He have gone to Gensokyo. 作:風峰 虹晴
「はぁ………はぁ………」
転生してこの迷いの竹林に来てから数時間。いつになっても竹しか見えない。出口なんか見つからない。もうダメ挫けそう………
「はぁ………はぁ………」
でも、とりあえずここから出ないと何もできない。最悪の場合妖怪に殺されるかもしれない。だから、俺はひたすら歩き続けた。しかし……
「もうダメ!疲れた〜!」
俺は根を上げ、地面に座り込んだ。いつまで経っても景色が変わらない。そんな状況で歩き続けたら、マジで気が狂う……。
「ここで少しの間休もう………。」
俺はバッグの中から水筒を出して飲んだ。ちなみに服装は俺の通っていた制服。持ち物は教科書やら弁当(空)やらなんやら…。水筒のお茶だって多分もうすぐなくなる。そうなる前に、人里に行っておきたい。
「さて………、頑張りますか。」
俺は再び立ち上がり、歩き出そうとしたとき、何処かで茂みがガサガサと揺れる音がした。
「ッ!?」
俺の体と思考は臨時体制に入り、周囲を警戒していると、目の前の竹林の中に、人影が見えた。
「?誰かいるのか?」
俺の緊張はさらに高まった。めっちゃ心臓がバクバク言ってる。そして、ついにその人影が正体を現した。
「…………………?」
「…………………?」
白い髪に白と赤の服とリボン。間違いない………この人物は……!
「藤原………妹紅…………」
ヤバイヤバイヤバイヤバイ………!!いきなりEXキャラとか……
「おい人間……なんで私の名前を知ってるんだ………?」
妹紅がそう言うと、周りの空気が張り詰めて、少し気温が上がっていた。そして、俺は全身に大量の冷や汗をかいていた。なんかわかんないけどキレてる………
(早く………逃げないと………!!)
俺はそう思って走ろうとしたが、足が動かない。今になって足の疲れが………?いや、もしかしたら…いや、もしかしなくても………
(怖い…………)
恐怖。その感情が俺の足を止めていた。
「なんで私の名前を知ってるのかって聞いてるんだよ………。」
一歩ずつ、ゆっくりと、しかし確実に距離を詰めてくる。一歩一歩進むたびに気温が上がって暑い。けど、俺は暑さと恐怖による汗で、全身が冷たかった………
「……………チッ、答えねぇみたいだな…………」
そう妹紅が言うと、妹紅の周りに火の玉がボッ、ボッ、と現れ始めて……その数、ざっと数えて100以上。
「なら、力づくで吐かせてやる!!」
そういうと、妹紅は火の玉の弾幕を俺に向けて発射していった。………折角この世界に来たんだ……簡単に死にたくない……止まれ……止まれ……
「止まれぇぇぇぇぇぇ!!」
俺は目を閉じて叫び、死を覚悟した……しかし、いつまでたっても火の玉が来てる様子がない、恐る恐る目を開けると………全ての火の玉が止まっている。妹紅も驚いてその様子を凝視している。……俺の声が火の玉に通じた……?なら………
「行け!!」
俺がそう叫ぶと、火の玉は一斉に妹紅に向けて発射され、妹紅は間一髪で躱す。
「てめぇ……ふざけんな!!」
妹紅は完全にキレたみたいで、さっきよりも大量に火の玉を作り出す。そして、俺は1つのことを試す。
「出てこい!!」
俺がそう叫ぶと、俺の周りにも妹紅と同じぐらいの火の玉が現れる。
(よくわかんないけど……やるしかない!!)
そして、俺と妹紅は同時に火の玉を発射し始めた。
次回もお楽しみに〜