He have gone to Gensokyo. 作:風峰 虹晴
「ん……ふわぁ……。」
私は目を覚まし、体を起こす。……夢は夢だったのかなぁ……。
(夢じゃないですよ♪)
「うわぁ!?」
私は周りを見渡す。私以外誰もいない。幻聴?それだった私ついに頭がやばいことに……。
(幻聴じゃないですよ?)
「えっ、ええ?じゃあなんで?」
(あなたが私の夢を見たお陰か、意思疎通が可能になりました♪あと、別に喋らなくても頭の中で会話できますよ?)
そうだったんだ……。じゃあ、やっぱりあれはただの夢じゃなかったんだ……。っていうか、神様と意思疎通できるなんて凄い?のかな?
(凄いと思いますよ?こんな事が出来るとは思っていませんでしたし。)
(あ、そうなんですか……。)
(そうですよ♪)
思ってたより神様言動が軽い……。年上のお姉さん優しいお姉さんみたい……。
(あら、ありがとうございます♪)
(ど、どういたしまして……。)
考えてること筒抜けだ……。まあ、夢の中でもそうだったし、神様って本当に凄いなぁ……。私はそんなことを思いながら立ち上がり、着替え始める。顔も洗い、私は部屋に戻った。兄さんが朝ご飯持って来てくれると思うから……。
(炎火のことを見るのは久しぶりですね……。)
(兄さんとは喋れないんですか?)
(あなたが特別だから喋れてるだけで、炎火と喋れません。)
(あ、そうなんですか。)
本当に、神様と喋れてるのは特別なんだ……。まあ、神様とそう何人も喋れたらおかしいもんね……。
「灯乃子ー?起きてるかー?」
「あっ、うん。」
兄さんが扉の外から部屋の中の私に向かって喋りかけてくる。一瞬喋り方を忘れちゃってた……。心の中で神様と喋ってたらこんなことになってしまうのか……。
(メリハリが大事ですね。)
(そうですね。)
「開けてもいいか〜?」
「いいよ〜。」
私が部屋の外にいる兄さんに許可を出すと、扉が開き、兄さんが入ってくる。やはり、兄さんもちゃんと着替えている。
(久しぶりに見ましたね……。前に見た時より、かなり雰囲気が違います……。)
(あ、わかります。)
確かに、久し振りに兄さんを見た時、いつも過ごしていた時と比べれば、少したくましくなった……って感じかなぁ……。
「あっ、サラちゃんとスカーレットちゃんまだ寝てるの?」
「いつものことだろ?」
「確かにね。」
私と兄さんは一緒に笑う。サラちゃんは兄さんの頭の上で、スカーレットちゃんはポケットの中で気持ちよさそうに寝ている。朝から寝てるのに、昼寝をするときも多い。前からそうだったらしい。
(火龍と火の妖精ですか……。仲が良さそうですね……。)
(フレンドリーな子達ですよ。兄さんが召喚?したらしいです。)
(へぇ、かなり能力を使いこなしてますね……。)
(戦闘なんて化け物です……。)
「ん?どうした?灯乃子。」
「あっ、ううん。なんでもない。」
兄さんに怪しまれちゃった……。まあ、気にしないようにしておこうか……。
「朝ご飯持ってきたぞ〜。」
「あっ、うん。ありがと〜。」
兄さんは部屋の外に出て、朝ご飯を持ってくる。凄いな〜……。今日も美味しそう……。また兄さんに料理教えてもらおうかな?兄さんは朝ごはんを置くと部屋の外に出て行ってしまった。
(へぇ……炎火って料理上手なんですね。)
(向こうにいる時もたまに作ってましたけど、ここまで上手ではありませんでしたね。)
そういえば前に兄さんに「なんでそんなに料理上手になったの?」って聞いたら「ここで作ってるからも、一回に死ぬほど作る時があったからかな……。」って、遠い目をしながら言われたことがある。
(へぇ、そんなことが。)
「じゃあ、いただきまーす。」
私は朝ごはんを食べ始める。……んん!やっぱり美味しい!プロ?そんなわけないか。私の兄さんが料理のプロなわけないね。
「ごちそうさま。」
私は朝ごはんを食べ終え、台所に片付けに行く。そして、台所で食べ終えた食器を洗い終わり、庭の縁側まで歩く。
(神様。本名とかってあるの?)
昔からのちょっとした疑問。今話せるのなら、聞いておきたい。
(勿論ありますよ。神なんて本名だったら嫌ですよ。)
(教えてもらっていいですか?)
(いいですよ?別に本名で呼んでもらっても構いませんし。)
(ええ!?そ、それはなんかちょっと悪い気が……。)
(気にしないでください♪)
やっぱりこの神様軽い。フレンドリーな方がいいけどなんか調子狂うなぁ……。
(もっとフレンドリーな方がいいですか?)
(えっ!?あっ、大丈夫です!)
(いいんですよ?私これ素じゃないんでやりにくいです……。)
どんどん神様のイメージ像が崩れてきてる……。崩落が止まらないよぉ……。私にとって神様って……。
(私の本名は天 月渚(アマノ ルナ)です。気楽にね?灯乃子♪)
(う、うん。よろしく、ルナ。)
その時、私の中で神様のイメージ像は完全に崩れ去りました。塵1つ残さずに。
(ねぇルナ。)
(何?灯乃子。)
やはり慣れない。神様よ、それでいいんですか?まあ、いっか。ね?許可貰ったし。ね?ん?え?私にもわからん。
(私の能力って……何?)
(『熱を操る程度の能力』だよ。使ってみたら?)
(う、うん。)
私は両手を前に出し、試しに右手に高熱、左手に冷熱を発生させてみる。すると、右手が凄く熱くなり、左手が凄く冷たくなる。右手は火傷しそうなぐらいなのに火傷せず、左手は凍りそうなのに凍らない。
(使ってみてどう?)
(不思議……。)
私は思いつきで右手と左手を合わせる。すると、爆発のような空気の膨張が起き、私は後ろに吹き飛ばされる。
「きゃあっ!」
私は後ろに吹き飛んで転んでしまう。すると、ドタドタという音が廊下に聞こえ、その方向を見ると、兄さんが私の方に来ていた。
「灯乃子、大丈夫か!?」
「う、うん。大丈夫。」
兄さんは私のことを心配してくれている。やっぱり、優しい。
「全く……なにやってんだ?」
「あ、あはは、ちょっとこけちゃって……。」
「全く……気をつけろよ?」
兄さんは私にそう言って何処かへ行く。
(いいの?本当のことを言わなくて。)
(いいの。)
私は兄さんの背中を見ながら、ルナにそう言った。
急展開なんてレベルじゃない希ガス(´・ω・`)