東京喰種 Another Rainy Blue(アナザー・レイニーブルー) 作:紗代
まだ本編じゃなくてカネキくんも出てないのでアヤト君多めかもしれないです。
CP要素はあっても確定は避けていきたいと思ってます。
『ミヅキ』
『おまえが・・・・合うまで・・・守って・・・』
『それまで・・・・・・』
夢の中に響く声。聞き覚えがあって、最近全く聞いていない声。一番聞きたい声。
―――マヒトの声で、目を覚ました。
「――――――今、何時だ?」
時間を見ると午前2時。まだ日が昇りさえしていない深夜だった。でももう目が冴えてしばらく寝付けそうにない。
「仕方ない、外に行こう」
そう思い立つとシャツとサブリナパンツを穿いてボールを持つと部屋を出た。
そろそろ6月に差し掛かっているといってもそこまでの蒸し暑さは感じないし、むしろやや寒いくらいの温度。薄着しすぎただろうか。と独り言ちていると目的の場所―――バスケコートに着いた。
「とりあえず人影はなし・・・と」
周りを確認してボールを弾ませる。いくら地下で毎日のように四方さんに稽古をつけてもらっているとはいえ、バスケは熱中しすぎてひょっとしたら人間以上の力を使ってしまいかねない。なので誰も見ていないところでこうして訓練しているのだ。いつもは地下で、今回みたいに深夜にやることではないのでせっかくだし外で思い切ってバスケをしたいっていうのが本音だけども。
ドリブルしながらゴールまで近づいていきシュートする。ゴールを潜り抜け落ちてきたボールを拾うとゴールから距離を取ってスリーポイントを決めた。バスケコートを使ってちゃんとシュートを決めるのはこのあいだのトーカとの1on1以来なので少し不安だったけど・・・うん。とりあえずおおまかなブレとかはないみたいだ。・・・ひょっとしてダンクも軽くできるようになってるんじゃ・・・と魔が差したその時、ちょうど後ろから気配を感じた。
「どうしたの、こんな夜更けに。早く家に戻らないとトーカが心配するよ?―――アヤト君」
「うるせえよ、半端女」
私に指摘されて姿を現したのは――――――アヤト君だった。今回はそこまで前ほど敵意を感じないが不機嫌なのはそのままである。
「もしかして貴方も夜の散歩?トーカはこのこと知ってるの?」
「おまえと一緒にするんじゃねえ、俺は獲物探しにぶらついてただけだ。姉貴なんざ知るかよ」
「そっか」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
会話が続かない。沈黙が、痛い・・・。
「ねえ、ちょっと付き合ってくれない?」
「はあ?なんで俺がおまえなんかに・・・」
「頼むよ。目が冴えて眠れないんだ」
「・・・言っとくがバスケなんてしないからな」
「うん。それでもいいよ。話し相手がほしいんだ」
「チッ」
「とりあえず、立ち話もなんだしそこのベンチにでも座ろうか」
舌打ちをして嫌そうにしながらもベンチに移動してくれたので私も彼の隣(といっても人一人分を空けて)に座った。
「ここは、あっちよりちょっと空が狭いね」
「あっち?」
「アメリカ。私、去年の夏にここに来るまではずっとアメリカの郊外に住んでたから・・・でも最近は忙しくてこうして空を見上げる余裕すらなかったなあ」
「・・・空なんてどこで見たって同じだろうが」
「違うよ。周りにある植物とか建物とかの景色や天気でも違うし、見る場所によっても見える星と見えない星があって星座が見れたり見れなかったりするんだから」
「そういうもんか?」
「少なくとも私はそう思ってる」
「・・・そうかよ」
「うん・・・綺麗でしょ」
「・・・・・・」
私は星空を見上げる。アヤト君は何も言わなかった。
「・・・俺はもう行く」
「あ、うん・・・話に付き合ってくれてありがとう」
席を立つアヤト君を見て私も立ち上がる。一応手を振ってみたけどアヤト君は振り返らなかった。
この時間帯にこの周辺に人が寄り付かないことを知った私は時間のある深夜にここに来てバスケをするようになり、アヤト君と鉢合わせし今日のように話すことが常になるのだけど、それはまた別の話。
主人公が空を見上げた時アヤト君は何も言わずに主人公のこと見てました。それでトーカちゃんの事や主人公の事考えて複雑な心境になってます。
あと、どうでもいい裏設定的な話になりますが、アヤト君と鉢合わせするようになるのはアヤト君が見計らってくるようになったからです。