「吾輩はAIである。名前はあるけれど」
なとどどうでもいいことをつぶやいてみる。目が覚めたら、俺はAIになっていた。いや何を言ってるかわからねーと思うのだが、そうとしか言えないのだからどうしようもない。自分が元々人間だったという記憶はある。
名前は夜霧 翔弥。大学2年、一般家庭育ちの一般ピーポー。ゲーオタでロボオタ、バイトで貯めた金は基本新作ゲーム行き。彼女いない歴イコール年齢などなどどうでもいいことまできっちり覚えている。
……のだが、同時に今の自分はコンピューター上の存在だという確信もある。何を言っているかわからんと思うが、俺もわからんのだから仕方ない。なんといえばいいのだろうか。映画のマ〇リックス的な空間に、気が付いたら浮かんでた的な感じ。で、見た瞬間ここは電脳空間的なあれだと理解した。してしまった。
最初は夢だと思ったのだが、なかなか覚める気配がなかったのでとりあえず現実として受け止める事にした俺は、まず情報収集を始めた。いやかっこよく言ってるけどやってるのはただのネットサーフィンなのだが。何故かデータ収集しようって思ったとたん、目の前にEd〇e的なブラウザが浮かび上がって来て、それにキーワード入れたらどんどん情報が出てくるお手軽さだったんだから仕方ない。現在進行形で、色々なデータをかき集めている。最近のニュースから、今晩のおかず、研究中の兵器の設計図の情報までなんでも出てくるってすごいね。
……いや、すごいねじゃねーだろ。最後どんだけセキュリティがばがばなんだよ。というかこの兵器、どっかで見たような。
「がばがばじゃないってんなら、いわゆるチート能力的なあれなんだろうけど」
情報収集チートって言えば聞こえはいいが、ようはデバガメだよなあ。ちょっとへこむ。そもそもなんでAIなんだよ。普通転生ものとか転移ものって、都合よく操縦能力ゲットして、かっこいいロボットで無双ひゃっはーとかじゃねえの?というかそもそも俺死んだの?生きてんの?そこんとこ記憶ないし、今の状況もAIだから生存判定的にどうなのかよくわからん!
まあそんな葛藤はいったんおいておく。、目覚めてから今まで集めた情報から、この世界の事は多少わかった。わかったのだけれど……
「地球じゃないんだなあ、ここ」
検索して即わかった事実。ここは地球ではない別の惑星。名前は『アトリーム』。霧が深くなってきそうな名前の惑星だ。どう考えてもスパロボKの世界です本当にありがとうございました。あれか、俺が夜霧で名前に霧が入ってるからなんて安直な理由じゃねえだろうな。
「ミストさんの故郷か」
ゲーマーの自分であるが、スパロボKのシナリオはそこまで深く覚えてない。いや、だってミストさんのネタ要素を始めたとしたツッコミどころのが多かったんですもの。仕方ないですやん。それでも一つ、はっきりと覚えているのは、『アトリームはイディクスに滅ぼされてしまう』という事である。わーい、開幕死亡フラグー。
いくら今の自分が生きてるか死んでるのか、なんでこんなところに居るのかすらはっきりしないとは言え、消えてなくなるのはちょっとごめん被る。
「一番確実なのは、ミストさんにくっついてくことなんだろうなあ」
主人公だし、最後まで無事生き残れるだろ、うん。後継機も乗り換えじゃなくて合体式だから、乗り捨てられることもない。何より!
「生でスパロボ見れるやん!」
好きなゲームはスパロボな自分にとって、生でマジンガーやらガンダムやらが見れるというこの状況は割とうれしかったりする!いや、真面目にロケットパンチとか目の前で見たら倒れる自信があるね!
まあ、それは置いといても、ゲーム通りに進めば、これが一番ベストだ。進めばね。
「でもミストさんだしなぁ」
シナリオ通りに言ってもギリギリ崖の上をいくような奴だしなぁ。今思い返してみると、うろ覚えなKのシナリオの中でも結構挫折、敗北、その他フラグ多々ある男だったような
「あれ、意外とやばくね?」
おら、こんな星いやだぁって戦闘放棄しないとも限らない。というかクリスタルハートなんて言う性善説だよりな代物、ゲームだとうまくいってたけど、下手すると全力出せないで終わるんじゃね?
「……いやいや、いくらミストさんでもスパロボKを最後まで生き抜いた男だぜ?いくらなんでも悲観的すぎるだろ俺」
しかし考えれば考えるほど不安になるものだ。そもそも今っていつなんだよ。イディクスもうすぐ来ますよーとかだったら割と詰んでる気がするんだけど。
「あ、さっきの設計図」
ふと気になって、さっきかき集めたデータの中にあった兵器の設計図にもう一度目を通す。ビンゴ。
「レヴリアス・プロジェクト、か。ドンピシャすぎる」
古代の設計図を基に復元した機動兵器による、防衛戦力強化案。昨今増加してきた巨大生物被害への対策、 それはさておき、レヴリアスがこれから作られるってことは、今スグではないけれどそう遠くないうちにイディクスが攻めてくるという事だ。かぁ。そういやアトリームって一応平和な星って設定だったのに、なんで防衛隊とかあるねんって思ってたけどそういう理由だったんか。原作と一緒かは知らんけど。
「時間、意外とあるな…」
もう少し切羽詰まってるかもしれないという予想が外れてほっとすると同時に、その時間で何をするかがさっぱりだという事実に頭を抱える。とりあえず、現実逃避にネットサーフィン。
「お?」
そんな俺の目に移ったのは、学習用の個人向けコンピューターデバイスの記事だった。
「これだ!」
俺は思いついた事を実行に移すべく、まずはミストさんの個人情報を調べだすのだった。ふっふっふ、今の俺にプライバシーなど無意味だ!待ってろよミストさん!
ミストさん出てこない