誰かほんと書き方教えてほしい…!
<いい?よく聞きなさい。あなたは、ゾーンに入れる人間。それはつまり、あなたが神様に選ばれた人間ってことなの。わかる?あなたの潜在能力は、私たちなんかとは違う。それは理解しておいてね。>
サツキに、この前兄さんを助けに行った遠征の後、そう言われた。
そんなこと言われても…というのがとりあえず第一に言いたいことだ。
知らないよ、そんなの。
だって、私だって意識してるわけじゃないし。
どうやら、ゾーンというのが、私の潜在的な力らしい。自分にそんな力があると知って、どうかと言われれば、それは素直に嬉しい。一部の天才しか使えない技らしいし。おかげで、私は兄を守ることができたわけだし、それによって私はもっと、誰かを守ることができるだろう。
でも、自分で聞いても、あまりにも実感がなかった。
ギルドの人たちに褒められても、リュウさんに一目置かれても、モヤモヤした思いが止まらなかった。
うう、こんな感じなら知らなきゃよかった。
私はハンターに憧れて、ハンターになった。
村の人を必死に守っている姿を、心底かっこいいと思ったから。
でも、いざ私が天才だと言われても、あんまり実感がわかない。
突然すぎて、頭がついていけてなかった。
朝起きた瞬間別の人になったみたいな衝撃だった。
ほんとに、私、このチカラを、使っていいのかな…?
温泉に浸かりながら、そんなことを考えていると、突然声をかけられた。
「カンナちゃん、少し良い?」
「ひゃいっ!」
突然横から声がした。
見ると、サーサさんがいた。
「ど、どうも…。」
「ごめんね。」
「いえいえ、こちらこそすいません。」
緑の瞳に、いつもつけている眼鏡を風呂の中でもつけているサーサさん。
黒髪を束ねた姿は、いかにも大人のお姉さんって感じがする。
「すごいのね、カンナちゃん。あのゾーンに入れるなんて。」
「いやー、ありがとうございます。」
「でも、顔が曇ってたわよ。何かあったの?」
「いえ…。」
話すべきだろうか。
まあでも、このくらいならいいかな。
「あ、その…。でも、何というか、実感湧かなくて・・・。
いきなりお前は強くなったぞー、なんて言われましてもって感じで…。」
「でも、ほんとに限られた人だけの力なのよ。」
「私の他に、誰か使える人を知ってるんですか?」
「ええ、知ってるわ。その人も、すごいハンターなのよ。」
すごいハンター。
私は、すごいハンターではない。それは私が一番わかっていることだ。
いっつも紅葉のみんなには迷惑かけるし。
私は、そんな人たちと同じ力を手にしていいんだろうか。
「・・・カンナちゃん。」
「はい?」
「その力に、溺れたらダメだからね。正しく使ってこその力なのよ。」
「え?」
「今は実感がないのかもしれない。でも、あなたはいずれ必ず自覚する。自分がとんでもないハンターだってね。」
サーサさんの目が、笑っていなかった。
すごく真面目な顔だった。
「でも、過信したらダメ。あなたも人であることに変わりはないのだから。その力は、人を守るために、あなたに与えられた力。
だから、そのために、そのためだけに、使ってあげてほしい。」
「人を、守るため…。」
そうだ。自分は力を手に入れたんだ。
誰かを守る力を。
それを使わないなんてもったいない!
「そう、ですよね、わかりました!」
「うん!それじゃあ、サツキちゃんが家で待ってるって言ってたわよ。早く行ってきたら?」
「そうなんですか。何の用事ですかね?」
「さあ。わからないけど…。」
「わかりました、行ってきます!」
ギルドを飛び出す。
なんだか心が軽くなった。
そうだよね、私は私。
私がどうありたいかを見失ったら、意味ないもんね。
走っていくと、右手の駄菓子屋のお時間が出てきた。
「おお、チビのカンナじゃない。最近調子はどうだ?」
「うるさいよ、絶好調に決まってるじゃん!」
「お前も早く、セリアさんやミルさん、ベガさんみたいになるんだな。じゃなきゃお前なんかにクエスト頼めねえよ。」
「失礼だなぁ。私はオールラウンダーになるんだからね!じゃ、用事あるから行くね!」
私の仕事は、村の人を守ることだ。みんなの日常を支えることだ。
それで間違いないんだ。
「サツキー!」
サツキの家は、頂上のギルドの建物まで続く、村を貫く上り階段の途中を折れて、しばらく走るとある、元々空き家だった家だ。
ちなみにこの空き家は、ずーっと空き家のままだった。
小さい頃から上がり込んでいた私は、この家のことならなんでも知っている。勝手に入ってハンターの真似事して、何回も村長さんに怒られたっけ。
懐かしの景色だわ。
そのあとミルさんにげんこつもらって、家の壊したとこの修理なんかもした。あれは…嫌な事件だったよ。
玄関の引き戸を引くと、ガラガラと無抵抗に開いた。
「あれ…?」
違和感が襲った。妙だ。基本的に、サツキは家の戸締りを欠かさない。たまに忘れていると、忘れたのは自分のくせに、勝手に入ると怒るのだ。
<勝手に入らないでよ。人には見られたくないものなんて、たくさんあるんだから。わかる?カンナお嬢ちゃん?>
とか何とか言ってバカにされる。言い返して、いつも言い合いになる。
全く、そんなに嫌がることないじゃん。といつも思うのだが。
恐る恐る廊下に上がる。右手が台所。左のドアの先が和室。奥に見える階段を登れば、2階に上がれる。
何となく、嫌な予感がする。そもそも、ここに呼んだのはサツキのはずだ。ここにいないはずがない。
急いで階段へと向かう。階段を駆け上がる。ミシミシと軋む木の踏み板は、私を焦らせるのには十分だった。
「サツキ?」
奥がサツキの部屋のはずだ。廊下を走って、ドアを開け放った。
見慣れたサツキの部屋だった。何も変わったところはない。カーテンが開いて、日光が降り注いでいる。今日は久しぶりの晴れ。春を迎えようとしているユクモの村は、つい狩りなど忘れて、くつろぎたくなる気分だ。
窓際に近づいた。ふと、目に止まったのは窓の左にある収納箱。その一番下の箱から、何かの紙の端っこが飛び出している。
死という文字が見えた。何?咄嗟に反応して中を開けてしまった。
「何・・・これ。」
現れたのは、『狩りに生きる』など、様々な雑誌の切り抜き。そのほとんどがある内容のものだった。
「死者を生き返らせる『何か』?」
合わせて20枚はあるだろうか。この前発売された『狩りに生きる』の記事も見つけた。
遠い過去の文献をあさると、死者を蘇らせることのできる手段がいくつかあったらしい。
それによって、永遠の命を手に入れた者もいるとか。薬、なにかの術、あるいはそもそもそういう力を持つ人がいるとか。
そして、次の内容が私を惹きつけた。
「…特に、ユクモ地方では、そのような伝承が数多く残っているようだ。」
こっちからしたら、聞いたこともない、何ともうさんくさい話である。でも、その記事をなぜサツキが・・・?
一年前、双星と呼ばれたそのハンターは、突然名前を聞かなくなった。そして、私の前に現れた。ハンターに復帰すると、私たちの前で話してくれた時も、彼女は当時のことは何も言わなかった。
アオアシラに襲われた時の苦しそうな表情。時折見せる辛い顔。
死者を生き返らせることできる「チカラ」。
サツキ、あなたに一体何があったの?
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今回、クエストの依頼主は我々の運転手のアイルーさんだ。名前はリュートというらしい。そのリュートの荷車運転のもと、私たちは砂原に向かっていた。
「潜口竜ハプルボッカ、か…。」
「ハプルちゃんかー、ま、頑張ろう!」
「おー!」
カンナのうるさいおー!に冷静に手刀をかましておいた。
ともかく、元気な声が二つ。
そのうちの一つはセリアさんだ。
幸い、ドスフロギィ戦で負った傷の回復も早く、すぐに紅葉に復帰した。
在ろうことか、そのドスフロギィの素材で作った毒属性持ちの双剣を作らせていた。
加工屋のおっちゃんも苦労してたな。
酷いと感染するらしいし。
顔が引きつってたのは忘れない。
それにしても…
あの戦いを思い出す。
やっぱり双剣の秘伝書は危険すぎる。できれば使わせたくないけど・・・
「そうなのにゃ。僕の知り合いの運送アイルーが、ハプルボッカに襲われて、荷車全部食われちゃったのにゃ。ハプルボッカを狩って、その素材を売る。そうしないと商売あがったりらしいにゃ。」
「なるほどな・・・。」
今回は素材こそがそもそもの依頼。
つまり、私たちに取り分はあまりないと思った方が良いだろう。
まあ私は、そんなに気にしないけど。
「リュートにはお世話になってるし、みんな、頑張ろうじゃないか。さて、指示を出すぞ。」
早速荷車の中で、作戦会議が始まる。
「奴を狩るのに一番簡単なのは、爆弾を食わせることだ。」
「爆弾…ですか?」
「ああ。携帯用の大タル爆弾。こいつを食わせる。」
「はぁ…。なんだかどんな相手か想像できましたよ…。」
「そんな、私たちたべられちゃうんじゃ!?」
「カンナちゃん、気をつけてないとマジで食べられるよ!」
「ひええ…。」
「危険だが、一番楽なんだ。だから、その誘導はサツキに任せたい。そして、私は今回、弓で来た。セリアは片手剣、これは手数重視だな。
カンナは、太刀で来たのか。」
弓。ミルさんは遠距離武器も使えるのか。
一方のカンナは太刀。細身の刀の形をしている。これもすごく強力な武器。
「それで、カンナは太刀使えるの…って、カンナ?どうしたの?」
さっきから目が合うと、当のカンナはぼーっと私を見てくる。
「何よ、まだ怒ってるの?悪かったわよ。リュウに呼ばれちゃったんだから。」
昨日のことだけれど、カンナを呼んでおいて、リュウに緊急の用事だと言って連れていかれ、すっぽかしてしまっていた。
そんなに喚かれなかったのは不思議だったが、別に気にしなかった。
それに、大した内容ではなかったのだけど。
「いや、違うの。ごめん、サツキ。」
「それじゃ、何なの?」
「…あ!そうそう、サツキって、穿龍棍以外の武器使ってるところ見たことないなぁってね!」
「あー…ま、まあ!穿龍棍強いしいいじゃない!」
慌てて目をそらす。
…私は、この武器以外使ってない。と言うか、使えない。メゼポルタにいたころ、何度か使ったのだが、散々な目に遭ったのをよく覚えている。
オールラウンダーなど、私にとっては夢のまた夢。
だからこそ、この武器の扱いでは負けない。今は全然本領を発揮できてないけども・・・。
気温が上がってくる。
とりあえず、グビグビとクーラードリンクを飲む。瞬間、急激に体が冷え、汗が引いた。相変わらず、この飲み物はすごい。
こういう飲み物は、大抵調合によって作られる。いろんなものを混ぜ合わせて作るのだ。
調合の勉強もしなくちゃな・・・。
囮なら、それくらいはできなければならない、かも。
私たちは今、砂漠のど真ん中にいる。辺りを見渡しても、サボテンが群生しているとか、岩が唐突にそびえ立ってるとか何とも砂漠らしい光景しかないあとは、周りにいくつか砂の山があるだけだ。奥には魚みたいなモンスターが砂の中からイルカのように跳ねている。
「デルクスっていうのさ。そう邪魔にもならない敵だから、気にしなくていい。」
ミルさんが教えてくれた。
メゼポルタは言ってしまえばモンスターのるつぼ。たくさんの種類のモンスターを見てきた。だが、ああいうのは見なかった。
当時から変わらず、モンスターの生命力とか、適応力には驚かされる。
そういう世界で命のやり取りをしなくてはならない。
気を引き締めなければ、だれか死ぬ。
それだけは、絶対に嫌だ。
特に、カンナを殺すわけにはいかないんだ。
「ミルさん、どこにいるかなー?」
「そうだな・・・サツキ、カンナ、周りの砂の山をよく見ていてくれ。」
「砂の山…ですか?」
周りにたくさん、風でまとまったのか、砂の塊がある。長さ5メートル、高さ2メートルほどの砂の山が、あちこちに点在しているのだ。その一つ一つに目をやっていく。見る限り、変わったところもありそうにない。
「ここら辺にはないかな。もう少し進もうか。」
しばらく進む間も、周りの砂の山を観察する。暑さで遠くの景色がユラユラしている。クーラードリンクで私たちは無事だけど、外の気温は50度は軽く超えていそうだ。
この中にモンスターがいる。この独特の緊張感、私は嫌いじゃない。
ふと目をやった先に、違和感を感じた。そこにはただの砂の山。なんだけど、先の方から何か煙みたいなのが出ている。
後ろに歩いていたカンナも、それを見つけたらしい。
「あれは・・・?」
「あったか?」
「はい、多分あれのことですよね・・・」
「そう、やっと見つけたな。ハプルボッカは砂の山に擬態してる。つまり、あの下に奴がいる。」
擬態するモンスターはよく見るが、砂の山に化けるとは中々いない。一体どんな奴なのだろうか。
「よし、そんじゃ、セリアよろしく!」
ミルさんの掛け声とともにセリアさんはゆっくりと歩き出す。一歩、また一歩。その後ろ姿は小学校低学年を思わせる。ただ、ここは戦場で、彼女はまぎれもない、帰ってきたうちのエース。
ゼロ距離に接近したセリアさんは懐から何か取り出し、ピンを抜いた。
携帯用の大タル爆弾。空に放り投げると空中で巨大なタルが現れて、ズドンと落下した。その瞬間、砂山が丸ごと消えた。
セリアさんがこっちに走ってくる。
「さあ、来るぞ!」
刹那、大きな音とともに、何かが砂の中から勢いよく飛び出した。
「うひゃあぁ!」
轟音とともに天高く飛び上がった10メートル級のモンスター。
それは、一言で言えば魚だった。タルのあった場所半径10メートルを覆い尽くす巨大な魚が、思い切り飛び上がってきたのだ。赤いエラがたなびいている。
すごいわね…。こんなに大きな砂中モンスターも中々いない。
と、その瞬間爆音が響く。悲鳴をあげたハプルの体は顔だけを砂の上に出したまま動かなくなった。
なるほど、爆弾を食べたのか。
体内での爆発となればかなり威力も大きいはず。
そりゃ動けなくなってもおかしくない。
「今がチャンス!私に任せろ!」
ミルさんはカバンから鬼人薬を取り出した。
真っ赤な薬品が出てくる。
それは、ハンターの力を高める薬。怪力の種を原料として調合によって作られる。それを飲むと、ハンターの単純な筋力が増す、という飲み物だ。
ミルさんはそれを一気に飲み干すと、ハプルの方へ走り出した。
取り出したのは、釣竿。
「釣竿!??」
まさか・・・
「ミルさんは、ハプル釣りの名人なんだよ!」
カンナのその言葉で、何をするかわかった。ミルさんは釣り針を口に引っかけると、
「オラオラオラァ!」
と言いながら引っ張る。
グイグイとミルさんの引っ張る方向にモンスターが引っ張られ、暴れる。
もくもくと砂埃が舞う。
ものすごい男らしい叫び声とモンスターの声。
ミルさんがすごい。
何かって、世紀末覇者みたいな顔してる。モンスターを釣り上げるの、私もやったことあるけどわたしには無理だった。鬼人薬を飲んでも引っ張り負けてしまう。
途端、ハプルの体が砂上に完全に露わになる。
「しゃー!オラー!!!!!」
ハプルボッカの体が20メートルは吹っ飛び、そのままものすごい音と砂埃とともに落下した。
情けない声とミルさんの気合の声が上がる。ミルさん、意外な一面を見ましたよ。…まあ、いいんですが。
「今がチャンスだよ!」
「はい!」
順調な狩りだ。
セリアさんが片手剣を振り上げる。
毒の片手剣…。
つまり、それで切りつけることで、モンスターに毒が回る、ということ。
それでカンナは以前倒したウルクススの武器。中に含まれる氷結袋のお陰で、水滴が凍りつくほどの凍てつく刀身となっている。
いずれも、こいつには効くだろう。
青い腹に黄色の模様。お腹は中々にグロいけど、私たちはそんなミルさんの釣り上げもあって順調にダメージを与えている。
わたしも、突進後の後ろ姿にむけて穿龍棍を振り下ろす。半分出した顔の横、エラがピクピクしている。
体が大きい分、視野の確保はずいぶん楽だ。それに、こいつもそんなに動きが俊敏じゃない。
エラの動きを見ただけでも、咄嗟に危ないのはわかった。
すぐさま地面を蹴って飛び上がる。
砂で足を取られるほど、わたしはやわな鍛え方してないからね。
途端、砂が思い切りこちらに噴射されてきた。砂の粒が身体中に当たってかなり痛い。だが、それほどでもない。
「はあぁぁ!」
カンナも長い刀身を振り下ろす。ザクザクと切れる心地よい音もする。
前回と違って、知識もある。
これは問題ない気がする。
「サツキ、しゃがめ!」
ミルさんの声と同時にしゃがむと、頭の上を矢が飛んで行った。頭に何本かがささり、血が飛ぶ。ミルさんのコントロールもかなりいい。
やっぱりこの人は頼れる先輩だ。こっちを向いているので、下を向いているが、目が小さいから、私にも攻撃のチャンスが回って来ることが多い。
ーーーこれなら、早く終わりそうだ。
私も、タル爆弾を置く。小さなタルのストラップみたいなやつ。ピンを抜いて放り投げると、たちまち大きくなる。とたん、こっちに大きな口をあけてハプルが向かってきた。
「サツキちゃん、こっちおいでー!」
セリアさんの声に合わせて、横に大きく迂回して回避。途端、さっきまであった爆弾が、砂埃と共に消え失せた。
あとこいつ、頭悪すぎる。これで何個目?それに、行動も極端に遅い。
そう、極端に。
違和感を感じ始めたのは、ようやくその頃だった。
その後も攻撃を与え続けて、私たちの狩りは正味30分で終わった。後はギルドに任せれば、素材も剥ぎ取れるだろう。簡単に終わってよかった。
最近、何かと苦労も多かったし、無事に狩れたのは悪くない。
でも、おかしい。
こんな速さ、知能では自然では生き残っていけないだろう。
このモンスターの本調子はこんなもんじゃないはずだ。
だが、実際にはあっさりと狩りが完了した。
そして、異変のこともある。何か、何かありそうな気もしたが、そんな予感は勝利の余韻に消えていった。
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村に戻ると、村長さんに会った。
村の天気は今日も雨。ジトジトした空気。季節は夏になろうとしている。
私がハンターになって、もうすぐ一年になる。今のランクは40。ペース的には少し早いくらいの上昇率で、私のランクは上がっている。さっきもあっという間に片付いたクエストがあって、それで40に上がったのである。
「カンナ、よかったな。」
「ミルさん、ありがとう!」
「村長さんも、お疲れ様です!」
「皆さん、クエスト帰りですか?ご苦労様でした。」
「ええ、ご苦労様でした。クエストと言っても、あっという間に終わりましたけどね。」
「ハプルちゃん狩ってきたのー!」
クエストの内容を簡潔に話す。村長さんの顔が変わった。
「変ですねえ、それは。」
「え?」
「ハプルボッカは普通、草食動物を食べます。そんなハプルが、肉以外の、例えば積み荷を襲うなんて・・・」
「えーと、つまり?」
言わんとすることがわからない。振り向くと、サツキが呆れた顔でこっちをみる。
「カンナ・・・つまり、餌がなかったってこと。
草食動物があのタイミングで、消え失せていた。」
「・・・そうか、そう言えば、一回も動物を見なかった。デルクスだけだった。」
「んー、確かに不思議かもねぇ。」
「やはり、何か不思議なことが最近おきていますね。先程も、おかしな人が村に来ましたしねぇ。」
村長さんもあまり明るい顔をしていない。
少し考え込むような仕草をした。
着物についた鈴がチリンチリンと鳴る。
「どんな人です?」
「何か、亡くなった人を探しているようでした。私が生き返らせて差し上げよう、とか言ってたでしょうかね。
余りにも唐突に村に現れたので、どうしようかと思ったんですが。
村人の報告で私が対応したんですが、どこかおかしな、というか…。
布を口元に巻いていて、顔もはっきり見えませんでしたし…。」
ハッとした。
<死者を生き返らせる>
サツキの方を見ると、その顔色が変わっていた。
突然村長さんに近づいて、
「その人、今どこにいますか!」
と言った。
「サ、サツキ!?」
「さ、サツキちゃん?どうしたの?」
「どこです!」
「い、いえ・・・私も突然のことでしたし、最近村で亡くなった方もいらっしゃいませんでしたので…。
その旨を伝えたら村を去って行きましたが・・・」
「今どこにいるかわかりますか!?」
「さ、さぁ…。ですが、こんな中歩いてきたようですし、そんなに遠くには…。」
「カンナ!悪いけど、報酬は私の家に持ってきといて!」
「お、おい、サツキ!」
サツキは雨の中、走っていく。
目が血走っていた。息も荒かった。
私は、あの時見た、あの新聞記事を思い出した。
何か、あったんだ。私の知らない何かが、あのハンターに。
サツキの謎については、これから少しずつ明かされていきます。
最後ちょっと短くなってしまった…
キャラ紹介!
サーサ
変な名前になったのはご愛嬌。
黒髪ロングに赤のメガネ。青い瞳の持ち主。スタイルも良好。
モデルはユーフォのあすか先輩。
設定としては、のちに出てきますがガンナーさんです。