東京喰種 Another Rainy Blue(アナザー・レイニーブルー) 作:紗代
アヤト君は、トーカの元から去って行ってしまった。
私がCCGから帰って来てしばらくしてから、トーカから聞いた。
一体どこに行ってしまったんだろう。今どこで何しているんだろうか。
「お姉ちゃん、この字教えて」
「ああ、これはね「面影(おもかげ)」って読むの。」
「おもかげ・・・」
「うん。でも素直に「面影」って書くより「俤」って字の方がかっこよくて私は好き」
「・・・うん!」
頭を撫でると嬉しそうにするケイタ君。私の方はもうあれから捜査官の干渉はないし、20区も穏やかになりつつあるのでケイタ君はあんていくと私の部屋を行き来し続けていたが私の部屋に戻って生活している。
「ねえお姉ちゃん」
「んー?」
「アヤト君、どこに行っちゃったんだろうね」
「・・・・・そうだね」
本当にどこに行ってしまったんだろう。あれからまた夜の公園に行ってみたけど全然会えないままだ。
「お姉ちゃん、アヤト君見つかるといいね」
「うん」
アヤト君の行方はトーカちゃんや芳村さんでさえ知らないという。ならやっぱり「ヘルタースケルター」に行ってイトリさんに聞いた方がいいだろうか。お金はほとんど使ってないし、むしろこの体になってから食費がほぼかかっていないのでほぼ貯蓄しているからたぶん大丈夫だと思うけど・・・ただトーカ曰く前は「姉弟」としてそれなりの知名度があったがアヤト君単体ではそこまでではなかったらしいので、無名の喰種の情報が果たしてあのバーにあるだろうか?でも他に宛てもないので行く以外の選択は私の中にはなかった。
*****
14区・「ヘルタースケルター」
「オッス、ミヅキちゃん!夏休みは満喫できてるか~?」
「イトリさん」
「けど・・・ここに酸いも甘いも知らないような子を連れてくるのはいただけないなー」
「え」
後ろを見ると――――――変装したケイタ君がいた。
「す、すみません!」
「いやいいよん、言ってみただけだし。まあレンちゃんならいい顔しないだろうけど今日はいないしね。ほーらそこのおませ坊ちゃん!入っといで」
ということで私はケイタ君と一緒にイトリさんから情報を聞くことになった。
「ん~「霧嶋姉弟」って言ったらそれなりに有名だけどその片割れねえ・・・悪いけどその弟君だって特定できるようなのは入って来てないねえ」
「そうですか・・・」
イトリさんが気を遣って出してくれたコーヒーの飲みかけを皿に置いてそのまま揺れる中身を見て答える。いくら感覚が鋭いと言っても東京全体は広いし人も喰種も多いので今の私では特定は無理だ。なのでここがだめだとしたらあとはもう探しようがないので待つことしか出来なくなる。
するとイトリさんは手の内でもてあそんでいたグラスをカウンターに置いた。
「あ、でも彼かどうかはわかんないけど最近よりちょっと前くらいかなあ?なんかうちの区で暴れてる子がいるらしいんだよね。そんで目撃証言によるとその子、10代くらいで羽赫の男の子らしいんだわ」
「!!」
「ま、確定はできないけど・・・彼の出そうなところ、聞きたい?」
「はい!!」
私はそのまま勢いよくうなずいた。
*****
イトリさんに教えてもらった場所に移動する。喰場の中に行った方がいいんだろうけどケイタ君を危険に晒したくないので喰場の中に入ることはなく近づくだけにしている。
「お姉ちゃん、アヤト君!!」
「え」
ケイタ君の指差した方を見ると、たしかにそこには久しく見ていない彼の姿があった。
「アヤト君!」
「!!」
私が名前を呼んで駆け寄ると酷く驚いたようにこっちを見た。
「良かった、アヤト君が見つかって」
「お前、なんで」
「トーカのところ出てったって聞いて心配になって探してたの」
「余計なことすんな。帰れ」
「でもトーカも心配してるよ」
「チッ、うっせーな・・・いい加減ウザイんだよ!」
伸ばそうとした手を弾かれた。アヤト君はばつの悪そうな顔になって私から目線を反らした。私は、何も言わずに手を引っ込めた。
「・・・・・・」
「・・・二度とくんな、半端女」
「いけないなぁアヤト君?女性の話は聞くものだよ」
「何しに来やがった・・・レイル」
突如話に割り込んで来た人に顔色を変えて警戒し始めるアヤト君。ここに来てからの知り合い、だろうか?その人は私を見ると顔色を変えてじろじろと私をくまなく見渡した。
「見つけた・・・」
「おいレイル!」
「マヒト・・・あのクソヤローをついに・・・見つけた!」
「!」
腕を掴まれそうになって避ける。レイルと呼ばれた男は舌打ちすると興奮しているのか目を見開きながら私を凝視している。
「避けないでよ」
「一体なんなんですか」
「いや、今さ。マヒトを探してるんだけど見つからなくて参ってたところだったんだよ」
「マヒトはもうこの世にはいません」
「いるよ、いるんだよ忘れるもんかあのクソヤローを。奴はいるよ。君の中にね」
「!!」
「は、ははははははっ!あいつが他人に肩入れするとか傑作だね!」
「!」
イトリさんいわく幸いここに人は滅多にこないらしいので、私は相手の尋常ならざる様子からいつ何があっても対応できるように赫子を展開する。
「戦うなら応戦してもいいんだけど・・・」
「わ!?」
レイルはケイタ君の首を掴んで締め上げた。
「そんなことしたら確実にこの子は死ぬよ?」
「ぁ、かっ、ぉ ちゃ」
「!ケイタ」
「さあどうする?大人しく俺たちに付いてくるか・・・それともコレを見捨てるか・・・選べェ」
「・・・・・・」
もうその時点で私に、選択肢など残されていなかった。
「そうそう。聞き分けのいい子はやっぱりいいね。あの子たちも最初はそうだったんだけどねぇ・・・といかんいかんいつまでも前の子たちを引き摺るのはよくない。せっかく・・・ねえ」
レイルは私をちらりと一瞥して前を歩きだし、私たちもそれについていく。レイルが上機嫌に前を進む中、私たちは一言も発することなくただただその後ろ姿についていくのだった。
次からアオギリアジトです。
オリキャラの口調からわかった方もいると思いますがある人物の信者です。
ということはミヅキは・・・。