He have gone to Gensokyo. 作:風峰 虹晴
蜜音?知らん
蜜音と初めて出会ってから、3年の月日が経った。あれから、日に日にほんの少しずつ、森から現れる妖怪達の数と強さが増していった。最初の数ヶ月は、俺とサラが人里までいかないように対処していた。けど、違和感を感じた。思い返すと、少しずつ妖怪達の力が増していったのがわかった。これ以上妖怪達が強くなると、どうしても高火力のものを使うしかない。しかし、妖怪達が現れるのは森。俺達が扱うのは火。もしかしたら、森に引火するかもしれない。そう考え、俺はにとりさん達河童に、ある『物』の開発を依頼した。事情を話したら、喜んで承諾してくれた。というかめっちゃ乗り気なのが気になった。そしてそこから2年半、俺も協力してそれは完成した。その間の妖怪達はもちろんちゃんと対処してます。
「うん、何回もテストしてるからか、妙にしっくりくるなこれ。」
「そりゃそうなるように調整してるしねー。」
「ありがと、にとり。」
「どういたしまして。ちゃんと使ってやれよ?」
「もちろんだよ。」
「ああ、あと蜜音ちゃんのやつ、もうちょっとかかるかも。」
「わかった。伝えとくよ。それじゃあな。」
「うん、じゃあね〜。」
俺はそう言って、河童の工房から出ていった。
♦︎
「なあなあ、妖怪の森って知ってるか?」
グループで会話してると、友達がその中でそんな質問をした。
「知ってる知ってる!」
もう1人の友達は、その質問にそう返し、
「私も知ってる!」
と、もう1人の友達もそう返し、
「俺も!」
俺もそう返した。妖怪の森ってのは有名な話で、いつも大人達が仕事に出る森の奥には、妖怪の森ってのがあって、そこでは妖怪とかいうバケモノが出るって話だ。
「なぁなぁ!今日それを確かめようぜ!」
すると、この話を始めた俺の友達、タケシがそう言った。
「いいな!」
その意見に、ミツルはそう答える。
「私もー!」
2人のその反応に、カオルは楽しそうに2人に賛成する。
「でもさ、本当だったらどうするんだよ?」
俺は3人ともにそう言った。すると、3人はニヤニヤしながら俺の方を見た。
「それを確かめに行くんだろ!」
「アホだなーヤマトは!」
「それに、本当なわけないでしょー?」
3人は俺にそう言った。馬鹿にしやがって。アホじゃねーし!普通だし!
「でもよ、里の外にどうやって出るんだ?大人と一緒に行こうとしても、断られるんじゃね?」
俺は3人にそう言った。すると、また3人は顔を見合わせてニヤニヤしながら俺のことを見た。
「なにいってんだよ!抜け出すに決まってんだろ!」
「やっぱりアホだな〜ヤマトは!」
「普通にやったら無理に決まってるじゃん!」
3人はクスクス笑いながら俺にそう言った。あーイライラする。もうやだ。アホじゃねーし!
「んじゃ、今夜9時にここ集合なー!」
「わかった!」
「はーい!」
「おう。」
タケシ達と俺はここに9時に集合をすることを約束して、それぞれ自分の家に帰るために帰路に着いた。なんか……よくわかんないけど、嫌な予感がするな。
♦︎
「おまたせ。」
「遅いぞー!」
「ヤマト声抑えろ!」
「2人ともだよ〜。」
俺が9時少し前に着くと、既に3人とも到着していて、暇そうにしていた。お前ら一体いつ来たんだ。俺は遅くねえ。
「んじゃ行こうぜ。」
タケシがそう言って歩き始める。その後ろを、俺達は静かについていく。どうやら、タケシが抜け出す方法を知っているらしいので、それに俺らは従うことにした。歩き始めて十数分がたった。
「おいタケシ〜。まだなのかよ〜。」
「私疲れてきた〜。」
ミツルとカオルがタケシにそう言った。俺は大体時間がかかると思ってたので、特に文句はない。
「あともうちょっとだぜ。というか、このあと森まで歩くんだからここで疲れてたら無理だぜ?」
「そ、そうだな。俺がこの程度で疲れるわけないだろ。」
「私もまだ頑張れるよ〜。」
2人はそう言った。というか、森まで数十分はかかる筈だよな……。まあ、大丈夫か。
「着いたぜ。ここの穴だよ。」
『おおっ。』
タケシが見せてくれたのは、人里を囲っている塀に空いている、大人は無理だけど、俺たちなら通れそうなぐらいの大きさの穴だった。ここらへんは滅多に人が来なくて、塀も俺らが普段見ているところの塀と比べると、ボロボロのようだった。
「んじゃ、行くぞ……。」
タケシがそう言って、穴をくぐる。それに続いてミツル、カオル、俺の順番で穴を抜ける。穴を通り抜けるのにそこそこ距離があったから、大きな木を使っていることがわかった。
「んじゃ、ここからはもっと慎重にいこうぜ。」
「そうだな。ヤマト、ビビるんじゃねえぞ?」
「ビビるのはお前だろ?ミツル。」
「とりあえず森まで行こうか〜。」
『お〜。』
俺達は森に行った数回の時に覚えた場所まで、先ほどよりも慎重に、足音を立てないようにして、誰かの後ろについて歩くことはなく歩いていった。他の奴らも一応注意してたけど、なぜか俺が一番警戒してたみたいだった。そして、俺が一番精神をすり減らしながら歩くこと数十分。正直ミツルとカオルうるさい中、
「へへ、やっとついたな。」
「お、おいもう帰ろうぜ。」
急にタケシがそんなことを言い始めた。ふざけるな。ここまできて帰るわけに行くか。
「なんだよタケシビビってんのか?」
「び、ビビってねーし!でも、なんか嫌な予感がするんだよな……。」
「とりあえず行こうよー。」
カオルがそう言った。またミツルとカオルが同時にうるさいことが言い始めたらめんどくさいので、先程まで率先して前に出ていたタケシに変わって、俺が一番前を歩いて森の奥まで進んでいった。
「んー……なんも出ないな。」
「やっぱり妖怪の森なんてただの噂だったんだろうって。」
「そうだよ。それなのにタケシは……。」
俺達3人は、タケシの方を見る。この森に入ってからというもの、タケシはいつもとは全然違う様子になってしまった。一番後ろでガタガタ震えている。一体、どうしたのだろう。……でも、嫌な予感がするっていう意見に関しては、俺も同じことを感じたのでかなり警戒している。そして、それから数分後、それは起こった。
「お、おい。」
「ん?」
「あ、あれ……。」
タケシが指を指す。指した方向には、夜中の森の中で暗くて見にくいけど、何かが動いているのがほんの少しわかった。
「なんだあれ。人か?」
「私達と一緒かなー?」
「そんなわけないだろ。」
俺にバカとか言っていたくせにバカ発言するミツルとカオルにそう言って、念のためくすねてきた懐中電灯を照らす。最初から使いたかったけど、3人がいらないと言っていたので、後で嫌々言われるのは勘弁なので使っていなかった。その光は、それをはっきりと姿を現させた。一番前に、人のような体をしているが、化け物のような体を持っているやつと、そのうしろに、完全に化け物の姿をしていて、一番前のやつより少し小さいやつらが数体いた。あれが、妖怪の森の、妖怪。
『うわぁぁぁぁぁぁ!!!』
俺達は悲鳴を上げて走り出した。それに合わせて、妖怪達も俺達を追いかけて来る。懐中電灯で見たときは結構遠い距離だったので大丈夫だと思ったが、浅はかな考えだった。妖怪達は大人ぐらいの差は普通にあるし、身体能力も見た目通り化け物で、どんどん距離を詰めて来る。
「うわぁぁぁっ!!」
「タケシ君!!」
後ろでタケシの悲鳴と、カオルのタケシの名前を呼ぶ声が聞こえた。あまり余裕がない中振り向くと、タケシはどうやら、つまづいて転んでしまったようだ。すると、妖怪達は、タケシに群がり始める。
「やめてっ!!離してよ!!うわぁ、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その光景は、とても気持ち悪くなって吐き気がして来た。タケシは体を妖怪達にバラバラにされていた。内臓がそこら中に転がっていて、次に妖怪達が、タケシだったものを食べ始めた。俺達は何が起こっているかよくわからなかったが、俺の足元に、何かが転がって来た。よくわからないままそれを見ると、恐らくタケシだったのであろう血に濡れた目玉だった。
「は、早く逃げるぞ!!」
「お、おう……!」
「わ、わかった……!」
俺がいち早く状況を理解して、2人の手を引っ張って投げ始める。数十秒後、どうやら妖怪達は食べ終えたらしく俺達をまた追いかけてきた。
「2人とも、もっと速く走って!!」
俺がそう言って手を離すと、2人とも両手を大きく振って走り始めた。タケシのことは今は考えられない。走って、生きることしか考えられなかった。
「おわっ!?」
突然、俺は体勢を崩して前に思いっきり倒れる。鼻から血が出る感覚がわかった。
「ヤマト!!」
「ヤマト君!!」
俺は何事かと思って後ろを振り向く。すると、一番前にいて、一番身体能力の高かった、少し人に似た妖怪が、俺の足を掴んでいた。その妖怪の顔の表情はわからないが、どことなく嘲笑っているようだった。
「は、早く2人とも逃げてくれ!!」
俺はなんとか頭が混乱せず、2人にそう言った。2人は苦しそうな顔をしていたが、少しずつ走り始めた。
「離せ!!離せ……このぉ!!」
俺は掴まれていない方の足で、片足を掴んでいる妖怪の手を何度も蹴る。しかしビクともせず、振動が伝わる掴まれている足に疲労がたまる。それでも、俺は何度も蹴り続けた。けど、他のやつも群がって来て、俺は諦めて空を見た。すると、赤い何かが、こっちに向かってるのがわかった。それは俺の近くに落ちて来て、妖怪もろとも俺を吹き飛ばした。……かと思えば、俺は空中で静止していた。よく回りを見てみると、俺は男の人に抱きかかえられていた。
「大丈夫か?」
男の人はそう言って俺のことを降ろす。すると、吹き飛ばされた妖怪達は起き上がって、俺と男の人のことを、狙いを定めたようにみている。
「早く逃げろ。友達も先に行ってるぞ。」
「え、えっと、あなたはどうするんですか?」
「いいから、ほら。」
俺は促されるまま男の人の後ろに行かされる。男の人は、手に機械のようなものを持っていて、それを腰に当たると、金属のようなものが伸びて、腰をガッチリと固定する。
「さて、初運転だ。お手柔らかにお願いするぜ。」
『Ready』
男の人がそう言って、ベルトのようになった機械のボタンを押すと、無機質な音声が聞こえてきた。すると、人みたいな妖怪は、男の人に飛びつく。
「いくぜ……変身!!」
『CHANGE!!FIRE!!FIRE!!』
次の瞬間、身を焼くような熱い風が俺と妖怪達を襲い、飛びかかって襲いかかろうとしていた人みたいな妖怪は、地面に叩き落とされた。男の人は、元の姿ではなく、赤い体に、拍動するように光る線が入っていて、頭を守るヘルメットみたいなものがつけられていた。男の人だった人は、妖怪達に指をさす。
「俺の名前は……仮面ライダースルト!!冥土の土産に覚えていってくれよ!!」
そう言って、妖怪達に向かって走り出した。
スルトの名前の由来は、世界を焼き尽くす北欧神話の巨人です