quest!   作:resot

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今回はカンナちゃん視点です!


第2話 任命!

ターン、ターン、タターン、ターン

タタタタタンタンタンー

 

紅葉彩るユクモの空に鳴り響くお馴染みの音楽。

それは、新たなハンターの誕生を告げる音だ。

 

ユクモ村の頂上にある、ギルド本部。

その中では、新しいハンターの任命式が行われていた。

 

主役は、たった一人。それが私だ。

 

 

一応ユクモの正装、真っ赤な着物を身につけている私。

 

私の名前は、カンナという。歳は24。

 

そんなカンナちゃんは今日から、ハンターになるのだ。

 

ずうっと、小さい頃から私の憧れの職業だったハンター

先日、ようやく試験に合格した。

夢が叶った喜びで、その時大はしゃぎした。

 

それはもう、ミルさんにそのあと延々4時間説教されるくらい。

 

でも、そんなのどうでもいい。

 

全く、ワクワクが止まらない。昨夜は眠れなかったのだ。早く、早く狩りをしたい。

 

目の前に立つ村長さんに、とびっきりのキラキラした目を向けた。

 

「ハンター証明書。カンナどの。貴殿をこれから我々ユクモ村ギルドのハンターに任命します。」

 

村長さんから差し出された証明書。通称ギルドカード。

 

それを受け取った。一礼して、席へ戻る。

 

「はい。それでは、新たなハンターの誕生を祝して、拍手をお願いします!」

 

一杯の拍手を受け、礼を繰り返す。

どうしても、照れてしまう。

あんまり頭の出来のよくない私を、ずうっと応援してくれた村の人たち。

私は、これから恩返ししなきゃいけない。

 

「では、新ハンターから一言。カンナさん、お願いしますね。」

 

はい、と声を出して、壇上へ向かう。

 

いちいち席へ戻ったのなんだったのよ。この儀礼的なやつが本当によくわかんない。

 

昔っから大雑把なところがどうしても直らない。

ハンターには、よくないことなんだろうか。

 

壇上に上ると、集まったギルドの職員さんと、ハンターさんの姿が見えた。ミルさんもいて、笑顔で拍手をしてくれている。

それに思い切りの笑顔で答えた。

 

「えー。みなさん、今日は本当にありがとうございます。これからハンターとして、皆さんの生活を支えていくとともに、先輩方に負けぬよう、精進したいです。

私の夢は、オールラウンダーになること!ていうか絶対なります!よろしくお願いします!」

 

私の夢を、大きな声で叫ぶ。

一礼すると、大きな拍手に迎えられた。

 

やあねえ、と言った声も聞こえる。

 

ーーーほんとに、オールラウンダーになるのに。

 

少々不愉快だったけど、ハンターになった喜びが大きすぎたので、気にはならなかった。

 

 

 

 

 

 

わたしは、小さい頃から、モンスターを狩るハンターに憧れて、この村で生きてきた。わたしには、親がいない。いるのは、兄がただ一人。

 

周りに同い年の女の子もいなかった。だから、ハンターになることにためらいなどなかった。そして、とりあえずの目標は今、やっと叶ったのだ。

 

この紅葉舞う村で、わたしの夢は、始まるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…

 

 

「あー気持ちいいー!」

 

ついつい声が出てしまう。ここは温泉。

 

ユクモ村。ここは、王都から遠く離れた、世界有数の観光地の一つだ。名物は、この温泉。ユクモの地では、絶えず温泉が湧き出ていて、一つの名物になっている。

 

そしてこの温泉は、ただの温泉ではない。

 

この温泉は、理由はわからないが、怪我や病気を治す力があるのだ。

 

その秘湯を求め、多くの観光客、もしくはハンターがやってくる。村を支えるのは、このような観光による収入である。ただ、今日は私一人だった。

 

小さい頃から入っていたし、空いている時期はだいたいわかる。

 

一杯に体を伸ばす。湯に浮かぶ紅葉が綺麗だ。

 

どうも式とか、そう言うのは苦手で、ちょっと疲れた。

この後、ハンター会議だというのに。

 

その時だった。

 

 

ガラガラ。

誰かが湯に入ってきた。

ふと目をやると、それはサツキだった。

 

「あー!サツキ、こんにちは!」

 

サツキはうげっというような顔をして、こんにちは、といった。

 

バスタオルを胸から巻いたサツキ。

 

て言うか、女湯でタオルを巻くなんて、何をしてるんだ、と突っ込みたくなる。

 

外せばいいのに、それ。

そして目線を下に下げれば見事な二つの・・・うん、見たくないわ。

 

サツキをまず狩りたいです…

 

「ねえねえ、私の式みた?」

 

まあ、そんなことは差し置いて。

とりあえず話題を振ってみた。

 

「見てたわよ。」

 

「どう?ハンターやりたくなったでしょ?」

 

「ならないよ、そんなの。」

 

そう言いながら、湯の中の私から一番遠い場所に歩いていく。

 

このサツキと言う人は、元ハンターなのだ。それもFハンである。

 

Fハンというのは、特別なハンターを示す非公式な略称だ。王都メゼポルタ。ここから遥か遠くにある、この世界を束ねる世界一の街。

 

そこは、王都であると同時に、世界一のギルドがある街でもある。

 

周辺に現れるモンスターの強さもレベルが違うのだ。そう言った状況下で、狩りの最先端をあの街のハンターは歩いている。そういう意味で、人々は、あのギルドを特別視しているのだ。最前線という意味のあるらしい、フロンティア。

 

その頭文字がFという文字によって表せるらしい。だから、メゼポルタギルド所属のハンターをひとえに私たちはFハンター、略してFハンと呼ぶ。

 

そして、この人。「双星」のサツキ。

一年ほど前まで、ミツキというハンターと共に、「双星」と二つ名が名付けられた新人ハンターの代表格だ。

 

雑誌で見たのだが、年が一緒というだけで、親近感を覚えた。しかし、突然ハンター界から姿を消してしまったという。

 

それが、ここユクモに来ると聞いて驚いた。そして、そんな人と狩りができることに心から感謝した。

 

 

 

でも、彼女はハンターをやめていたのだ。

 

 

 

 

 

「ねえ、一緒に狩りしようよ〜!」

 

「っていうか、私のこと、よくおぼえてたわよね。」

 

「当たり前だよ、雑誌の注目ハンターの欄は全部チェックしてるから!」

 

呆れたような顔をして、彼女は目を閉じた。

 

「ねえ、カンナさん、だっけ?こんなところでボーッとしてていいの?」

 

「え?」

 

「もう、会議。始まってるんじゃない?」

 

「え?でも1時からって・・・」

 

「さっき12時からの変更になったって聞いたけど?」

 

あ・・・そう言えば・・・

 

「えええええ!!やばい、ごめん行かなきゃ!」

 

まずい。いきなり遅刻は笑えない。

 

そう言えば、そんなことも、言ってたかも…

 

慌てて湯から上がる。ヒヤリとした空気に当てられ、ひっと声をあげてしまった。

 

「ごめん、また会おうね!私、諦めないよ!」

 

「諦めなさい!」

 

後ろを向かずに、服を着替えて、走っていく。

 

 

思うのだ。

 

ーーーあの子と狩りができたら、きっと楽しい。

 

何でやめたか知らないけど、狩りに私情は関係ないのだ。

あんなに狩りができる人が、楽しくないわけないじゃん!

 

 

 

 

 

あれ?サツキ、なんで会議の時間変更知ってたんだろう・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼しまーす…」

 

ドアを開けて詰所に入ると、全員の視線がこっちに向いた。

 

「カンナ!何をやっていたの?初日から遅刻なんて、ありえないぞ!」

 

「すいません!ちょっと・・・」

 

「絶対風呂だろうが・・・」

 

「あ、はい・・・」

 

全員の好奇心の目。

初日に遅刻するやつはどういうやつだというように。

 

そして、怒鳴り声を上げたこのお方。

 

ミルさんに怒られた。

 

私の姉のような存在である、ミルさん。厳しい人だけど、とても優しいハンターだ。そんで、超美人。

茶髪の長い髪の毛。に大きな目。

抜群の容姿から繰り出される鋭い攻撃には、村の中でも一目おかれている。

私がハンターに憧れた理由の間違いない一つは、彼女に出会ったからだ。

 

 

ミルさんには、小さい頃たくさん遊んでもらった。そんなミルさんは、リオレイアシリーズの防具を身につけ、名前のわからないガンランスを背負っている。いや、あれはランスかな?

 

 

「まあまあ、ミル。一旦落ち着け。

カンナちゃん、遅刻はよくはないからねぇ?」

 

 

そう言ってフォローに入ってくれたのはベガさんという。青い髪に、ピアスのついた耳。チャラチャラしているけど、この人も超イケメン。ミルさんの同期で、この村一番のハンターだ。

 

「静粛に。」

 

奥からした声。そこにいたのは、サツキと同じくらいの、小柄な男だった。銀色のギルドマスターの正装に、肩までかかるような長めの青い髪の毛。

 

この人が、さっきもいたけど、噂のリュウというギルドマスターなのだろう。

 

「カンナさん。今日は会議ですから多めにみます。ただし、クエストの集合に遅刻したりしたら、許しません。いいですね?」

 

「はい、すみません!」

 

私は一礼して、一番後ろの席に着いた。

 

「それでは、新しいメンバーを含め、会議を行います。始めに、私が新しくメゼポルタの中央ギルドから派遣されてきたギルドマスターのリュウといいます。まだ若く、至らぬ点も多々あるかと思いますが、よろしくお願いします。」

 

「おいおい、あの奇跡のギルドマスターさんだろう?その年で一つのギルドを持ってる人が、何を言ってるの?」

 

「ちょっとベガ、あんた黙りなさいよ。」

 

「あれは、ハンターさんたちのおかげですよ。」

 

にこりとリュウさんは笑った。

 

「それで、現在の状況の確認です。

近年のユクモ周辺のモンスターの活動が活発になっており、村人への危害も増えていると聞きます。先日も、森へ入った村人が消息をたったとも聞いています。よって、ハンターの皆さんには益々頑張っていただきたいです。」

 

わかってる。最近、観光客がモンスターに襲われたり、村人が襲われたり、とにかく依頼自体も増えている。

 

だから、この誇り高い仕事につけたのが嬉しい、というのもあるけど。

 

 

「そして、編成についてです。」

 

 

きた。これが大事だ。

クエストは、基本的に4人1チームで行うのが主流だ。

多すぎず、少なすぎず。それによって、様々な状況に対応しやすくなる。

 

クエストをする以上、時には撤退なども考えなければならないのが筋だ。

 

そんな時に一人一人合わなければ、最悪の事態になりかねない。このチームというのが、クエストにおいてとても大事なのだ。

最も、撤退なんて、そんな気はさらさらないけど。

 

 

「まず、今ハンターは7名。つまり、4人と3人の組みとなります。4人のペアは、まずリーダーをベガさん。その他のメンバーを、セレオさんにミナミさん。最後に、サーサさん。このメンバーを四人班とします。

そして、3人班。リーダーをミルさんとして、セリアさん、そしてカンナさん。以上です。何か質問はありますか?はい、ミルさん。」

 

 

「カンナはまだ新人です。彼女の班を3人にしたのはどういう理由からですか?」

 

「ミルさんに指導をお願いしたい。これから、更にモンスターの活動が激化すると仮定すれば、彼女も早急に戦力となる必要があります。今は、主なクエストはベガ班で。あなたたちには、経験値を積ませる目的で、簡単なものからやってもらいます。クエストの割り当ては工夫しますから、よろしくお願いします。」

 

それは不服だ。私はもう準備万端なのだから。

ぷうっと、頰を膨らませてみる。

 

「それに・・・いえ、やめておきます。とにかく、それが理由です。」

 

「あの、すみません。」

 

それと、もう一つ。

 

どうしても、話しておきたかった。

 

「最近この村に来たサツキという方は、元ハンターで、すごく強くて有名なんですけど・・・」

 

「カンナ。あの子は関係ない。」

 

ミルさんに咎められる。

 

「あ、ごめんなさい。」

 

うーん、やっぱ、無理かな?

 

「いえ、いいんです。確かに、彼女が入れば戦力になりますが・・・今はそんなことを考えている時ではありません。」

 

私は座った。双星と言われた世にもめずらしき超新人「二人」でのチーム。そのチームの片方のハンター。

 

私と同級生とはいえ、戦力としては大きいだろう。私の望みもそうだが、ギルドマスターの期待ももっともだと思った。そう言えば、リュウさんとサツキは同じくらいにここに来たのかな?

 

「他になければ、これで終わります。最後になりますが、今後ともよろしくお願いします。」

 

とにかく、今は目の前のクエストに集中しなくてはならない。

 

どんなモンスター相手でも、必ず狩ってやるからね。




オリキャラ紹介

サツキ

姿はピンクのボブカットに良いプロポーション。マシュみたいなイメージ。歳はカンナと同じ24歳。
20でハンターとなり、「双星」と呼ばれたが、一年前にハンターをやめている。
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