問題児たちと《偽物転生者》が異世界から来るそうですよ?   作:嘉多華

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何と書き上げることはできましたが、自分でも内容はどうかと思います。
・・・これで、いったい何人の人が離れてしまうのか。心配ですが大丈夫。
おそらく次の話で第1章はついに終わります。またもや、何話かに別れなければですが。
それでは、本編をどうぞ~♪


第24話 ついに決着

 勝負を忘れて遊び始めた二人を、空中に縫いとめられたままのルイオスはただ眺める事しかできなかった。

 

「なんで、どうしてこんなことになった・・・僕は勝たなきゃいけないんだ。なのにどうして・・・!?」

 

 自分が勝たなければ、自分は破滅する。だから戦わなくてはならないのに何もできない。だから、焦りばかりが募っていく。

 

「だから君はつまらないんだよ」

 

「!?」

 

 今度はそんなルイオスにイオが近づいて声をかけた。

 

「自分の力も理解せず、アルゴールの力も理解しようともしない。それで自分の力でもないものだけで、自分が強いと思い込んでる。そんなやつがリーダーなんてやってるなんてちゃんちゃらおかしいね」

 

「ふ、ふざけるな!」

 

「ふざけているのはどっちだ」

 

「―――!?」

 

 言葉の圧力。それに押されてルイオスは息を呑む。

 

 表情は変わっていない。イオは変わらずニコニコと笑いながら視線は十六夜から外さない。そのまま彼女は続ける。

 

「誰のおかげでコミュニティが存続できているのか、なんて言ってたね。そんなのペルセウスの騎士たちが優秀だったからだ。アルゴールが優秀だったからだ。はっきり言おう。このコミュニティに、君は必要ない。キミなんかがいなくても、むしろ、君さえいなければこんなことにはならなかった。これは君のせいだ」

 

 相手はたかが“ノーネーム”だと侮り、挑発した。ちゃんと確認さえしていればゲームもする必要もなかったものを、書類の確認をせず、ギフトゲームを受けた。

 

 そして何より、イオと十六夜のお気に召すだけの実力を持たなかったのは、ルイオスの性である。

 

「君の側近だっけ? 彼は弱かったけど、だいぶ良かったよ。キミなんかとは比べ物にならないくらいにね。他の騎士たちも少なくとも君なんかよりは随分といいよ。どんなに弱くとも、自分の力で戦ってたからね」

 

 間に言葉をはさませず淡々と言葉だけを連ねる。

 

「それに彼等には自分たちのコミュニティに対する自負を持っていた。コミュニティの為に戦って敗れた。なのにそのコミュニティのリーダーである君はどうだ。君は、自分の為だけに戦おうとした。自分が破滅したくないためだけに戦おうとした。別にそれが悪いとは思わないよ。誰だって自分が一番大事だし、戦う理由はどんなに取り繕うと自分の為でしかないんだ。でもね、君はリーダーなんだ。背負う立場なんだ。力あるものにはそれを全うするだけの責任がある」

 

 適当に言葉を並べ立て、気づかれないように糸を繰る。

 

「ノブレス・オブリージュ。力あるものの果たすべき責務。君はペルセウスと言うコミュニティのリーダーとして果たすべき責務がある。少なくとも、君はこのギフトゲームに参加している仲間たちの思いを背負うべき義務があるんじゃないの? それを君は考えず、自分が破滅するのが嫌だからという理由で敗北覚悟で挑もうとした。はっきり言って、それが一番ツマラナイ」

 

 話す言葉に意味はない。本来の目的を隠すためのカモフラージュ。

 

 イオの操る糸には、大きく分けて2種類ある。

 

 一つは今アルゴールを操っている糸。身糸と呼ばれる、肉体を動かすための糸の事。これを操ることで本当の人形のように相手を操ることが出来る。

 

 もう一つは、心糸と呼ばれる、心や精神、思考などといった本来見ることもできないものを操ることが出来る糸。これを操ることで、相手の記憶や思考、思想など、人格そのものを改変する事すらできる、恐ろしいものである。

 

 イオは今、そのルイオスの心糸を操っている。自分にとって面白い展開になるように、彼の心を弄ろうとしているのだ。

 

 だからイオは言葉を続ける。心糸を操られている相手は一種の催眠状態に近い。意味のない言葉でも簡単に相手の心に届けることが出来る。

 

「今の十六夜君を見てみなよ」

 

 言われた通りに、ルイオスは十六夜を見る。

 

 もはや戦況は均衡を保ってはいない。十六夜は何度も吹き飛ばされながら、何度でも立ち上がって挑みかかる。

 

 アルゴールは、向かってくる十六夜に拘束具を鞭のようにしならせて打ち付ける。十六夜は自慢の俊足でそれを回避しているが、死角から何度も伸びてくる攻撃に次第に追い詰められ、近づくのをあきらめて距離を取る。そこを狙って、地面から蛇の形をした石柱が伸び十六夜の背後から迫る。

 

「しゃらくせえ!」

 

 十六夜はそれを気合一閃、拳一つで弾き飛ばす。だが、今度はその隙をついてアルゴールが一気に距離を詰め、強烈な蹴りを受けて十六夜はまた壁に激突する。

 

「―――おら!」

 

 壁に激突した十六夜はすぐさま飛び掛かり拳を繰り出すも、アルゴールは腕を使って拳を横に弾き、またもや二人は近距離での格闘を繰り広げる。

 

 その光景をにこにこと眺めながら、イオは言葉を続ける。

 

「彼が今何を思って戦ってると思う? 少なくとも、負けるつもりなんてさらさらないよね、彼は。絶対に勝つつもりで戦ってる、って思わない?」

 

 言われた通りだと思うルイオスは悔しそうに俯く。

 

 その姿を見て、ちゃんと心糸を操れている事を確信し満足する。

 

 話の内容を、次の段階に移行する。

 

「・・・僕の知り合いにね、ヒーローや勇者にあこがれている奴がいるんだ」

 

 唐突な話題にルイオスはどうして今そんな話をするのかと困惑する。

 

「そいつがさ、男っていうのは誰だって、そういうものに憧れるんだって言うんだ。だけど成長するにつれて、現実を知り、少しずつそういった思いは薄れていく。最後には諦めてしまうんだって」

 

 ルイオスは唐突に思い出す。自分がまだ子供だった時の事を。イオの言う通り、あの頃の自分もそういったヒーロー、英雄と言われたペルセウスの伝説に憧れていた。

 

 子供ながらに、強くなるための修行の真似事のようなものもしていた。

 

 そして、同じくイオの言うように、成長するにつれそういった憧れは無くなっていた。自分は勇者なんかにはなれない。そんな力はないと、諦めた。

 

 結果が、今の自分であり、今のペルセウスの実態。

 

 でもそれがなんだと言うのか。

 

「自分の限界を知り、いつしか諦めてしまう。でもさ、諦めただけで、そういった気持ちは絶対になくならない。どんなにひねくれた大人になろうとも、男というのはいつだって夢を持っているんだって」

 

「―――!?」

 

 なぜか、ルイオスは自分の鼓動が早くなるのを感じた。

 

「一度は諦めた夢。だけど、一度諦めたからこそ、もう一度気づけたのなら限界を超えられる。夢にまた近づける。その知り合いは、そう言ってたよ」

 

「・・・・・・僕は、強くなれるのか?」

 

「なれるさ。今のアルゴールを見てみなよ。全く歯が立たなかった相手を、今のアルゴールは圧倒してるでしょ? さっきも言ったように、別にアルゴールが強くなったわけじゃない。それはつまり、今の君の力でも、頑張ればこれと同じことが出来るってことなんだよ」

 

「そうか」

 

 本当は、ルイオスがどんなに頑張っても、それはかなう事は無いだろう。イオとルイオスでは、文字通り経《・》験《・》が違いすぎる。この先一生かけて頑張ろうとも、ルイオスには届かない領域。

 

 それでも、言っていることは嘘ではない。少なくとも、あと十何年か頑張れば今の十六夜を圧倒できるだけの力をルイオスは手に入れることが出来るだろう。諦めずに努力し続ければ。

 

 だが、今はそれで構わない。

 

 面白くなってくれさえすれば、イオは構わないのだ。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 いったい何度目だろう。数える事すら面倒になりながら、それでも十六夜は痛む体を駆使して、アルゴールに挑みかかる。

 

 こちらの攻撃はやはり当たらない。最初のころは数発入っていたが、体力を消耗してしまった今の彼の攻撃は、ほとんどすべていなされてしまう。

 

 この世界に来て、初めて戦う圧倒的各上の相手。手も足も出ないとまではいかないまでも、届かない相手。

 

 今の十六夜を動かしているのは、本来の負けず嫌いな意地であり、それを大きく打天割るほどの、

 

(楽しいな、めちゃくちゃ楽しいじゃねえか!)

 

 面白いと言う感情。

 

 本来ならここまで叩きのめされていたら、諦めたり、楽しむような余裕などないのかもしれない。だが十六夜には今の時間が楽しくてたまらなかった。

 

 全力で戦うことが出来る、それが何よりも楽しいのだ。

 

「―――もっとだ、もっともっと、楽しませてくれよ!」

 

 何度叩きのめされようとも、何度でも立ち上がり、獰猛な笑みを浮かべて、勝つために楽しむ。負ける事なんて考えていない。今はただ楽しむことだけを、勝つことだけを考えて、何度も全力の拳を振るう。

 

「残念だけど、もう時間切れだよ」

 

「!?」

 

 イオのその一言と同時に、アルゴールは文字通り糸の切れた人形のように動きを止めた。十六夜は拳を止める事も出来ずに、アルゴールはそのまま殴り飛ばされ壁に埋まった。

 

 行き成りの幕引き。一瞬呆然と吹き飛ばされたアルゴールを眺めていた十六夜は、どうしてなのかと視線でイオに問いかける。

 

「ごめんね。このギフトで意志のある相手、特に強い相手を操れるのには時間制限があるんだ。それを無理に超えて操ると、最悪の場合完全に壊しかねない。だから、今回の戦いはここまでだよ」

 

「・・・そういう事なら、しょうがねえか」

 

 不完全燃焼だったが、そういう理由があるならしょうがない。十六夜も素直にあきらめる。

 

「でも、僕のゲームはここで終わりだけど、ギフトゲームはまだ終わってないよ、十六夜君?」

 

 イオの隣、それまでただ俯いていただけだったルイオスが立ち上がる。

 

「・・・ここまでコケにされて、何もせずに終わらせたりなんかできるか」

 

 俯いたまま、もう一度ハルパーを握りしめる。

 

 自分には力なんてない。あの時諦めてから、努力することも諦めた。

 

 今からどんなに頑張ろうと、英雄になんてなれないかも知れない。だけど、それでも、

 

「負けっぱなしは、嫌なんだよ・・・!」

 

 瞳に闘志の炎をもやし、ルイオスは十六夜を睨み付ける。そこにはもう迷いはない。自分のために、何よりペルセウスの名にかけて、絶対に勝つという強烈な意志が宿っていた。

 

 それを見た十六夜も、萎えかけた闘志を再び燃え上がらせる。

 

「何を言ったのか知らねえが、随分と面白いことになってんじゃねえか。―――いいぜ、ペルセウス。命懸けで、かかってこい!」

 

 もう一度、獰猛な快楽主義者が両手を広げてゲームの続行を促す。

 

「行けるな、アルゴール」

 

 ルイオスの呼びかけに、アルゴールは無言で横に立つ。なんとなくルイオスには自分と同じような思いを感じ取れた。どことなく、アルゴールと繋がれた気がした。

 

「あいつを叩きのめして、絶対に勝つぞ、アルゴール!」

 

「GAaaaaa!!!」

 

 翼を失った主と共に、灰色の翼は羽ばたく。コミュニティの為、何より自分たちのために、傷だらけの快楽主義者に挑むのだった。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

「さあさ、少しは面白く育ってもらわないとね♪」

 

 心糸を使っての催眠、正確には暗示のようなものを済ませたイオは、やはり変わらずニコニコと、三人の戦いを眺めていた。

 




本当に、自分でも何を書いているのか理解できなくなってきた。これはもはやただの言葉の羅列でしかないですね。

という訳で、第一章もやっと終わり近づいてきました。長々とお付き合いいただき、ありがとうございます。
第二章も、このまま見続けていただけたら幸いです。まあ、最低でもあと一話は先ですが。

それでも一応、こんな駄文につき合っていただき、ありがとうございます。続きもよろしくお願いします!
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