本作のイメージOP、EDを考えてみました。
第1シーズンOP:Synchrogazer
ED:ホシトハナ
第2シーズンOP:UNLIMITED BEAT
ED:ハナコトバ
2017 12/10 誤字を修正。
そこは、目映いばかりの場所だった。
色とりどりの樹木が生い茂る、まさしく異界と呼ぶにふさわしいそんな場所。
その中で、ひときわ大きくそびえ立つ大樹、その根本の付近で世界を救った英雄、立花響が眠っていた。その傍らには、彼女の親友にしてひだまり小日向未来の姿もある。
「あれ……私……」
立花響は、ゆっくりと瞼を開け起き上がる。
「ここは……私は……一体」
まだ完全に覚醒しきっていない中、響は周囲を見渡す。すると突如、響の頭の中にこれまで彼女が経験してきたすべての光景が、濁流のごとく押し寄せて来た。
思わず頭を抱える響。
「ッ!? そうだ……私……私、あの時未来と一緒に、絶唱を……」
思い出した途端、体中に震えが走り、響の顔はどんどんと青ざめていく。
「そうだ、未来!」
響は思い出したかのように、親友の名前を呼ぶ、幸い親友の未来はすぐそばにいた。見たところ外傷のようなものも見受けられい。
そのことで響はホッと肩をなでおろした。
「未来、起きて未来」
「ぅ……響……?」
響は未来を軽く揺さぶり彼女を起こすと、再び周囲を見回した。
未来も響に手を貸してもらい隣に立って同じく周囲を見回す。
「ねえ、未来。ここって一体、確か私たちは――」
「うん、あの最後の戦いの時に絶唱を2人で歌って……」
響と未来は、なぜ今自分たちがこのような場所にいるのか見当がつかなかった。
自分たちはあの時、あの場所で自らの命、その全てを燃やしてしまったのだから。
「ここって、もしかして天国……なのかな?」
「そうなのかな……」
『いえ、そのような場所ではございません』
すると突如、2人の脳裏に何者かの声が響き渡った。驚き響と未来の2人は周囲を見渡す。
「誰!? 一体どこから!?」
周囲を見渡しても人影のようなものは見受けられない。しかし、この女性のものと思われる声は今も響たちの頭の中に響いている。
『こちらです』
すると、先ほどよりもはっきりとした声が耳に入ってきた。その声を頼りに響はもう一度周囲を見渡すと、響と未来の2人の前には、あまりにも巨大な大樹が聳え立っていた。
それは先程見渡した時にはなかったもの。
『私の声が、聞こえますか?』
「もしかしてこの声……この樹から!?」
「樹が喋るなんて……」
先程の女性の声が、今一度響と未来の耳に響く。どうやらこの声は目の前のこの大樹から発せられているようであった。あまりにも非常識極まりない光景に一瞬言葉を失うものの、すぐに平静を取り戻す響と未来。そうなれたのは元々の世界でいくつもの未知の存在と出会ってきたからに他ならない。
「貴方は……一体」
『驚かせて申し訳ありません。私の名は神樹と申します。とある世界で人々を護る神として崇められ、祀られております』
「神様……なんですか?」
この大樹は自らを『神樹』と名乗る。
『はい、こちらにあなた方2人をお呼びしたのは、あなた方2人にお願いするためなのです』
「お願い……ですか?」
神樹はそう響たちに告げると、自らが響と未来の2人をこの場所に詠んだ理由と、自らが言ったお願いしたいことを告げた。
『今、私たちの世界は、とある存在により危機に瀕しております。そして、ここ最近になってからですが、新たな敵が我々の世界に現れ、我々の世界を滅ぼそうとしているのです』
「新しい敵?」
『はい、それはこの世界に存在していた者によく似た存在……いえ、全くの同一のものと呼べる者たちです』
「もしかして……それって」
響と未来の2人は神樹の言った敵に関して心当たりがあった。
『はい、こちらの世界で言う「ノイズ」と呼ばれる存在です』
ノイズ、それは響たちの世界に存在していた人類の敵。正確には古代の人々が、自分たち以外の存在を殺すために生み出した同胞殺しの魔物。
太古の時代より神話や伝承の中で描かれた魑魅魍魎の類、その多くがこのノイズであったともいわれていたほど、響たちの世界ではなじみの深い存在であった。
『私たちの世界では、西暦の時に襲来した人類の天敵「バーテックス」との戦いの最中にあり、そのバーテックスに対しては対抗するための術があるのですが、この「ノイズ」に関しては一切の対抗手段を持っておりません。このままでは私たちの世界の脅威であるバーテックスとこのノイズにより、滅ぼされてしまうでしょう。よって、それを回避するためにあなた方の力をお借りしたいのです』
神樹のお願い。それは神樹の世界で現れたノイズに対抗するために、響と未来に力を貸してほしいというものであった。
しかし、それを理解しても未来、それどころか響もこのお願いを聞くべきか悩む。
「手を貸してあげたいのはやまやまですけど、私たちに出来ることなんて、たぶんそんなにありません」
「未来の言うとおりです。私たちの世界だって、ノイズと戦えたのはシンフォギアがあったからで、それもないんだと私たちに出来ることなんて……」
元から、響たちのいた世界でも、シンフォギアという異端技術に関する知識、技術があり、それを武器と出来たからこそ『ノイズ』に対抗できたに過ぎない。
しかし、神樹のいる世界にはそういったものはない。そうなれば響と未来にできることなどどれだけあるというのだろうか。
『そのことに関しては心配いりません。こちらであなた方が使っていた力に関しては、ある手段を用いそちらでも利用できるように致します。そして、私たちの世界に来ていただくのは、あなた方だけではありません』
神樹は響たちが響たちの世界で使っていた力を自分の世界で利用できるようにするという。更に響たち以外にも神樹のいる世界へ迎え入れるものたちがいることを告げる。
「私たち以外に?」
響がそう呟くと同時に、響と未来の2人の前に紅と蒼の光の球体が降り立ち、それが人の姿となる。
「ッ!? 翼さん!?」
「クリス!?」
人の形になった光の球体、その姿はかつての響、未来が見知った人物であった。
「久しいな立花、小日向も」
「事情は、ここにいる神樹ってのからある程度聞いている。私らも驚いてはいるが、放っても置けねえ内容だ」
「じゃあ、2人は……」
「ああ、ここにいる神樹とやらの頼みを聞こうと思っている」
目の前に現れたかつての友、風鳴翼と雪音クリスは、既に神樹からの願いを聞こうと心に決めていた。2人の言うとおり、確かに放っても置けない内容であり、響と未来も出来ることなら聞いてあげたいと思っている。
しかし、全くの未知の世界なうえ、自分たちのいた世界で使っていた手段が取れるかはまだはっきりとしていない。神樹の言葉全てを信じきれないでいた。
だが――。
「私、行きます!」
「響!?」
響は少し考えた後そう口にした。
「本当だったら、私も未来もあの時いなくなっていたはずだった。でも、もしまだ私たちに出来ることがあるっていうのなら、それをどうにかしたい」
「響……」
「だから、私は行く!」
響はどうやら決心がついたようだった。もとより誰かのためになることをしたい、人助けが自身の趣味とすら言っていた彼女だ。この神樹のお願いに関しても出来ることなら聞いてあげたいと思っていた。
「響がいくのなら、私も行く」
「未来……」
「言ったでしょ、響と繋いだ手は、絶対に離さないって」
「ありがとう、未来」
響の決意に未来も続いた。あの日フロンティアでの戦いの後から未来は心に決めていたのだ。響と繋いだこの手は決して離さない。どんな世界でも彼女の陽だまりであり続けると。
「決まりだな」
「ああ、こちらは問題ない。それで、どうやってそちらに向かう?」
『はい、今回あなた方には「転生」という方法にて私たちの世界に来ていただきます』
「転生とは、「輪廻転生」という事か?」
『はい、本来異なる世界と世界、それらを行き来することはかないません。唯一の例外があなた方の世界にはありましたが、それも今のあなた方には……命を終えた者であるあなた方に使う事はかないません』
「ギャラルホルン……」
神樹が言った例外に関して響たちは心当たりがあった。夏休みに入ったときのある程度の期間、響たちがかかわっていたとある事件にて旧2課が保有していたあっる聖遺物。それには異なる世界同士を繋ぐ力、即ち並行世界を渡る力があった。
しかし、元居た世界ですでに命を終えた響たちにそれを使う事はできない。
そのため、唯一残された世界を渡る方法は神樹の言う『転生』しかなかったのだ。
『しかし転生を行えば、元々いた世界においてあなた方は完全に死を迎えることになり、恐らく元居た世界に戻ることはできないでしょう』
響たちは神樹のその言葉に一切動じることなく耳を傾ける。
『申し訳ありません。これ以外にないんです。この方法以外で、私たちの世界に来ていただくことは――』
「そんなこと、今更どうってことねえよ」
神樹は申し訳なさそうに響たちに告げるが、それを遮るようにクリスが言葉を発した。
「ああ、既に元の世界で命を終えた身。それが再び生きる意味と理由を与えてくれたのだ。感謝ことすれど、それに恨み言を言う理由はない」
翼もクリスに続く。そして響と未来も。
「貴方がいなかったら、私たちはこのままどこからもいなくなってた」
「私たちに、もう一度生きる理由を与えてくれたんだもん。だから、そんなこと言わないで」
『皆さん……』
響たち4人の心はすでに決まっている。既に元居た世界では命を終えた身、このまま消えるよりも神樹の願いを聞き転生し神樹の世界に行くのも悪くはない。
その4人の覚悟と決意を目にし、神樹も決断を下した。
『分かりました。それでは転生を用い、あなた方4人を私たちの世界へお送りいたします。あなた方が使っていた力に関してですが、私たちの世界にも似たような力があり、それを応用することで使用可能なように致します』
4人の転生のため、神樹が最後の準備を始めた。そして、4人にあるモノを渡す。それは響や未来たちもよく使う機器、いわゆるスマホの形をした端末であった。
『転生した後はその端末で私たちの世界での事をご確認ください。それと、こちらの世界での記憶はそのまま引き継がれますので、立ち振る舞いには細心の注意を払ってください。それと……これは私の我儘でもありますが、どうか、私たちの世界の事を、私たちの世界の「勇者」たちの事を、あなた方の人生に幸があることをお願います』
そう告げると、周囲の輝きが一層強くなり。
同時に響たちは意識を手放した。最後に神樹が言った『勇者』という言葉。それだけが心に引っかかった。
「響さんたち、先に行ってしまいましたね」
『はい、彼女の言うとおり、とてもとても強い意志と魂をお持ちでした』
「はい、そのおかげで僕も救われましたから」
誰もいなくなった輝く空間で、一人の女性と小さな少年とも取れる少女が話をしていた。
「本当は、直接お話がしたかったのですが、それはまたの機会になってしまいました」
『申し訳ありません』
「謝らないでください。別に怒ってるわけじゃありませんから。それに、僕ももう行かないと」
『はい、それではあなたも。どうか私たちの世界をお願いしますね』
「任せてください」
そういうと、少年のような小さな少女の体が眩く光り輝き。
その空間から姿を消すのであった。