフトでも簡単にかけておけば大丈夫か」
両手で石になった耀の肩を掴み、軽く念じる。それだけで、耀の体を白い光が包み込み、またすぐに消える。
与えたのは不変のギフトの簡易版。傘に込められたほど強力なものではないが、多少の衝撃であれば問題なく耐えられるだろう。ただ、このギフトには、かけられている間自分の体を動かすこともできないという問題点があるのだが、石化している今であれば問題ない。
ついでに、石化が解けると同時に解除されるようにも設定しなおす。
「さてと。こんなものかな。次は、飛鳥ちゃんのほうも確認しておこうか」
軽くその場でジャンプをし、同時にあるギフトを発動させる。すると周囲の景色が突然切り替わり、気づけば飛鳥の隣に瞬間移動した。
“跳躍”のギフト。このギフトは、望んだ場所に“時間”や“空間”を飛び越えて跳躍することができるという破格の能力を持ったギフト。さらに、普通にジャンプ力を強化することも可能。
正直これを使えば面倒なこともせずに全員で一瞬で最奥まで行けたのだが、それは秘密である。
そのまま飛鳥にも耀の時と同じように全身をくまなく観察する。耀の時と同様にどこにも異常がないことを確認すると、同じように不変のギフトの簡易版をかけておく。
他の人間はどうでもいい。敵にまで気を使うほどイオは優しくはないのだから。
「さて、と。とりあえず二人の無事は確認したし、これからどうしようかな?」
すべてが石化した城の中で一人呟く。とはいえやれることなど一つしかないのだが。
「とりあえず、十六夜の戦いでも観戦してようかな。他にすることないし」
にやりと笑うと、飛鳥のもとに来たのと同じようにまた跳躍し、その場所から姿を消した。
最悪の化け物が、二人の戦いに紛れ込もうとしていた。
という訳で、ついにイオが十六夜君のもとに向かいます。
はたして彼女はその戦いにどうかかわっていくのか!