He have gone to Gensokyo. 作:風峰 虹晴
すいません(´・ω・`)
兄さんが死んでから、ちょうど今日で2年が経った。私は学校を休み、父さんと母さんと一緒に兄さん、焔 炎火のお墓にお墓まいりに来ていた。……正直、まだ兄さんが死んだということが受け入れられない。いつも明るく、ウザいバカ兄さんが、死んでしまったことが。私と父さんと母さんは、兄さんのお墓がある墓地に来て、お墓の前にしゃがみ、線香に火をつけ、手を合わせる。
「ううっ……炎火……。」
母さんはお墓の前で手を合わせながら泣いている。父さんも、顔が見えにくいが、泣いているようだ。……それに比べ、私は泣いていない。泣いたら、兄さんが死んだことを受け入れてしまう気がする。だから泣かない。御墓参りを終え、家に帰り、自分の部屋に私は閉じこもった。あれからずっと、心に穴がずっと空いている。私は、2年前に撮った私と兄のツーショットの写真を見つめる。……この写真の私とバカ兄さんは、とても元気に笑っている。
「……兄さん……。」
私は堪えきれず、目から涙を溢れさせる。兄さんは優しかった。私がどんなにイタズラしてもあまり軽くデコピンするぐらいだったし、勉強だって教えてくれた。ほんっとうにバカでアホに兄さんだけど、私にも、みんなにも優しかった。死ぬときだって、轢かれそうな子供を助けて死んだ。兄さんらしい最後だった。私にとっては、唯一無二の存在だった。
「うわぁあぁああぁ……。」
私は声をあげて泣く。去年のこの日も泣いてしまった。泣かないと決めた筈なのに。抑えられない。今日さえ泣かなきゃ良かったはずなのに。他の日なら泣かないはずなのに。私は必死に堪え、泣き止んだ。
「部活行こうかな……。」
私は部活には間に合う時間なので、用意して部活に向かう。ここでジッとしてる気分にはなれない。
「父さん母さん。部活に行ってくる。」
「……わかったわ。」
「気をつけるんだぞ。」
「うん。」
私は父さんと母さんに部活に行くことを言い、私は家を出た。
「ねぇ。」
「ん?何?」
私は部活を終え、片付けをしていた。すると、友達が話しかけてくる。
「大丈夫?練習中もずっと元気なかったけど……。」
「……大丈夫だよ。それより、早く片付けよ。」
「うん……。」
私は黙々と片付けた手を緩めず、片付けを続ける。部活中は元気に振る舞おうと思っていたんだけど、やっぱりいつもより元気がなかったらしい。
片付けを終え、家までの帰路を私は歩いていた。帰り道も、兄さんがいたらすぐなのになぁ……。そんなもう叶わないようなことを思いながら私は帰る。兄さんがいた時は一緒に喋りながら帰っていたので、もっと楽しくて、短い時間だった。けど、今は苦痛な時間が長く続く。やっと思いで家に着き、自分の部屋に入って荷物を置き、ベッドの上に寝転がった。……やっぱり、ジッとしてるの落ち着かない。私は外に散歩に出る。……そういえば、兄さんも1人で外を散歩してたなぁ。私も昔はこんなことしてなかったのに……。
「あ……猫。」
「にゃー。」
目の前に、黒い猫が一匹。そういえば、兄さんも猫好きだったなぁ……。どうして、こんな時にも兄さんのことを考えてしまうんだろう。黒い猫は私のことをジッと見つめた後、目の前を逃げるようにではなく、目的地に向かうように歩いていく。……まるで、私を何処かへ連れて行きたいようだった。……ついて行こうかな。私はその猫のことを追いかけることにした。猫は角を曲がるときも、私のことを見てから角を曲がる。……私はずっとその猫のことを追いかけ続けた。私は、なんとかギリギリ帰れるほどの遠い場所に来ていた。
(どこまで行くんだろ……。)
「……にゃー。」
まだ猫は進む。路地裏の中を進んでいき、薄暗い道を歩き続ける。そして、ようやく路地裏から抜ける道へ。その先にある光が路地裏を照らしていた。
「はぁ……ってあれ?」
路地裏を抜けると、街の中……の筈なのに、そこは森だった。やばい。ここは危険な気がする。私はそう思い、路地裏に引き返そうとした。しかし、後ろに路地裏はなく、木々が立ち並んでいるだけだった。
(ここ……どこ……?)
すると、どこからか、何かが近寄ってくる音が聞こえる。暗い森の中で辛うじて見えたそれは、人型だが、異形の生物。まさに、怪物。それが二体、私の方にやってくる。
「ニン……ゲン……。」
その怪物達は私の方に近づいてくる。
「オイシ……ソウ……。」
美味しそう?……まさか、私を食べるの?
「クウ……。」
一歩ずつ、私の方に近づいてくる。私は怖くて、足が動かない。
「アァ……。」
怖い……。
来ないで……。
怪物達は足を進める。
怖い……。
嫌……。
死にたくない……。
「助けて……。兄さん……。」
「炎符『ファイアーマシンガン』!!」
すると、森の上から炎の弾が飛んできて、怪物達を襲う。すると、1人の男が空から降りてくる。その男は、二体の怪物を目の前に、恐れもせず、立ち塞がる。
「ジャマスルナ!」
「ソイツハオレタチノエモノダ!」
「そんなこと俺が知るか!」
男は腕を突き出す。その男に、二体の怪物は突っ込んでいく。
「炎砲『サラマンダーの息吹』!!」
その男は突き出した腕から極太の炎の光線を放つ。その光線に、二体は巻き込まれ、光線が止むと、二体の怪物は、気絶していた。男は振り返り、私の方を見る。怪物を簡単に倒した異能の力を持っている男は、見覚えがある。小さいころから優しくしてくれて、ずっと一緒に過ごしていて、そして……2年前に亡くなった男。
「……怪我、ないか?」
「……うわぁぁぁぁん!兄さぁぁぁぁん!!」
私は自分の兄である男に抱きつき、大きな声を上げて泣いた。
急展開は俺の十八番