問題児たちと《偽物転生者》が異世界から来るそうですよ?   作:嘉多華

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ごめんなさい。今週はいろいろと忙しくて、かなり短いです。あと、割と雑だと思います。
戦闘描写とか、もっと上手になりたいです


第23話 格の違い

 逆廻十六夜は地面を砕き、駆ける。

 

 決して油断せずに、自身の出せる全力で挑む。実際に手合わせしたことはないが、イオの身のこなし、醸し出す雰囲気から十六夜は彼女は自分よりも数段上の強者であると思っている。

 

 今回はイオ本人ではなく、彼女の操る人形、アルゴールが相手ではあるが、人形師“ドールマスター”という大層な名前のギフトを持っている以上、決して油断できるような相手ではないはずだ。

 

 だからこそ最初から全力。一撃で倒し切るつもりで、拳を振るう。

 

 ドォン!という派手な音を響かせて、十《・》六《・》夜《・》が壁に激突した。

 

「―――カハッ!」

 

 闘技場の壁に埋まった十六夜が苦悶の声を上げる。

 

 瓦礫と共に壁から外れ十六夜は思考する。

 

(今のは・・・もういちど、確かめてみるか)

 

 もう一度、先ほどと同じように全力で距離を詰め、今度はフェイントを混ぜて挑む。

 

(今度は見逃さねえぞ―――っ!?)

 

 今度はハッキリと見えた。こちらの繰り出す牽制の右拳、それをあ《・》え《・》て《・》受けとめ、まったく同じタイミングでの右足でのこちらの脇腹を狙った蹴りを放ってきた。しかもご丁寧に、こちらの一撃に合わせて体を回転させ、十六夜の攻撃の威力の一部を乗せると言う完璧なカウンターでの一撃だ。

 

 だが、さすがにすべての威力を殺すことはできなかったらしく、十六夜とアルゴールは互いに吹き飛び、お互い地面を削って勢いを殺し、壁への激突を防ぐ。

 

「驚いた。まさかこっちのカウンターに反応してフェイントから切り替えるとは。うんうん。やっぱり十六夜君と戦ってよかったね!」

 

「ハッ! そいつはどうも。期待に添えたようで何よりだ」

 

 ニコニコと笑顔を深めて笑うイオに、十六夜も苦笑で返す。

 

「な、なんとデタラメな!?」

 

「く、黒ウサギ。今のは・・・?」

 

 黒ウサギとジンは、絶対に邪魔をしないとイオと約束して、拘束を外され闘技場の端から二人の戦いを眺めていた。何が起こったのかをしっかりと把握している黒ウサギと違い、ジンには、二人のたった二度の交錯だけでは何が起こったのかよく分からなかった。

 

「そうですね。簡単に説明しますと一度目は、十六夜さんの拳を文字通り紙一重で回避したアルゴール・・・いえ、この場合イオさんですね。イオさんが回避したその腕をつかんで反対方向に十六夜さんの突撃の威力のまま投げ飛ばしました」

 

「投げ飛ばした!? そんなことが出来るのですか?」

 

 少なくともジンが見ているうえでは、十六夜の拳はそんなことが出来るような勢いには見えない。自分では回避すらできないだろう。

 

「いえ、さすがの黒ウサギでも回避することは可能でしょうが、十六夜さんの腕をつかむことはできないと思います」

 

 ましてやそのまま投げ飛ばすだなんて、と黒ウサギは続ける。

 

 十六夜の力はかなり強力なものだ。天地を砕くほどの力。かなりの俊足を誇るのだ。そんな彼にカウンターを入れるには、それを大きく超えるほどの反応速度を持っているか、十六夜の動きを完ぺきに見切ってでもいない限り不可能に近い。

 

「先に言っておくけど、別にアルゴールは強くなんてなってないよ。僕が操ってるのは体だけで、身体能力自体は何一つ変わっていないから」

 

 十六夜との戦いをつづけながら、イオが黒ウサギ達の会話に加わる。先ほど奪ったばかりの輝く羽で空を浮かびながら。

 

 その補足は、つまりは反応速度そのものは変わっていないと言う事。アルゴールは格闘においては十六夜に大きく劣ることは先ほど証明されているため、アルゴールを操っているイオが十六夜の動きを完全に読んでいると言う事だ。

 

 しかも、実際に目の前で退治しているのではなく、少し離れた位置から人形を操り紙一重で回避させることが出来ると言う事は本来なら難しい。それも紙一重で回避するとなればなおさらだ。

 

 たった二度の交錯で、十六夜は自分とイオの実力の差を思い知らされた。

 

「どうする、十六夜君? もうやめようか?」

 

 周りから見ているだけでも、正直十六夜が勝てるのかわからなくなってきた。先ほどの動きは、ルイオスとアルゴールと戦っていた時や、蛇神と戦っていた時よりもより速く、より全力だった。それを完璧に見切られてしまっているのだから、勝ち目があるようには思えない。

 

 だが、

 

「おいおい。ふざけたこと言うなよ。せっかく面白くなってきたんだ。続けるに決まってるだろうが!!」

 

 十六夜は獰猛に笑い、言葉通りに楽しそうに笑いながらもう一度挑みかかった。

 

 実力の差は明らか。だがそれでも十六夜の表情に敗北の意志は存在しない。絶対に勝つと言う意思を行動で示す。

 

 もちろんその拳は届かない。だが、今度は十六夜もカウンターを入れさせない。お互いに拳や足での攻撃を繰り出し、時に身をかがめて避けて反撃を返し、時には腕で防いで反撃を返す。

 

 実力で劣る以上。全力の攻撃では隙がありすぎる。ゆえに必然的に攻撃は威力を落とした速さ重視の連撃で対応する。

 

 かといってそれでも十六夜の拳はなおも強力なのだが、アルゴールを操るイオは打撃に合わせて体幹をうまく移動させ衝撃を外に逃がし、受け流すことでダメージを最小限に留めている。

 

 一見して互角の勝負を繰り広げる十六夜だが、その実完全に押され気味である。

 

 足りないのは戦闘技術。これまで十六夜は自分よりも圧倒的に強い相手との格闘の経験でイオに対して劣っているのだ。対するイオはこれまで何度も何度も、依桜天燈を相手に挑み続けてきた。強者との戦い方と、天燈と一つになったことで強者としての戦い方をも手に入れた。

 

 イオと天燈という、二人分の人智を超えた力と経験を持つイオにそう簡単に勝つことはできない。

 

 十六夜の攻撃を受け流しながら、隙をついて何度も放たれる鋭い一撃。完全な資格をついて放たれるその一撃は、威力は十六夜には劣るものの確実にダメージを募らせていく。そしてそのダメージが少しずつ十六夜の動きを鈍らせていき、また隙が多くなる。新たにできたすきを突かれて、と言う連鎖に少しずつ追いつめられているのだ。

 

 だがしかし、十六夜はそれでも笑っている。

 

「ハハッ! 楽しいなオイ! なあ、イオ!」

 

「フフフ! そうだね、楽しいよ十六夜君!」

 

 二人は楽しそうに、ギフトゲームの事を忘れて遊ぶのだった。




という訳で、せっかくの戦闘シーンなのですが、作者の実力不足でおそらく満足のいくようなものではないと思います。すみません。
戦闘自体はこの話で終わります。次の話でようやく第一章の終わりが見えてきました。
長々とお付き合いさせて申し訳ありません。
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