歌、奏でし戦姫と花咲く勇者   作:アウス・ハーメン

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序章2話 救われたモノ、失われたモノ、残されたモノ

 立花響と小日向未来、たった2人になった歌う戦姫。

 彼女たちは世界と、そこに住まう人々の日常を守り抜くために、命を燃やす歌を歌った。

 

 最後のその時まで、彼女たちは互いの存在を握り締め、決して離すことはなかったという。

 

 絶刀天羽々斬、魔弓イチイバル、銀腕アガートラーム、ザババの2振りの刃、シュルシャガナとイガリマ、そして神獣鏡と無双の一振りガングニール。

 7つの聖遺物の力と、風鳴家が解放したレイラインより与えられた神々の力、それらを纏た2人の少女たちの活躍によりカストディアンの尖兵たちは退けられ、人々は再び平穏を勝ち取るに至る。

 

 

 

 

 しかし、その為に払った犠牲は大きく、日本国政府いや、この世界はたった7人しかいない装者と、シンフォギアという剣を失う事となった。

 

 戦いの後、超常現象災害対策機動部、タスクフォースS.O.N.Gの下にどこからともなく何かしらのメッセージが届けられた。

 そのメッセージは、彼らにとって衝撃的なものであると同時に、この世界の未来が繋がった証でもあった。

 

 日本国政府とS.O.N.Gは直ちにこのメッセージを全世界に公表することとなり、そのメッセージにはこう書かれていたという。

 

『我等はカストディアン、お前たちルルアメルがそう呼ぶ者たち。此度の戦、見事我らが尖兵を打ち破った。

 されど、今お前たちが持ちうる力は、決してお前たち人が持って良きものでは無い。それは何れ、この世界に真の災いを起こすこととなるであろう。

 我らは此度の戦により、お前たちの強さと気高さ、そして力強さを知った。その報償とし、この地をお前たちの好きにすることを許そう。されどその条件とし、今のお前たちルルアメルが持つ異端技術(ブラックアート)のその全てを放棄することを望む。

 これは、後の世に手この世界が新たなる禍にさらされぬための、唯一の道だ。如何か、そなた等ルルアメルの進むべき道に、光あらんことを』

 

 文章それ自体は、カストディアンの尖兵を打ち破ったことをたたえるような文面であったものの、それはどこか、今の自分たちが持つ異端技術を放棄せねば再び自分たちは人類に牙を剥くという、ある種の圧力を感じるようなものでもあった。

 

 世界各国はこのことを受け、緊急の安全保障理事会を開く。

 

 しかし、カストディアンの襲来が最も激しかった米国をはじめとした主要三大国家は出席を見送ると同時に、早々に異端技術の放棄を表明した。

 

 

 

 最初はこの3か国が率先して異端技術の放棄を表明したことに疑問や不信感を募らせる国も少なくなかったが、その理由が分かるにつれ、各国もそれに追従することとなった。

 

 そして、その中には、最も異端技術研究が進んでいた、事実上の先進国、日本も含まれていた。

 

 

 

 それから、この世界の時は静かに過ぎていき、シンフォギアやノイズ、特異災害や異端技術という言葉はその多くが現実味を失い歴史の中でのみ語られるものとなっていった。

 

 されど、それでもこの世界を救った英雄たちの事は、人々の成長の中で聞かされる御伽話としてこの世界の人類の歴史が終わるその時まで、人々の間で語り継がれた。

 

 そして、人々の間で長年受け継がれたある英雄の名があった。

 

 人類存亡をかけた最前線、その中で最後の1人となるまで戦い続けた英雄、その名はこう呼ばれた。

 

 

 『立花響』と…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これがこの世界が辿った道なのですね」

 

「ああ……どうだ◆◆よ。これを聞いた感想は」

 

 どこかもしれぬ世界。2人の女性がその世界が終焉を迎えるまでの日々を見守っていた。

 

「…………とても悲しい世界だと思いました」

 

「そうか…………」

 

「でも、最後のその時まで、人々は希望を失わず、生き続けた。とても強い命に支えられた世界。そう感じました」

 

「そうか……ならば、私やあの子たちの頑張りも、報われたと思っていいのかもしれないな」

 

 一人の女性がこの世界のことについて述べ、それを聞いたもう片方の女性は、どこか感慨深そうに頷いた。

 

「では◆◆、あの子たちの事は頼むわね」

 

「はい、しかし◆◆◆◆、貴方はこちらに来ないのですか?」

 

「ええ、だってそうでしょ? 何千年も悪者やってきたのよ? なのに今更どの面下げて正義の味方なんてやれるの? 何より、その世界を救えるのは、その世界で今日を生きる者たちしかいないわ」

 

「◆◆◆◆………」

 

「そんな顔しないで、これはずっと前から、私自身が決めていたことよ。いつかの未来なんて、亡霊が言葉にしていいものではないわ」

 

 そう言い残すと、もう片方の女性は光の粒子となって、その場からいなくなった。

 

「今日を生きる者たち……そうかもしれませんね」

 

 残された女性は、最後にもう片方の女性が紡いだ言葉を繰り返し呟いた。

 

「だからこそ、これ以外の道は……ありませんでした。貴方の世界の英雄たちの魂、確かに受け取りました」

 

 すると、残された方の女性の手のひらにいくつかの光の球体が現れる。

 

「確かに託されました。そして、貴方のいた世界のように、未来へと繋げられる世界にして見せます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからどうか見守っててくださいね、()()()()

 

 

 そして、残された方の女性もまた、その世界から姿を消すのであった。

 

 

 可能性を紡ぐ、そのために。




はい、完全に5期ぶった切るどころか、シンフォギア世界強制終了しちゃいました(;^ω^)
序章はまだ、あと1話予定。
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