quest!   作:resot

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ミル 「いやにスッとしたな、投稿欄。」
resot 「はい、流石に多くなってきたもので。もう多少1話長くてもいいやって変えちゃいました。」
ミル 「20話ね・・・結構書いたもんだ。」
resot 「意外とこの話、思い入れも強いもので・・・。」
ミル 「投稿スピードには反映されないんだな・・・」
resot 「・・・ノーコメントを貫きます。」
ミル 「ま、いいや。最終決戦編です、どうぞ!」


第20話 決戦!

「お、落ちる・・・。」

 

「ちょっとカンナ、余計なこと言わないで!」

 

「二人ともうるさいぞ!

セリア!後どれくらいだ?!」

 

「もうちょっとだと・・・

ミルさんそっち行って!」

 

 

強風に煽られてまた籠が揺れる。

 

 

うう、頼むから耐えてね?

これに乗る時のリュウさんの笑顔を思い出す。

いや、ここで死んだらシャレになんないし!

 

 

「カンナちゃん、もうちょっとあっち寄って!サツキちゃんはこっち!」

 

 

気球の籠の中で、細かくセリアさんの指示に従って動く。

びゅうびゅう吹く風。

落ちずにすんでるけど、正直進んでるのかもわかんない。

 

 

ユクモ村を発って1時間。外を見ると、広大な森が下に広がっているのがちょっと見える。

雨がすごくて霞んじゃってるけど。

緑が一面にあるので、多分そうなんだろう、というくらい。

 

目の前を見ると、霊峰がそびえ立っているのがわかる。

 

 

「ヒイイ、近い!!!」

 

 

もはや白い壁、ともいうべきか。白い岩がゴロゴロ転がっているのがこれも微かだけど見える。

 

あれが、多分崩された山の残骸なんだろう。

 

 

「何だ、あれ!」

 

「…あれだよ、みんな!

突っ込むよーーー!!!」

 

 

ミルさんの声の方を見てハッとした。

周りでは、風が激しく吹いていて、葉っぱを巻き上げている。

風に乗って、自由自在に舞う木の葉。だけど、そこだけ違う。

 

葉っぱが、まるで一つの線みたいに、霊峰の頂上の方に吸い込まれていくのが見える。一筋の葉っぱの道が、私たちの行く道を・・・って!

 

 

「え、ほんとにあれですか!」

 

「もう入るよ!」

 

 

その向こうに、なにか白いものも見えた。

 

 

「リュウの言ってたのってあれ?

無茶苦茶すぎるでしょうよ!!!」

 

「そう、さあ、サツキちゃん!ミルさんはそっちね!」

 

 

バタバタと二人が動く。

狭い籠の中では、いっぺんに多くの人は動けない。セリアさんは、上から伸びる二本の糸を操って、なんとか制御を続けている。

これだけで疲労が溜まりそうだ。

 

 

「サツキちゃん、7時の方向に風よろしく!」

 

「風!?」

 

「穿龍棍!」

 

 

サツキは言われるまま、外に両方の穿龍棍を突き出した。そのまま、風を思い切り噴射させる。ビュオオオ!とすごい音がして、気球が一気に傾いた。

 

その先に木の葉の道がある。

まっすぐに例の流れに向かって進んでいく。

 

 

「気球はぶっ壊していいらしいし、これでおしまい!みんな、しっかり掴まっててね!」

 

 

・ ・ ・ ・ ・ ・????

 

 

「お、おいセリア!今なんて?」

 

「いいから早く掴まる!」

 

 

途端、気球が大きく揺れた。

周りに、木の葉がいっぱい流れている。周りの景色が見えなくなるほどに。

途端、上も下もわからなくなった。

 

体に強烈な圧がかかる。

と思ったらふわりと浮く。

 

 

もしかしなくても、これはヤバイ。

 

 

「ちょっとおおおおおおぉぉぉぉぉぉx!」

 

 

4人の断末魔とともに、気球は霊峰に向かって吸い込まれていったのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「セリアさん!死ぬかと思ったじゃない!」

 

「あはは、サツキちゃん、ごめんって。

サツキがゴタゴタ言うから黙っといてって言われてたの!」

 

「あんにゃろう・・・!」

 

「まあ、死ななくてよかったが・・・。

セリア、私を天国に送るつもりだったのか?」

 

「いやー、ハラハラしたぁ!」

 

 

ここは、多分霊峰の頂上付近。らしい。

山肌にぽっかり空いた洞穴に私たちは避難した。

 

気球が山肌に不時着してから、すぐそこにあったのでとりあえず。

 

気球の布をクッションにしたが、運と判断が悪かったら地面に叩きつけられていた。

あんにゃろう、生きて帰ったら殺してやろうか・・・!

 

 

「それにしても、頂上ではないな、ここは。さて、どうやって上に登るか。」

 

 

外は激しい嵐。

別にこの中で狩りをするわけだし、このまま行ってもいいが、流石に体力を極力温存したい。

ここで休んでいるとはいえ、あの無茶苦茶な飛行で体にももう既に疲労がたまっている。

 

 

「うーん、せめてここが霊峰の山肌のどこら辺にあるかさえわかればねぇ。」

 

「うーん、どうだろう?わかんないやー。」

 

「あの、ミルさん。」

 

「うん?」

 

「あれ・・・。」

 

 

カンナの指差す先。

洞穴の少し奥の天井から少しだけ水が落ちている。

そういえば、さっきから風の音だと思ってたけど、少し違う音も混じってるような気もする。

 

 

金切り声みたいな、そんな感じ。

 

顔を見合わせる。

 

 

「このすぐ上に、もし頂上があるなら・・・。」

 

ゴクリ、と唾を飲み込む。

ミルさんがランスを天井に向けて構える。

 

 

「一つだけ、爆弾があるよ!」

 

 

セリアさんが手元から小さな小型爆弾を出す。

 

 

「・・・もし、この上が頂上なら、もう返ってこれないかもしれない。いいな?」

 

「そんなの、もう済んでます!

・・・怖いんならこんなとこ来ませんしね!」

 

 

カンナの声。

思いはみんな同じだった。

 

 

「・・・よし、行くぞ!」

 

 

ミルさんの合図で、投げられた爆弾は爆発する。

ガラガラと崩れる岩の隙間から、少し明るい空が見えた。

 

 

「行くぞ!!!」

 

「「「はい!!!」」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

とりあえず一言で言うと、穴の外は、大嵐だった。

 

 

「うう、寒い…」

 

 

気温が低い。

雨だけじゃなくて、空気がなんと言うか、冷たく感じた。

少しそのまま辺りを見渡す。

 

 

「こんな・・・!」

 

 

驚いた。

今私たちが出てきたところから、地面が円形にまるで円のように広く広がっている。

ところどころにゴロゴロと石があったり、凸凹したりしている。

 

 

「広いな・・・。」

 

 

そして、その円の先はすっぱりと切れ落ちているようだ。山の頂上が吹っ飛ぶーーーー。

この地形が、たった一匹のモンスターに。視点を回転させていった私たちの首が、止まった。

 

 

「・・・。」

 

 

 

 

 

その姿に、見惚れてしまった。

 

 

 

 

美しかった。

言葉にならない綺麗さだった。

 

白いたてがみ。長い髭。金色の角。

大きな頭に、小さい体。

風をまとったその姿は、気球で見た謎の影そのものだった。

 

しばし、私たち4人と目が合う。

ただのモンスターとは違う、圧倒的な存在感。

悪天候に合わない、あまりにも白く、綺麗な体。

そして、放たれる圧倒的なプレッシャー。

 

古龍。

 

 

ヒュオオオオオ!!

 

 

「・・・・・・・・・・・・!」

 

 

 

アマツマガツチが鳴き叫ぶ。我に帰った私たちも、武器を取り出した。サツキが穿龍棍。

私とセリアさんが双剣。ミルさんがランス。

 

 

「来るぞ!」

 

 

アマツマガツチは、体をよじった。

そのまま、一気にこちらに突っ込んでくる。

 

よく見ると、アマツマガツチは体が浮いていた。って、そんなこと言っている場合じゃない。思い切り飛びのく。だが、目算を誤った。

ヒレのような前腕が私を弾き飛ばす。

 

 

「いった!!!」

 

 

痛みがは走った。受け身をとって、すぐに回復薬。

 

大きさも速さも桁違いだ。

 

どれをとっても今までのモンスターの比じゃない。

サツキの方に目をやると、やはり回復薬を飲んでいた。

 

 

「もう一度来るぞ!」

 

 

今度は逆にしゃがむ。

少し窪んでいたのが幸いした。

ギリギリ上を通ってくれた。

 

この速さ…。

 

サツキのことを思う。

下を向くしかないサツキの視界では、多分避ける暇がない。誰かが助けなければ。

 

 

アマツマガツチはミルさんに標準を絞ったらしい。体をくねらせ、回転する。ガードできているが、そのままミルさんは後ずさりする。

単純に大きいから、攻撃力も高い。

 

 

「サツキ、私の声を聞いてて。」

 

「カンナ?」

 

「右!!!」

 

 

 

風の音に負けないように、声を張る。

多分、日々鍛えているハンターじゃなかったら飛ばされているほどの風速になっているだろう。

 

こちらに標準を合わせたアマツマガツチは、体をまたよじらせる。来る。

 

 

「サツキ、1秒後横へ!」

 

 

言いながら私も横へ移動。

 

 

「ヒッ・・・!」

 

 

掠めたけど今度はうまくかわせた。そのまま追いかける。

追い風の向きだったので一気に近づけた。

 

 

「喰らええ!って、あれ?」

 

 

双剣で思い切り切りつけた。鱗を引っ掻いて、少しだけ血が飛び出す。

 

硬い。

 

でも、それだけじゃない。

今、変な感じがした。

 

 

ーーー力が逃がされた?

 

 

剣がうまく刺さらなかったような。

 

同じように攻撃していたセリアさんも首を傾げながら、アマツマガツチの後方へ。

アマツマガツチは、ミルさんの方へ向かっていった。

 

 

「セリアさん・・・」

 

「なんかに、遮られた。わかんない。」

 

 

話しているうちに、アマツマガツチはいつのまにかこちらを向いていた。頭を上にあげて、振り下ろす。と同時に、何かの玉が吐き出された。

 

水の玉だ。

 

咄嗟にかわす。

 

 

「ミルさん!」

 

「ああ、わかってる。私もさっき一撃与えた。多分、風だな。」

 

「風、ですか…?

って、サツキ、そっちいった!」

 

「ありがと!」

 

「そうだ、体の周りに風が流れている!

だから、もっと強く剣を振れ!あと、私のランスみたいに突けばいい!風に邪魔されないからな!」

 

 

また突っ込んでくるアマツマガツチ。私は横に転がった。そして、振り向きざまに頭に何撃が食らわせる。

 

 

「なるほど・・・!」

 

 

ほんとに剣が流されて、うまく切りつけられない。頭を上げたので横に避けた。

水玉・・・!

 

 

だが、水は水でも今度は違った。真っ直ぐ、水流のようなものが口から吐き出された。

 

 

「危ないよカンナちゃん!」

 

 

割と直線的で助かった。

 

でもその水圧で、地面に亀裂が走っていく。

 

なんかでああやって石を切るやつ見たことあるけど、なんて威力・・・。

 

食らって体が真っ二つになるのが想像できた。

あまり速くないのが避けるのには助かった。

 

 

ミルさんは威力を見て、防御から回避へ切り替える。

重いランスでの回避はギリギリだった。

…ランスの盾が少し凹んでる。

うん、やっぱり食らったら死ぬ。

 

 

「よく見て、カンナちゃん!水を使った攻撃の後は隙があるから!」

 

 

セリアさんの声を聞いて、私も相手をよく見る。突進、水玉、水ブレス。

 

 

空中に浮いているせいで、中々見極めが難しい。でも、特に水を使った攻撃の後には隙がある。

 

 

「サツキ!」

 

 

サツキにも声をかけながら、目を配る。セリアさんは後ろ脚に、飛びかかりながら切っている。パラパラと鱗が剥がれ、血が吹き出す。流石だ。

私は、この風のなか、そこまで俊敏には動けない。どうしよ、となると…

 

ピンと来た。

 

水玉を口から吐き出すアマツマガツチ。

でも、これは読んでる。そのまま、近づいて、鬼神化した。体が軽くなる。一気に近づいて、前のヒラヒラした手のあたりを切る。

 

鬼神化していれば、体に纏う風もあまり気にならない。

 

二、三撃当てると、真下に向かって水ブレスを吐いてきた。すぐさま横に退避して、アマツマガツチの下から離れる。そして鬼神化解除。

 

 

 

「・・・これかな。」

 

 

 

ディアブロスの時と同じ…というか、狩りに大事なことは「はめる」ことだ。

 

相手の動きに対して、こちらの動きも決まる。

あとは選択の問題。

 

つまり、見極めの戦いにすることができればいい。

なぜ2回目から狩りは簡単になるのか?

答えはこれ。

こうなれば、後は繰り返しだから。

 

 

 

戦闘から30分。はやくも、形に入れた。セリアさんも動きを見極められるようになっているし、ミルさんはうまくガードで私たちを動きやすくしてくれてる。

サツキも私たちの声を聞き、うまくかわしつつ、穿龍棍で殴りつけている。

 

 

頭をあげた…次はここ!

 

 

鬼神化して、すぐにアマツマガツチの前に立つ。顎に向かってアッパーカット。そのまま横へ回避。

軽くひるんだアマツマガツチは、すぐにこっちを向いた。だけど、それが失敗よ。

 

 

「てえええい!」

 

 

セリアさんが横から飛び上がる。頭の上を越えながら、剣を回転しつつ振り抜いた。

 

 

「キョオオオオ!」

 

 

アマツマガツチの向かって右の角がポッキリと折れた。黄金の角が地面に突き刺さる。

いけるかもしれない。狩猟開始から1時間。

確かに疲れもかなりある。

でも、これなら、この調子なら…

 

不意に、アマツマガツチが距離を取る。そのまま、頭を天に向けた。なに…?

 

 

その時だった。風が一段と強くなった。それだけじゃない。今まで右へ左へと無作為に吹いていたはずの風。それが、一つに、アマツマガツチの方へ向かって吹き始めた。

 

 

「武器をしまえ!!!」

 

 

ミルさんに従って武器をしまう。

 

突然、体がアマツマガツチの方へ引き寄せられる。

 

 

「うわっ・・・!!!」

 

 

慌てて踏ん張るけれど、そのまま滑ってしまう。咄嗟にかがんで、地面を掴んだ。

すぐ横にいたサツキも、同じ体勢をとっている。ミルさんは盾を構え、必死に耐えていた。

 

 

「なに、よ!この風!」

 

 

耐えられるかわからない。でも、手を離したら、もっとどうなるかわからない。

 

顔をもう一度上げて、ハッとした。岩がこっちに向かっている。と思った時には目の前に。

 

 

「…!」

 

 

右手で弾いた。でも、それがいけなかった。

左手が離れる。体がふわっと浮いたと思ったら、猛烈に引っ張られた。

 

 

「カンナ!」

 

 

サツキの出した左手に手を伸ばすが、届かない。アマツマガツチに向かって、猛スピードで吸い寄せられる。アマツマガツチは、回転を始めた。最初はゆっくり、でも目にも止まらぬ速さに。中央で風が渦を巻いていく。

 

あっという間にその渦は、巨大な竜巻に成長していた。

 

視界に入るのは巻き込まれた岩ばかり。

だめだ、体が言うことを聞かない。

 

 

「痛い!!!」

 

 

巻き込まれた岩に体を打たれた。体が浮き上がり、上下がわからなくなって…

 

 

「ゲホッ!」

 

 

気がついたら体を地面に打ち付けられていた。全身に激痛が走る。身体が動かない。

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・!!」

 

 

痛みに耐え、懐から出した回復薬を飲んだ。なんとか多少痛みは引いた。

はっと顔を上げる。

見ると、目の前には切り立った崖。ひっと声が出た。あと一歩ずれていたら・・・!

 

 

「カンナ!!」

 

「な、なんとか大丈夫!」

 

 

アマツマガツチとサツキたちはこの戦場の逆側で戦っていた。いけない、私だけ戦わないわけには。

巨大な竜巻は、ゆっくりと消えていく。

出ている時間も短い。

 

 

竜巻をあんな簡単に・・・!

身体の痛みがだいぶひいた。

 

まだ、戦える。

 

 

急いで走る。だが、視界の端に入ったものに一瞬目を取られた。

 

 

「・・・?」

 

 

鉄製の何かが、木の土台に固定されている。

 

 

「すいません!」

 

「大丈夫か?」

 

「はい…いたた。」

 

「あんまり大丈夫じゃないな。」

 

 

ミルさんも、ほおに傷がある。

それだけじゃない。肩で息をしている。

 

そこで気がついた。

私も、かなりしんどい。

 

ここは標高も高く、空気も薄い。鬼神化も併用した攻撃。ここまでの長丁場になるとは思っていなかったこと。

 

何が、いけるかも、だ。

目に見えてやばいのは竜巻だけかもしれない。

 

でも、状況は確実に悪くなってる。

早めに終わらせないと、こっちにガタがきてしまう。ただ、ダメージらしい大きなダメージは与えられていない。

アマツマガツチの白い身体の部分部分には鱗が剥がれ、血が出ているところもある。確かに硬さで言えばディアブロスの方が上だろう。

でも、何より竜巻を起こすレベルの動きがまだできるあたり。

 

 

「奴さんはまだ余裕ってわけね・・・!」

 

「こっちは結構しんどいんだけどなー!」

 

 

これが、古龍か。

 

 

「大丈夫?死んでないね?」

 

 

アマツマガツチの突進を回避して、サツキが滑り込んでくる。アマツマガツチは次の突進の構え。

 

 

「うん!」

 

 

と言い残して飛びのく。そのまま、攻撃ーーー。

だが、アマツマガツチは頭をあげた。あの構え。来る。

 

 

「みんな、何かに掴まれ!」

 

 

私も今度は岩に捕まる。あの風がまた吹き始めた。こうなっては、攻撃などしていられない。体力が奪われるだけだ。

またたくまに風は竜巻に成長。今度は耐えれたが、アマツマガツチは竜巻の中に陣取り、水を吐き始める。こうなっては躱すしかない。

 

 

「くっそーーー!」

 

 

何か、手はないか。

何か、何か、何か・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ふふ。」

 

 

戦場なのに聞こえた笑い声が、私の思考を遮った。

 

水を躱したミルさんが、急に笑ったのだ。

 

 

「どうしました?」

 

「ベガが・・・あのバカに唯一教わったことがあってな。」

 

「ベガさん、が…?」

 

「格が違うと感じたら、切り札を惜しむな・・・とな。

カンナ!皆に伝えろ。次あの攻撃が来たら、私の元に集まれ、とな。」

 

 

わからないけど、何か策があるらしい。アマツマガツチがこっちに突進してくる。横に思い切り前転して、すぐ後ろを向く。尻尾が目の前にあった。

 

鬼神化して切りつける。ディアブロスやジンオウガと違って、あまり硬くないのが救いだ。

でも、纏う風のせいで、随分ダメージは阻害されているだろう。

 

アマツマガツチは水ブレスを使った。私とセリアさんは距離を取る。すると、アマツマガツチが再び頭を上げた。

 

 

「皆さん!ミルさんのところへ!」

 

「カンナ!?」

 

「カンナちゃん!?」

 

「いいから早く来い!」

 

 

私たちは走り出す。そのまま、ミルさんの元へ。

 

 

「全く、伝えろと言ったろう?」

 

「いえ、間に合いませんよ!とりあえず即席ですけど集めましたよ!」

 

「まあいい、早く私に掴まれ!」

 

 

言われるまま、ミルさんに捕まる。

サツキとセリアさんも同じようにした。

 

「ミルさん、一体・・・」

 

「まさか…」

 

「セリア、そのまさかだ。」

 

 

ミルさんはランスを取り出す。

 

 

「私が最初にとった秘伝書は、実はな・・・

 

太刀じゃないんだよ。」

 

 

風が変わった。すごい風が吹き始める。体が浮きそうになる。だが、ミルさんのランスが輝き始めた。

 

ランスの秘伝書・・・それって、なんだっけ?

 

 

「ミルさん、2枚持ってたんですか?」

 

「ああ、行くぞ。攻撃の準備をしておけ!」

 

 

突然、私たちの周りを、赤く透明な壁のようなものが覆った。そうだ。サツキから聞いたやつだ。

 

 

 

 

絶対防御。

 

 

 

 

いかなる攻撃も通さない、赤い壁。それがランスの秘めた力・・・!

 

 

ミルさんは地面に踏ん張りながらも、身体が浮かないようにしながら、引きずられて行く。そのまま、アマツマガツチの元へ。

アマツマガツチは、回転を始めた。

そのまま、空気が渦を巻いて、竜巻になる。

でも、その中にいる私たちは、何も起きない。

舞う岩すらも、壁がはじき返してる。

 

 

「すごい……」

 

 

この壁の中にいれば、全ての攻撃は無と化す。

ミルさんが改めて、すごいハンターなんだと悟った。

 

 

「カンナちゃん!鬼神化!」

 

「は、はい!」

 

 

これまでの習性からして、アマツマガツチはこの攻撃の後、竜巻の中心に降りてくる。そこを狙って・・・

 

 

「とりゃああ!」

 

 

私たち3人の剣が、アマツマガツチの腹を襲う。鮮血が飛ぶ。

 

 

「ヒョオオオオオオ!」

 

 

苦しそうな声をあげて、アマツマガツチが怯む。もっと、もっと早く。ここなんだ。ここで倒す!

 

 

だが、アマツマガツチは再び叫び、距離を取る。途端、赤い壁が消えた。ミルさんはゼエゼエと息をする。やっぱり、身体への負担は大きいみたい。

 

 

でも、アマツマガツチにはかなりのダメージを与えたはず。

これで、一気にこっちが有利になっただろう。

 

 

その考えが甘かった。

 

 

「なんだ・・・!?」

 

 

見ると、アマツマガツチの身体が少しずつ変色していく。白かった身体の一部は黒く染まり、片方残った金色の角は輝きをます。

それだけじゃない。周りの雲が、真っ黒に染まっていく。雷が鳴り響く。

 

雲が、いや空が、支配されてるみたいだった。

 

 

「ヒョオオオオオオ!!」

 

 

その声とともに、雷が落ちた。空気がより一層早く流れる。アマツマガツチの横で、渦を巻く風。

竜巻が、至る所で発生している。

 

 

「そんな・・・!」

 

 

私たちは、呆然と立ち尽くした。

風を操り、気候を操る、ユクモ地方伝説の古龍。アマツマガツチの真の「本気」だった。




セリア 「レゾットさんこんにちはー!」
resot 「どうも、こんにちは。」
セリア 「いやー、アマツマガツチは強いね!」
resot 「すごく懐かしいです、こいつ相手に何回も死んだの。」
セリア 「私たち勝てるかな?」
resot 「ぶっちゃけ黒ディアの方がつよ...」
セリア 「それは言っちゃだめなやつだよ!」
resot 「・・・」
セリア 「とにかく次回もゆっくり見てってねー、アマツマガツチ編第2章です!」
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