俺は、更識楯無が好きだ!   作:haze

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今日中にあと二話更新するぞー
今まで書いていた分に書き足したり削ったりするだけの作業なので比較的早く出来ますね。


ヒレカツ様

 

 

 

 俺こと、大神 亮は孤高の存在だ。

 言い方を変えるとただのボッチだが。

 

 そんな俺が誰かに特定の感情を、持つことなど今まで一度たりとなかった。

 何故なら、他人になんらかの感情を抱くに至るまで友好関係が進むことが無かったからである。故に今まで家族を除きその他の人間に特定の感情を持つことがなかったのだ。

 それ以来、俺は周りからは一歩引いた立ち位置でいることが多くなり口数も極端に少なくなった。最終的には、常に一人でいるというのが普通になった。

 誰かと仲良くなろうとしなかった訳ではない。努力はしたのだ。しかし、結果が実を結ぶことはなかった。だからかもしれない。俺はいつの間にか自分から誰かに関わるのをやめてしまった。

 

 

 

 

 

 そして、いつの間にかボッチになっていた俺が誰か一個人に対してこれほどまでに強い感情を抱いたのは、彼女がはじめてだった。

 

 

 

 

 俺は会って間もないこのルームメイトに一目惚れをした。

 何故はわからない。ただ、見蕩れてしまった。

 この感情に、いったいどのような言葉で言い表せせばいいかわからない。

 今まで他人にここまで強い感情を抱いたことはない。故に俺は、自分の抱いている感情を上手く言葉に出来ないでいるのだ。

 それ以前に何故、このような感情を抱いたのかさえわからない。

 

 

 しかし、だだ一つわかっていることがある。この感情は、とても心地いいものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 それから、俺は、俺の目を真っ直ぐに見つめている彼女に一言、

 

 「……よろしく。」

 

  そう言った。

 

 

 

 ああ、こいつは、俺と目を合わせてくれるんだな。

 

 

 

 

 

 

 この出会いを後になってから思い返すと。俺はふと思った。

 普通ならまず最初は何故織斑ではなく見ず知らずの彼女と同じルームメイトになったのか、ということに疑問をもつはずだ。だが、俺の中で彼女に対する印象があまりに強く、そして、そんな彼女とルームメイトになるということに意識が行っていた為、彼女に何故、俺とルームメイトになったのかを説明されるまで、俺はそんな疑問を抱くことさえなかった。

 

 

 

 

 

 

 その後、しばらくし更識楯無と名乗る少女から何故このような部屋割りになったのか聞かされた。

 

 一つ目は、俺にはISに関する知識が圧倒的に足りないためそのサポートをするため。

 

 二つ目は、少なくとも俺が安全なのはこの学園にいる三年間だけなのでそれまでに自衛できる位の力を付けるための指導者役であるから。

 

 三つ目は、織斑と違い何の後ろ盾もない俺の護衛役だそうだ。

 

 

 俺は彼女にそれだけの力があるのかと疑問に思ったが、彼女はロシアの代表生であること。もちろん、専用機もあるとのことだ。

 そして、このIS学園の生徒会長だといっていた。この学園の生徒会長は、学園最強である証でもあるらしい。

 

 

 

 そして、話の最後には他言無用の重要事項として二つの事を聞いた。

一つは更識という家について

 更識家は日本政府を裏から支える暗部に対する対暗部組織であり、彼女は17代目当主の楯無だそうだ。楯無という名は、更識家当家が代々襲名する名前であるということ。

 ちなみに、俺の家族を裏から護衛しているのは、更識の家の人間らしい。護衛の方々、ありがとうございます。

 

 そしてもう一つ、現在亡国機業ファントム・タスクという秘密結社について。

 組織の目的、規模などの詳細が不明で謎に包まれた組織であり、数少ないわかっていることは、第二次世界大戦中に発足したこと。組織の指揮系統が幹部会と実働部隊に分かれていること。イギリス及びアメリカの新型のISを強奪したのがこの組織だということ。だそうで、警戒が必要だと言っていた。

 

 

 本来、更識家及び、亡国機業ファントム・タスクについては機密事項らしいのだが、世界に二人しかいない男性IS操縦者は狙われる危険性があるため、己の立場がどれくらい重要なのかを知ってもらうために情報を伝えたと言っていた。最後の話については、もう一度他言無用と釘を刺された。

 正直に言って、あまりに規模の大きな話であまり実感しづらかった。

 

 

 

 

 重要な話が終わり後は俺の今後についての話をした。なんでも、俺の早期実力向上の為にこれからの特別プログラムを組んでくれたらしい。ありがたいことだ。

 消灯時間までは、その確認を二人でしたり、俺の好きなことや趣味、家族について聞かれた。妹の話をした時、何故か更識の表情が僅かに曇っていたが、俺は余計な詮索をしなかった。

 話の最後に趣味のコーヒーの話から今度、俺の淹れたコーヒーを飲んでみたいと上目遣いで言われた。わざとではないのだろうが、俺と更識の身長差から自然とそうなったのだろう。

 そして、俺は、そのお願いに間髪入れず了承し、明日の朝にでも淹れようかと言った。その返事を聞いて「ありがとっ!」と嬉しそうに言った更識はとても魅了的だった。

 

 

 ちなみに、今日は、更識は大浴場の方に行かず、部屋のシャワーで済ませるようだ。その際、

 

 「覗かないでねっ?」

 

 と脱衣所から顔だけを出していった。俺が、突然のことに目を白黒していると彼女は、

 

 「一緒に入る?」

 

 「ぶっ」

 

 流石に、これには噴き出さずにはいられなかった。俺を見ていた彼女は悪戯が成功したような満足そうな顔をして、脱衣所に引っ込んだ。上目遣いも実は狙ってやったのかもしれない。絶対そうだ。

 

 

 その後、着替えを忘れた更識がバスタオル一枚で出てきた。

 濡れた髪と上気した顔、僅かに見える鎖骨のラインがなんとも艶かしい。

 

「てへっ♪着替え持って行くの忘れちゃった♪」

 

 

 

 俺は、ベットに倒れ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから直ぐにベットに入り寝ることにした。就寝間際、更識がとんでもないことを口にした、

 「大神君、夜は狼にならないでね?」

 と言われた。俺はすぐさま、

 「そんなことはしねぇよ!」

 と力強く言い返してやった。そうしたら、衝立の向こう側から、笑いを押し殺したような声が聞こえてきた。

 どうやら、更識は、人をからかうのが大好きなようだ。

 

 

 ……いつか必ず仕返ししてやる。俺は、一人決意した。

 

 

 今日は、久しぶりに家族以外と話をした。今日更識からかわれてばかりだったが楽しかった。

 

 その後、更識はようやく笑いが収まったようで、俺に「お休み」と言った。俺も、更識に「……お休み」と言い、目を閉じた。

 ……が、女子と同じ部屋で寝るのには、抵抗を感じ全く眠れなかった。ましてや、出会った時に彼女は、俺が見入ってしまうほどの強い印象を与えたのだ。なおさら、眠れなかった。そうして、俺は、IS学園初日の夜を一睡もすることなく過ごすこととなったのである。

 

 

 

 

 翌朝、一睡も出来ず目の下に大きな隈をつくった俺は更識との約束を果たすため、一人キッチンに立ち悩んでいた。寮に入ってすぐなためコーヒーと共に出すような食べ物がないのだ。その為、どんなコーヒーを出すか一人悩んでいるのだ。

 暫し考えたあと、いつもの珈琲豆を買わせてもらっているマスターが俺がIS学園に入学することを知り、入学祝いに頂いたブレンドコーヒーを淹れることにした。このブレンドコーヒーはマスターが、ブラックでも砂糖やミルクを入れずに飲めるようにと長年の研究の末に完成したブレンドだ。花のような香りが非常に立つブルーマウンテンを中心に四種の豆をブレンドし、酸味とコクのバランスを整えたマスター特製のブレンドコーヒーである。

 ちなみに、俺は二種類の豆をブレンディングするだけで精一杯だ。

 俺は早速、ガラス瓶の中から、二人分の豆を取り出す。時間があるので手動のコーヒーミルで豆をゴリゴリと挽く。そして、中挽きにした豆をコーヒーサイフォンで抽出する。この時間は、いつも抽出されるフラスコを眺める。フラスコ越しに、更識が起きたのが見えた。どうやら、半分ほど寝ぼけていて、猫のように目を擦っている。俺は、その様子をすぐさま瞼の裏に焼き付けた。

 抽出も終わり、温めたカップにコーヒーを淹れた頃、更識がベットから出てキッチンにやって来た。果たして、更識の口に合うかどうかわからないが、俺はそっと彼女にコーヒーを差し出した。更識は、一度コーヒーの香りを一度嗅ぎ、そっと口をつけ一口飲んだ。小さな喉が少し動いたのが見えた。俺は、そんな更識に感想を聞いてみた。

 「・・・・・・うまいか?」

 すると、彼女は驚いたように顔を上げ、大きく頷いてくれた。 

 満足してくれたようで嬉しい。

 ここで不味いなんて言われたら、立ち直れなかったかもしれない。

 

 マスターありがとう。おかげで更識のいい表情が見れました。俺、今日頑張れそうです。

 

 そんなこんなで、朝のモーニングコーヒーを飲み終え、そろそろ食堂が開き朝食を食べに行く頃となった。更識が先の脱衣所で制服に着替え、入れ替わりのようにして、俺が、脱衣所に入り着替えた。更識は先に行ってるだろうと思ったが、脱衣所を出て見ると、部屋の扉の前にまだ更識がいた。そして、彼女は俺に、

 

 「一緒に行きましょ?」

 

 と声を掛けてきた。あまりに予想外過ぎて、俺は固まった。そうしたら、更識は俺が嫌がっていると思ったのか、

 

 「ごめんなさい、昨日の今日で馴れ馴れしいわよね。先に行っておくわ。」

 

 と俯きながら言った。

 

 俺は慌てて声を掛け更識を引き止めた。

 

 そしたら、立ち止まった彼女は俺の方を振り返り、

 

 「ふふっ♪、早く来ないと置いてくわよ。」

 

 そう言って身を翻し颯爽と歩きだした。

 

 

 

 俺は直ぐにそんな更識の背中を追いかけるように歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 食堂に着いたのだが、やはり俺は他の生徒に警戒されているようだ。更識はというと俺の隣でニコニコしている。俺は、券売機でヒレカツを頼んだ。

 更識と共に席に着き食べ始めようとしたとき、不意に、更識に声を掛けてきた生徒が二人いた。

 「おぉーい。たっちゃーん」

 一人がこちらに大きく手を振りながら、もう一人は、近くに来てから

 「おはようございます。お嬢様。」

 と更識に向かって言った。

 その後、更識が二人の紹介をしてくれた。

 大きく手を振りながら来たのが、黛 薫子で新聞部副部長らしい。取材させてくれと言われた。

 更識をお嬢様と呼んだ方が、布仏 虚で生徒会会計をしているらしい。昨夜、更識に聞いた更識家を支える家系の人だった。

 俺は、しどろもどろになりながら、自己紹介した。なぜ、ここには、美少女しかいないのだろうか?

 

 その後、四人で朝食を食べた。

 食事中、黛から、取材と称して様々に質問を受けていた。その途中、更識が

 

 「大神君、そのヒレカツ、ひと切れちょーだい」

 

 「いやいや自分の朝食があるだろ」

 

 「む〜、だって、そのヒレカツおいしそうなんだもん」

 

 と言った。なにが「だもん」だ。可愛いなおい。

 俺は仕方なくひと切れ更識にやった。それを見ていた黛が、

 

 「大神君って噂通りのもっと怖い人かと思ってたけど、本当は、優しいんだね。やっぱり自分で取材しなくちゃ、わからないものなんだねー。」

 

 と一人納得し、布仏も「そうですね」と頷いていた。

 それから、いろいろと話していると布仏には、俺と同じクラスに妹がいるらしい。

 

 

 ……ん?ちょっと待て!さっき黛が噂って言ってたよな?いったいどんな噂が流れてるんだ?!

 

 

 

 

 

 

 

 俺が、一人悩んでいるといつの間にか俺のヒレカツ様はひと切れも残ってなかった。

 

 「ごめんねっ♪てへっ♪」

 

 隣を見ると、満足そうに微笑む更識がいた。

 

 

 

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