IF~獣の特別~   作:コズミック変質者

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自 分 で も 何 を 書 い て る の か 分 か ら な い。


深夜テンションが吹っ切れた状態で書いた作品なので、適当な捏造設定や、間違った解釈などが多々あると思われます。そういった物に不快を感じる、作品の印象を保っておきたいという人はすぐにブラウザバックしてください。
呆れず批判しないというのであれば、この先へ進んでください。












覚悟はいいか?俺はできてる。


IF〜獣の太陽〜

溶ける意識の中で私が持っていた失われた記憶を、まるでアルバムに貼られた写真を見るように思い出していく。

自分の知らない物でさえも、総じて知っている。長い膨大な記憶(記録)。私が生き続けてきた数十年などでは決して蓄えられない。ならばライニが彼方まで旅立ってから、私の意識が世界に、宇宙の最奥へ接続されてからの60年?

 

いいや、違う。私は60年、ずっと記憶(記録)を整理してきた。私に思い出など出来るはずもない。

大丈夫だ。答えはもう出ている。表《現世》で彼らが殺し合いを行い、六個目のスワスチカを開いた時点で何故か理解出来た。理由なんてどうでもいい。重要なのは、私についてだ。

 

整理しよう。私の名前はクリスタ・イーネア・イスターツ。戦場で兵士達よりも前に出て、自らサーベルで駆け抜けてしまうような『武』の超越者であり、親バカな一面を見せるキング・イーネア・イスターツの娘。政治、軍内の派閥、国家金融、世界情勢の変化などを、まるで未来でも見てきたかのように予測し、最適な解決策や回避策を導き出す『知』の超越者であり、ケンカなどは一切できないチキンな兄。

母は知らない。私が幼い頃に亡くなってしまったらしい。母親の愛情を知らない可哀想な子、と蔑まれたことがあるが、父と兄から愛情を注いできてもらった私は特に気にしたことはなかった。母は父が言うには私に似ていた人らしい。

 

私には幼馴染がいる。ラインハルト・ハイドリヒ。人体の黄金比とも呼べる美しい容姿で、特殊警察の長になるほど優秀な人。そして、生まれながら超越者にして、約束された神殺し。

 

ここまでは、私の主な身辺整理。私の人生を表すならば、確実に上記した人物達は重要になるだろう。

 

そして最後、今度こそ私について。私は今この宇宙に流れる理である『永劫回帰』の世界の人間ではない。

 

私はこの世界に来て、宇宙の、『座』の真実を知り得た。衝撃を受けた。私達の生きてきた世界は、全てが一人の渇望によって染められた世界だと知ってしまった。

『永劫回帰』。現在『座』にいる覇道神、第四天の渇望の具現であり、死したものは全て母の胎内に戻る、やり直しの世界である。そのやり直しはほぼ無限と呼ばれる数を繰り返している。それは第四天が己の目的を果たせず、またやり直しを求めてしまうからだ。

余りにも多すぎる回帰の結果、世界に特異を持った者が現れるようになった。

それこそがラインハルト・ハイドリヒ。第四天の自殺願望から生まれた自滅因子(癌細胞)。先も言った通り生まれながらの超越者。

ライニが感じていた既知感は、ライニが第四天の自滅因子であることが原因だったのだ。正確には自滅因子として覚醒を遂げていく過程で、目覚めていく度に既知感が加速していた。

 

話が逸れた。私について戻そう。私は第四天の前の『座』の覇道神である第三天の理の元にいた、神殺しになれたかもしれない超越者(・・・・・・・・・・・・・・・・)だった。

だった、というのには勿論ながら理由がある。私が順調に神殺しとして成長していた過程で、第四天が突如現れて第三天を滅したのだ。私は第三天を殺せる可能性があっただけであり、非常に中途半端な存在であった。

『座』の覇道神が切り替わり、宇宙の理が書き換え上げられていく中で、本来ならば第三天の神殺しに成り得るという可能性が中途半端に私という存在に影響し、第四天の理の下で神殺しの資格は剥奪され、超越者としての才だけが残った存在。

 

だがそれだけではなかった。私という存在は酷く希薄になっていた。そもそも第四天の宇宙で、未だに第三天の存在がいることがそもそも可笑しいのだ。宇宙は、理は私という存在を許さなかった。

私の魂は砕かれ、遥かなる未来にまで捨てられた。消されなかっただけでも良しと思う。何せ私はこうして魂を再構成し、宇宙に存在を認められたのだから。

 

簡潔に言うと、私は第三天の理の生き残りであり、ライニが私を未知に感じたのは、私という存在がこの回帰において、初めて発生したからだ、と思う。

『座』を理解しても、私のこの現象については仮説を立てるだけに終わる。そもそも本当にそうなのかさえ分からない。確かなのは私が第三天の世界に存在して、今にしてようやく存在しているということのみである。

無知と罵らないで欲しい。そもそも第四天でさえ、私のことを把握していなかったのだ。この宇宙そのものである第四天が把握出来なかったのに、高々超越者でしかない私如きが何故理解出来ようか。

 

つまるところ私は完全な部外者にしてイレギュラーなのだ。今現在行われている歌劇に合わせて言うのであれば、道具係が勝手に歌劇に出てきて、勝手に演じ始めるのと同意である。見ている者からすれば非常に不愉快な存在なのだろう。

 

以上が、私の私に関すること。思っていたよりも長くなった・・・のかな?時間の概念が曖昧だからよく分からない。60年って言うのも凡その予測だけだし・・・。

 

さて、そろそろ歌劇も大詰めだ。第四天の理に幕が引かれるのも近い。いい加減、寝ているのは飽き飽きだ。出来ればライニにキスで目覚めたかったけど、今はか神々の黄昏(誕生)で忙しそうだ。

 

起き方は簡単だ。ただ願えばいい。私と彼の間には繋がりが出来たのだ。ちゃんと意識する。そうすれば目は覚める。起きたら戦争の真っ只中で大変そうだ。あそこにはライニに以外にも友達が数人いる。皆どんな顔をするのだろうか?戸惑うだろうか?驚くだろうか?もしかしたら泣いちゃうのかな?

 

これからの未知に、サプライズに心が踊る。全部が終わってからのことが楽しみだ。

 

ちょっとカッコつけて言うなら、定められた運命を、私が覆してみせる、がいいだろう。あっ、さっさと行かないと。

 

 

———————————————————————————————

 

 

突如として、特異点に新たな力が芽生えた。現在、黄金、刹那、そして水銀が各々の渇望を流出させ、女神を中心として殺し合いをしていた最中、それは覚醒した。

 

「なんだ・・・この素晴らしいほどの輝きを放つ未知は!?」

 

「オイオイ・・・まだなんか出てくんのかよ。いい加減、俺はさっさとこの下らない争いをやめたいんだけどな」

 

『おい、蓮』

 

どこかで覚醒した何かに、水銀が歓喜し、刹那が呆れたように言う。刹那が呆れている中、彼の中に眠る、彼の自滅因子であり、親友で悪友の遊佐司狼が言葉を固くしながら話しかける。先程まで自分の創造(Briah)の出来の良さに、愉快そうに笑っていた司狼が、警戒の声を出していた。

 

『俺はこんな展開、全然知らねぇ(・・・・・・)。コイツは勘だがよ、これから出てくる奴は相当ヤベェぞ』

 

「おい!それってどういう———」

 

「くく・・・ははははは———」

 

刹那が問い詰めようとした途中、一人微動だにせず、水銀が未知歓喜を上げていた中も大人しく座していた黄金が、ラインハルト・ハイドリヒが笑った。

 

「ははははははははははははははは———!!!!」

 

黄金の獣の大歓喜が、この場所に響き渡る。その声は黄金の重圧を広げ、黄金と対等の場所に立ち、その重圧に慣れていた刹那も、長年の回帰で何度もこの戦を経験し、下らぬ既知にしていた水銀も、黄金の前に怯んだ。

 

「嗚呼!!なんと愛しく素晴らしき未知なのだ!!かつて私が、全てから切り離し、特別にした彼女が今この時、60年という永き時を経てこの黄昏に蘇ろうと———否、降臨しようとしているのだ!!さァ、我が愛しき爪牙よ、我が愛しき宿敵の刹那よ、そして我が永遠の友であるカールよ!!喝采せよ!!歓喜せよ!!今ここに、新たな神話が開かれるぞ!!!!」

 

刹那が黄金のあまりの豹変ぶりに戸惑ってしまう。今までかつてないほどの昂りを見せ続けていた黄金が、今までよりも一層、数倍の歓喜を込めて叫んだのだ。黄金の言葉の意味を、彼以外誰も理解できない。そう。黄金の愛すべき爪牙達でさえ、戸惑いを隠せずにいるのだ。

刹那の中にいる、つい先程まで黄金に所属していた爪牙達も戸惑っている。本格的にヤバイかもしれない。刹那がそう思い始めたら、今度は水銀が笑う。

 

「ふふ、くくくく———」

 

水銀が笑う。嗤うのでは無く笑っているのだ。

 

「獣殿、そして我が息子よ。先ほどの言葉を撤回しよう。未知を求めた。それのみを願い、私はこれまで存在していた。その筋書きから外れれば、確かにそれは未知なのだろう。だが、私はそんな未知など、いらなかった(・・・・・・)。だが認めよう。座にある私は是と告げる。私は今そこにある未知を認めよう。受け入れよう。例え筋書きから離れたものだとしても、私の求める結果からかけ離れたものだとしても、そこにある未知は女神に勝るとも劣らぬほど美しい。

私も讃えよう。喝采を持って迎え入れよう。今ここに、新たな神の降臨を」

 

「では、その扉を開くとしようか、カールよ」

 

「ええ、獣殿」

 

刹那が女神(マルグリット)一心だった水銀の突然の豹変ぶりに戸惑い着いていけない中、黄金と水銀は歌い上げる。神の降臨を。地獄の門を開くことで現れる、新たな理の現れを。

 

 

「「流出(Atziluth)」」

 

 

壺中聖櫃(Heilige Arche)

 

 

太陽創成する(Sunce Eihwas)

 

 

「「生贄祭壇(Swastika)」」

 

 

その詠唱は短いが、黄金を現世に戻した詠唱の最後の部位に酷似したもの。一箇所だけ違う所があるが、それ以外はほぼ同じ。彼らの言葉を取るのなら、何かが———恐らくはまた別の覇道神が来るのだろう。次の動作に備え、刹那は己の手に持つ斬首の双刃を構える。

それは悲鳴と共にやって来た。黄金の背に聳える骸の城。人の魂によって作り上げられたその城から、少年の———イザークの叫び声が聞こえた。まるで先程の詠唱が、城を生贄にしているかのように。

次瞬、突如として黄金の城が内部より破壊された。正確には城の下部が破裂するように吹き飛んだ。あまりの爆発の威力に、体を強ばらせるが、刹那の目は原因である城に向けられている。刹那、そして黄金の中にいる魂も然り。

 

そこには女がいた。人体の黄金比と称されるラインハルトと同じく、人体の黄金比を称するに相応しい、もしくはそれ以上の美を持つ姿でそこにいた。太陽のように輝く金色の光。優しい色を持つ碧眼の瞳。刹那はそこに、己の愛する黄昏の女神と似た存在を見た。否、似ているだけだ。どこか肝心な部分が違う。だがその違う部分でさえ、刹那の身近に居る誰かに酷似させた。

 

 

アクセス 我が罪(Verbinde meine Sünden)

 

 

愛する貴方に傲慢な私は求める(Ich möchte arrogant sein, dich lieben)

 

 

私を壊して欲しいと(Ich will, dass du mich kaputt willst.)

 

 

天に煌めく太陽に手を伸ばせ(Erreichen Sie mir, die in den Himmel leuchten)

 

 

手にしてもいつか離れると知りながら(Wissend, dass du eines Tages mit deinen Händen weg bist)

 

 

荘厳な焔にその身を焼かれ(Während sie zu einer feierlichen Flamme verbrannt werden)

 

 

飛翔し 失墜し(Es fliegt, es wird fallen gelassen,)

 

 

いずれ太陽の全てを喰らうのだ( und es frisst die ganze Sonne früher oder)

 

 

流出(Atziluth)

 

 

新世界を愛せ、輝かしき焔の黄金よ(Volim novi svet, svetluciti plamen zlata)

 

 

それはこの場に存在しない、新たな形の宇宙だった。外へ向かうのではなく、内側へ向かっていく膨大な力。周囲に流れ出ていた各々の理さえもを飲み込み、飲み込まれた理は内側にて太陽(彼女)に染められていく。

瞬間、溢れ出る力。まるで水を注がれ続けるプールのように、彼女の現在の容量を超え、溢れ出る力が一度に放出される。その勢いは睨み合っていた三つの勢力に襲いかかり、その全てを後退させるほどのものだった。

 

「———ぽっと出の真のラスボスってか?もう間に合ってるから及びじゃねぇんだよ!」

 

刹那の眷属になった遊佐司狼がその姿を現界し、己の渇望を流れださせる。その渇望は神の否定、神格の失墜。黄金と水銀さえもを弱体化た渇望が、新たな神の流れをせき止めようとする。

 

「オイオイ、いくらなんでもこりゃ反則だろうよ・・・」

 

珍しく司狼から弱気な声が漏れでる。同時にガラスが壊れたような音が響き、流れ出ていた否定の渇望が押し返され、遊佐司狼の体が砕け散り刹那の中へ帰っていく。

 

『おい蓮、アレはマジでやべぇぞ。ルールがどうとか、そういうもんに縛らてねぇ。適応っつうか、どっかから(・・・・・)受け入れて学んでやがる。気ィ抜けば一撃で消されるぜ』

 

「分かってるよ、そんなこと」

 

言われるまでもない。覇道神というかつてないほどの高みへ満ちたこの身体が、まるで恐怖に震えるかの如く動こうとしない。いや、それどころか屈しようとしえもしている。初めて黄金と邂逅した時と同じかそれ以上。

 

『有り得ない・・・』

 

再び、刹那の中から二人の声が出る。それは先程まで黄金のもとで頭を垂れていた女。淫婦と戦乙女。まるで存在しない何かを見るように、彼女達の声が反響する。

 

『なんであの子が・・・何も、何も前兆なんてなかったのに!!』

 

太陽として降臨した彼女は、かつての黎明の日にいなかった。隠れている間もいなかった。ベルリンでので虐殺の時も、何度も何度も探したけれどもいなかった。それがどうだ?太陽はこの時まで生きていて、今この瞬間ここにいる。それも黄金の城から出てきたではないか。

灯台もと暗し。太陽たる彼女はずっとそこにいたのだ。彼女達と同じく、黄金の城の中に。

 

「どうやら其方にも、懐かしの再会を果たした者がいるらしいな」

 

太陽を背にするように移動し、刹那を前に黄金が降り立つ。手に持つ双刃を握り直し、時を止めるほどの加速でその首を切り落とそうとしたその時、刹那は知ってしまった。

 

「なん・・・だよ・・・ソレは・・・!?」

 

黄金を前にして驚愕する。先程までは司狼の能力により弱体化していたはずの力が元に戻っている。それどころか先程とは比べ物にならないほどの力が満ち溢れており、完全に力関係が逆転している。

何処からそんな力を持ってきた。問おうとする前に刹那は答えを知った。目に見えないが感じ取れた。黄金と太陽の間に、まるで恋人だと思わせるようなラインが繋がっていると。そしてそのラインを伝い、太陽から黄金へと莫大な力が供給され続けている。

 

「私もつい先程理解したのだがね。美しく素晴らしいだろう、刹那よ。これが彼女の願いの具現。彼女は常に、私よりも先にいる。何時いかなる時も私の目標となっている」

 

先程の流出。その効果は太陽の輝きを持って周囲の理を呑み込み上書きすること。そして呑み込んだ力はラインを通じて愛しき黄金へ与えられ、黄金を自分と同じ迄強くする。

 

「いつだって彼女は私よりも高みへ、先へいた。超えたと思った。届いたと思った。だが現実は違った。私が成長するように、彼女も成長する。気づけば埋めていたはずの差は変わらず大きく、私が目指すべき場所は遠かった。諦めはしなかったとも。何せ、彼女はいつだって私が進み続ける彼女に辿り着くことを待っていたのだから。彼女に出来たのならば、私にもできるはず。彼女はそれを信じてくれている。ならば止まる理由はない。私は果てなく逝くのみ。

この流出はそれの具現だ。

私と彼女の関係、招かれ目指す者と、待ちながらに進むもの。辿り着いたとしてもそれは飛沫の一瞬。すぐに彼女は先にいる」

 

噛み砕いて言えば、この二人は際限なく強くなり続けるということ。黄金が太陽に届けば太陽は成長し、太陽が成長すれば黄金はそれを目指した歩みを始める。

前提として黄金と太陽、そして互いに前に進み続ける(愛し合う)意志を持ち続けることで初めて完成する流出。どれか一つでも欠けてしまえば、太陽は沈み、黄金は止まる。

だがこの流出が流れ続ければ、やがて本当に手が付けられないほどの覇道神になる。それこそ、来るべき未来に訪れる極大の我欲にさえ、単騎で相対、撃破できるようになってしまうだろう。

 

「どうだ、我が息子よ。美しいとは思わないかね?一人の女の献身。愛した者を約束された運命からも脱却させるほどの想い。我が女神が全てに慈愛を与えるように、彼女は獣殿ただ一人へ愛を注ぐ。

愛することは破壊である。そのようにねじ曲がった愛を持つ男に彼女は心底惚れている。故に、今も叫び続けている。私を壊して、貴方の愛で抱き締めてと。

それだけではない。他を愛しても、無限に壊しても満たないのならどうか自分を壊して欲しい。私は決して壊れない。あなたが私を愛し続ける限り、私もまた不滅の愛を貴方へ捧げる。

嗚呼、なんと美しい。なんたる甘美、なんたる蒙昧、なんたる独善。私は獣殿が羨ましく思えてしまう。彼女を愛し愛されたら、壊してしまえばそれはどれだけ美しい未知となるのか。いや、想像することなど無粋だろう」

 

「彼女はやらぬよ。私の物だ。私だけが愛して(壊して)いい存在なのだ。いくら我が友とはいえ、それだけは譲ることが出来ないな」

 

「ああ・・・ならば、力づくで奪ってみせましょう」

 

 

 

「人の事無視してんじゃねぇぞ、このイカレ野郎共!!」

 

 

談笑し、まるで修羅場のような雰囲気を作り出していた黄金と水銀へ向かって、断罪の黒刃が飛来する。黒刃は黄金と水銀へ当たる刹那、天から降りし灼熱の輝きによって消滅する。

輝きは高速で移動し、黄金と水銀、刹那を均等な距離で分ける。

 

「どうやら彼女も仕切り直しを希望しているようだ。卿も共に踊りたいのであろう、刹那よ。案ずるな。一人除け者にはしない」

 

黄金は槍を水平に構え、右手を刃に乗せる。

 

「言ってろ。すぐにその首を切り落としてやる」

 

刹那は双刃を構え、切り落とすべき敵を見据える。

 

「血気盛んだな。まぁいい。では、始めるとしよう。新たな神々へ捧ぐ、我らの神楽。とくとご覧にいれましょう」

 

水銀は両手を指揮者のように上げて、歌い上げるかのように開戦を告げる。

 

彼ら三柱の神々を、離れた所で黄昏と太陽は見つめる。隣あい、重なり合い、まるで会話しているかのように穏和さを知らしめる。

 

ここに真の神楽の幕は上がる。新たに至高の役者が加わった至高の歌劇。幾多もの狂いを産んだこの歌劇、最後の結末はいかなるものか。それは役者である彼らには分からない。目指すべき未来はあれど、そこに辿り着けるかどうか。アドリブで演じ続ける役者である彼ら次第である。




このルート後、波旬は愛の力で滅び、KKKルールは消滅し、新たなルートが開拓されます。


読んでいて思った方もいるかもしれません。水銀のキャラ崩壊。獣殿が某『光の奴隷』のようなことになりかけていることを。この獣殿は正しく、「まだだ!」で強くなります。ただし「彼女をまだ愛しきれていない。彼女ならば簡単に敵を倒せる」「ならば私もやらねば」など、なんか頭の悪いことになっています。

元々彼女の能力を自己強化でも攻撃型でもなく、ハイドリヒ卿の強化と決めていたので、その線で進めていたら、いつの間にかイカロスのように。

詠唱の初めにあったパラロスの詠唱ですが、そもそも作者はパラロスを、全 く 知 り ま せ ん。
ただこの部分が印象強く頭に残り続けていたこと、ハイドリヒ卿のことを深く理解しておいた上で、ハイドリヒ卿の愛を独り占めしようとしていた傲慢が見事に頭の中で離れずくっつき続けたらこうなってしまいました。

その他の設定、例えば第三天から来たなど、完全なノリです。後先考えずに求める終わりだけを見据えて、淡々と書き続けた結果となります。

ちなみに彼女の能力は、自滅因子などの関係もありニートも大幅強化されます。究極的には自滅因子という煩わしい枠組みさえも、消え去る可能性さえもあります。

これにて『IF〜獣の特別〜』は終了となります。最後の結末を決めるのは私ではなく、皆様方が思い願う物となります。これまでお付き合い頂き、ありがとうございます。
それでは皆様、良い未知を。

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