「ただいま!そして行ってきます!」
【却下。まずは宿題からだ】
「えー」
さて、今俺はミスト・レックス君(12歳)の腕に装着されたデバイスの中にいる。新型の学習用デバイスの記事を見つけた俺は、まずミストさんの家を特定。同型あるいは類似の物をミストさんが使っていないか調べた。そうして運よくそのデバイスをミストさんがもっていた事を確認した俺は、ネットでありがちなキャンペーンっぽいものをでっち上げ、新型学習型AIのモニターに選ばれました~って形でミストさんのところにお邪魔することに成功したのだった。いやー、ついてたついてた。そんなわけでもう2年ほどたってます。時がたつのって早いね。
最初はおもちゃ扱いされていた俺も、2年たつ間にすっかり兄貴分みたいに懐かれてます。いやまあ中の人の年齢的には普通なんだけど、ミストさん視点だと2年前に生まれたばかりのAIなんだけどいいのかねえと思わなくもない。
「でも、アンジェリカを待たせちゃうし……」
【約束の時間まで2時間もあるだろ。彼女の事だから、その時間で課題を終わらせてくるだろうし、負けてていいのか?】
「それはやだ」
そんなこんなでミストさん育成計画実施中なわけです。ちなみに作中でよくわからなかったミストさんの家族構成だが、この世界では両親はご健在。でも仕事で留守にしがちといった感じだ。おかげで、突然息子のデバイスにインストールされた謎AIについて、変に疑われたりする心配はしなくて済んだ。で、ご近所のシャルティール家によくお世話になってるわけで、こんな感じでよく一緒に遊んだりしてる、と。そりゃフラグも立つ、シェルディアに惹かれつつ、優柔不断な態度されたらそりゃ病みますわ。
2年間二人を見守って来た身としては、とりあえずアンジェリカルート推奨ではあるものの、そこは個人の意思を尊重の方向でとは思うものの、とりあえず優柔不断ルートにだけはいかないようにちまちま思考を誘導中。具体的には、「男だったらどっちつかずはやめろ」とか行った漢教育を実施してます。効果あるかわからんけど。
【まあ、とっととやっちゃいな。やれば速いんだから】
「はーい」
ちなみにミストさんのスペックだが、驚く事に意外とハイスペックだった。勉強も運動も平均以上にできるんだよこの子。エンジンかかるのは遅いけど、始めるとサクサク行くタイプ。特に一度興味持った分野はスポンジで水を吸うように吸収していく。よく考えたら、クリスタル・ハートっていう不思議動力でのごり押しもあったとは言え、自力でセリウスII作ってるんだよなあこいつ。……原作のおつむ?ノーコメント。
「終わった!」
【よし、添削……okだ。遊びに行っていいぞ】
「やった!サンキュー、ショーヤ!」
そしてパパっと課題を終わらせたミストさんは、アンジェリカとの約束の場所。アトリーム防衛隊の本部へと向かっていった。ちなみに俺の名称は仮案としてショウヤを上げてみたら、そのまま通ってしまった。アトリーム風の名前じゃないから、発音が微妙に違うのは愛嬌だ。ちなみに、この名前に関して違和感があるんじゃないかと聞いてみたら、
「だってお前がそう呼ばれたいんだろ?じゃあそう呼ぶよ」
という、涙が出そうな答えが返って来た。あかんええ子や。……これがああなるのは、ちょっと避けたいなあ。
「お父さん!」
「おじさん、こんにちは!」
【こんにちは、エルリックさん】
「やあ、アンジェリカにミストくん。よく来たね!それにショーヤも」
でもって本部前で待ってたアンジェリカと合流、中へと入った二人を出迎えたのはアンジェリカの父、エルリックだった。ちなみに彼は俺の事も1人格として扱ってくれている。なんでも、「君と話しているとAIに思えない」との事。ちょっとドキっとしたのは内緒だ。
そうして連れてこられたのは機動兵器の格納庫。そこには、レヴリアス試作一号機の姿があった。
「おじさん、これが話してた新型?」
「ああ、名前はレヴリアス。遺跡で発見された機動兵器の設計図をもとに、現代の技術で作り上げた機体だよ」
「お父さん、昔のだったら弱いんじゃないの?」
「ところがね、この機体は今の主力機よりもだいぶ強いんだよ。古代文明の技術は今のそれよりもはるかに進んだものだったのかもしれないね」
3人の会話を聞きながら、デバイスのカメラを使ってレヴリアスを観察する。エルリックののレヴリアスはK作中のものと比べて配線が一部露出していたりと、設計図を再現しきれていないのが見て取れた。
たぶんこの後、さらに洗練されてミストさんが乗っていたような機体に仕上がり、最終的に量産配備されるのだろう。地球とかなら機密に属するものなのだろうが、基本平和なアトリーム。割とそこらへんオープンだった。横を見ると、他にも見学者がいたりする。
そんな中、事件はミストさんがレヴリアスに近づいた時起こった。
「えっ!?」
「きゃっ!」
「こ、これは!?」
誰も乗っていないレヴリアスが反応し、そのボディが一瞬光輝いた。パニックになりかける見物客を落ち着かせると、エルリックはコックピットに乗り込んで状態を確認する。
「こ、これは……」
「何かあったの? おじさん!」
「うーん、ちょっと調べてみないとわからないな。すまない、二人とも。今日はこれで解散だ」
「「はーい」」
そうしてミストさんたちはじめ見学者は格納庫から退出することになった。ミストさんにクリスタルハートが反応したんだろうか。と言うか、そういうイベントでも無かったなら、隊長はともかく新人隊員の機体にクリスタルハートなんて搭載しないか?
いや、将来の娘婿だからって理由で積んだとも考えられるのが恐ろしいんだけどね、あの親バカだと。うん、優柔不断ルートからも見て取れたように、エルリック氏は結構な親ばかだ。なんせこの前学芸会的なものでアンジェリカが主役をやった時、観客席ですごくだらしない顔してたもんこのおっさん。
その後、帰り道でミストさんとアンジェリカが防衛隊員になる!と大声で夢を宣言していた。エルリックの影響もあるだろうけど、やっぱり巨大ロボットは恰好よかったということだろうか。アンジェリカの方はミストさんに合わせた気もするけれど。
前作に追いつくまでは、基本展開なぞるかなあ。ちょくちょく変えては行くつもりだけど。