大まかな筋書きは変えないつもりです。
それからすぐに、政府のお役人の方々から話があるから来てくれと半ば強制的に連れて行かれた。
急かされながら黒塗りのクラウンに押し込まれ、市役所に連れて行かれる。
腰が沈み込むような椅子に座り待たされていると扉が弾け飛ぶように開かれどこかで見たような顔のおっさんが登場する。
入るなり俺の手を掴みブンブンと振り回しながら、まさか貴重な男性IS操縦者がこの街から出るとは市長として誇らしいよ、とまくし立てている。おやおや市長さんでしたか。
興奮しながら話を続ける市長を秘書の方に引き剥がしてもらい、担当者の方にこれからについての説明をしていただきく事となった。
その話の中で俺は新学期から新しくIS学園とやらに行かなくてはならないらしい。
そして次の日には制服と鈍器になりそうな参考書を笑顔で渡された。
必読と書かれた鈍器のような参考書を前に俺は、暫し立ち尽くした。
というかいつ制服のサイズ図ったの?ピッタリなんだけど?ねぇ?
ちなみに、1人目の時は自宅待機だったのだが、大量のマスコミや遺伝子工学の学者や明らかに怪しい宗教の人間が一人目の自宅に殺到したので、政府の方でIS学園入学まで部屋を用意してくれるらしい。だから、IS学園に持っていく荷物などを今日中に準備しておいてくれと申し訳なさそうに言われたが、実際、自宅待機も家から出られず、常に野次馬に囲まれているので、逆に部屋を用意してくれてありがたいと言っておいた。
ちなみに、IS学園での俺は1年生からだそうだ。そりゃ、そうだよな。2年生にいきなり編入しても通常授業はなんとかできても、ISの専門授業となればお手上げだ。
ましてや、1年でもIS学園に入学しているような女子の一般生徒は、もっと前からISについて学んでいるのだ、1年生の授業でさえ危ういかもしれん。
とはいえ、もう一度同じ授業をやり直すのは面倒でもあるし、編入という形でのIS学園での生活は非常に胃の痛くなる生活になりそうだ。人間現状の生活に慣れてしまうと突然の環境の変化は受け入れ難いものである。
とはいえ、IS学園への編入は嫌だといって拒否できるものでもない。むしろ、このまま現状維持しつつ生活するのは困難であることなど明白である。
とりあえずは、思考の海に潜るのはやめて明日に迫る転居のために荷物整理を始めなくてはならない。転居先には電化製品や家具等の最低限のものは揃っているとの説明を受けたので持っていく荷物は比較的少なく済みそうだ。
キャリーバック一つに必要最低限のものを詰め込み、学園編入までの転居先へ移動する為に車を呼ぶ。
学園編入までは、家族も同行する事になった。
保護先は都内の某有名ホテルの最上階だった。普通の一般家庭の俺でさえそこいらにある花瓶一つで親父のひと月の給料が吹き飛んでも足りない価値のある物だとわかる。家具にしても、ひと目で高級品とわかるようなものばかりで、ソファに座ることさえためらいを覚える。
しかし、親父には関係ないようだ。
この部屋の飲み物は、すべて無料と聞くや否や、ワインセラーから如何にもな年代物のワインやらを取り出し容赦なく飲みだした。
これにはさすがのボーイも苦笑いをしていた。
親父は上機嫌だが、俺はこんな親父をもっていて恥ずかしくてたまらない。
親父は、見た目はいかにもなダンディな男であるが、言動ですべてを台無しにしている。本当黙って動かなきゃいいのにな。
母さんは、ボーイさんが下がるや否や、親父を殴り飛ばしていた。いいぞ、もっとやッちまえ。
妹はいつの間にか着替えて寝ていた。
お前は、何時でもマイペースだな。兄さんはそんな妹が羨ましいよ。
両親がOHANASHIをしているのを背景に、俺は時間のある限り鈍器のような参考書の内容を頭に詰め込む作業を始めた。
そうして、ついにIS学園へと向かう日となった。
保護も兼ねるので初日から寮生活だ。いくつかの荷物は先に送って、生活必需品のみ自分で持っていくことにした。
いつもうるさい親父が何故か静かだったので流石に泣いているのかと思ったが、親父はただの二日酔いだとほざきやがる。ふざけるな!息子より酒かよ!
母さんは、ただ「がんばってね」の一言だったが、目に涙を溜めながら言うのを見て俺にとっては、それで十分だった。
妹は、
「………」
何も言わずに抱きついてきた。
ほとんど無表情な妹だがこんな時だけ泣きながら抱きつくのは反則だろ。と一人思った。直ぐに離れた妹だったが、涙を見せないように俺に背中を向け母さんの手を握る姿を見るといつもはなんとも思わない妹がとても愛おしく、可愛らしく見えた。
「行ってくる」そう言って俺は、少ない荷物を持って歩き出した。
そんな俺の背中に、親父が
「頑張れよ。馬鹿息子が」
とボソリと言った。二日酔いだなんだと言っていたが酒に強い親父が二日酔いという時は大体が照れ隠しだということは家族内での共通認識である。何年家族やってると思ってんだよ。バカ親父。
そして、俺はもう一度
「行ってくる」
と小さく呟いた。
今日中にあと三話くらいは投稿しておきたいです