問題児たちと《偽物転生者》が異世界から来るそうですよ?   作:嘉多華

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という訳で、書き直して投稿です。

プロローグだけで、3話ほどかかりそうですね。このペースだと。

それでは、本編へどうぞです♪


第27話 あれ、なんか戻ってる?

 “ノーネーム”本拠。イオの私室。

 

 また少し時は進んで、とある日の朝。いつものように、依桜天燈は朝早くに目を覚ました。

 

「・・・・・・?」

 

 だがその日の目覚めは、いつもとは何かが違った。何がどう違うのかはっきりとはしないが、何か違和感を感じた。

 

 しばらく寝起きの頭で考えてみても、寝ぼけていることもあり今一つ何が違うのか分からなかったので、とりあえずベットから降りる。そして、違和感の正体に気づいた。

 

「・・・目線が、高い?」

 

 最近ようやく見慣れてきた自室としてあてがわれた部屋。すべての家具やらの位置は、自分の身長に合うように調節してある。それなのに、今の自分にとってそれらは全て、小さい位置にある。

 

 そしてもう一つの違和感。

 

「あ、あー・・・うん、やっぱり、これは・・・」

 

 これまでの自分の声は、年齢相応に若く高い少女のものだったが、今の自分の声は低い男性の、さらに言えば少し前までよく聞いていたものと同じものだった。

 

 すでになんとなく見当は付いたが、一応部屋の中にある鏡を使って自分の顔を確認する。

 

 そこに移っていたのはもちろん昨日までの自分の姿、ではなく―――

 

「おお、“俺”に戻ってる・・・」

 

 “本物”の、依桜天燈の顔だった。

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 

 ふむ。なぜ突然戻ったのか。原因は、きっかけとなったものは、など考えることはいくつもあったが、天燈がまず最初に行ったのは、

 

「まずはこの、気色の悪い恰好から着替えねえとな」

 

 体は元に戻っても、来ていた服は変わらない。いつもイオが寝ているときのパジャマなので、サイズもかなり小さく、今の自分の姿をもし誰かに見られたら完全に変態でしかないような姿になっていた。

 

 なので、とりあえず誰かが間違ってはいって来れないように部屋の扉を塞ぎ、部屋のカーテンも隙間を完全になくす。

 

 すぐさま来ている服を全部脱ぎ捨てて、イオのギフトを使って、適当な布から以前の自分が着ていたのと同じ服、蒼い帯の黒い着物を作り出して身にまとう。

 

「・・・よし。しっくりくる」

 

 姿見を確認すると、そこには身長170cmほどの黒髪に黒い着物姿でニヤニヤと表現するような笑顔をした、以前までの自分と何一つ変わらない姿が映っている。

 

 新しく作ったものだが、その着心地はまるでずっと着続けてきたかのようなもの。さすが、イオのギフトの力だなと改めて実感する。

 

 今の自分は、どうやら完全にはイオと混ざり合ってはいないらしい。こうして彼女のギフトを使う事もできるし、彼女の記憶もはっきりと持ってはいるが、考え方などといった面では、以前の自分に近い感じだ。

 

「存在を奪われたと言っても、完全に融合するわけじゃないんだな」

 

 思考の面においても、ある程度二人の考え方が混じっているのは分かるが、天燈の方は若干楽観的、イオの方は悲観的と、以前のそれぞれの考え方に偏っている。

 

「やめだやめだ。こういう難しいことを考えるのは俺の仕事じゃないしな。気にはなるが、いつまでこの姿でいられるのかもわからねえし、まずは楽しまねえとな」

 

 イオの影響で若干考え込んでしまった。こんなのは自分のキャラじゃないと、頭を振って考えを振り払う。

 

「さてと。とりあえず、時間はほとんどねえだろうから、イオの奴が散々逃げ回ってた十六夜君とでも遊んでやるとするかねえ」

 

 にやにやとしたかつての自分の笑顔を浮かべて、部屋を後にする。

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 

 天燈は思いのほか早く十六夜を見つけた。

 

 というか、すでに“見て”いたので、居場所はすぐにわかった。本当に便利なギフトだ。

 

「よお、十六夜君! 一緒に遊ぼうぜー!」

 

「・・・誰だ、お前?」

 

 まるで友達に話しかけるように気軽に話しかける天燈。

 

 だが当然、今の天燈の事など誰も知らない。見知らぬ相手に訝しむ目で見てくる十六夜に変わらず天燈はにやにやとした笑顔で話しかけ続ける。

 

「おいおい、寂しいな~。俺だよ俺! もう忘れたのか?」

 

「・・・いや、マジで誰だよアンタ」

 

 全く見おぼえもないような相手からいきなりこんな気安い態度で接せられたらたいていの人は似たような反応をするだろう。

 

 だが十六夜は、目の前にいる黒い着物姿の男を見て、同時に既視感も感じていた。確かに会った事は無いはずなのに、なぜかどこかに見覚えがある、と。

 

「おー、マジで忘れられてらあ。お兄さん寂しいな~」

 

 さびしいと言いながら、表情は変わらずニヤニヤとしている。一応肩を竦める動作をしていることから、一応はそう思っているのだろう。

 

 そして、十六夜は気づく。

 

(常に変わらない笑顔、飄々としてつかみどころのない態度・・・)

 

 それに何より、ただ目の前にいるだけで伝わってくる、ただものではない威圧感。それらによく似たものを、自分は確かに知っていた。

 

「・・・お前、まさかイオなのか?」

 

 そう。それらはこれまでずっと一緒にいたイオの雰囲気とそっくりなのだ。

 

「ん? 違うけど?」

 

 天燈は即答した。

 

「―――いや、だったらほんとに誰なんだよアンタ!?」

 

 半分以上確信をもっていた分だけに、あっさり否定されて思わずずっこけそうになる。

 

「ああ、違う違う。別に十六夜君が間違ってるわけじゃないぜ? 確かに俺は依桜天燈だが、イオじゃあない。・・・聡明な十六夜君なら、これだけで分かるよな?」

 

 人を小馬鹿にしたような笑み。そう見えなくもない表情で告げられるが、不思議とそこに悪意を全く感じない。

 

 それもやはり、十六夜が知っているイオとよく似た感覚だった。

 

「多重人格、か? いや、それだと肉体の性別まで変わりはしない。ならそういったギフト・・・」

 

 十六夜は言われた言葉を頼りに思考を巡らせる。

 

 最初から疑問に思っていた。なぜイオは、依桜天燈と名乗っておきながら、ああもイオと呼ばせることにこだわっていたのか。

 

 よく考えれば、確かに天燈という名前は女の子の名前としてどうかと思うし、そもそもそんな名前自体普通は人の名前になどしない。

 

「イオじゃあないと言う事は、本来のあいつの名前の方が、依桜天燈じゃない?」

 

「おお! まさか本当にこれだけで伝わるとは思わなかったぜ!」

 

 パチパチと依桜天燈は手拍子で褒め称える。

 

 自分で言っておいて、こいつは全くそんなこと思ってなかったのか。十六夜はそこに呆れる。

 

 何を考えているのか全く分からないところも、やはり十六夜にはイオと同じように見えた。

 

「さて、それじゃあご褒美にもう一つだけヒントだ」

 

 面倒なその態度に若干うんざりしてきたが、天燈はそんな十六夜を無視して、腰に両手をあてて十六夜の反応を窺う。

 

 こちらが何か返さない限り、何も言うつもりはないらしい。

 

「・・・ヒントって、なんだ?」

 

「あいつが説明したギフト。その中に答えがある」

 

「それ、もはや答え言ってんじゃねえか!」

 

「わはは!」

 

 十六夜はなんだか頭が痛くなってきた。だがこれではっきりした。今目の前にいる依桜天燈と、十六夜の知っている依桜天燈は似ている。見た目は全く別人だが、確かにそう感じる。でも、この二人は本当に別の人間なのだろう。

 

 とにかく、イオと話していても、此処まで面倒だと思った事は無い。

 

 改めて、ヒントを元に十六夜は考える。

 

 今現在、イオから説明されたことがあるギフトは、“同行”、“人形師”のギフトに、

 

 ―――“蒐集者”(コレクター)のギフト。

 

「・・・相手から何でも一つだけ奪うギフト、まさか、存在の略奪か・・・!?」

 

「エグザクトリー!」

 

 声高々と天燈は肯定する。

 

「おいおい、マジかよ・・・」

 

 存在の略奪。つまり、十六夜がイオと呼んでいる相手は、今目の前にいる依桜天燈という一人の人間をその存在ごと奪ったと言う事だ。

 

 言うほど簡単なことではない。現に、イオ自身も最後の最後になるまで天燈の事を奪う事が出来なかったのだから。

 

 そもそも、ただの人間にはたしてそんなことが出来るのだろうか。

 

「ま、そんなことは置いといて」

 

「自分で言っておいてか! ・・・ったく。違うのは分かったが、それでもやっぱり同じなんだな。アンタも、イオも」

 

「わはは! そりゃそうさ。昔は別々でも、今の俺達は完全に一人の人間でしかないんだからな」

 

「二人の人間の意識が、一つに混ざった・・・それが、存在を奪うと言う事なんだな」

 

 本当に、こいつらには驚かされてばかりだ。いつものようにそう思いつつ、十六夜も納得する。何が出来てもおかしくないと、すでに理解していたから。

 

 楽しそうに薄く笑う十六夜に、天燈も気をよくして笑みを深める。それはもう、にやにやとしたものではなく、まるで子供のように楽しそうに笑う。

 

 そして、告げる。

 

「俺と遊びたかったんだろ? だったら、今だけ遊んでやるよ」

 

「――っは、そいつは、望むところだぜ!」

 

 両手を広げ、実に楽しそうに笑う天燈。まるで、いつかの際限のように唐突に、二人は対峙する。

 

 役者の違う人形劇が、また再現されようとしていた。

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 

(はあ、めんどくさいなぁ)

 

 そんな光景を、イオはただ眺めていることしかできない。

 

 今のイオは、いうなれば幽霊みたいな状態だった。

 

 肉体は無く、ただ意識だけが存在する。自分の意志でごく事は出来ず、天燈の傍で出来事をただ傍観していることしかできない。

 

(今までの天燈も、こんな感じだったのかな・・・)

 

 そう考えると、なんだか寂しい。少なくともイオにとっては、今のこの状況は耐えられないものだった。天燈であればこんな状況でも楽しんでしまえるのだろうが、自由に動けない、束縛されるのことを、イオは大嫌い。

 

 だから、そういうときは思考に没頭する。自分の世界にのめり込む。現実はどうであれ、自分の世界の中であれば、何物にも縛られる事は無いから。

 

(てっきり、僕と天燈は完全に混ざって、天燈としての意識は完全に消えたものだと思ってたけど、どうやら違うみたいだ。だとしたら、ふふふ・・・♪ 面白いことになりそうだ)

 

 もし、今のイオの表情が見えたとしたら、やはり変わらずににこにこと笑っていたのだろう。

 

 今日も今日とて、化け物たちは平常運転している。

 

(これからも、ずっと、面白くなったらいいなあ♪)

 

 新しいやりたいことを見つけた化け物は、今後の計画を立てる。

 




戦闘描写が苦手です。どうにも単調になってしまう・・・。

こうやって自分で書きながら、少しずつうまく書けるように勉強していきます。

ではでは、次の話もお楽しみに?
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