「アタック」
「くっ、こいつは!?」
セリウスの放ったマドラーの一撃を、かろうじて避けるレヴリアス。声からして、あれに乗ってるのはアンジェリカに間違いはないと思う。だが、今のアンジェリカはどういう状態なんだ。ただの洗脳なのか、ガズムやル=コボルが取り付いているのか。イスペイルの指示に従ってる感じがあったから、たぶん前者なのだとは思うが確証はない。それと気になるのが、『セリウスが何故動いているのか』だ。あれはレヴリアス同様クリスタル・ハート搭載機。パイロットがあんな状態なら動くとは思えないんだが。
【ミスト、あいつは】
「わかってる!あの動きは間違いない!」
ミストさんも、先程のセリウスの動きで誰がパイロットか確信したらしい。
「ああ、やはりわかるかね。お仲間の動きは」
うれしそうに言うんじゃねえ!というか隠す気もないなこのやろう。悪役らしいことしてくれるじゃないか。
「く、やっぱりそうか」
【とりあえず動きを止めるぞ!】
「わかった!」
同時に、通信で部隊の各機に状況を伝える。さすがに回りの敵を相手にしながらアンジェリカの相手は無理だ。相手が知り合いらしいこと、操られてるっぽいことを手短に。各機からの返答は早かった。
「わかった。だが、後で色々聞きたい事があるからな!」
「周りの奴らは俺達に任せろ!」
「ミストさんはあの機体の相手を!いこう、みんな!」
イディクスの事とか、色々聞きたい事もあるだろうに協力してくれるみんながありがたい。さあ、準備はOKだ。
「みんな、ありがとう!」
【彼女を取り返すぞ!】
「ああ!」
「アンジェリカ!俺だ!ミストだ!わからないのか!」
「……」
戦いながらミストさんが呼びかけるも反応はない。時折、感情の籠ってない声が聞こえてくるだけだ。説得して正気に戻すのは無理か?
【脚部に被弾。出力5%低下だ】
「くっ、相変わらず狙いが正確だ!」
少しずつ、だが確実にレヴリアスに当ててくるセリウス。対してこちらの攻撃はほとんど当たっていない。
【こっちにもマドラーがあればよかったんだが】
「だけど、無いものねだりしても仕方がない!」
元々殺傷力を低くできるマドラーと違い、レヴリアスのステアードでは威力がありすぎる。何度かいい一撃を見舞えそうなタイミングはあったものの、ダメージが入りすぎる事を懸念してなかなか当てれずにいた。くそ、スパロボのHPを10%以下にしろって勝利条件こんな感じか!本当に今度レヴリアス用の武装作ってもらおうかな。
「みんなは大丈夫か?」
【少し待ってくれ】
ミストさんに言われ、周囲を確認する。
「サザンクロスナーイフ!」
「ハイドロブレイザー!」
「ナックルボンバー!」
敵量産機はスパロボ軍団の攻撃を抜けれないようだ。本当、硬いし兵装豊富だしで安心感がすごいな。ほとんどダメージ入ってないぞ味方側。
「ええい、うっとうしい!」
「ミストの邪魔はさせん!」
「そうだよ!だいたい洗脳とか、やることが狡いのよ!」
「頭脳的だと言ってくれたまえ!必要なものは用意するのが賢いやり方だ!」
エンダークはゴーダンナーが抑えてくれてる。というかイスペイル様口軽いな。やっぱり洗脳か!これが幹部連中の憑依だったら面倒だったが。いや、洗脳でも面倒な事は変わらないけど!
……というか、『必要なもの』ってどういうことだ?アンジェリカが何に必要だっていうんだ。
【周りは何も心配ない!このまま行け!」
「わかった!」
とにかくセリウスを止めないと話にならないな。
「うおおおおおお!」
「!?」
幾度かの応酬の末、レヴリアスの斬撃がセリウスの右腕と右足をとらえた。崩れ落ちるセリウス。
「はぁ、はぁ、お前の動きは見慣れてるからな」
「……」
洗脳が裏目に出たな。アンジェリカの意識があれば、ミストの動きに対応できただろうに
だが、これで終わりだ。後はセリウスを回収すれば。
「ふむ、試験運用はここまでか」
ゴーダンナーを弾き飛ばしながらイスペイルが言う。どういうことだ?
「負け惜しみか?アンジェリカは返してもらうぞ!」
「いいや、残念ながらそれは叶わんよ」
奴がそういうと同時に、空の時空間ゲートが音を上げる。まさか!
「く、なんだ!?何が起きようとしている!」
「気を抜くな!警戒しろ!」
何が起こるかわからないみんなは混乱しているようだが、説明してる暇もない。
【ミスト、セリウスを確保しろ!奴ら、俺達をどこかへ飛ばす気だ!】
「なんだって!?」
どこかって言うか確実にもう一つの地球へだろうけど。ってそんな事気にしてる場合でもない!
「アンジェリカ!」
【!?ミスト、後ろだ!】
レヴリアスの手がセリウスに届く直前、エンダークのミサイルがレヴリアスを打ち据える。大きく吹き飛ばされる機体。コックピットが大きく揺さぶられる。
「ぐああああ!」
【ミスト!】
「連れて行かせる訳にはいかんよ。彼女は大切な『試験体』だ」
く、どういうことだ。イスペイルはアンジェリカで何をする気なんだ?
「く、アンジェリカ……」
セリウスに手を必死に伸ばすレヴリアス。
「では、さらばだ諸君。なに、運が良ければまた会うだろう」
だが、その手は届くことなく。俺達は、時空間ゲートへと吸い込まれていった。
これで連続投稿はたぶん終了とあいなります。次は少し間空くかなと