東京喰種 Another Rainy Blue(アナザー・レイニーブルー) 作:紗代
亜アキが好きな方ごめんなさい。
14区の喰種が住み着いている可能性のある廃墟までやってきた私たちは装備を確認しクインケを構え待機する。
「今回の目的は捕らわれた可能性のある捜査官たちの救出、喰種がいた場合の殲滅です。まず私・亜門一等が先導、最後尾は真戸上等・加瀬宮一等で行きます。」
「ですって、よかったですね亜門さん」
「・・・何がだ」
「なにがって・・・みんな知ってますよ?」
「!?な、なな」
「ちなみにこの配置決めたのは水義さんと真戸上等ですけど、亜門さんを水義さんの隣にするように言い包めたのは真戸上等です」
「本来であれば作戦に私情を持ち込むべきではないが君になら彼女を任せてもいいと思ってねえ・・・まあちょっとしたお節介というやつさ」
「!!」
「どうしたんですか?そろそろ時間なので配置に移動してください」
「はーい!よろしくお願いします。真戸上等」
「いやあこちらこそ」
そうして二人がそそくさと離れていき私と亜門さんだけになる。
「それでは亜門一等、真戸上等ほどではありませんが、よろしくお願いします。」
「い、いえ。こちらこそよろしくお願いします!」
固くなる亜門さんを疑問に思いつつ自分の配置へ戻る。
「・・・突入!!」
私の声と合図により作戦開始を告げられた捜査官全員が一斉に動き出した。
「な、CCGグゲ!?」
突入に気付いて本性を現す喰種たちを切り捨てていく。
「私と亜門一等が道を開きます!後方は周りの攻撃に注意しながら確実に仕留めなさい!!」
立ちふさがる喰種たちを切り刻む。長年愛用しているアギトよりこっちの方が手に馴染むなんて、なんて皮肉だろうか。
「ふざけんな死ね白鳩がぁ!!」
「うぁ!?」
後方の捜査官に飛び掛かる喰種に私はモードチェンジで羽赫に切り替え弾丸を放った。
「死ぬのはおまえだ」
羽赫・甲赫のキメラクインケ・ユキア。通常は刀型の甲赫、モードチェンジにより銃形態の羽赫へと変わる可変式クインケ。
私が一番初めに手に入れたクインケであり、同時にあまり使いたくないクインケでもある。
「怪我は?」
「あ、ありません!!」
とりあえず人員の無事を確認するとまた再び自分の勘を頼りに進む。
「嫌な予感がします・・・先を急ぎましょう」
「!水義上等」
進む。とにかくそのまま進み続ける。進むにつれて血の匂いが濃くなっている気がする。
「・・・無事でいてくれ」
祈るようにしてある扉を開けるとその先には――――――たくさんの腐敗した女性の遺体と、頭がなくなって所々が欠けている遺体と心臓を潰された遺体があった。
私以外が息絶えたこの部屋に踏み込み、まだ腐敗が酷くない頭部のない遺体と心臓を潰された遺体に近寄った。
そこで、それが誰なのかに気付いた。気づいて、しまった。
「ぁ――――――」
膝をついて頭部が無くなった遺体を抱き上げる。この人は――――――
「水義上等!!」
背後から追いついてきた亜門さんの声。応えなくては、この状況を、冷静に、私情を挟まずに
「亜門一等、至急黒磐班と14区支部に連絡を」
「!!」
「任務は終了。直ちに遺体のCCGへ移送の手配をお願いします」
――――――私の声は震えずに平静を保てていただろうか。
実は頭を潰された女性捜査官と水義さんには少なからず縁があります。