quest!   作:resot

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さあ、モンハン小説!まずは長い長い前置き、ユクモ村編です!オリキャラ紹介は後々で!


第1話 到着!

目の前には、一人の女の子がいる。

しかし、その身体は氷に包まれていた。氷に閉じ込められた女の子。しかし、その表情は笑顔だ。

 

ただの氷じゃない。

 

紫がかった氷の中で、にこりと笑ったその姿。

全て、私のせいだ。私のせいで・・・

 

その向こうに見える一体のモンスター。

 

だめだ。死ぬ。私も、死ぬんだ。ああ、ダメだ。

 

そのモンスターは私に向かって飛びかかってくる。いっそ、ここで死んだ方がいいだろう。

守れなかった。守るべきものを。

つまりそれは、人殺しに等しい。

 

私は人を殺してしまった。

 

そんな奴に、生きてる価値なんて、ない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

途端、一気に苦しさが襲ってくる。

夢の中から無理やり引きずり出された。

 

「プハァ!ゲホッゲホッ!」

 

飛び起きた。まず耳に入ってきたのは、ザアザアと降る雨の音だった。

 

目を開けると、そこには一人の男の顔。どうやらそいつに、顔に水を思い切りかけられたらしい。

 

飛び上がって、気管から水を出しながら、そいつを思い切り睨みつけた。

喉に手をやって、咳をすると、少しずつ気管から水が出てくる。

 

ああ、苦しい。しかも、髪の毛はベシャベシャ。

 

濡れた身体がどんどん冷えていく。

 

全く、女の子に何すんのよ、こいつ。

 

「うるっせえなぁさっきから。ウンウン唸るくらいなら、寝るんじゃねえよ。」

 

男は、うざったそうにそういった。

大きな青い目が、気だるそうに光っている。

 

「何よ、別にいいじゃない。」

 

負けじと言い返す。こいつには、黙らされたらおしまいだ。次々と言葉を発しなければならない。昔からそうなのだ。

 

ガタガタと揺れる荷車の中。

外は、お互いの声がやっと聞こえるほどの土砂降りだ。

山並みの道を、私たちの乗っている馬車は走っている。かれこれ1日ほど、こんな景色が続いている。

 

つまり私は雨水をかけられたらしい。

雨水、人にかける?普通。

 

ほんとに常識のない奴なんだから、もう。

 

「また、あの夢かよ。」

 

ーーー。飛び起きた瞬間忘れていたはずの、さっきまで見ていた夢を思い出してしまった。

 

頭がいたい。

現実に来ても生々しく思い出す、あの光景が蘇りそうになる。慌てて首を振る。ああ、昨日の晩ゴハンおいしかった、うん、美味しかった…

 

 

私の幼馴染は、そんな私を見て、明後日の方を向く。

 

 

「ああ、悪かった。サツキ、すまん。忘れろ。お、おい、運転手さん?あとどのくらいだ?こんな雨の中2日も荷車の上じゃ、流石に気が滅入っちまう。」

 

「あと少しですにゃ、お客さん。嫌、お客様。最近雨が多くて、困ってるのにゃ。」

 

「そうかい。それは、大変だねぇ。ご苦労様。言っちゃ悪いが、こんな行きにくい村が一大観光地とは、不便なこって。」

 

青い目の幼馴染はケラケラと笑いながら言う。荷車をあやつるアイルーも、全くにゃ、と笑う。アイルーというのは、獣人族に属し、知能を持った猫のことだ。

 

「っていうか、あんたはなんで着替えてんのよ。」

 

「今日中にはユクモに着くらしいしな。きちんと正装で臨まないと。」

 

目の前の男の名前は、リュウという。職業は、ギルドマスター。

 

そこそこイケメンの顔に、特徴的な青い目。

そして、私の幼馴染でもある男だ。

鮮やかな青色の髪を整え、銀色の防具みたいな物を身につけている。

それは、ギルドマスターの正装でもある。

 

「ふーん。あっそ。」

 

女が寝ている間に横で着替えるとは、何ともふてえやろうだ。お天道様に変わって成敗してやろうか。

 

それで会話が途切れた。簡易の荷車の傘の外は、一面の森が広がっている。空には黒い雲が広がり、雷が絶えず鳴っていた。

王都にいた頃は、森なんてクエの時しか見たことない。

普通にこんな景観が広がっていれば、或いはモンスターに遭遇するかもしれない。

もし、今出くわしてたとして、今、狩りを行えるのは・・・

 

誰もいない、か。

 

 

 

 

 

 

 

 

悠久の昔から、我々人間は自然と共にあり、動物たちと共存して生きてきた。でも、時にその動物たちの中でも、人間たちに牙を剥く輩がいる。それを我々人間はモンスターと呼び、それを狩ることによって、その調和を保ってきた。

その狩りを行う専門の仕事。それがハンターという職業だ。世界で最も名誉も、金も手にいれることのできる職。同時に、自らの命をかけて、モンスターに対峙する。

 

そして、ハンターの指揮をとるのがギルドという機関。多数の職員が人々からの依頼を集め、ハンターを斡旋・サポートする。立ち位置的には、ギルドが雇い主なのだけど。

 

そんな学生の時の知識を思い出していると、雨が止んできた。

 

「おっ、止んできた。」

 

「お客さん、ちょうど間も無く到着にゃ。」

 

外を見ると、少しずつ晴れ間が出てきていた。道の先、向かって右側に、朱塗りの門。その先には向かって右に向けて、階段が続いているらしい。右手の山の上を見上げて、驚いた。

 

「すごい…」

 

思わず声が漏れる。

真っ赤なドーム状の巨大な建物が、山の山頂近くから顔を覗かせている。屋根からもくもくと煙が上がっていた。そして、山肌に沿って、たくさんの建物の屋根が顔をのぞかせている。

 

ある家からは煙が立ち、ある家では藁の屋根の吹替を行なっていた。10人ほどの人が屋根で作業している。更に、村を覆う一面のもみじ。秋の光を受け、真っ赤に染まる村。

 

ここが、自然とともに生きる村と言われるユクモ村だ。

 

感激しながら、目を前に向ける。

 

門のところに、二人の人が立っているのが見える。一人は、桃色の着物を纏った舞妓さんのような女の人。もう一人も女の人で、抜群の体型に、緑色の防具をつけている。多分あれは、リオレイアの防具だな。

めっちゃ似合うな…。

 

また、あの頃の記憶が蘇りそうになる。

首をブンブン振って、追い出した。

 

 

 

そのまま、荷車は二人の前で止まった。

二人ともにこやかな笑顔である。

私たちは降りて、二人の前に立った。

 

「遠方からはるばるようこそ、リュウさん。この度はわがユクモ村ギルドの、ギルドマスターの着任、本当にありがとうございます。私がこの村の村長です。」

 

舞妓さんが村長さんらしい。

 

「私はミルといいます。この村のハンターの代表をしております。どうぞよろしくお願いします。」

 

この綺麗なお姉さんが、ミルさん。

 

「はい。私がリュウです。これからお世話になります。よろしくお願いします。」

 

なるほどね。ハンターさんというわけか。

 

「それで、こちらの方は・・・?」

 

村長さんは、私を指した。

 

「あ、初めまして。リュウと一緒に引っ越してきました、サツキといいます。」

 

慌てて自己紹介。そりゃそうだ。

お付きの人とかに思われたかな?こいつのお付きなんて、それはそれで嫌だけど。

 

「ああ、話は聞いています。失礼しました。では、ご案内しますね。」

 

サツキーーー

これが私の名前だ。元ハンター。ただ、仕事は今は特にしていない。絶賛無職です。

 

ただ、ある目的があってここ、ユクモ村にリュウニ付いてくる形でやって来た。

 

石畳の階段を上ると、山の中腹にそって階段が続き、その脇に家々が立ち並んでいる。山を削って、山肌に沿って家を立てる技術。聞いていた通り。すごい村だ。

 

両側は商店街みたいになっている。野菜や肉を売る店が立ち並ぶ。

 

「あ、これ美味しそう…」

 

「ああ、それですか。モスってモンスターの肉なんです。ここら辺では食べるんですよ。」

 

「へ、へえ。そうなんですか。」

 

ミルさんに声をかけられた。

よく通る声。なるほど、これなら狩場でも声かけが容易だろう。

 

賑やかな大きな道。そこを外れると、いくつかの民家が立ち並んでいるのもわかる。

 

そして何より、紅葉がとても綺麗だ。

 

周りは、買い物をしている人たちがいて、村長さんと、見知らぬ若い男女にこんにちは、と声をかけてくれる。私たちも、その声に応えながら、石畳の階段を上る。

 

「美しい景観ですね。さすがはユクモです。」

 

「ありがとうございます。後で、ゆっくり温泉にでもつかってください。」

 

上る先に、大きな建物があった。さっに見えた、赤いドーム。真っ白な煙が、一段と上がっていた。

 

「それでは、リュウさんはこちらへ。サツキさんは、ミルさん。あなたが、家まで送って行ってください。」

 

「はい、わかりました。では、ついて来てください。」

 

リュウと別れる。多分、あそこがギルドなんだろう。流石、建物もこんな田舎にあるにしては大きいな。

ミルさんに連れられて、階段を再び降りていく。時折、籠を担いだ村人が挨拶しながら通り過ぎて行った。ミルさんに向けられる挨拶は、尊敬に満ちている。ハンターというのは、こういう職なのだ。ミルさんも笑顔で答えている。

 

その笑顔に、彼女の優しい性格が見えた。

 

ミルさんは、歩きながら突然話しかけてきた。

 

「そう言えば、サツキさんは元ハンターですよね?」

 

やばい。この村にも知れ渡っているのか。

 

「あ、えっとですね…」

 

「二つ名は、確か・・・」

 

「双星のサツキ!」

 

突然かけられた声にビクッとしてしまった。

 

突然、右手の家の中から、一人の女の子が飛び出して来た。身長は、私より低い。

金髪のショートカットに、黒い瞳。ただ、防具を身につけていた。ハンター一式防具?

 

は?こんな小さい子がハンター?

 

「ねえねえ、あなた、双星のサツキ、ミツキのサツキでしょ?Fハンでしょ?すっごい、有名人だよねー!」

 

早口でまくしたてられて、焦った。

 

「カンナ。お客さんに失礼だぞ。ハンターとして、もっと大人になれ。」

 

「い、いえ、いいんです。その名前、よく覚えてるね。あなた、歳は?」

 

その子はちょっとむくれて、

 

「私、あなたと同い年だよ!」

 

「ええええ!」

 

びっくりした。明らかに目の前の子は、年下にしか見えなかった。

 

「でも、あのサツキと狩りができるなんて!これからよろしくね!」

 

その言葉を聞いて、私の体温が下がるのがわかる。

 

ふと、高ぶる気持ちが冷めていく。

ハンター、か。

 

ーーー今もやっていれば、或いはよろしくと言えたのかもしれないけど。

 

「私、もうハンターはやめたの。」

 

 

 

 

いつの間にか晴れ上がった青い空と紅葉の下。そんな時に、出会った女の子。それが、カンナとの出会いだった。




サツキとカンナが主人公のお話になります!
これからよろしくお願いします!
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