「いくよ、レム!」
「うん!」
あれから、レムが近づいてもクリスタル・ハートが動かなくなることはなくなった。体内の欠片が除去されたからだろうか。最初は回りの人々も混乱していたが、結局『神の石』の奇跡で落ち着いていた。それでいいのか。俺が何かしたおかげだと知ってるレムは苦笑いしていたが。
そして、本人の強い希望もあってセリウスIIのサブパイロットとして訓練中。最初はミストさん達も渋ったが、結局側にいる方が安心できるのは二人も一緒だったようだ。さっくりとセリウスIIを複座式に改造していた。
「二人とも、姉妹だけあって息がぴったりだな!」
【そうだな。ところで、レヴリアスに異常はないか?】
「え?ああ。問題ないよ」
【そうか】
自分の中のフォルダを確認する。
『piece:レム』
まんまだな。これがレムから取り込んだ欠片ってことだろうか。場所がレムの中から俺の中に移っただけだから、クリスタル・ハートは結局動かないんじゃね?って不安も特に問題ないみたいだ。どういう理屈なのか……
「なあ、レムの事だけどさ」
【ん、ああ】
「ショーヤがなんとかしたのか?」
【んー、まあたぶん】
「たぶんなんだ」
【自分でもよくわからん】
「わかんないのかよ。まあ、いいけど」
【……怪しいとか、思わないのか?】
手持ちのAIがレムの問題も解決しましたーとか突然言ったら不審がるぞ俺なら。
「いや、怪しいって言ったら最初からだし」
【ぇー】
なにそれひどい。
「なんかいきなり送りつけられてくるし、変に人間くさいし、訓練厳しいし、スパルタだし、少しは楽をさせてほしいし」
【後半は愚痴じゃないか】
「でもさ、そんなの大した問題じゃないよ。ずっと俺のこと見守ってくれてたじゃないか」
【……】
「だから、ショーヤのことを俺は信じるよ」
【ありがとう】
本当に、ありがたい。そういやミストさんもAIになる前の俺と同じくらいの年齢になるのか。もう、子供扱いもできないな。
それからはシェルディア達の訓練と平行して、ベザード住民との連携にも力を入れていった。機動兵器が二体しか無い以上、他の戦力……航空機や、砲台とかの協力は必須だからな。その点でも、レムがサブパイになったの意外と大きかった。
「いくよ!」
「一番から四番、ターゲットに砲撃おねかいします!」
「く、被弾しすぎかな」
「一旦下がります!支援お願いします!」
ある程度訓練したとは言え、まだ素人に毛が生えた程度のシェルディアには戦いながら他に指示だして連携とかできなかったからな彼女のしたいことを汲み取って、指示が出せるレムの存在は本当ありがたい。
え?ミストさん?あれは元々突撃おバカで連携は回りが合わすことが多かったから、そういう高度なテクははなから期待してない。
「今さらっとバカにされたような」
【気のせい】
元からベザードは森林が多い星だ。戦力で劣るベザードが戦うには、それを活かすしかない。俺たちは残された時間をフル活用して、砲台やらトラップやらを設置しまくった。
そして……
「イディクス!今度こそ、お前達からみんなを守って見せる!」
「いこう、ミスト!レム!」
「うん!」
「はっ、調子に乗るな!」
イディクス、ヴェリニー部隊襲来。どうしてもビクトーラはミストさんが押さえることになってしまったが、配下の量産機はセリウスIIと戦闘機、地上部隊で対処できている。やはりトラップは偉大だ。どんどん相手がひっかかって阿鼻叫喚の地獄絵図と化している。
「くそ、なにをやっているんだ!」
「お前達相手になにもしてこなかったと思っているのか!この星のみんなが、お前達に負けないって言っているんだ!」
ミストさんが吠える。それには俺も同意なんだが……一つ、気になっていることがある。
なんで、今回は治安が悪化しなかったんだろうか。ベザードの人々のなかにも当然欠片がある。アトリームの時のようなことにならないと不安だったんだがそれもないし。
そう考えたその時だった。
「まあ、この星の奴等の欠片は大したもんじゃないしいいか。あんまり手間をかけてたらあの方に怒られるからね」
等とヴェリニーが言い出した。これは……しびれを切らしたか。
「なんだ、あれは!」
「星が、近くに!」
プラネット・クライシス。イディクスの最大級の兵器。いや、兵器というかなんというか。時空間をねじ曲げて、星と星を重ねてぶつけて砕く最終手段。得られる欠片が均等化されるから、連中もあんまり使いたがらない札をあっさり切ってきやがった!なんでだ……あ。
(レムの欠片がないからか!)
さっきのヴェリニーの言葉通り、手間をかけるまでもないと判断したのか……それは予想外だったな。
しかしどうする?このままだとミストさんやシェルディア、レムも一緒にお陀仏だぞ!?
レムの問題を解決したら、タイムスケジュール前倒しになってあせるショーヤ君の図。さて、どうなるか