そしてその翌日、速くも再びイディクスが襲撃を仕掛けてきた。とりあえずエンダークの姿は見えないが、油断はできないだろう。なんせ数が多い。とは言え、相手が数で勝負ならこちらは両より質で勝負だ。
「アンジェリカ、行くぞ!」
「ええ!」
「うぉぉぉ!グルーヴァイン・バスター!」
ミストさんとアンジェリカが連携して敵を殲滅していく。うん、彼やればできる子なんです。ただ、ちょっと霧が深いだけで。たまにだけれど。
「負けてられないな。私たちも行くぞ!」
向こうでは、エルリック達が敵部隊を駆逐していく。やっぱアトリーム防衛隊の戦力、弱いわけではないんだよなあ。量産型とは言えレヴリアスとセリウスの部隊だし。特に苦戦する事なく、イディクスの部隊が殲滅されていく。そうしてその日はエンダークが出てくる事もなく終わった。
そうした襲撃はその後も続いたが、敵の指揮官機らしきエンダークはまったく姿を見せない。その事にエルリックは「手を抜いているのか?」と違和感を感じているようだったが、実際その通りなのだろう。
奴らの目的はこちらの負の感情の増大だ。実際、色々と情報を集めてみると、アトリームの住民全体にこれまで以上の不安感が広がっていた。目に見える敵がいるから、暴動のように暴発する事は無いが、それでも社会全体に暗い空気が漂っているように思う。
そんな中、防衛隊のメンバーは比較的マシなようだ。住民同士での戦いで無くなったというのもあるのだろうが、その理由の一つはどうやらミストさんのようだ。どうやら彼の持つ熱に、皆影響されているらしい。
【成長しているって事かな】
「ん?どうした?急に」
【いや、ちょっと感動していた】
「ふーん?」
いや、子供のころから見ていると、ちょっと感じ入る物もあるわけですよ。主人公らしくなって来たって事かなあ?
そんな感じで一か月ほどたったある日。再びエンダークが姿を現した。
「ほう、今日は突撃してこないのだな。少しは学習したのかね?」
「お前!」
「部下たちが、世話になっているようなのでね。お返しをしにきたよ」
そういってハンマーを突きつけるエンダーク。まあ威圧感はあるよな、あのハンマー。
「改めて見ると、いかつい機体だな。というか、所々違和感が……」
【両の腕の形状とか明らかに違うな】
「不気味ね」
右腕とか、すごく……重機です。
「くっくっく、このエンダークは我々が今まで滅ぼした文明の技術を取り込んで作った機体だ!貴様らの文明もその一つとなるのだ!」
「ああ、だからそんな節操ない外見なんだな」
「……」
ん?イスペイルの奴急に黙り込んだな。
「せ、節操無いとはなんだ!この私の傑作のすばらしさが分からないとは!嘆かわしい!」
「な、なんか急に怒り出したぞ?」
【沸点低いんだろ】
「誰の沸点が低いというのだ!」
そうしてミストさんのレヴリアス目掛けて、突っ込んでくるエンダーク。それを真っ向から受け止めると、急にミストさんが悪い顔をし始めた。何する気だお前。
「というか、傑作っていうほど洗練されてませんよね、それ」
「!?」
「技術を取り込んだっていうけど、それってコピー品ってことじゃないか?」
「な、なにぃ!?」
「自分の傑作って言ってるけど、それって取り込んだ文明の技術がすごかっただけですよね?」
「なんだと!?」
「それに外見的に、洗練させて取り込んだっていうより、ただの寄せ集めじゃないか?劣化してないか?」
「貴様!!!」
「というかハンマーって、ハンマーって!」
「は、ハンマーの何が悪い!」
「いや、原始的だなって」
「なんだと!?」
「でも、そんな風に激昂しても、根本的な解決にはなりませんよね?」
「あががががが!」
「自分自身の技術ってないんですか? あ、ダメだからパクってるのか!」
「ぶ ち こ ろ す」
うん、流れるような煽りだったな。すごく……霧が深いです。ちょっと後でお話しようか。だが、効果は抜群だったようだ。エンダークの挙動は見る間に単調になっていく。
「逃げるな!」
「お前が下手なだけだろう?俺のせいにしないでくれないかな?」
「ぬががああああ!」
【見てて面白いな】
いや。ここまで煽りに弱いのかよイスペイル様。本編だとミストさんを逆に煽ってたと思うんだが。まあ、受けに回ると弱いとかよくあるしなあ。え?違う?
「隙あり!」
そうして、突進を受け流したレヴリアスが勢いのままエンダークの背中を切りつけ、そこ目掛けて僚機が一斉射撃を加えていく。
「ちょ、調子に乗るな貴様らぁ!」
「まだだ!」
「行って!」
さらに情け容赦なく、ミストさんとアンジェリカが追撃を叩き込む。すっ飛んでいくエンダーク。
「こ、この程度でエンダークが落ち『もういい』!?」
若干涙声っぽいイスペイルの声を遮るように突然、戦場に声が響いた。
「この声は?」
【わからない。油断するなよ?】
いやまあ、このタイミングで来るとしたら他の幹部連中か、でなけりゃ『あいつ』だろう。
「ゲートが!」
「各機、警戒を怠るな!」
ビンゴか。空に現れたゲートから現れたのは、複数の系統が違う機体をつなぎ合わせたような機体。エンダーク以上にツギハギ感のある、その機体の名はグスタティオ。スパロボKのラスボス、ル=コボルの乗機だ。
難易度(イスペイル様にとって)べりーはーど