来週から東京だよ畜生め
もうすぐ亮君は臨海学校だって言うのに準備を何一つしていない。でも、そのおかげでまた二人で出かけられる。ふふっ、今度は二人でどこへ行こうかしら?写真とか二人で撮りたいわね。
私は、亮君と出かける約束をした日からの授業中ずっと出かける日のプランを考えたりしていた。
「ねえ、虚ちゃん。例えばの話よ?男の人と出かける時の服ってどんなのがいいかしら?」
「今度、大神さんと出かけるんですか?」
「だ、誰もりょ……大神君と出かけるなんて言ってないわよ」
「お嬢様、バレバレですよ。何年一緒にいると思ってるんですか。それに生徒会室でのお二人の様子を見ていたら嫌でもわかります」
「………む〜、まぁ、虚ちゃんならいっか。そういえば、昨日、亮君がね「お嬢様」……なによ?」
「今度のデートのコーディネートの話はよろしいんですか?」
「デ、デートって私たちまだ付き合ってないわよ」
「はぁ、まだっておっしゃってるじゃないですか。つまり、これから付き合うんですよね?」
「…………む〜」
「お互い好意を抱いているというのにお二人揃って不器用過ぎです。さて、今度のデートのコーディネートでしたね。お嬢様ならなんでも似合うと思うのですが」
「不器用でもいいもん。………なんでもいいって……何にするか困ってるから相談してるのに〜」
「はぁ、では前回のデートとはまた違った雰囲気の服で行ってみてはいかがでしょうか?」
「そうね。前回は大人しい感じのコーディネートにしたから………今度は少しもうすぐ夏だし少し大胆に行ってみようかしら。そうよ、夏だし、少しくらい大胆でも」
「僭越ながら、あまり露出の激しいコーディネートでは、大神さんに引かれるかもしれませんよ。ここは、シンプルにまとめてみてはいかがでしょうか?」
「うっ。そうね。そうするわ。ありがと、虚ちゃん」
「いえ、これくらい大したことではありません。それより、今度のデート楽しんできてください」
「うん♪」
二人で出かける予定の日曜日。やっぱりまだ少し恥ずかしいので亮君には先に行ってもらった。今日の私の服のコーディネートのコンセプトは活発で元気そうな雰囲気の服装でシンプルにまとめた。その後、鏡の前に立ち軽く頬を叩き気合を入れてから亮君のいるレゾナンスに向かって歩き出した。
前回と同じベンチに亮君は座っていた。今日の私の感想を聞いてみたら、「可愛いよ」って言ってくれた。いつもはこんなこと口にしてくれないのに。む〜反則よ。
その後、二人で水着を買いに行った時一夏君とデュノアちゃんがいたのでからかってみた。亮君は止めるかなって思っていたけれど一緒に乗ってきてくれた。また、新しい亮君の一面を見つけた。
そのあと、冗談半分でランジェリーショップに誘ってみたら面白いくらい動揺してた。私の手を引いて歩く亮君の耳が少し赤くなっていた。
今日の昼食は、亮君がリサーチしてくれたお店だった。テラスから見える景色がとても綺麗で思わず口から感嘆の声が漏れてしまった。席に座るときさりげなく椅子を引いてくれた。そんな細かな心遣いのある亮君が私は好き。
その後は二人で食べさせ合いっこをした。他の客から見られていたけれど私は亮君と二人でいられるだけで充分。だから、気にせずに食べさせ合いっこをしていた。初めは恥ずかしがっていた亮君だけど吹っ切れたのか途中から気にしないようになっていた。なんだかんだ言う亮君だけど最後はちゃんと食べてくれる。
昼食を食べ終わった後二人で写真を撮ることにした。亮君と写真を撮るのはこれが初めてだ。写真を撮るという口実で亮君に思う存分密着できる。恥ずかしくて鼓動が高鳴る。亮君に気づかれてないわよね?
写真を撮り終えたあと撮った写真を二人で眺めた。私の携帯で撮った写真を二人で眺めたから自然と二人の顔が近くになって、その事に気が付いた私はとたんにまた胸が高鳴った。亮君は写真を見るのに夢中で気が付いていないようだ。そんな事を考えていたら、亮君が不思議そうな顔をして私を見てきた。どうやら、私は、亮君の顔をずっと見ていたようだ。うぅ、何してんのよ〜私は。
それから、分かりやすい嘘をついて亮君がどこかに行った。嘘に気づいたけれど敢えて気づかない振りをした。なぜなら、亮君が何やら私に隠れて準備しているのを知ってるから。寮にいるとき亮君はバレないようにいつもネットで何かしていた。不思議に思って一度だけ聞いたことがあった。その時、亮君は
「更識にサプライズをする準備をしてる………あっ!言ったらサプライズじゃないな」
少し間抜けな所もあるけれど、私はそんな亮君も好き。
亮君が何かをするために去ってから私はさっき撮った写真を眺めていた。ふふっ、亮君のこの何とも言えない顔。学園にいるときはいつも厳しい顔をしているけれど亮君は私の前ではいろんな表情を見せてくれる。小さな事だけどそんなことでも私は嬉しい。そして、そんな亮君の隣にいる私は笑顔でいられる。学園にいるときの更識楯無としてではなく更識刀奈として私は笑顔でいられる。亮君と会う前の私では考えられないことだ。私の中でどんどん亮君の存在が大きくなっているのを感じる。亮君のことを考えるだけで胸が熱くなって苦しい。今はまだこの気持ちを我慢できる。でも、もうそろそろ限界かもしれない。
そして、私がそんなことを考えて、早く亮君に会いたいな、なんて考えていた時のこと
「そこのお嬢さん。俺達と一夏のアバンチュールしないか?」
「しないか〜い?」
「togetherしようぜ?」
なんか来た。せっかく亮君のことを考えて幸せな気持ちに浸っていたのに。どうしようかな?できるだけ穏便にすましたいし、そんな事を考えていたら彼らの向こう側に亮君がいるのが見てた。その瞬間、私はどうしようもなく嬉しくなって笑顔になった。しかし、私に声を掛けてきた三人組は、なにを勘違いしたのか私が了承したと思ったらしい。
そして、そのまま私の手を掴もうとしたとき亮君が来た。二度目の大魔神降臨。三人組はすぐさま逃げ去った。私は、三人組に絡まれている私を見て全速力で助けに来てくれた亮君にありがと♪と伝えた。自分で対処もできたけれど亮君が助けてくれて嬉しかった。今まで私の周りにいた人は、私をIS学園最強の生徒会長、更識家当主としてしか見てくれなかった。だから、私が危険な状況に陥っても助けようとしてくれる人物はいなかった。でも、亮君は同じ更識楯無でも一人の人間として見てくれる。私が更識家当主であることを知った上で私と関わってくれる。いつか更識楯無としてでなく更識刀奈として見てもらいたいな。
その後、私は初めてゲームセンターに行った。ゲームセンターと言うものは知っていたけれど実際に行ったことは無かった。亮君と手を繋ぎながら私はいろんな事を亮君に質問した。そんな私に亮君は嫌な顔一つせずに一つ一つ丁寧に説明してくれた。その後、二人で豆男君を取ったりした。アームの動き一つに一喜一憂したり上手く取れたときなんかは二人でハイタッチしたりした。今までゲームセンターって何が面白いんだろう?なんて思っていた自分を叱りつけたい。こんなにも楽しいものだなんて私は知らなかった。でも、こんなにも楽しいのはきっと亮君がいるから。一人でここに来ても何も楽しくないだろうな。
それから、二人で門限に間に合うギリギリの時間まで遊んだ。今の私はとっても幸せ。今日一日ずっーと亮君といられた。亮君はずっと私の隣で手を繋いでいてくれた。そういえば、今日の外出の目的って臨海学校の準備だったわね。うぅ〜いや〜亮君、私を一人にしないで〜………あっ!だめだめ、ダメよ、私、しっかりしなさい!そうよ!亮君が帰ってきたら存分に甘えればいいじゃない。うん。そうしましょ。ふふっ。
それから、ギリギリで寮に到着した。それから、二人で夕食に食べに行った。そして、今日あったことを二人で話していた。話している途中に薫ちゃんを見つけた。呼んでみるとまた取材がどうの言い出した。む〜、亮君と楽しそうに話してる。そう思っていたら、薫ちゃんが私に機嫌が良さそうだけどどうしたの?って聞いて来た。ふふっ、教えない。今日のことは私と亮君だけの秘密だから。
そして、臨海学校当日の早朝。
臨海学校でお世話になる旅館はIS学園からかなり離れた場所にある。だから、昼頃に到着するにはここを朝早くに出発しないといけない。亮君は朝早いから見送りはいらないと言っていたけど私は見送りしたい。だから、朝は亮君と一緒の時間に起きた。
出発直前に亮君が私に伝えたいことがあるって言ってた。私もあるのよ。だから、早く帰ってきて。
亮君を送り出してから私は一人部屋に戻った。キッチンには亮君がいつも淹れてくれるコーヒーサイフォンがあって、食器棚には私と亮君の食器がある。もちろんお揃いのお弁当箱も。ベッドには枕の脇にあの時に取ったぬいぐるみがそれぞれのベッド脇に置いてある。こうやって改めて見回すと私って亮君と出会ってからずっと一緒にいたんだ、って改めて思った。早く帰ってきてね。
私は、亮君をさっき送り出した所だけどそう思った。
寂しい。亮君がいない。
亮君はあまりメールなんかを送ったりしない。夕方くらいに連絡をくれるって言ってた。授業の邪魔にならないように考えてくれたようだけど私は何時でも連絡をいれて欲しい。私は今日ずっと携帯を握りしめている。早く連絡来ないかな。
そしてやっと待ちに待った亮君から連絡が来た。その内容は海でしたことなんかが書かれていた。それと一緒に砂浜の写真なんかが一緒に送られてきた。今度は二人で行きたいな。そう返信したら直ぐに[もちろんだ]って返信が返ってきて私は一人微笑んだ。
あと、最後に、中国の代表候補生がいじり甲斐のある面白い子だという内容のメールが来た。ふふっ、面白そうな情報ね。今度私も一度お話してみようかしら。
む〜。亮君のいない部屋は寂しい。私は、今日の授業のが終わり、夕食を食べ終え、一人部屋に戻った。今日は、なんとなくシャワーで済ませる。シャワールームには、いつも亮君の使うシャンプーなんかが置いてある。私はそれらをなんとなく眺めながらシャワーを浴びていた。
それから寂しさを紛らわすために豆男君を抱いてベットに倒れ込んだ。いつもならここで亮君と二人でお喋りしたりするのだけれど、いない。消灯時間までまだ時間は残されているけれど、私は早く寝ることにした。その際、亮君のベット脇にある豆次郎君を拝借して豆次郎君を抱きながら目を閉じた。
おやすみ、亮君。
私は、今は遠くにいる亮君に向かって一人呟いた。
翌朝、起きた時にメールが来ていた。送り主は亮君で[おはよう]の一言だけだったけど私は嬉しくて朝から機嫌がとっても良かった。もちろん直ぐに『おはよう』って返信をしておいた。
これが、臨海学校に行った彼からの最後の連絡だった。
ビール美味しい。