quest!   作:resot

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小説書くのってやっぱ難しいですね…

今回はセリアさんの回になりそうです。


第8話 エース!

観測不可能。

 

それが、霊峰を調査していた、ギルドの派遣隊の結論だった。

 

「我々も、可能な限り霊峰への接近を試みたのですが・・・瓦礫が道を塞いでいまして。」

 

「瓦礫…ですか?」

 

「巨大な岩が降り注ぎ、木も草も全てなぎ倒され、土砂の中に埋まっているような状況で。とても先に進めるような状態ではありません。」

 

つまり、普段はただの斜面のはずの霊峰が、ひどく荒れているということらしい。

 

リュウによれば、より設備の整ったメゼポルタギルドの派遣隊が出発したらしい。

 

今のところは心配いらないとのこと。

 

気にかからないかといえば嘘になる。

 

むしろ不安だ。住んでいる村で何かが起きている。

でも、私にできることはない。

 

村の人々の方がもっと不安だろう。

霊峰はこの周りの人々にとっては、信仰の対象として大切な山らしい。

 

そんな山があれでは、心の拠り所がないというものだろう。

 

でも、いつも通り、村の人を救うため、ギルドのため、そして私の目的のために狩りをするしかない。

 

そんなわけで、いつも通りのハンター生活を私も送っている。いや、送るしかない。

 

 

 

「あーーー。やっぱ、落ち着くわ。」

 

「ほんっと、ユクモの温泉さいこー!」

 

 

 

結果、カンナと温泉に入っている、というなんとも締まりのないオチである。

 

ハンターはギルドの雇われ人。彼らの指示なしでは、何もできないわけだが・・・

 

「ほんとに大丈夫かな、でしょ?」

 

「ヒイッ!?」

 

耳元で囁かれて、二人で間抜けな声を上げてしまった。

振り向くと、優しい緑の目をした女性がいる。

 

いつもは眼鏡をかけているので一瞬誰かわからなかったが、流石に覚えた。

 

「サ、サーサさんでしたか・・・」

 

「いつからいらっしゃったんです?」

 

「失礼ねぇ、私最初からいたわよ?体洗ってたけどね。」

 

「し、失礼しました・・・」

 

相変わらずの影の薄さである。

 

この人、逆に狩りに一番向いてるんじゃないか。

隠密性はナルガクルガに匹敵するな…。

 

「いい気候ねえ。冬になって、まだこんなに気温があるなんて。」

 

ユクモは温暖な気候で、冬でも湧き出す温泉の力か、氷点下を下回ることはないし、夏も40度を超えたりはしないという。

 

なるほど、過ごしやすさでは有名なのだ。

観光客の方が多いのも頷ける。村では、今もあちこちから湧く温泉に浸かるための、観光客でいっぱいだった。

 

「さっき、私の言おうとしたこと、何で・・・」

 

「サツキ・・・あなた、声出てたよ?ずーっとブツブツブツブツ。ぜーんぶ聞こえてたんだけど?」

 

「…腹立つ。」

 

カンナに注意されると腹がたつ。これはユクモハンターの中では常識にすべきだ。

 

「まあ、そう思うのも無理ないわね。でも、こんな時期だからこそ、私たちもやることやりましょう。」

 

「はい・・・」

 

ふと気になった。

 

「そう言えば、さっき、気候で感心してましたけど。」

 

「ん?・・・ああ、それ?私、ここら辺出身じゃないの。ココットって村から来たからね。」

 

「ああ、耳にしたことはありますけど・・・大変ですね。」

 

ココットと言えば、メゼポルタなどの大都市を支える一大農業地帯の中心となる村だ。

 

ここからはメゼポルタを挟んで反対側の方角。

 

そんな遠い転勤は初めて聞く。

確かに、ハンターが出身地から遠くに飛ぶことも珍しくはない。それは、仕事を求めて、であったり、訳ありであったり、色々だ。

 

「何かあったんですか?」

 

「いえ、どうもギルドに馴染めなくてね。」

 

まあ、そんなもんなのだろう。遠くに飛んでる自分が言うのだから、間違いない。

 

「あの、サーサさんが村にいるってことは、白光の人達、今村にいるんですか?」

 

「質問責めねぇ。いるわ。またすぐに、遠征でしょうけどね。それに・・・」

 

ピーンポーンパーンポーン。村内放送が鳴り響いた。

 

「さっき聞いたんだけどね。あなたたちも、仕事みたいよ?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

雨が、降り始めた。

 

ザアザアと屋根を叩く雨音。

本来なら、心が落ち着くはずのものだ。

 

だけど、今は状況が違う。

 

私たちは、ギルドでとある人物と対面していた。

 

「ドワッハッハッハ!いやー、参った参った!今回もやっちまったよ!」

 

・・・・。

 

白髪に老眼鏡。身長は私と同じくらい。

 

色とりどりの帽子を被り、探検服を身につけている。

ハンターでなかったとしても知っているこの初老の男。

 

自分で「モグラ」と名乗り、本名は誰も知らない。

職業は冒険家。

そして、この村一番の問題児でもあるわけだ。

 

「モグラ!いつも言ってるだろうが!村に危険が及んだらどうする!」

 

「何?文句あるのか?大丈夫だろう、あんな遠いところ!」

 

「ユクモじゃない!この周りに、ギルドがない集落がどれほどあると思ってる!手遅れになってからじゃ遅いんだぞ!」

 

そう。この人は無謀な冒険を繰り返してモンスターを刺激し、結果、周辺集落の危険、ひいてはハンターの仕事を増やすという意味で、大変に厄介極まりないことで有名な人なのである。

 

現在はミルさんが説教中。これもハンターにならずとも、割とこの村では見慣れた景色だ。

 

「まーまー、ミルさん。ちゃんと狩ればいいじゃないの。」

 

「そ、そうですよ!結局仕事なんですから。」

 

大笑いする反省の色のないモグラにキレるミルさんを必死に宥めるセリアさんとサツキを見ていると、いたたまれなくなる。

 

 

「ま、というわけだから頼みますね。」

 

 

大きなため息をついたリュウさんに、クエストを依頼された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユクモの玄関。雨の中、用意された荷車。

 

今回もまた遠征になりそうだ。

 

「よろしくにゃー!」

 

いつものアイルーさん。私たち紅葉の担当になったらしい。

 

「よろしくね!」

 

「さあ、行くか。準備はできたか?」

 

「はい!」

 

「本当に大丈夫か?今回は特にだ。とにかく入念にしておけ。」

 

「いや、まあでも、あんな爺さんが逃げ帰れたわけだし、大丈夫では?」

 

サツキが言う。

ミルさんは呆れた顔をした。

 

「サツキ、一つ教えておこう。カンナもな。

いいか?モグラが持ち込む任務は、大変に面倒くさい。それには、厄介な理由がある。あいつは無駄にモンスターの縄張りを引っ掻き回す。

ということは、裏を返せば、本来脅威になるはずのないモンスター。つまり、初見のモンスターの場合が多い。」

 

「…初見、ですか。」

 

あの爺さん、もう捕まえて隔離した方がいいんじゃ・・・。

呆れて何も言えない。

 

「とにかく、ベースキャンプへ行こう。今日は水没林か。」

 

チッと舌打ちするミルさん。

 

「最悪だな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、間違いない。最悪だ。足元は水浸しで、雨はますます強くなるし、こんな中で狩りをしろというの?

水を吸った足が重い。一足一足ごとに、疲労が蓄積されていく。

 

「最悪だよね、ほんと。ねえ、サツキ…」

 

横を見ると、サツキはこともなげに進んでいる。

 

「サツキ・・・あなた、大丈夫なの?」

 

「何よ、こんくらいザラじゃない。私がどこでハンターやってたと思ってんの?」

 

…メゼポルタの周りってのはどんなとこだ。

 

うっそうと茂る木々の間を抜け、水溜りを超えて進んで行くと、少し開けた場所に出た。

 

開けた場所ってのは大概危ないところだが・・・。

その中央に目をやると、お目当てのモンスターらしき奴がいた。

 

「・・・あれか。」

 

取り囲むのは、フロギィというモンスター。

ここ、水没林ではよく見かける鮮やかなオレンジの皮を持つそいつは、腹にためた毒がその武器だ。人間の致死量を軽く超える猛毒。だが、本来人間とそう変わらぬ大きさのはずだ。

 

しかし、今回は明らかに大きさのおかしな奴が一頭。

 

「・・・おっきいねぇ。」

 

明らかに大きく、鮮やかな体をしたフロギィが一体。

 

小声でそういうセリアさんの手は、もう背中の片手剣にかかっていた。

 

「気をつけろよ。やはり見たことがない。」

 

「ドスフロギィとでも言うんですかね?」

 

「確実よね。」

 

「ただ、そんなに強くないはずだけどねー?元があれだし。」

 

「それは、そうでしょうけど。」

 

今日、私は双剣で来ている。

最近はいろんな武器を試しているが、双剣の使いやすさに最近はまっている。

 

「さっさと狩りましょう。」

 

私は、ジンオウガの一件を思い出した。

あの時も双剣だった。

 

そして、あの世界が止まる瞬間も思い出した。

 

ーーーもし、あの力が引き出せれば。

 

どんな敵も怖くないはずだ。

 

そのためには、私自身がもっと強くならなきゃいけない。

 

「…行きます!」

 

鬼神化して、飛び出した。バシャバシャと水の音が鳴り響く。ドスフロギィがこっちを向く。

 

喉の紫の部分が目に入る。あれが、毒袋だろうか。

 

フロギィの比じゃない。

 

流石、立派なものを持っている。

 

と同時に、閃光が光った。

閃光玉と呼ばれる、光を放つ玉。狩猟を有利に進める、特殊な道具だ。

 

「もう、突っ走らないでよね!」

 

サツキの閃光玉か。ドスフロギィは悶絶してる。

 

流石に、支援がうまい。

 

鬼神化のまま、切りつける。心地よい感触。硬さもない。振り回す尻尾にも勢いがない。やっぱり、前のボルボロスに比べれば大分楽だ。

 

私のあとに出てきたセリアさんやミルさんの攻撃も効いている。

私は周りのフロギィたちを蹴散らす。

 

雨を吸って重くなったはずの体。でも鬼神化さえしていれば、それを重いと感じることはない。

飛び上がって背中に一振り。

 

そして右、左と切りつける。

 

フロギィが宙を舞う。

 

「…よし!」

 

目を戻す。すると、不意にドスフロギィはバックステップした。見ると、喉元がうねっている。

 

…毒!

 

フロギィと同じ。とっさに正面から横へ。と同時に、毒が吐かれた。

 

紫色の毒が宙を漂っている。

 

「逃すな!」

 

息が切れてる。体力を使いすぎる鬼神化。気がついたら、体の重さが戻っていた。

 

鬼神化が程なくきれる。でも、逃さない。

 

ハアハアと言いながらも、右、左と剣を振り下ろす。

 

横からくる尻尾。咄嗟にしゃがむ。

頭の上をかすめていった。

 

ザクザクと切れる感覚。これは、思ったより速く終わりそうだ。

 

<初見のモンスターの場合が多い>

 

目新しいことが、何もない。

 

さっと嫌な予感がした。この楽な感じは?

 

途端、ドスフロギィは向きを変え、セリアさんの方へ。

この体を持つドスジャギイと同じモーションからの体当たり攻撃。ずっと動き続けたセリアさん。

その疲労は確実にたまっている。

 

更に、足が地面にとられていた。

 

滑りやすい足元ーーー。

 

「セリアさん!」

 

「・・・っ!」

 

セリアさんは食らったものの、受け身の体制。

 

流石だ。あんなに唐突なタックルで・・・

 

一瞬ホッとする。

だが、セリアさんの飛んで行く先を見て愕然とした。

 

「セリアさん!」

 

「セリア!」

 

綺麗にミルさんと私の声が重なる。

なんだ、あれは。

 

数分前に放たれたはずの毒。

その毒の霧が、まだ漂っていた。

 

そんな…雨が降っているのに。風だって、吹いている。

 

そんな濃い毒の霧なんて…。

 

そして、セリアさんの体がその中へ消えた。

 

「ゴホッゴホッ!」

 

咳き込む音。

 

「まず…!」

 

ドスフロギィはその隙を逃さない構え。

 

まずい、反応が遅れた!

 

ドンッ!

 

不意に、何かが突っ込んで、ドスフロギィの体を吹っ飛ばした。

 

「カンナ!撤退!」

 

「ミ、ミルさん?」

 

「わからん!だけど、よく状況を見ろ!」

 

見ると、サツキがもうセリアさんを担いで走り出している。

 

「早く!」

 

よくわからなかったが、とにかく走った。

 

前を走るサツキを見ながら、無我夢中だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベースキャンプに着く頃には、3人とも完全に息が切れていた。

 

特に、セリアさんを担いで来たサツキは、ゼェ、ゼェと言っている。雨の中、走る辛さはスクールでも経験済みだった。

 

そして、その肩には、血がべっとりとついていた。

 

「血を吐いてる!」

 

「セリアさん!」

 

「う・・・結構、やばいかも」

 

急いでベットに寝かせた。

 

苦しそうな呼吸。

それを見つめる私の前に、草が差し出された。

 

「毒消し草。ちょっとはマシのはずよ。」

 

サツキが不機嫌そうに、こちらを眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間。日は暮れ、夜が訪れた。

 

「カンナ、少しいい?」

 

そう言ってサツキに呼ばれ、少し離れたところまで来たところだった。

 

今思えば、私にとって、遠征では初めての泊まりがけになった。

 

ザーザーと降る雨。ザワザワとなる森。

 

モンスターについての情報がない。たったそれだけのことで、ここまで。

見たところ、ドスジャギイと変わらない体の構造。

そんなに強くないはずだ。

 

だけど、実際撤退を余儀なくされた。

 

セリアさんは、今は眠っているが、顔はまだ青い。

 

「なんで飛び出したの?」

 

そう聞かれた。

 

「えっと…」

 

確かに、私は飛び出してしまった。

 

 

「私は怒ってるんじゃない。起きたことに対して、どうしたら防げたか検討したいだけ。一歩間違えば、あれは自分だったわけだし。チームの事故は、全員の責任なんだから。私も毒に目をやるのを忘れてた。だけど、あなたはモンスターの情報がないとわかっていながら、あの時飛び出した。それはなぜ?」

 

 

何も言えなかった。それは、勢いに任せてしまったなんて、言えない。

 

 

「どうせ勢い任せだったんでしょうけど。」

 

 

そして、当てられた。

 

「いい?一つ教えといてあげる。」

 

サツキは、ミルさんたちの方へ歩きながら言った。

 

 

「ハンターは、誇り高い職業、なんだよ。ミスなんて許されない。」

 

 

そして、もう一言。

 

 

「遊びなら、学校でやってて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、サツキ。」

 

火に当たっていると、ミルさんがサツキに話しかけた。

 

「はい?」

 

「さっきのは、何だ?」

 

多分、ドスフロギィをあの時吹っ飛ばした謎の力。

 

「穿龍棍の応用ですよ。」

 

サツキは淡々と答える。

 

「あの武器、空気の力で我々ハンターが浮くって話はしましたよね?それをうまく使っただけです。武器そのものを吹っ飛ばした。

…まあ、本来、武器を手放すのはハンターのタブーですがね。私は囮ですし、メゼポルタで少し練習したんです。今回応用が効いてよかったです。」

 

それでわかった。

 

サツキは判断力も高いし、技術もある。そして、その時最善な方法で答えを導く。

 

私は、結局何もしてない。鬼神化だって、最初からする意味がどこにあったろう。

 

 

 

 

私のせいだ。

 

 

 

 

…悔しいな。

 

誇り高い、職業…。

 

「セリアの体調が戻ったら出発しよう。相手は手負いだ。そこまで焦ることもない。」

 

ミルさんはそう言った。

 

降る雨をよそに、寝る支度をした。硬い藁のベットに寝転ぶ。色んな考えが頭に浮かんで、中々寝られなかった。

 

 

 

 

 

 

カンナちゃーん?

遠いところで、声がした。目を覚ますと、そこにはセリアさんの顔があった。

 

「ふわぁっ!?」

 

「おはよ!」

 

セリアさんがニッコリと、笑う。

 

ザーザーと降る雨は、まだ止んでいないらしい。

 

「セ、セリアさん?もう大丈夫なんですか?」

 

「うんー、大丈夫、かな?」

 

目の前のセリアさんは、何かいつもと違った。

 

何というか・・・目が座ってる。

 

「セリア・・・ほんとに大丈夫なのか?」

 

「ミルさん、私は本気だよ。」

 

セリアさんの背中。そこには、赤く光るリオレウスの武器がある。でも、それは片手剣じゃなかった。

 

「双剣?」

 

「転送機って便利だね!狩りの途中で武器を変えれるなんて!」

 

セリアさんは笑った。

 

「あ、ミルさん?水汲んで来ました!」

 

サツキもやってくる。

 

「ま、軽く腹に何か入れよう。転送機が、軽く食事を送ってくれたしな。」

 

ミルさんは、ベットに座り込んだ。

 

 

 

軽くご飯を食べる。

蒸した芋に、鮎の塩焼き。

 

温かい。

なんて素晴らしい機械なんだろう。

 

でも、どうも気持ちが上がらない。

昨日のことが、頭を離れなかった。

 

 

 

「昨日はごめんね、ほんと油断してた。」

 

突然セリアさんが、言った。

 

「気にするな。」

 

「でも、そのせいで狩りが遅れた。私、それは自分の責任だと思ってる。」

 

「そ、そんなことないです!あの時飛び出したのは私で…。」

 

「カンナちゃん。気にしないで。私は、油断してた。忘れてた、自分の役目。

ハンターなのに、命を賭けていたのに、最近楽な仕事が多いからって、手を抜いてた。

私、もう一回気を引き締めたいの。」

 

目が、いつものセリアさんじゃない。

 

その迫力に押されて、私は黙ってしまった。

 

「だからって、セリア。その体で、双剣ってことは・・・」

 

「そう。だから、私に任せてほしい。周りに人がいると邪魔になっちゃうかもしれないし。」

 

ミルさんははぁ、とため息をついた。

 

「・・・・・わかった。」

 

「あ、あの・・・話がわからないんですが?」

 

話が読めない。

 

「サツキ、カンナ。セリアの邪魔にならないように後ろで待機。やばくなったら出るぞ。いいな。」

 

「え、それって・・・」

 

「単純に、1-3に移行する。」

 

つまり、一人に攻撃を任せ、3人がサポートに入るということだ。

 

「サツキは見たことあるだろうな。」

 

サツキは、当然と言った顔で頷く。

 

「でも、今のセリアさんに…」

 

「カンナ、面白いものが見れるぞ。よく見ておくんだな。」

 

ミルさんは、サツキの言葉を遮って、そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

移動中も、これから何が起こるのかわからなかった。

 

「リュウさんから連絡があってな。攻撃を受けたやつがどこへ行ったかは見当がついていたらしい。」

 

「あの、ミルさん。セリアさん…。」

 

「セリアか?大丈夫。もう勝ちは決まってる。それより、今あいつは集中してるから。話しかない方がいい。」

 

「でも・・・毒を食らった次の日に1-3を組むなんて・・・解毒間に合ってるんですか?」

 

「それは私も疑問ですが・・・」

 

「カンナも、サツキも、大丈夫だよ。」

 

ミルさんはそう言って、後ろのセリアさんをちらりと見た。その目は、やっぱりいつもと違った。

 

覚悟が、そこにあった。

 

「うちのエースは、誰よりもハンターの名に誇りを持ってて、そして、誰よりも負けず嫌いなんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うっそ・・・

リュウさんが言った場所に着いた。奥には小川が流れ、その向こうは切り立った崖になっているみたいだ。水が流れ落ちる激しい音がする。

 

そこに、本当にいる。昨日つけた傷が残っているし、間違いなく同一個体。流石はリュウさんだ。

 

「それじゃ、後はよろしく。」

 

そう言って、セリアさんは双剣を取り出す。私たちも武器を取り出す。

 

と、その瞬間、セリアさんの武器が光った。

 

リオレウスの双剣が、赤く輝く。

 

「セリアと、その双子のセレオのランクは285。こなしたクエストは2500を超える。あいつらは軽い武器が好きだがな・・・その中でも双剣が一番得意だ。こなしたクエストのうち、1500回は双剣。この辺じゃ名の知れた双剣使いでな・・・」

 

まずはセリアさんの鬼神化。体が赤く染まる。

血流が高まっている。だが、武器の輝きは止まらない。

 

「鬼の双子って二つ名がある、秘伝書持ちの一流双剣使いなんだ。」

 

武器の輝きは、そのままセリアさんを包んだ。

 

武器から出た赤い光。それが、まるで炎のように、身体中を包んでいる。

 

「これが・・・秘伝書の?」

 

「鬼神化の更に上。鬼神強化。それが、双剣の秘伝書の力。見ておきなさい、カンナ。あなたが、何を手に入れようとしてるのか。」

 

サツキはそう言いながら、閃光玉を放った。

 

眩しい光が、辺りを包む。

 

刹那、セリアさんがドスフロギィに向かって走り出す。

 

「って…」

 

 

 

 

ビュンビュンと動き回るセリアさん。水が飛び散り、草が舞う。

 

速すぎる。目で追えない?

 

「行っても邪魔だ。」

 

出ようとする私をミルさんが止める。

 

「今行ったら逆に危ない。あの速さで動く人にぶつかったら、ほんとに死んじゃうわ。」

 

そして、ドスフロギィの体から血が吹き出す。

 

何が起こっているのかわからない。

 

草や木が舞い、周りのフロギィも飛び、そしてドスフロギィはわめきながら毒を吐く。そのどれもが、一瞬でかき消される。

 

 

これが、秘伝書か。激しく鳴く相手モンスターを、私はただ眺めているだけだった。

 

 

そして、雨は、そんなセリアさんを怖れるかのように、上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ただいま。」

 

クエストから帰ってきた私は、玄関に寝転んだ。

 

今日見てきたものを思い出す。

 

サツキの言葉。ミルさんの信頼。セリアさんの覚悟。

リュウさんの索敵。

 

たった一体のモンスターを狩るために、これだけの力が働いている。

 

「もっと、強くなりたい。」

 

改めて、思う。

 

彼女たちに、追いつきたい、と。




サードでずーっと思ってたんですが、あの温泉、めっちゃ入りたいんですよね…
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