AI男はスーパーロボット大戦Kの夢を見るか?   作:トカGE

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アトリーム編これでラストぉ!


防衛隊でがんばろう:難易度EXハード

「な、なんだあいつは……」

【おそらく、あいつらの親玉かなんかだろう】

 

 いや、確定で親玉なんだけどさ。というかうろ覚えだったけどここで出てくるのかお前。イスペイル様の印象が強くて微妙に忘れてたわ。

 

「イスペイル、手間取っているようだな」

「は、はは!」

「まあいい。この星の機体には私も興味がある。下がれ。ここは私が戦うとしよう」

「し、しかし!」

「くどいぞ?」

「……わかりました」

 

 エンダークが下がっていく。今なら追撃できそうなものだが、防衛隊のどの機体も動かない。

 

「あいつ、なんだこの感覚は……」

「ミスト、あれは、あの機体は何か良くないものに感じるわ」

 

 いや、ル=コボルの存在を感じて動けない、が正しいのだろうか。ここら辺、生身じゃないからか感じ取れない自分は運がいいのか悪いのか。

 

【気圧されるなよ、ミストさん。相手はやる気だ】

「あ、ああ!わかってる!」

「皆、一度陣形を立て直すぞ!奴は一筋縄では行かなそうだ!」

 

 ミストさんが気合を入れると同時に、エルリックが指示を出す。だが、それに従ったのはミストさんとアンジェリカだけだった。

 

「な、お前たち!戻れ!」

 

 他の僚機は、皆武器を構えグスタディオに突っ込んでいった。ル=コボルの放つ力にあてられたのだろうか。殺意か狂気か恐怖か、理由はわからないがその行動はマズい!

 

「空の器に興味はない。消えろ」

「ああ、そんな!」

「みんな!」

 

 グスタディオが放った一撃で、ほぼすべての機体が撃墜された。堕ちなかった機体も、もう戦闘不能だろう。しかし、空の器か。やっぱ目当てはクリスタル・ハート搭載機か。

 

「よくも、よくも皆を!う、うおおおおおおお!」

【ま、待てバカ!】

「ミスト!?」

「待つんだミスト!」

 

 まずい。仲間がやられたミストさんがキレた!気持ちがわかるが相手がやばい!こっちが静止する声もまるで聴いてないしあーもう!

 

「うおおおお!グルーヴァイン・バスター!」

 

 突撃しながら放たれる砲撃をなんなく避けるグスタディオ。だが、それを囮にしてレヴリアスは一気に敵の懐に切り込んでいた。

 

「よくも、よくも皆を!うぉぉぉぉ!」

【少し落ち着け!】

「勢いだけはある。が……」

 

 怒涛の勢いで振り回されるステアードによる斬撃が、こともなげに受け流される。頭に血が上ってるから攻撃が単調になっている事を除いても力量の差が見える。さすがに経験値の差があるか。というか近づきすぎてシャルティール親子も援護に入ってこれないか。

 

「ふむ、この程度か」

「ぐあ!」

 

 

 グスタディオがレヴリアスを払いのける。攻撃に集中していたミストさんはそれをあっさり受け、吹き飛ばされた。

 

「消えるがいい」

「させない!」

 

 距離が開いた事でアンジェリカのセリウスが支援に入って来た。だが、それも難なく避けたグスタディオが反撃の姿勢をとる。

 

【まずいな。ミストさん!機体を借りるぞ!】

「何!?」

 

 こんな事もあろうかと勝手にアップデートを繰り返していたこのボディ(元学習用コンピューター)の力!レヴリアスの操作を乗っ取るなど造作もなかろうなのだぁ!いやまあパイロットじゃない自分が操作してもろくすっぽ役には立たないのだけど今回は別だ。

 

【ステアード、グルーヴァイン・バスター、セット】

 

 手に持ったままのステアードを射撃モードに、空いた手の側にグルーヴァイン・バスターを展開する。あてる必要はない。

 

【シュート!】

「む?」

 

 放たれた砲撃は、丁度セリウスとグスタディオの間を通り過ぎる。その隙にセリウスは距離をとった。

 

「アンジェリカ!無事か!」

「ええ!ありがとう……じゃないわよ!何考えているの!」

「ご、ごめん。それと今のはショーヤが」

「えっ?」

 

 今ので少しはミストさんも頭が冷えたようだ。世話が焼ける。

 

【まだ敵は健在だ。気を抜くなよ】

「あ、ああ!」

「ええ。解っているわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、戦いは数分と続かなかった。

 

「く、ここまで力の差があるなんて!」

「アンジェリカ、ミスト、無事か!」

「な、何とか。だけど機体が……」

 

 そもそもスーパーロボット軍団で戦う相手なのだ。レヴリアス2機とセリウス1機ではさすがにどうしようもなかった。それでも戦えていたのは、相手がこちらの機体のデータを欲していたからか。

 

「ふむ、こんなものか。正直期待外れだったな」

「くそう」

 

 グスタディオがボロボロになったこちらに歩み寄る。だが、その時だった。

 

「私の命に代えても、二人……いや、三人だけはやらせんぞ!」

 

 エルリックのレヴリアスが、グスタディオに特攻をかけた。突然のことに、相手も対応できていない。

 

「き、貴様!?」

「うおおおおおおおお!」

 

 エルリックの機体が光に包まれていく。自己犠牲の心にクリスタル・ハートが共鳴していっているのか。

 

「た、隊長!」

「お父さん!」

「ル=コボル様!」

 

 ミストさん達の悲痛な声が響く。そして地味にイスペイル様の声も聞こえる。微妙に喜色混じってないか?そういや下克上狙いかあんた。

 

「何、ゲートが!?」

 

 そのイスペイル様の驚愕する声が聞こえる。クリスタル・ハートの発動が干渉したのか、時空間ゲートが姿を現した。そして開いたゲートがその場にいるものを飲み込み始めた。

 

「く、アンジェリカ!」

「ミスト!」

 

 咄嗟に手を伸ばすレヴリアスとセリウスだが、その手は届かず、それぞれ別々に時空間ゲートに吸い込まれていく。

 

「……」

 

 一瞬、特攻を仕掛けているエルリックの機体がこちらを見た気がした。ん?メッセージ?

 

『二人を、頼む』

 

 ……言われなくても。”また会おう”、エルリック。

 

「うわああああ!」

「きゃあああああ!」

「ぬごおおおおおお!」

 

 そうして、グスタディオとエルリックのレヴリアスを除いた機体がゲートの中に消えさった。

 




ショーヤ君に前作で立ってたフラグはどうすっか不明。
AIだしなあ今

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