問題児たちと《偽物転生者》が異世界から来るそうですよ?   作:嘉多華

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大変お待たせいたしました。でもやっぱり、今回もあまりお話は進みません。ごめんなさい

それでは、本編へどうぞ~!


第32話 到着、そして逃亡

 

 三人が外に飛び出すと熱い風が頬を撫でた。

 

 一瞬で移動したこの場所からは、街の一帯が展望できた。

 

 北と東を区切る天を突くかというほどに巨大な赤壁。境界壁。

 

 色彩鮮やかなカットガラスで飾られた歩廊。数多に点在している、境界壁の陰に重なる場所を暖かな光で照らす巨大なペンダントランプ。挙句キャンドルが二足歩行で街を闊歩していたりする。

 

「今すぐ降りましょう! あのガラスの歩廊に行ってみたいわ!」

 

 胸の高鳴りが静まらない飛鳥が熱っぽく訴える。

 

「ああ、構わんよ。続きは夜にでも―――」

 

 その時、ズドォン!!という爆撃のような着地音と共に何かが落ちてきた。

 

「ふ、ふふ、フフフフ……!ようぉぉぉぉやく見つけたのですよ、問題児様方!」

 

 それは当然、怒りのオーラを振りまく黒ウサギ。

 

「逃げるぞ!」

 

「逃がすか!」

 

 いち早く危機を感じ取った十六夜は即座に飛鳥を抱えて跳ぶ。遅れて耀も空に逃げようとするが、追って跳んだ黒ウサギに足を掴まれてしまった。

 

「耀さん捕まえたのです! もう逃がしませんよ!!」

 

 少し壊れ気味のに笑う黒ウサギは着地と同時に白夜叉の方に向かって耀をブン投げた。

 

「きゃ!」

 

「おっと!?」

 

 反射的に耀を抱きかかえた白夜叉が黒ウサギに抗議しようとするが、

 

「白夜叉様、耀さんの事をお願いします! 黒ウサギは他の問題児様をとらえて参りますので!」

 

「ぬっ・・・・・そ、そうか。良く分からんが頑張れ、黒ウサギ。」

 

 黒ウサギの勢いに負けて頷く白夜叉。

 

 そのまま、黒ウサギは十六夜達を追って行った

 

「さて、このままここにいても仕方ない。黒ウサギにも頼まれておるし、少し話したいこともある。あやつも待たせておることだし、とりあえず戻るか」

 

「・・・そうだね」

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 

 そんなわけで、耀と一緒に戻ってきた白夜叉から、イオのこととついさっきあった事についての話を聞いた天燈は、

 

「・・・なるほどな。そんなことがあったのか」

 

 少しの思考時間を経て一人頷いていた。

 

 そのまま、何かを考え込むように顎に指を当てて黙り込んでしまう。

 

「しておんしら何をしてあそこまで黒ウサギをおこらせたんだ?」

 

 仕方ないので、白夜叉の問いに耀が事の経緯を話した。

 

「ふむ、なるほどのう。しかし“脱退”とは穏やかではない。ちょいと悪質ではないか?」

 

「それは・・・うん。だ、だけど、黒ウサギも悪い。お金が足りないことを話してくれれば、私たちだってこんな強硬手段はしないもの」

 

「普段の行いが裏目に出た、とは考えられんのかの?」

 

「それは・・・だ、だけど、それも含めて信頼のない証拠。少し焦ればいい」

 

 拗ねたように言う耀を見て、ックックッと白夜叉は笑った。

 

「そういえば、大きなギフトゲームがあるって言ってたけど本当?」

 

「本当だとも。特に、おんしには出場してほしいゲームがある」

 

 そんな二人の会話を無視して、天燈はこれまで得た情報を整理し、今自分に課せられているであろうイオからの課題を考える。

 

 まず、今の天燈はおそらく人形である。

 

 イオが“人形師”のギフトで作り出した、意志を持って動く人形、それが今ここにいる依桜天燈。

 

 そうだと考えれば、本来自分のギフトであるはずの“見たいものを見ることが出来る”ギフトが、今使えないのは納得ができる。

 

 あとは、今朝目が覚めた時からの違和感。何かが足りないと思っていたのは、使えるギフトが以前から比べてなぜか少なくなっているためと、イオの存在をどこにも感じないから。

 

 それらの事から考えて、そして、イオの性格から考えて、今の自分はただの人形だと結論づける。

 

 次に、なぜこうして自分が存在しているのかの目的。それについては、此処までの情報からでは完全には理解できない。

 

 おそらく、自分がこうしてこの場所に来ることで、何かを行おうとしているのだろう。

 

 まあ、こういった考え事はこれまでもイオの分野だったのだから、天燈が何かを考える必要もないのかもしれない。むしろ、何も考えずに行動しても目的を達成できるように、イオの方で考えているはずだ。

 

 その証拠に、今ここにイオはいない。それは、別の場所で何か仕込みをしているという証。

 

(よし。俺はこれ以上は何も考えないでいいか。とりあえず、このお祭りを全力で楽しむとしよう)

 

 そこまでまとまったところで、天燈は思考するのをやめた。元々、その場その場で適当に、自分勝手に楽しんでこその天燈だ。うだうだ悩んで行動したところで、むしろイオの邪魔をするだけだろう。

 

 なら、自分に望まれているのは、イオを手伝うことなどではなく、いつも通りに行動する事。

 

 天燈がそう結論づけると同時に、どうやら耀と白夜叉の方の話も終わったらしい。

 

 どうやら耀は黒ウサギと仲直りするために、白夜叉から提案されたギフトゲームに参加することにしたらしい。

 

 そのギフトゲームの開始まで、まだ時間もあると言う事で、三人はしばらく黒ウサギ達の事を待ちながらのんびりと休んでいることにした。

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 

 その頃イオは、

 

「それじゃあ、後は頼んだよ、イオにゃん♪」

 

「ん、任された」

 

 頷いたのは、イオと同じ顔、同じ服装をした人形。

 

 ただ、頭に着いた猫耳と、尻尾が生えているところが違いといえば違いだろう。

 

 イオにゃんと呼ばれた猫耳イオは、イオと別れてどこかに消える。

 

「うん・・・。イオにゃんに任せておけば、まあ天燈も面倒方向に向かう事もないか」

 

 イオにゃんとは、イオの“人形師”のスキルによって作り出した人形。意志を持ち、完全に自立して行動することが可能な人形である。イオにゃんのほかにも何体も同じような人形を作っているのだが、その中でもイオにゃんは、イオが一番最初に作り出した人形。通称、イオちゃん人形2号であり、猫をベースに考えて作られたので、イオにゃんと呼ばれている。

 

 イオが一番信頼しているのが、イオにゃん。だから、重要なことは全て彼女に任せた。だからあとは、

 

「僕のするべきことだけに、集中しないとね・・・」

 

 これからやろうとしていることに、全力で当たるだけだ。

 

「さあ、魔王ちゃんの所に行くとしますか~♪」

 

 静かに笑い、誰もいない路地裏から忽然と、姿を消したのだった。

 




もしかしたら、これから先の更新は完全に不規則になってしまうかもしれません。どうにも他のことが忙しくて、毎週確実に書き上げるということが厳しくなってきてしまいました。

週一、2週に一回と、どんどん更新頻度が遅くなってしまい、楽しみにしてくださっている方にはご迷惑をおかけします。ですが、やはり最後まで更新をやめるつもりはありません。

なので、これから先もどうか長い目で見て下さると助かります。それでは、また次のお話でお会いしましょう~!
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