朝、俺は目覚めいつも通りの行動をしようとした矢先ここがいつも更識といる部屋ではなく臨海学校の部屋だということに気がついた。そして、同じ部屋にいるのが可愛らしく寝息を立てる更識ではなく間抜けな顔をした一夏だった。まだ、皆が起き始めるには時間が早すぎる。その為俺はここの周りを歩くことにした。俺や一夏のいる離れは、ブラックなジャックの家のように崖の直ぐ傍にある。暇なので俺はその方向に歩いてみた。ここの崖の真下には暗礁が多数あるようで白波がさざめきたっている。視線をあげて見ると丁度太陽が水平線から覗き込んできた。風が少し強く体感温度が低く感じるのが難点だが景色は良かった。その後、俺は旅館の周りを散策し7時になる頃に部屋に戻った。
部屋に戻った俺がまず見たのは、一夏の寝ている布団に群がる一夏ガールズたちだった。なにを朝っぱらからしてんだよ。俺は少しだけ開いた襖を閉め、どうしようか考えた。うむ、どうからかってやろうか。そうだ。
「織斑先生おはようございます。………一夏ですか?………まだ寝ているようですよ。起こしましょうか?………えっ?先生が起こす?わかりました。では、こちらへ」
俺は誰もいない廊下に向かって声をかけた。案の定、襖の向こう側ではドタバタと隠れるために無駄な努力をしている音が聞こえる。やべーな。楽しすぎる。さて、どうしようか?
「えっ?篠ノ之たちがいない?…いやいやまさかここにはいないでしょ。………いたら容赦しない?……そうですか。まぁ、いないと思いますがね。いたらひどい目に会うでしょうから」
俺は、襖を開けると同時にもう一度誰もいない廊下に向かって話しかけた。そして、セリフの「容赦しない」の時に押し入れの中から音が聞こえた。
「ん?今、なんか押し入れの中から音がしなかったか?」
俺は足音を立てながら襖の前に立ち、襖を開けようと手をかけた。だが、まだだ。ここで終わらせん。
「織斑先生?どうかしましたか?…用事が出来たので一夏を起きすのは任せたと。はぁ、了解です。……篠ノ之たちがもしこの部屋にいたら報告ですか?了解です」
そう言って俺は襖の前から離れた。おそらく、押し入れの中の彼女たちは安堵していることだろう。さて、そんな彼女たちは実にからかい甲斐があるのでもう少し遊ばせてもらおう。その為に一夏には退場していただこう。
「おい、一夏、もうすぐ朝飯だ。起きろー」
俺は一夏の脇腹をひと蹴りして起こしてあげた。
「痛っ!……お、おはよう。亮。なんか脇腹痛いんだが」
「ん?気のせいだろ。それより飯だ」
「あいよ。一緒に行こうぜ。亮」
「おう。俺は今日の準備をしてから行くから先に行っといてくれ」
「わかった。んじゃ、先行くわ」
さて、この押入れの中の連中をどうするか。
「あー、そういえば、篠ノ之たちは見なかったなー。まー、俺に見つかれば織斑先生に報告しなきゃならんし、あいつらにとってはよかったなー。何やら容赦しないなんてことを言っていたしなー」
ガタッとまた押入れから音がした。こいつら隠れるのが下手すぎやしないかい?それとも容赦の言葉に反応しているのか?……新聞部マル秘情報では織斑先生はブラコンのようだし、もしかしたら昨日の夜、織斑先生と彼女たちの間で何かあったのかもしれん。
さて、締めはどうしようか。
俺は、意味もなく自分の荷物をわざと大きく音を出しながら弄り、
「さて、そろそろ俺も行くか」
そう言って襖を開け、そのまま、閉めた。
ゆっくりと押入れの方を見ていること30秒ほど、押入れの襖が開いた。
「よう。どうだった?押入れの中は?快適かい?」
パシャリ。証拠写真ゲット。
「「「「「………………」」」」」
ヤバイ、おもしろすぎる。押入れから安堵して出てきた後の俺を見つけた彼女たちの表情が面白い。一夏に見せようとしたのだが、阻止された。
さて、朝から大いに楽しんだ俺は更識がいないため知らずに溜まっていたストレスを発散出来て機嫌がいい。
今日の予定だが午前は座学で午後からは一般性とはISを使ってのデータ取りだ。ここ周辺では射撃武装は使えないので主にISに乗って近接格闘能力を計測するらしい。
「つまりISで殴り合いをするのか」
「お、大神さん。前回のクラス代表決定戦の時のようにはしないでくださいませんか?」
オルコットには、あの戦いがトラウマのようだ。まぁ、自分でもアレはやりすぎだと思ったのでもうしない。オルコットには安心しろ、と言ったが微妙な顔をされた。なぜ?
さて、午前中は海岸沿いにこの旅館が建っていることもあり、日差しは強かったが風があるので涼しく授業は受けやすかった。また、内容についてだが更識のおかげで全く問題ない。と言うか更識とやった範囲のほうが先を行っているためここでやっていることは復習になる。
昼食を挟んで午後からはISを使ってのデータ取りだ。楽しみだ。俺はISで空を飛ぶのが好きだ。人間は空を飛ぶことができない。だから、過去の人物たちは空を渇望し目指した。それが今、IS一つで空を思い通りに飛べるのだ。生憎戦闘に関しては徒手格闘以外殆どしていないが。
さて、待ちに待ったISでの訓練なのだが機材を搬入しさぁこれからだと言うタイミングで何やらあったようだ。山田先生が申し訳なさそうに今日は一日旅館の中で待機してくださいと言ってきた。まじで。今の時間だと更識授業だしメールもできない。つまり暇な時間になる。一夏ら専用機組と篠ノ之は何やら呼び出されていた。
「ねぇ、いっくん。もう一人の男って何処に居るの?」
「え?俺と同じ部屋だぜ。あの旅館の離れのとこ」
「ふ〜ん、そうなんだ〜」
さて、待機を命じられて何時間たっただろうか?そろそろ、日が傾いてきて、綺麗な夕焼けが見える。更識に写真撮って送るか。備え付けのスリッパを履いてスマホを掲げた。
「ん?」
なんか海上に何かがキラリと光った。目を凝らしてその正体を見極めようとする。……銀色……IS?見たことない形だな。
次に俺が目にしたのは、俺の方に向かって来る無数のエネルギー弾だった。
福音事件詳細情報
本日、アメリカ・イスラエル共同開発の軍用IS、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)がハワイ沖にて試験運用中に暴走。現時点では、原因不明のため解明中。また、このIS(これより先は福音とする)は、IS学園、専用機部隊により鹵獲作戦を展開するも第一接触時にIS学園生徒、織斑一夏の操縦する白式が撃墜されたため、第一鹵獲作戦は失敗。失敗の原因は現在解明中。その後、04時53分まで福音は同海域にて移動せず。その後、06時25分に再び福音の可動を確認。進行方向はIS学園の臨海学校宿泊先あり。直ちにIS学園所属IS警備隊出動。防衛戦を展開。戦闘開始から32分後、警備隊の戦闘継続能力の消滅を確認。福音その後、直進。同時刻IS学園生徒専用機持ち生徒による迎撃を確認。この際、福音の攻撃による周辺の被害を確認。当旅館の施設が破壊された模様。後の被害状況報告の際、男性IS操縦者大神亮が行方不明と判明。同時刻大神亮は破壊された施設にいたと思われる。施設の破壊状況は旅館の離れを中心に損害が見られる。
その後、第二形態に移行したISを含むIS専用機部隊により福音の沈黙を確認。
負傷者及び行方不明者
負傷者 14名
行方不明者 1名
以上が現段階で判明している情報である。
爆発はやっぱり最高