「それにしても、別の星か……アンジェリカや隊長は来てないんだよな」
【ああ。俺以外でベザードに飛ばされてきたのは、ミストさんが最初だな】
そんなわけでミストさんと情報交換中。ミストさんの感覚では、ゲートに飲まれた瞬間惑星ベザードに飛ばされ、気づいたときには腕に着けてた俺はいないし、一緒に飲み込まれたはずのアンジェリカの姿もない。途方にくれながらも、とりあえず情報収集しようと歩き出したものの、5日で空腹でダウン。街はずれの森の中でぶっ倒れていたところを、散歩中のシェルディアが発見したそうな。本当に拾われたんかいとツッコんだ俺は悪くない。
「とりあえずレヴリアスはステルスをかけて森の中においてあるから、直接触らないとかしなければ見つからないと思うけど」
【本当便利よな、それ】
巨大生物退治や暴徒鎮圧でも使ってたけど、レヴリアスのステルス機能ってやたら性能いいよな。ダンナーベースの傍に放置しててもばれないだけはある。あれはガバだって?気にしない。
「で、ミストさん達はこれからどうするの?」
「ああ。とりあえずどこか寝泊まりするところを見つけないとな。知り合いがいつ飛ばされてくるかわからないし、できればこの星で仕事を見つけないと……」
「あ、じゃあここに住みなよ!」
「ええ!?」
「ボクらもショーヤと離れるの寂しいしさ!ね、レム」
「う、うん」
「それじゃあ、お言葉に甘えようかな。よろしく、シェルディア、レム」
【……一応男なんだから、躊躇するくらいはしておけ、ミストさん】
「え、なんでだ?」
ダメだこりゃ。まあ、ミストさんが二人と一緒に暮らす分には特に問題ないからいいけれど。
「さて、現場についたぞ!」
【誰に言ってるんだ】
そんなわけでミストさんと俺は、日雇いの工事現場にやってきた。なんでかって?まずは食い扶持を稼がないとだからだよ!
最初はシェルディアが、
「一人増えたくらいだったら、何とかなるよ?」
と優しい言葉をかけてくれたものの、さすがにそれもどうよとミストさんと話した結果こうなった。
【さすがにヒモはどうかと思うしなあ】
「言葉の意味は分からないけど、そうなっちゃいけないって事はわかった」
ミストさんには肉体労働で稼いでもらう事にした。とりあえず、遠く離れたところから来た旅人って事にしておいたが、まだこの星の常識とかもわかってないだろうからなあ。変にぼろが出なければいいが、そこは何とかサポートするとしよう。
なお、ミストさんが働きにでる時に俺がくっついていくことについては、シェルディアとレムからブーイングがでた。まあ、仕方ないって事はわかってるらしく、あっさり引いてくれたが。変わりに昼ドラ新作要求されたのはあれだけれど。
でもってまたもや数か月たちました。
「よぉ、ミスト!今晩一杯やってかねえか?」
「親方、俺まだ酒飲めないですって!それにシェルディアとレムが待ってるから!」
「そうか!二人によろしくな!」
ミストさん、すげえわ。いや、街に馴染むのは予想内だとしても、まさか街の人たちとあの姉妹の軋轢を少しとは言えどうにかしちまうとは驚いた。
「彼女のそれは体質でしょう?彼女自身が何かしたわけじゃないじゃないか!」
「こんなんじゃ俺、この街の人たちの事、嫌いになっちまうよ……」
「根本的な解決になってないですよね!」
などと空気を読まずズバズバと切り込んでいった結果、この工事現場の親方みたいな、一部の層は普通にレムと接してくれるようになった。さすがにクリスタル・ハートの一定範囲に近づくことはできないけれど。
普通に買い物できた時なんかレムが感動して号泣、シェルディアも号泣、ミストさんももらい泣きとすごかった。で、その頃からかシェルディアもミストさん呼びからミスト呼びに代わっていった。惹かれ始めてるんだろうなあ。なんでかわからないけど、このミストさんアトリームの事でそんなうじうじしてないからか、頼れるお兄さんみたいな感じになってるからわからなくもない。
(だがなあ)
問題が一つ。アンジェリカとどっち選ぶんだろうね、ミストさん。今んところ妹分みたいな感じだもんな、シェルディアの扱い。とりあえず優柔不断ルートだけは無しにしてもらいたい。あ、ハーレムは可です。責任きっちり取るならね!
「ただいま!」
「お帰り、ミスト!ショーヤ!」
「お帰りなさい、お兄ちゃん、ショーヤ」
うん、平和だ。……でも、この暮らしも後半年くらいでイディクスが来て終わってしまうのだと思うと悔しい。今打てる手が無いとは言え……ん?なーんか、忘れているような?
【あ】
「ん?」
【いや、何でもない】
いやなんでもなくないけど。セリウスIIとかベザードの防衛体制とかその他もろもろの事すっかり忘れてた。い、今からで間に合うんだろうか……
ミストさん、基本スペックはやたら高いと思うのですよねえ。