He have gone to Gensokyo.   作:風峰 虹晴

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炎火が密音のところに向かう前のお話です


part40 5年の年月と炎火達

エスカルゴ達が帰ってから、5年もの月日が経った。そりゃあ、5年もあれば色々ありますよ色々。で、俺と妹紅は、結婚しました。ええしましたよ。文句あっか!で、現在5歳になる娘も生まれました。生まれたとき泣いてしまったのは置いといて。

 

「おとうさ〜ん!」

 

「ん?どうした沈火。」

 

仕事をある程度こなし、庭で空を眺めていると、俺と妹紅の娘の焔 沈火(ほむら しずか)が、俺の方に駆け寄って来た。名前の由来は……神様がつけたんです。いや、神様がつけた方がいいんじゃね?ということでつけてもらいました。神様曰く、『これが運命。』らしいです。黒い髪に、青い目、別にどこか悪いわけじゃないのに青白い肌に、黒のワンピースを着ています。

 

「おとうさん!たかいたかい!」

 

「よーし!ほーら!」

 

俺は沈火の要請で、沈火を持ち上げる。そして、霊力で両腕を強化してたかく放り投げる。軽く10mを超えるぐらい高く上がり、落下を開始する。そして、俺をうまくキャッチする。すると、沈火は笑顔でこっちを見ていた。

 

「おとうさん、そういえばれいせんさんがおとうさんよんでたよ!」

 

「ん?あぁ、昼ご飯作る時間か。もうそんな時間か。」

 

「きょうのごはんなに〜?」

 

「ふふふ、沈火の好きな焼き魚(事前に炎火が骨を取り除き、ある程度切り分ける)だぞ。」

 

「わーい!」

 

沈火はぴょんぴょん跳ねながら喜ぶ。かわええ。さて、そんな娘のためにも、さっさと作ってやりますかね。俺は袖をまくって厨房に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ごちそうさまでした〜!』

 

俺、妹紅、沈火の3人は、同時にそう言った。俺達は兎達やわがまま姫達とは別の少し大きな部屋を借りさせてもらって生活している。まあ、元々俺の部屋だったところなんだけどね!全然変わってないね!あ、サラやスカーレットですか?今庭で遊んでるんじゃないですか?

 

「ねぇ炎火〜。あとで3人で一緒に遊ばない?」

 

「おう、わかった。んじゃ、ちょっと仕事(永遠亭全員分の食器洗い)終わらせてくる。」

 

「うん、わかった〜。」

 

俺はそう言って3人分の食器を纏め、台所に向かう。そして3人分の食器を置き、とりあえず全員分の食器を回収(兎達の場合は知らせる)をする。

 

「お前ら〜、食い終わったら食器片付けに来いよ〜。」

 

「は〜い。」

 

兎達がだるそうな声で返事をして、動き始める。まあ、こんなんでも一応しっかり働いてくれる(てゐを除く)から、いいんだけど……。俺は部屋を出て、今度は永琳先生の部屋に行く。やっぱり、この廊下長いよな。なんか慣れたけど、たまに思うんだよね。そんなことを考えていると永琳先生のいつもいる仕事場についた。俺は扉を数回ノックする。

 

「永琳先生、いいですか?」

 

「ええ、いいわよ。」

 

永琳先生の返事を聞いて、俺は扉を開ける。回収しに来た食器は、きちんと重ねられて置かれていた。そういえば、医者とかって昼食とか食べるの早いらしいね。職業病らしい。

 

「んじゃ、この食器片付けさせてもらいますね〜。」

 

「ええ。そういえば、最近の沈火ちゃんはどうかしら?」

 

「とっても元気ですよ。妹紅に任せてばっかりでなんか悪いですけど……。」

 

「あなたも仕事があるから仕方ないわよ。」

 

「じゃあ、俺もう行きますね。」

 

「ええ。じゃあ頑張ってね。」

 

「はい!」

 

俺はそう言って、食器類を持って永琳先生の仕事場から出て台所に向かった。少し歩いて台所に着くと食器類を置いた。台所には、多くの食器が積み重なっていた。どうやら、この短時間で殆どの兎が片付けたようだ。俺は今度は凛乃と灯乃子のところに行く。あの2人、同じ部屋なんですよ。かなり仲良いのは言わずともわかるはず。

 

「凛乃〜、灯乃子〜、昼食食べ終わったか〜?」

 

「あ、炎火さん。今日も美味しかったです。」

 

「兄さ〜ん。また沈火ちゃんと遊ばせてよ〜!」

 

どうやら、既に食べ終わったようだ。5年経って、2人とも成人して、体も成長し、まあ大人っぽくなった。たまにドキッとさせられて心臓に悪い。ええ悪い。灯乃子なんてわざとやるときがある。ちょっと指先熱くして触る程度のお仕置きですがね。

 

「はいはい。さっさと片付けるぞ。」

 

俺はさっさと食器類を持って部屋から出る。たまにあの2人にも沈火の面倒を見てもらうことがある。まあ妹紅も一緒なんですけどね。え?俺?仕事だよ畜生。

 

「ありがとうございます。」

 

「兄さんありがと〜。」

 

「はいはい。」

 

俺は適当に返事して、部屋を出る。さて、これで終わるか……。え?鈴仙と悪戯姫はって?流石にこれ以上面倒見切れないので、そこだけ鈴仙に頼んでるんです。これ以上悪戯されてたまるか。

 

「さて、洗いますかね〜。」

 

俺は大量に積み重なった食器を前に、皿洗いを開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、終わりっと。」

 

数十分後、大量に積み重ねられていた食器類は、綺麗に片付けられている。自分で言うのもなんだけど、このスピードおかしい。慣れって怖いね。

 

「さてと。妹紅と沈火のところに行こうかね〜。」

 

俺は台所から移動して、自分の部屋に向かう。いや、庭にいるのかな?うーん……とりあえず俺の部屋に行こうかね。俺は自分の部屋に向かい、扉を開ける。しかしそこには誰もおらずシーンとしていた。どうやら庭の方に移動したようだ。

 

「んじゃ、俺も行くとしますかね〜。」

 

俺は扉を閉めて庭の方に移動し始める。すると、庭の方向から誰か走ってくる。段々と足音は近づいてくる。現れたのは、何故か焦ったような表情をした妹紅だった。

 

「はぁ……はぁ……!」

 

「妹紅どうした?」

 

「炎火……沈火が……沈火が……!」

 

「なに!?」

 

妹紅が泣きそうな声で俺にそう言ってきた。俺は霊力で足を強化して急いで庭まで向かった。あぁぁぁぁ廊下長いぃぃぃぃ!!ようやく長い廊下を移動して庭に着くと、沈火の体の周りに怨霊が集まっているのがわかった。

 

「沈火!」

 

「おとうさん……たすk」

 

恐らく「助けて」と言おうとした沈火の体に怨霊が腕と足に装甲が、そしてワンピース形の鎧のようなものに変化して装着された。あれはなんだ?怨霊達が取り憑いたってことなのか……?

 

「あ……ガギ……がガ……。」

 

色々な考えを張り巡らせていたら、沈火が奇妙な声を出して動き始める。まるで、壊れた機械のようだった。

 

『これは危険ですね。』

 

「珍しいですね。俺と意思疎通を取るなんて。」

 

頭の中に、ルナさんまたは神様が俺に語りかけてくる。神様は頼んだり、たまに気まぐれでしか俺と意思疎通を取らない。そんな神様がワントーン低くして警戒を俺に促した。

 

『炎火。あれは能力の暴走です。』

 

「能力の暴走……?それは怨霊の方ですか?」

 

人間だったとき能力を持っていると、怨霊になってもある程度までは能力を使用できるらしい。なので、俺はその能力の暴走が、能力を使用できる怨霊のものだと思った。

 

『いえ、違います。沈火ちゃんの能力です。沈火ちゃんは能力は『怨霊を纏う程度の能力』です。』

 

「怨霊を……纏う……?じゃあ、今どうなってっておわっ!?」

 

神様に質問しようとすると、沈火が突然俺に突っ込んできて、装甲に覆われた小さな腕が振るわれ、俺はそれを間一髪で回避した。よく見てみると、攻撃に使用されていた右腕の装甲は、殴るためにゴツくなっていた。しかし、その直後、そのゴツさはなくなり、元の装甲の形に戻ってしまった。

 

『さて、ああなってしまった理由ですが、恐らく能力の発動は自分の意思ではなく暴発でしょう。」

 

「暴発っ!ですっ!かっ!?」

 

俺は神様の話を、容赦なく攻撃を繰り返してくる沈火に対し、下手に攻撃すると沈火を傷つけてしまいそうで怖いので、避けながら聞く。どうやら、この装甲腕だけではなく足も変形できるらしく、足も攻撃に特化した形になったり、元に戻ったらをして攻撃してくる。

 

『はい。なので、制御が効かないのでしょう。なので、大量の怨霊に体の主導権を奪われています。その上、数が多すぎて精神回路に異常を起こしています。』

 

「このままっ!放っておいたらっ!どうなりっ!ますかっ!?」

 

『恐らくはあの鎧が解け解放されますが、その前、あと数分で回路が焼き切れて、死んでしまうでしょう。』

 

「なるほどっ!あの鎧が原因ですねっ!ありがとうございます!」

 

俺は全身に霊力を回す。そして、その全身に回している霊力を炎に変化させ、身体能力を急上昇させる。しかし、そのとき異変が起こる。

 

「イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ………………」

 

「!?沈火!?」

 

先程まで活発に俺に攻撃をしかけていた沈火だが、一瞬動きが止まる。そして、本格的に狂ったような発言を繰り返し、動きも一段と狂ったようになり、変則的になって躱しにくくなった。

 

「おりゃっ!ぐっ……!」

 

「アァァァァァ!!」

 

俺は沈火の小さい体を、持ち上げて羽交い締めにした。暴走した沈火は大きく叫び、ジタバタするのを俺は堪えた。そして、鎧を剥がそうとした。鎧を持ち、引き剥がそうとする。しかし、中々剥がれなかった。しかも、鎧の間から血が流れ出て、鎧に覆われていない、青白い肌に赤い血が流れる。

 

「くっ!」

 

俺はそれを見て焦り、一旦手を離した。しかし、なんで鎧を剥がそうとしたら血が流れ始めたんだ?

 

『ふむ……なるほど。』

 

なぜ血を流したのか考えながら、霊力を回しながら炎に変換して身体能力を上昇させて、行動を読んで回避するという、まあまあ頭を使う作業をしていると、再び神様が俺の頭の中に語りかけてきた。

 

「何かわかったんですか?ふっ!」

 

『どうやらあの鎧は、皮膚とくっついているようですね。なので先程あなたが引き剥がそうとしたら血が流れたのです。』

 

「………………。」

 

俺はそんなことも知らず、沈火を傷つけてしまったことにとても後悔してしまった。しかし、このままほっとくと、沈火は死んでしまう。そうすると、妹紅は悲しんでしまう。それだけは避けたい。

 

「……神様、何か策はありますか?」

 

『……あるにはあります。しかし、かなり細かい調整ですよ?』

 

「それでもいいです。教えてください。」

 

『……あなたの能力で、鎧のみを溶かすんです。』

 

「わかりました!」

 

確かにそれなら沈火の主導権を握っている怨霊を沈火から剥がすことができる。確かに沈火まで溶かさないように調整は必要。けど、それぐらい簡単だぜ!

 

「イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ…………!」

 

「沈火……痛いよな……けど、もう少しだけ我慢してくれ……!」

 

俺は全体的に霊力を回していたのを、移動するために必要な部分に霊力を流した。すると、突然加速し、俺は狂乱し俺と空に向かって攻撃し続ける沈火の後ろに素早く回る。そして、手に超高熱の炎を手の中に封じ込む。すると、手のひらが物凄く高熱になる。その手のひらを鎧に押し当てる。すると、鎧がどんどん怨霊に戻り、弾ける。沈火は悶え苦しむように暴れる。俺はもう片方の手で暴れる沈火を抱いて抑える。

 

「苦しいよな沈火!けど、あと少しだけ頑張ってくれ!」

 

「アァァァアァァ!!」

 

沈火は叫んで悶え、私に向かって拳を作り、俺の腹に思いっきりパンチをする。それは5歳の女の子に出せるパワーの何十倍も強く、硬いパンチで、簡単に俺の腹を貫いた。

 

「ゴフッ……!?あと少し……!」

 

足と腕の装甲は消え、あとはワンピース型の鎧だけ。しかし、さっきの神様の話通りなら、リミットはあと少しのはず。

 

「くっ……!うおおおおおお!!」

 

俺は霊力をフル稼働させて手のひらを更に高温にして鎧を溶かす。すると、ついに鎧が溶けきり、沈火が右手だけが俺の腹にささったまま体が倒れた。俺はそれを血液が減って正直やばい中受け止め、腹から沈火の右手を抜く。沈火の青白い綺麗な手は、真っ赤な血で汚れていた。

 

「沈火、お疲れ様。」

 

俺は沈火を抱き締め、お姫様抱っこをする。

 

「炎火……。」

 

声がしてその方向を見ると、妹紅が心配そうな顔をして立っていた。俺はそんな妹紅を見つつ、回復用の炎に切り替えて沈火を包みつつ。腹の回復と、穴の空いた服を炎でなんとか形作った。

 

「大丈夫だよ妹紅。ちょっとごめんだけど永琳先生のところまで沈火を連れてってくれないか?」

 

「う、うん!」

 

俺は妹紅に沈火を渡す。正直、結構霊力とか使って疲れてたりする。まあ、実際問題そんなになんだけどね。今回全体の数%しか使ってない。まあ、怨霊が沈火の体を支配していたというのなら、全然使いこなせてないってこった。そんなこと考えて数分間、ようやく服の修復が完了した。ちなみにこの作業、慣れてたりする。

 

「さてと!沈火の様子見にいくか……。」

 

俺は庭から永遠亭に入って、永琳先生の仕事場にいるはずの沈火を見にいこうとすると、空から何かが降ってきた。

 

「おぉう!?」

 

「いったぁ……あ、炎火か!?」

 

「そ、そうだけど……って、お前傷だらけじゃないか!」

 

落ちてきたのは、体がボロボロの魔理沙だった。俺は丁度先程沈火の体を治すために切り替えていた回復の炎で、とりあえず魔理沙の傷を癒す。

 

「炎火!お願いだ!蜜音を……蜜音を助けてくれ!」

 

「え、ええ!?ち、ちょっと事情を説明してくれ!」

 

魔理沙は短く俺に説明を施した。どうやら、5ヶ月前に家で居候をした蜜音というなにやら特殊な体質を持った女の子が、妖怪の群れに囲まれて、現在1人で戦っているらしい。魔理沙は魔力が枯渇したが、幸い魔力回復薬を一つ持っていて、それを使っても助け出すことは不可能なので俺のところまで来た……ということらしい。

 

「助けに行くに決まってんだろ!サラ!」

 

俺はサラを呼ぶとちょこちょことサラが歩いてくる。サラに事情を話して協力を仰ぐと、サラは快く承諾してくれた。

 

「よし!サラは魔理沙抱えて魔理沙から場所聞いて先導してくれ!」

 

「……うん。わかった……。」

 

サラは魔理沙を抱えると、高速で空中の飛行を開始した。俺もそれに続き、蜜音という女の子を助けに行った。




次回は最初蜜音視点です
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