東京喰種 Another Rainy Blue(アナザー・レイニーブルー) 作:紗代
カネキくんの体験を参考にして書いてます。なので原作のセリフや場面を再現してたりとかもするかもしれません。
あんていくの帰りに拾った喰種の親子は枢木可採さんと圭太君という名前の人たちだった。
悪い予感はほぼ的中し、彼らは捜査官に追われて追い詰められた結果あそこにいたらしく、カサイさんは瀕死の重傷を負い、私が通りかからなければ確実に死んでいたのだろう。
ケイタ君は私が二人を助けたためかよく懐いてきてくれたし、カサイさんも最初こそなんとなく警戒していたものの、今ではなんとか慣れて打ち解けてくれているようだった。ケイタ君は私の部屋にあるものが珍しいのか色々聞いてきたので様々なことに答えていると、カサイさんがケイタ君に読み書きや計算、常識などを教えてほしいと言ってきた。なんでも、ケイタ君が人間社会に溶け込んで生活できるようにしたいが、カサイさんはほぼ独学で身に付けた最低限の知識しかなく、学校にも通っていないためケイタ君に教えるのは限度があるので学校に通っていて読書家の私にケイタ君の教師役になってほしいとのことだった。そういうことならと私も快諾し、学校とバイトの合間にケイタ君に様々なことを教えた。懐いてくれるケイタ君とそんな私たちを嬉しそうに見守るカサイさんとの生活は心地よかった。
「で、なんでそんなこと俺に話すんだよ」
「ちょっと聞いてもらいたくてさ、というかアヤト君こそ大丈夫なの?今捜査官がうろついてるって話だけど」
「アホか、俺は戦えるから別にいいんだよ。自分の心配しろよ、戦えねえくせにのこのここんな夜中にきやがって」
「いや動けないわけじゃないんだよ、実践経験があんまりないだけで」
「そんなん一緒だろうが」
「って言いながらもここに来てくれるんだよねアヤト君は」
「あ?何勝手なこと言ってんだこの自意識過剰女」
「別に?アヤト君は優しいなって」
「・・・ムカつく」
「ふふ」
不機嫌そうにするアヤト君は真剣な表情になって私に問いかける。
「・・・おい、これから本当にどうすんだ」
「どうって・・・カサイさんがそろそろ引っ越すからってあんていくも紹介したし、あとはどこに越すか決めるだけだけど」
「そうじゃない、捜査官の方のことだ。アイツらは喰種とその協力者に対して一切容赦がない。これ以上そいつらに関わると、死ぬぞ、おまえ」
より一層低い声で言われた核心的な言葉にこれは忠告なのだと感じ取る。
「心配と忠告、ありがとう」
「別にそんなんじゃねーよ!茶化してんじゃねえよバカ!!」
「うん、分かってる。だからありがとう」
「っ・・・、精々死ぬんじゃねえぞクソ女」
「うん」
そう言って去り行くアヤト君の背中を見送りながらカサイさんとケイタ君、あんていくのみんなのことを考える。
みんな、いい人たちなんだけどな・・・どうにかして共存することとかってできないのかな。アヤト君に言ったら怒りそうだけど、でもせめてお互いの距離感を保って領分さえ守っていればきっと・・・夢物語みたいなことかもしれないけどそれが現実に成ればこんな憎しみや血にまみれた世界はお互いに暮らしやすくなるのではないのだろうか?
そんなことを思いながら、私は星の少ない夜空を見上げた。
*****
翌日、バイトが終わって帰ろうとすると雨が降っていた。洗濯は一昨日済ませて今日は干していないのが不幸中の幸いだろう。店長からもらった三人分の肉と角砂糖を持ってマンションに急いだ。
部屋のインターホンを押すが、反応がない。
「?」
おかしいな、いつもならカサイさんかケイタ君が出てくれるんだけど・・・ドアの鍵を回すと空ぶった。え、まさか開いて、る?
取っ手に手を掛けて引くとドアが開く。嫌な予感がして急いでリビングに向かうと、そこにいつもの二人の姿はない。完全なもぬけの殻だった。
「カサイさん?・・・ケイタくん?」
リビングのテーブルの上に二つ折りになった紙があった。そこにはカサイさんの字で「ミヅキさんへ」と書かれており、急いでいたのか端が合っていなかった。
『――――――ミヅキさんへ
これを見ているということはもうその場に私たちはいないのでしょう。少し急ですが、この家を出ることにしました。助けて匿ってくださった恩を返せないままでごめんなさい。あなたとの生活はとても幸せでした。
どうか、お元気で。
――――――カサイより』
いくらなんでも急すぎるし、この最低限の内容しか書かれてない端の合ってない手紙。まさか、捜査官に見つかったのか?
「っ!!」
私は正体がばれないように私服に着替え、マスクを持ち出すと外に出た。
*****
二人の匂いを追ってただただ走る。雨で薄まっていく匂いに焦りながらもとにかく走る。すると向こうからカサイさんの上着を被ったケイタ君が必死に走ってきた。
「お姉ちゃん!!」
「ケイタ君!!」
「お父さんが、お父さんがまだっ」
「!!」
そのままケイタ君に連れられて走っていくと――――――そこには二人の男女に挟まれ血塗れになっているカサイさんの姿があった。カサイさんは私たちに気付くと優しく微笑み――――――
「 、 」
それが、最後の言葉だった。言葉を言い切った瞬間。カサイさんの首は女性捜査官の刃で宙を舞った。
「ぉと さ――――――!!」
「っ!!」
私はただ、ケイタ君にこれ以上この現場を見せないように目と鼻を塞ぎ、見つからないように気配を潜めることしか出来なかった――――――。
カサイさんの最期の言葉は次回判明させる予定です。
ミヅキちゃんはもしものためにマスクを持っていきましたが結局間に合わなかったため使っていません。