He have gone to Gensokyo. 作:風峰 虹晴
兎達の世話係就任から数日
「お前ら!!サボってないで仕事しろぉぉぉ!!」
俺はあれから頑張ってこの兎達の世話をしている……が、はっきり言ってめっちゃ疲れる。わがままだし、いたずら好きだし、なにより俺の言うことを聞いてくれない。その原因は、紛れもなく因幡てゐである。この兎達のリーダー格であるてゐが、俺の命令を聞かないように言っているようで、兎達が俺のいうことを無視している。しかし、中には真面目な兎もいるみたいだが、てゐに逆らうのを恐れて、俺のことを無視する。
「いやだね。誰がお前の言うことなんか聞くもんか!」
そう言って、てゐは仕事をサボって逃げていく。それを俺は追いかけていく。
「あ!!逃げんなこのいたずら兎ぃぃぃぃぃ!!」
今日もこんな調子で、一日が過ぎた。そして兎達が全員寝て、俺も貸してもらっている自分の部屋に戻り、布団を履いて、その上に寝っ転がる。
「あぁ〜……今日も疲れた……。」
そろそろ寝ようとしていた時に、俺の部屋の扉が開き、永琳先生が部屋の中に入ってくる。俺は焦って身を起こし、正座をする。それを見て永琳先生はクスッと笑った。……正直何がおかしいのか分からない。そして、永琳先生も正座をする。
「お疲れ様。どう?あの兎達は。」
その質問に対し、俺はため息をついてから答える。
「正直言って初日に比べて全く関係は変わっていません。特にてゐが問題児すぎます………。」
その回答に対し、永琳先生もため息をつく。
「そうよね……。あの子は私もずっと手を焼いているのよ……。」
あ、あの永琳先生が手を焼くとは……。やはりあのいたずら兎、なんとかする必要があるな……。そうだ。あいつがリーダーなら………
「永琳先生。」
「ん?何かしら?」
俺は少し顔を笑わせて、永琳先生に、発言する。
「1つ、提案があるんですが……………」
翌日
「おはよう!!お前ら!!」
俺は朝早くから、思いっきり扉を開け、兎達に朝の挨拶をする。兎達は全員起きていて、俺を無視して自由に遊んでいる。
「おいてゐ、お前に話がある。ちょっと外まで来い。」
てゐはそんな俺の言葉に耳を貸さずに無視し続ける。しかし、俺には魔法の言葉がある。
「永琳先生からの命令だ、外に来い。」
俺がそういうと、てゐは動きをピタッと止め、俺の方を向いて、軽蔑するかのような目でこちらを見ている。
「………わかったよ……。」
てゐは渋々外へ出て行く。他の兎達も外に行くように言い、全員外に行ったのを確認すると、俺も外へ向かう。
「で、お師匠様、何の用ですか?」
「あなたには、今から炎火と弾幕ごっこで勝負してもらうわ。」
これが俺の提案。てゐとの対決で、どちらが上かを示すという作戦だ。しかし、これには俺だけの力だと無理だと判断し、永琳先生にも協力してもらった。永琳先生もてゐには手を焼いていて、迷惑していたので、快く承諾してもらった。
「……なんで私がそんなことしないといけないんですか?」
「あなたは炎火の言うことを全然聞かず、無視し続けているみたいですね。その行為が目に余ったので、どちらが上かはっきりさせようと思ってね。てゐ、もしあなたが負けたら、炎火の言うことを聞くんですよ?」
「………わかりました。」
てゐは諦めたようにこちらを向いて、弾幕を撃つ準備をする。……さて、妹紅には一応は勝てたが、あれはほとんどマグレだ。あまり自分の力を過信すんなよ。俺。
「では永琳先生。お願いします。」
俺はそう言うと永琳先生はうなづき、手をあげる。そして……
「はじめっ!!」
その掛け声と同時に永琳先生、鈴仙、兎達に見守られながら、弾幕ごっこが開始された。俺とてゐは弾幕を放ち続ける。流石妖怪と言うべきか、永いこと生きているので、慣れている。それに比べて俺はまだ2回目の弾幕ごっこ。夜中とかに修行はしているが、回避能力とかは信用できない。なので俺はゴリ押しによる短期決着を目指していた。
「さっさと終わらせるぞ!!スペルカード発動!!炎符『ファイアーマシンガン』!!」
俺がそう言うと、俺の周りに炎のマシンガンが現れ、全部のマシンガンが脅威の速度で炎の弾を連射していく。
「人間のくせにやるね!!スペルカード発動!『エンシェントデューパー』!!」
俺がスペルカードを発動して、不利だと思ったのか、てゐもスペルカードを発動させる。そして、スペルカード弾幕の撃ち合いが続いた。俺は弾の数でどんどん攻めていく。
「オラオラオラオラ!!」
「くぅぅぅっ!」
だんだんとてゐは押されていく。ここで、俺は決着をつけるためにスペルを中断した。
「!?スペルを中断するなんて、降参かい!?」
てゐは弾幕を更に強めて攻撃してくる。その光景に……俺はニヤリと笑った。
「いいや……これで俺の勝ちだ!!スペルカード発動!!」
俺の体が炎で包まれる。その光景に、てゐと、周りで見ている全員が驚く。
「炎爆符『ウルトラダイナマイト』!!」
俺は体を炎に包まれながら突進していく。てゐの弾幕が体に当たり、被弾する……かと思われたが、弾は俺の体を突き抜けていく。
「!?い、一体なんなんだよ!?」
「これで終わりだ」
俺は勝利を確信した笑顔でてゐに突進し、衝突し………爆発した。爆風によって、兎達の何人かが、少し後ろに吹き飛ばされ、倒れる。爆炎が消えた時には、てゐが気絶していて、俺はその場に立っていた。そして俺は、永琳先生に向かって、ピースサインを送った。
「………ん………」
「お、ようやく起きたか。」
「!?」
俺は気絶したてゐを病室のベッドまで運び、起きるまでずっと待っていた。そして、俺の隣には、永琳先生がいた。
「……負けたわね、てゐ。」
「……はい、お師匠様。」
てゐはため息をついて永琳先生の発言に返答した。その顔は悔しさと、同時に満足したかなような顔だった。そして、てゐは俺の方を向いた。
「あんたには負けたよ…。私に勝つ人間なんて、滅多にいないから驚いたよ。約束通り、あんたのいうことをちゃんと聞くよ。」
「じゃあ、早速1つ……」
俺はてゐに近づき、手を差し出して、こう言った。
「俺と仲良くしてくれ。」
俺がそう言うと、てゐは呆れたような顔をして、そして、笑った。そしててゐも差し出し、握手をし、
「仕方ないな。仲良くしてやる。」
そして、今日の昼から再開した仕事は、ちゃんとてゐも、他の兎達も、ちゃんと俺の言うことを聞いて、仕事をした。
次回は今回よりも文字数を増やしたいと思います!